次郎丸かなみの有味湿潤な日常生活

医療系オタク大人女子の日常生活やエッセイ。創作垢「きつねの戯言」にて小説、楽描きイラストなども描いています。

好きってなぁに?

2023-11-18 11:34:00 | 日記
突然だが、その人物を知る方法の一つとして、「好きな◯◯は?」という質問をすることがよくあるのは、周知の事実だろうと思う。好きな食べ物や好きな色などは、何の気なしに、真っ先に訊かれる項目ではなかろうか。質問によっては思いつく答えが多過ぎて迷うことや逆に全く答えが思いつかないことはあっても、それで深く悩むなんてことは稀だと思う。

話は突然飛躍するのだが、好きな食べ物とか好きな色なら簡単に答えられるのに、こと恋愛感情となるとそうはいかないのがややこしい。これは私だけなのかも知れないが、同感して下さる方も皆無ではないと信じたい。
「好きなタイプは有名人でいうと誰ですか?」「好きなアニメやゲームのキャラクターは?」というのはまだ大丈夫なのだが、生身で実在の人間相手だとそうはいかない。例えば、自分が好きになった相手がいたとして、青春時代にありがちな単なる憧れで片思いみたいな淡い思いは、芸能人やキャラクターのファンとさほど変わらないから問題ないのだが、交際するとかいう段になってしまうと、突然悩んでしまう。
「私は本当にこの人が好きなんだろうか?そもそも『好き』って何だろう?」
という気持ちになってしまう。人が人を好きになる感情がわからなくなる。恋愛感情が単純に大好物や推しキャラを好きと思う感情とは違う気がして、もし別の感情だとするなら、これは本当に好きという感情なのか?と悩むのである。
そしてまた、両思いになってしまったら、今度は相手の『好き』がわからない。何故この人は私が好きというのだろう?どこが、どのように、どのくらい好きなんだろうか?元カノを好きだった気持ちと同じなのか違うのか、違うというならどう違うのか?私と相手との『好き』という感情は同じものなのか、違うものなのか?そもそも『好き』って何?
という感じになってしまう。
世間でいうところの「恋は落ちるもの」であって理屈なんかないはずなのに、決して嫌いという訳でもないし、相手のことを疑っているのでもないが、元来「役に立つ立たないは関係なく、知らないことは知りたい」という知識欲から自然発生する疑問なのだと思う。

20代で初めての交際相手と結婚したのは、結局『好き』という感情がわからないまま、昭和時代の、それもお祖母ちゃん子だった私の「女は愛するより愛される相手と添うのが幸せ」という古風な価値観に無理やり自分を押し込めて納得しようとしたからなのだが、いろいろあって離婚した。それなりに理由はあったし、微塵も後悔はしていないが、まだ結婚生活が順調だった頃にも関わらず、私が
「私は自分が幸せだと思ったことはない。というよりも、『幸せ』ってどんなものだか私にはわからない。人生を三倍速で早送りしてさっさと終わりたい。」
と本音を吐いた時に、元夫が寂しそうに
「俺と結婚した時も幸せじゃなかったのか。」
と呟いていたことは覚えている。私は単に事実を述べただけのつもりだったのだが、酷く落ち込ませてしまったことについては、ちょっと可哀想だったと思っている。少なくとも当時はまだ彼は私を愛していたのだろうから、随分気の毒なことをした。本音だったとしても言葉を選ばず傷つけてしまったのは若気の至りである。

最近自作小説の外伝を書こうかと思いついて、ネタ集めをしてた時にふと
「私って本当は人の感情がわからない奴なんじゃないか」
と思ったのが切欠かもしれない。
『好き』って何なのか、『好き』ってどんな感情なのか、それもわからずに小説を書けるのか?
ゲームやアニメ、小説や映画などでは感動でぼろぼろ泣くから感情がない訳ではないとは思うのだが、どうも感情に身を委ねるとか感情に溺れるとかではなく、どこか醒めた、一歩引いて自分を俯瞰で見るような傾向があるようだ。そんな自分を嫌いではないけれど、少し寂しくはある。幼少期に感情を抑え込んで表に現せない環境にあったので、その癖は大人になってもなかなか抜けるものではない。感情が現せるとはいっても、忍び寄る老化で前頭葉の脳細胞が死滅して劣化していけば、怒りを抑えることができなくなるので、怒りっぽくなるのは決して良いことではないのだが。慢性的セロトニン不足で成長してきた私は、何処か人として欠陥があるのかもしれない。とはいえ、幸せ過ぎる人には描けない物語が私の小説の世界観なので、それはそれで良いのかもしれない、とは思っている。
何かを得ることは、別の何かを手放すことであり、他の何かを諦めることである。私が得られなかった何かのお陰で、今の私が居るのだとしたら、これ以上を望むのは強欲というものだ。
推理作家は犯罪を犯したことはなくても犯罪のトリックや犯罪者の心情を描くことができる。創作というものはそういうものだから、わからないもの、知らないものは描けないとか描いてはいけないとかいうことはない。と、気を取り直して新しい物語のネタ集めを続けていこうと思う。
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