今日の考え事〈applemint1104〉

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映画「サイレンス」の感想

2017-10-27 09:57:31 | エンタメ
今年の初めに公開されたアメリカ映画。遠藤周作の小説が原作です。
制作監督は有名なマーティン・スコセッシ。
彼の作品は主にドキュメンタリー映画が多いですが、最近ではデカプリオの「ウルフオブ…」や代表作の「タクシードライバー」があります。なんと構想28年間の末、ようやく映画になりました。
 
今年もツタヤ年一度のカード更新の時期、無料レンタル一枚これを借りてきました。
大作感があり、初めから緊張です。
まーしかし、中盤までの重いこと重い事。1600年代の日本のキリスト教弾圧と教徒への拷問の数々がこれでもかと描かれています。
ポルトガルから先に渡来した宣教師の行方を追って、二人の若い司祭が長崎へ密航してきます。
イエズス会の立派な司祭です。
二人は師が日本で棄教し(キリスト教を辞めることらしい)しかも日本人として暮らしているらしいと聞き真実を知りに、やってきました。
ところがところが…日本の現実はすさまじいものでした。
長崎の農民たちがキリスト教徒となっていましたが、幕府の弾圧が徹底的に行われていました。
拷問がもう半端じゃない。踏み絵できなかった人を十字架にくくりつけて海の中にさらしたリ、藁で巻いて海に落としたリ、そのまま火に焚きつけたり…
いきなり首をはねる…。残酷で見ていられません。
もう疲れて1時間半くらいでディスクを止めました。気分が悪くなってしまったのです…。
 
でも次の日頑張って見終えました。
後半は主人公の心理的葛藤、宗教的矛盾、神とは何なのか、日本にキリスト教は根付くのか…
など深い問題に入って行きます。
主人公の若い祭司はキリスト教への信念があり、目の前でどんな残酷な死に方を見せつけられても、神への思いは変わりません。
ここが私には判りません。踏み絵ぐらい踏んだらいいじゃない、キリスト教徒じゃないと言ってみたところで誰が不利になるわけじゃなし。
神に忠誠を誓うことが命より大事なのか。この世で幸せにならずにあの世で幸せになってどうする。
死が救いだなんて、洗脳されている。しかし純粋な司祭は抵抗します。
行方不明になっていた司教は長崎でキリスト教を捨て、日本人になって生きていました。
彼から、静かに説得されます。
キリスト教が日本に根付かないことの理由や、矛盾を教えられます。淡々とした説得力ある話です。
 
「私は主の為に何をしたのか?」「私は怯える。あなたの沈黙が恐ろしい」「何に祈っているのか?無に祈っているのか?」
どんなに祈りを捧げても、その結果は死だけだ。神は沈黙している。
主人公の心に少しずつ疑念が湧いてきます。
 
後半、主人公の司祭ロドリゴはとうとう踏み絵を踏んでしまいます。
奉行の口の上手さ、通訳の説得、保身のためにずるく立ち回るキチジローなどがロドリゴの気持ちに変化を起こします。
ロドリゴは棄教し、奉行から日本人の籍を貰い、一生を江戸で暮らしました。
その間祈りもせず、神の名を口にすることもなかったと言います。
でも、棺桶の中のロドリゴの手の中にはロザリオが光っていました。ナレーションは「心については、神だけが知っている」と語っていました。
美しい場面でした。
 
2時間40分の長丁場、初めの掴み部分が分からなかったので、二度見ました。
五島と長崎の場面もこんがらがって、説明が必要だと思いました。
また、日本の貧しい農家の人々がどうしてあそこまでキリスト教に傾倒したのかが不明でした。
ただ拷問されるばかりの存在って、哀れです。もっと社会背景を描いてほしかったです。
にしても、ずしりと響く重厚な映画でした。また見たいとは思わないけど…、
いつかどこかでこの中のセリフを思い出すことはあるでしょう。
 


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