秋 田 奇 々 怪 会

心霊現象、死後の世界、臨死体験、輪廻転生、古代文明、オーパーツ、超常現象、UFO等不思議大好きの会です

仙境異聞~勝五郎再生記3

2017年03月14日 | 不思議
さて、今回は藤蔵として死んだこと、その後に勝五郎として生まれ変わる経緯が語られます。白いひげに黒い着物を着たおじいさんに導かれるのですが、魂が死んだ藤蔵の家に戻る様子も語られます。

勝五郎は、毎晩一緒に寝ているお婆さんに、藤蔵が死んでから、この家の子に生まれ変わるまでのことを話しました。
「おらあ、藤蔵っていって、六つの時に病気になって、死んじまったんだ。葬式の日、棺桶に入れられて、山の墓地に運ばれたんだけど、棺桶をお墓の穴に入れた時、ドスンというすごい音がして魂が抜け出したんだよ」

藤蔵の魂は家に帰りました。お父さんやお母さんが、話をしているのが、よく聞こえました。お母さんが泣いていたので近くへ行って声をかけましたが、お母さんは気がつかないようでした。

やがて、気がつくと白いひげに黒い着物を着たおじいさんが、こちらへおいでと手をふって呼んでいました。

藤蔵は、そのおじいさんに連れられて、山や川をふわふわと飛びまわりました。 そこは、暑くも寒くもなく、夕方のように薄暗く、お腹もすきません。 野原には、赤や黄色のきれいな花が咲いていました。花を折ろうとすると、小さなカラスが来て、怒って騒ぎました。

遠くで、お念仏を唱える声が聞こえたので、家に帰ってみました。誰も気がつかず、お供えしてあるぼたもちの、あたたかい湯気が、とてもおいしく感じられました。

あの世にいたのはほんの数日だったような気がしましたが、おじいさんから
「三年たったから、生まれ変わるのだ」
と言って連れてこられたのが、中野村(現在の東京都八王子市東中野)の勝五郎が生まれた家でした。

藤蔵は、おじいさんに言われるままに家の中に入って、かまどのかげで様子を見ていました。 お父さんとお母さんは、暮らしをよくするために、お母さんが江戸(東京都の中心部。程久保村や中野村からは約40kmあり、歩くと1日かかった)へ働きに行く相談をしていました。

藤蔵の魂は、いつの間にかお母さんのお腹の中にすうっと入り、勝五郎になって生まれたのでした。

*藤蔵が勝五郎が生まれた家に入ったものの、庭の柿の木の下に三日ほど立って様子をうかがい、窓の穴から家の中に入り、かまどの側にまた三日位いたそうだ。
その際聞いた上記のお母さんが江戸へ働きに行く相談とは「このような貧乏暮らしに子が二人いては老母を養うにも事欠く。お前は三月から江戸へ奉公に出るといい」と夫婦で話した場面のことだ。その後相談どおりに妻を奉公に出したのだが、先方で懐妊していることが分かったため暇を乞い帰郷させたそうだ。

お母さんのお腹に入るまで六日も逡巡している様子が伺える。
その後、お母さんの腹に入ったように思うが、よく覚えていない。腹の中ではお母さんが苦しいだろうと思ったときは体を脇に避けたりしたことがあった、とも語っている。

お婆さんに、生まれ変わるまでのことをすべて話した勝五郎は、
「婆ちゃん、おらあ程久保村へ行ってみたいよう。お父っつあんのお墓参りがしたいよう」
と泣いて頼みました。

困ったお婆さんは、近所の人に
「程久保村の久兵衛さんを知らないかね」
と聞いてみました。

「久兵衛さんは死でしまったが、藤蔵という子供がいてとても可愛がっていたよ。だけど藤蔵も疱瘡にかかって死んでしまったんだよ」
と話してくれる人がいました。

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