脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

認知症の当事者が情報発信する「希望大使」⁈

2020年01月28日 | 側頭葉性健忘症
新聞やネット記事で目にした人もいると思います。
「認知症の人の声に耳を澄ませて―。厚生労働省は20日、認知症への社会の理解を深めるため、当事者が情報発信する『希望大使』の任命式を東京都内で開いた。男女5人が選ばれ、45歳で若年性アルツハイマー病と診断された鳥取市の藤田和子さん(58)は『認知症になっても元気に楽しく生きていけると伝えたい』と語った。」
(紙わざ大賞の作品)

どう思いましたか?
身近に「認知症」の人がいない場合は、「早い時点ならこういうこともあるかも。夜中に騒いだり徘徊するようになったら無理に決まってるし。
もしかしたら、認知症って言っても、私が知ってるようじゃないタイプがあるのかもしれない。いろいろなんだろうな」
例えば、今現に認知症のお年寄りを介護している人だったらどういうでしょうか?

現在97歳のお母さん(中ボケ下限からそろそろ大ボケ)を介護している友人に、電話をして意見を聞いてみました。
「本人が認知症と自覚していないと、認知症者として世の中に対して情報発信はできないでしょう。でも、認知症になってしまったら世の中に情報発信することそのものができない。世の中にじゃなく家庭の中だって言ってることが変だもの」
電話の声を聴きながら、私はなんだか「家族の持つ温かさ」を教えてもらったような気がしていました。
この友人は、いつもいつも「言ってることは普通なんだけど。立派なことだって言えるし」といっては、私から「何が言えたとしても、根本的な理解ができてないはずだから、言葉に惑わされないように」とか「言ってることじゃなく、やってることを見てあげて」とか「あなたが思ってる以上に、おばあちゃんの脳はうまく動いてないのよ」といわれています。

そのやり取りを、去年12月に書きました。
「大ボケでも言ってることは筋が通ってる」-ホント?
日常生活の中では、一つ一つ発せられる言葉に揺れ動かされて「おばあちゃんは手がかかるようなことをいろいろしでかしてくれるけど、言ってることはまだまだ普通」といい続けているその友人が
「本人が認知症と自覚していないと、認知症者として世の中に対して情報発信はできない。でも、認知症になってしまったら世の中に情報発信することそのものができない」と答えたのです。
その通りです。
家の中で、それなりの言葉の応酬をすることと、社会に向かって自分の考え、しかも認知症者として希望が持てる発言をすることには、埋めようもない溝があります。溝どころか断層か崖くらい差があります。
もう一人にも、電話しました。いろいろなレベルではありましたが、6人もの高齢者を介護し、見送ってきた人です。
そのうちの一人は、なんと「亡くなる前の3年間、3年間よ!その間は言葉もしゃべらず、目も明けずだったのよ。それに先立ついつだったら『認知症当事者』として発言できたか・・・。とっても無理。考えられない」
この言葉は、介護してみとった人でないといえない言葉です。

それから、この記事の人は「45歳で若年性アルツハイマー病と診断された「」というと、
「えっ!45歳!」という声が返ってきました。「認知症というとお年寄りのはずだから若いだけでびっくりよねえ。認知症とはちょっと違うんだけど」と私が合いの手を入れました。
「45歳から介護が始まったら、見送るまでが長いなあ~と思って」そこで私が「介護が必要な人が、社会に対して『希望大使』としての仕事ができるかな?」と応じました。これに対しては
「そうよね。ふつうにボケちゃった人はとっても無理。でも、どこか外国で、立派な人でボケちゃって、でも世界中で講演した人がいたでしょう。あの人はご主人がサポートしてたよね。私が介護した人は、どんなに早い段階でもどれだけサポートしてもできっこないけど」といわれたのです。

まさに正答。
「希望大使」を任命された方々は「認知症」ではなく「側頭葉性健忘』というべき別の病気の方々なです。
認知症の初期って?
46歳でアルツハイマー型痴呆(当時の表現)と診断されたオーストラリアのクリスティーン・ブライデン さんのことを解説しています。
側頭葉性健忘の方々の一番の特徴は「前頭葉機能」が健全に働いているということです。「認知症者が心情を語る」という場合は、「認知症」ではなく「側頭葉性健忘」の方たちと思ってください。
(経糸も横糸も紙!)

認知症の権威とされる人たち(学者や医師たち)の多くが、クリスティーン・ブライデン さんを認知症(若年性アルツハイマー病または、若年性アルツハイマー型認知症)と主張しています。専門家で権威とされる人達が、というか、世界中で「認知症」は、まだ正しい理解がされていない状態なのですね。
最近は、アミロイドβが犯人ではないのでは?という意見が散見されるようになりました。これは朗報です。つまりほとんどの認知症は前頭葉の出番の少ない生活を送ったために起きてくる脳の生活習慣病なのですから。

1月の右脳訓練―紙わざ大賞展

2020年01月26日 | 右脳の働き
毎年楽しみにしている「日本紙わざ大賞展」
第29回紙わざ大賞
「『紙わざ大賞』は、『紙』を使用し自由な発想での創作をテーマとしたペーパーアートのコンペティションです。このたび、全国よりご応募いただきました数々の作品の中から厳正なる審査により選ばれた作品を紹介いたします。『紙』のあたたかさ、しなやかさ、色合い、そして可能性を存分に感じてください。
FBに作品を少しアップしたら、とても喜ばれたのでブログにもまとめておきましょう。
「熟成本枯節1本セット」 笑福侍威商店

「黄色のしあわせ」 鈴森隆弘

まるで本物。

「育てるバッグ」 りんごしょう
「Sea kite 」 James Cutter

「しだれ桜」 かのなつの。花弁は全部折り鶴!

「patchwork necklace」 Kirie.k.t
 
「風とおしのいいこい」 田中みさ子

「染み絵1」 水垣尚

大賞「犬」 三笠蓬菜

「薄手和紙を使用し、毛の色は胡粉子、軽量粘土と針金で組み、本体に和紙を張りハサミで切った毛を取り付けていき1年ほどかけて作ります」

「特徴は毛のすべてをハサミで切るということです」
なんという手間!毛の質感が見事です。

同じ作者の「鶏」

「鶏」アップ。リアルな羽に圧倒されます。

「なにか?」 鈴木美幸

上のネコとこのハシビロコウは表情が何とも言えない・・・

「蝶番紙利恩」 正本晶久

作者に驚かされた作品もありました。
「おかたづけ」 山本陽子
全盲の方が、使用済みの点字用紙を使って編まれたそうです。糊など全く使ってないそうです。

もうひとつ。作者にお会いしたいと思いました。
「葡萄と鳥」 垣内奈良次

「95歳のおじいちゃんがリハビリのつもりで始めたクイリング」と書いてあります!

毎年、毎年制作される方たちの、アイディアにびっくりさせられます。
「素材に『特種東海製紙』の紙を使う」ということだけが応募の条件らしいのですが、デザイナー、絵画教室講師、木版作家、それに学生などの専門家というよりも、会社員、主婦、自営業、ネイリスト、着付師、マッサージ業、教師など、ごく普通の暮らしをしているらしい方たちの作品がたくさん評価されていました。
職業としていない方々が、前頭葉から湧き上がるアイディアや内なる思いを、右脳を駆使しながら形にしていく過程を想像すると、楽しさが伝染してきそうです。
右脳が豊かな方たちの人生は、実に楽しいものだと思います!

1月の右脳訓練-県立美術館

2020年01月26日 | 私の右脳ライフ
友人の西村知子さんに誘われて、県立美術館「やなぎみわ展 神話機械」に行きました。
私の知らない世界でしたから、誘われなかったら知らないままの人生でした。
今回の「神話機械」というテーマから、展覧会の内容が想像がつくでしょうか?高専の学生さんたちが作り上げたロボットがひそやかに展示されていました。そして「時」が来ると、勝手に動き出すのです。もちろんアイディアはやなぎさん。
これは瓶が動いて音が出ます。

シャレコーベをアームがつかんで投げます。

このロボットは発する光を変えながら不思議な航跡で動きまわります。

熱心な観客がたくさん参加していました。
また会場にはこれまでの舞台を振り返る展示や写真作品などがありましたが、訴えるものが次々に浮かんでこられるのだろうと、芸術家の魂に触れた気がしました。
日本平近くに県立美術館はありますので、一度は行きたいと考えていた日本平夢テラスにも足を延ばしました。
さすが日本平!

隈研吾作。

カフェにはコーヒーはなし。静岡茶処アピールだからでしょうね。ほうじ茶ラテをいただきました。

東側に下ると清水。清水にも行きたいところがありました。ちびまる子ちゃん登場のお寿司屋さん(末廣寿司)。門構えからみるだけでも格式がありそう…確かにおじいちゃんの年金が消えちゃったというマンガの筋も納得できます。

門をくぐると、前庭から風情あります。

目をやると。

金魚も。

西村さんから、やなぎみわさんの展覧会を誘われて、私即決。
私が夢テラスと末廣寿司誘ったら、西村さん即決。こういうことは「論理(左脳)」でなく「感覚(右脳)」がパッパと決めているのです。
この辺りが一致しないと、交遊そのものが困難になるものです。
1月13日。日本平の早咲き桜。



国立近代美術館工芸館へお別れに

2020年01月23日 | 私の右脳ライフ
ネットを見ていたら、国立近代美術館工芸館が金沢に移転するニュースが飛び込んできました。10年以上も前に行った後しばらく行っていません。
宗雪さんの写真展「TOMSの会」鑑賞の戸畑高校同窓会女子会のメンバーに声をかけて一緒に訪れてみました。

建物自体が重要文化財。旧近衛師団司令部庁舎。
お別れ展覧会ですから、錚々たる作品が揃っていました。私でも知っている人間国宝作家の作品のオンパレード。
私は小学生の時から茶道(もちろんお遊び)を始め、30代40代のころは、結構練習に励みました。茶道は間口が広いので、焼き物、塗り物、布、様々な作品に出合うことを楽しみにしていた時代でもあります。
お茶碗を一つ見るだけでも、と美術館巡りもずいぶんしたものです。

近代美術館ですから、明治期からの作品です。
明治初期の超絶技巧といえば宮川香山。

3年前にも香山に出会ってます。
冬晴れの一日、美術館巡りー宮川香山展 
この時、作品にも驚かされましたが、社会体制が大きく変わり需要がひっ迫する中で明治期の作人たちが、いかに志を高く持って作品作りをし、世界に問いかけたかをちょっと誇らしくも感じました。

鈴木長吉「十二の鷹」
この作品は明治26年(1893年)に開催されたシカゴ万国博覧会に出品された全作品の中で最も高い評価を得た作品といわれています。
実際に鷹を飼って生態を観察したうえで、満を持して制作したという説明がありました。
明治期前半は、それまでに培っていた美術工芸の技術を、海外にどのように適合させていくかという時代だったと思います。
その後は、歴史に学ぶという流れが出てきたのですが、桃山時代の備前焼への回帰に成功した、備前焼中興の祖 金重陶陽の作品や、唐三彩に目を向けた石黒宗麿の作品など、大学時代に出会ったことがあるものがずらっと展示されていました。

松井康成 練上嘯裂文大壺「西遊記」こんなモダンな作品も。

私たちの世代では、輪島塗というと前大峰。きれいでした。

鹿児島寿蔵の紙塑人形。なんだか懐かしさがこみ上げてきました。

染色分野。ろうけつ染めの縦3m以上の大作。

型染の芹沢銈介作品。

今年1月3日、銀座線新渋谷駅の移設工事が終了し、使用が開始されました。
銀座線は昭和2年、アジア・オセアニア地域でも初めての地下鉄路線として開通したそうですが、90年くらい前のポスターが展示されていました。このポスターには確かに 「東洋唯一の地下鉄道」というキャッチコピーが使われています。
右からの横書きです。このことについてちょっと調べてみたことがありますから、興味ある方はご参考までに。

一つ一つ見るだけなのに、結構疲れます。
建物の中央部分2階はロビーのようになっています。

手前に、重厚な感じの椅子が備えられていました。

なんとこの椅子の作者は黒田辰秋。TOMSの会で、宗雪さんが京都進々堂の魅力的な椅子のことをお話しくださった、その椅子の作者と同じ。座れます!
千鳥ヶ淵を眺めながら麹町駅へ。

今日もまた、右脳活性化に励んだ楽しい一日でした。
後日談。
10日ほど後の新聞記事です。

なんとうれしいこと。体験があって解説されると理解が進みます。あれも納得、これも納得。そうそうその通りだった。と記事を読み進めました。
あの日の楽しさ、充実感が倍増しました。
黒田辰秋作の椅子はこちらの角度の方がよくわかりますね。椅子の左右は1階に降りる階段なのです。


二段階方式脳機能検査を実施している保健師さんへ

2020年01月21日 | エイジングライフ研究所から
脳の機能検査をしてあげることに抵抗は感じなくなってきましたか?
最初は、なんだか他人の能力、しかも脳機能を測るということに躊躇してしまう人はたくさんいます。
「テストはできることがいいことで、できないことは悪いこと」特に数値化できるものはその傾向が強いですね。この刷り込みは強固なものがあって、その考え方を改めてもらうのに時間がかかります。
(えさ場のヤマガラ。こっち向いてます!)

なぜ脳機能検査をするかという原点に立ち戻らなくてはいけません。
私たちが脳機能検査に重きを置くのは、生活を営んでいくときのベースになるものこそ脳機能だからです。生活のすべてを知ることはとてもできませんが、脳機能の状態を知れば、生活は見えてきます。
その意味で、脳機能に「問題がないこと」を知るよりも、「できないこと。問題があること」を知る方が、その人が生活するときに困らせないようにするには何を援助すればいいのかがクリアになります。
血圧や、肺活量、心臓の働き、血糖値など体の生化学的検査は正常値が望ましいわけです。ただ、考えてみれば問題がある方が次の対応につなげることができて「検査をしてよかったね」ということになるのに、似ています。
(あっち向いてホイ)

さて本題。
保健師さんから質問が来ました。
まずは、去年の夏前に妻が来所。2年前の長期入院や腰痛などをきっかけにして趣味や世話役などをやめていき「何か気になる」ということで相談にみえたそうです。二段階方式(脳機能検査、生活実態、直近の生活歴で総合判断)で「小ボケレベルに脳機能の老化が進んでいる」状態でしたから、保健師さんは「今やっていることは継続。やめた趣味の代わりのものを見つける必要性」をお話ししたそうです。
そして、半年後に二度目の二段階方式実施。数値的には「維持」という結果でしたが、各項目ごとに子細に検討してみたら、改善の傾向がみられることがわかり、電話のあちらとこちらで、ちょっと喜びました。
(みかんが大好きなメジロ)

その結果の説明に、御夫婦お揃いで見えたのですが、本来「小ボケレベル」の妻の付き添いで来ているはずなのに、夫からはむしろ妻に連れてこられた印象を受けたそうです。
そこで「脳のイキイキ度チェック(二段階方式)やりましょう」ということで検査をしました。
結果は、なんと小ボケレベル!一般的に行われるMMSは合格で、前頭葉機能だけが不合格。生活実態も、前頭葉機能がうまく動いていないという自覚がありました。
もちろん3年近く前になる妻の長期入院もマイナス要因だったでしょうが、それにプラスして、1年後にご本人の「双子の弟さん」が亡くなってしまったというエピソードがはっきりしました。
兄や姉との死別は、もちろんとても悲しいものですが時間とともに様々な形で受け入れていかれる方が多いと思います。弟や妹との死別はより深いショックを受けてしまう方がほとんどです。子どもを亡くしたらどんなにショックを受けてしまうか、生きる意欲をなくしてしまうこともよくわかりますよね。
この方は双子の弟さんですから…
脳機能という物差し② (ちょっと長いですが、読んでみてください)
そのことをきっかけにしただけではなかったかもしれませんが、不運にもたまたまゲートボールもなくなってしまい、区長さんも他の世話役もやめてしまい、ナイナイ尽くしの生活から抜け出すことができなくなってしまったというのです。
もちろんそこで生活指導に入っていったそうですが、ご夫婦ともに小ボケレベルということになると、ご家族の理解と協力がどうしても必要になるでしょうね。

前に書いたように二段階方式ではきちんと数値として「小ボケ」という状態を知ることができるのですが、前頭葉機能というのは「脳の司令塔」ですから、ここが元気を失っていると、注意を集中したり分配したりができませんからすぐ「上の空」状態になります。そうするとできるはずのことまでできなくなる、ということが起きてきます。
このご夫婦の名字の一部に「幡」の字があります。

記名時に書かれた字です。

よく見ないとわかりませんが、右のつくりは「番」の字です。その「番」の6画目と7画目がない!
このような時、脳の司令塔である前頭葉が力を発揮していないと考えるのが一番近道です(失書も一応検討したうえでの結論)。つまりボーとしてた、上の空になっていた。
ただし、自分の字だからこそ勝手に「このように書く」と変形させる人も無きにしも非ず。もちろん非常にまれですが。
検査をする側とすれば、最低でも「あれっ?」と疑問を投げかけて、どのように反応するかを確認しておく必要がありました。
そこで「ハッと気づいて訂正する」このケースが一番多いはずですよ。
「いや、うちではこう書くようになってる」というかもしれません。そうしたらいつでもどこでも、左右払いのない「番」の字でないといけません。
もちろん妻をはじめ家族みんな。
妻が検査を受けた時の記名時の字です。6画目と7画目の払いは両方ともありますね

今日は、おもしろい前頭葉機能低下の例をご紹介しました。
最後にとっても努力して撮ったメジロを見てください。
皆さんに「ほ~」といっていただきたくて、集中力を上げて持続力にもはっぱをかけて、私の前頭葉はちょっと頑張りました。(iPhone7)




「幸福な中年女性 認知症リスク減」

2020年01月17日 | エイジングライフ研究所から
「幸福な中年女性 認知症リスク減」というテーマは、2020.1.17の産経新聞記事の見出しです。
まず「中年」とはどのくらいの年齢層に対して使うのでしょうか?ウィキペディアで調べてみました。NHK放送文化研究所は中年は40歳からという扱い。2019年、内閣府が中高年層を対象にしたひきこもりの調査でも、40歳〜64歳を対象としていました。 65歳以上が「高齢者」のため、その直前までということで、結構高年齢が含まれています。
この記事では、1946年出生の女性を対象に50歳過ぎに第一段階の調査を実施し、2015年69歳時に第二段階の調査を行ったとの報告ですから、50歳から数年の方たちを対象に「中年女性」といっています。
(1/1。伊東市八幡野)

50歳くらいの「幸福な中年女性」をイメージしてみてください。
夫との関係も良好。子供がいるとしても、そろそろ子育ても終了。自分の時間を自由に使えるようになってきたころ。
未婚の場合も、仕事もある程度責任ある立場でしょうし、そのストレスはあっても「自分らしさ」を追求できる時期を迎えているころ。
本人も家族も健康に恵まれ、経済的にも困窮していない。このような条件も想像できますね。
(1/13。日本平)

そのような女性を対象に調査をしたというのです。
「50歳過ぎに新しいことに挑戦して、自己の成長を感じ、心理的な幸福度が高い女性は、69歳時点の認知機能が高い傾向があった」
どうですか?皆さんはとっても素直に「そうだなあ」と思ったことでしょう。
「50歳ごろに『自分のやりたいことを見つけて、幸せである』ということはやっぱり趣味がカギ。どんな楽しい趣味を見つけたのかしら。
短歌や俳句。縫物や編み物。手工芸品つくり。ダンスや体操。運動一般。歌や楽器。絵や写真。旅行や食べ歩き。観劇。ライブ。ガーデニング。料理やお菓子作り。語学だってあるかも。書道や華道や茶道でもスタートできるし。それにどんな趣味だったとしても交友関係が広がってくるはずで、毎日が楽しそう!
『ボランティア』かもしれない。ボランティアで必要とされることほど生きがいになることもないだろう。
資格取得のために勉強を始めたのかもしれない。
いずれにしてもその新しい生活を、楽しんでいるということは、確かに認知症予防になるに違いない。これって結構当たり前。というかこのような生活ぶりが大切ということは常識じゃない?
一方で、趣味や交遊や運動が認知症予防になるといわれてるけど、高齢になって新しく趣味や友人を見つけることは難しいし。中年で実現できていれば安泰でしょう」
(1/14。伊東市海洋公園)

詳細を書きましょう。研究したのは、東京都医学総合研究所。発表したのは英科学誌。調査対象は1946年に英国で出生した女性703人。20年にわたる縦断的な研究らしいです。
(1/15。1枚目の写真の半月後)

皆さんは、きっと驚かれたことでしょう。英国人を対象にした調査ということに。「日本人も英国人も同じなんだ」
そして、「そうだ、そうだ」と共感した後でちょっとした疑問も感じたかもしれません。「もっと長生きしたらどうなる?認知症ってそんなに簡単じゃないかもしれない」(1/15。上の桜のアップ)

日本人でも英国人でも、自分らしくイキイキとした生活が認知症を予防するのです。
「もっと長生きをしたら、どうなるかわからない」とちらっと心をよぎる疑問というか不安に対してもお答えしておきましょう。
「形を変えてもかまわないので、自分らしく人生を楽しむという視点を忘れないように毎日をくらし続けることが大切。それだけが認知症予防の道」
(1/14伊豆市旭滝のロウバイ)

このことを説明できるのは、脳の機能と認知症の正体の理解が必須になります。
私たちが生きるということは、あたかも三頭立ての馬車を走らせることと同じです。デジタル情報の処理を受け持つ左脳、アナログ情報の処理を受け持つ右脳、体を動かすことに特化している運動の脳。この3つの領域をうまく使いこなすのに必須な、三頭立て馬車の御者の役割をする前頭葉。
全部使い続けるのです!特に前頭葉は自分らしさの源でもあり、意識的に使い続ける大切さを知らなくてはいけません。

認知症の正体は、だれにでもある正常老化に、イキイキと使わないことによって起きる廃用性の機能低下がプラスされたものなのです。
前頭葉は、生活しているときにはいつもいつも、その場の判断、行動の決定、修正さらにはそのことの評価まで含めて目を光らせています。何か失意をひき起こすような出来事があったとしても、それに負けることなく自分らしく楽しくイキイキと生き続けること、三頭立ての馬車が走り続けることこそ認知症の予防です。





かくしゃくヒント37-TOMSの会

2020年01月12日 | かくしゃくヒント
私の出身校、戸畑高校の大先輩宗雪雅幸さんのご紹介です。

この写真展に、東京在住の同窓生女子会に平均年齢を上げながら参加して、東京まで行ってきました。メンバー変更のため第1回となっていますが、実質的には14回目なのです。
宗雪さんは日米貿易摩擦が大変な局面を迎えていたころ、富士写真フィルムの専務(その後、社長)を務められていたことは、伺っていました。今回もう少し詳しく知りたいと思ってネットで調べてみました。
アメリカのイーストマン・コダック社が「外国企業の参入を不公正な方法で阻んでいる」と富士写真フィルムを名指しで批判し、米国通商代表部に301条発動を求めて提訴という「事件」が起きたのが1995年5月。それに対し7月31日英文1000ページにも及ぶ「歴史の改竄」という反論書を提出しました。その陣頭指揮を執ったのが宗雪さんだったというのです。その後も積極的に意見主張を展開し、1998年1月には舞台を移したWTOで日本側の主張が全面的に認められて決着。HPを立ち上げる戦術も取り入れたり、それまでの対米戦術では例を見ない積極的な手法だったそうです。(ちなみに私の夫は、まさにその日米貿易摩擦で裁判にまでなった二輪車の案件を日本側勝訴に導きました)

TOMSの会。JCIIのホームページより抜粋。
日本のカメラ映像産業の生産・販売・技術革新・経営のトップとして常に業界を指導してきた、元キヤノン販売㈱社長・武本秀治、元㈱ニコン社長・小野茂夫、元富士フイルム㈱社長・宗雪雅幸のグループ写真展。一般財団法人 日本カメラ財団の役員であり、経団連写真同好会のメンバーでもある三人に、櫻井龍子さんを加えてその頭文字をとって「TOMSの会」と命名した。

武本さんは、毎年のテーマが「花火」です。瞬間のとらえ方が見事。色彩と構図のまとめ方がマジックのようです。
ちょうどいらっしゃった小野さん。「免許は返納したので、健康とボケ予防のためによく歩いているんです。そして目を引かれるものを写してます。去年は建物でしたが今年は祭りや雑踏での人々ですね」

1枚ずつ丁寧に説明してくださいました。

「浅草言問通りのお祭りで紙芝居をやってたのですが、終わりに演者が子供たちに質問すると、ほんとに素直に手を挙げたのですね。そうしたら感極まったように演者が泣き顔を見せて。心動かされました」なんと優しい・・・
Mr.OとMr.M

今回から参加なさった紅一点。
労働省女性局長から最高裁判事、そして去年から日本カメラ財団理事長をなさっている櫻井さん。

最高裁のお部屋からの四季の景色は圧巻でした。

窓外のかわいい雀にまで目を向けていらっしゃる感性が、うれしかったです。
さて、宗雪さん。

「やっぱりテーマがあった方がいいよね。今年は京都のパン屋さん。パンの消費量は、京都が一番、次が神戸。この2つは拮抗してるけど、ちょっと差があって岡山。
今は便利だからネットで調べておいて、京都まで行ってね。
この写真が評判がよかったんだよ。知る人ぞ知るまるき製パン所。どこもそうだけど間口が狭くて奥が深い」
「宇治のたま木亭。ここは日本一ともいわれてる。文字通り行列してるし、交通整理している人までいたんだよ」と丁寧に地図まで教えてくださって。

一番力が入ったのは「進々堂」これは私も知っていました。アンティークな机、椅子。あくまで静かな歴史を感じる、思索するための店。そんな言葉を目にしたことがあって一度は行きたいなと思っていた店です。
調べてみました。昭和5年創業。長テーブルと長椅子は、人間国宝の黒田辰秋作!
宗雪さんは京都大学ご卒業ですから、きっとお若いころにもいらっしゃったのでしょう。心を込めて説明してくださいました。

帰りに立ち寄った国立近代美術館工芸館、2階ロビーに置かれていた椅子がなんと黒田辰明作という偶然!
宗雪さんを「かくしゃくヒント」としてご紹介するには、ライフヒストリーをまとめて、全体を眺めてみるべきですが、今回はしていません。
ビジネスマンとして活躍なさるにあたっては、当然のことながら左脳と前頭葉の連係プレイはいかほどのものであったでしょうか!
またコダック社の301条提訴に対して、今までの日米交渉とは別次元のなすべき主張は堂々と主張するという対応は、「強い信念」なくしてはあり得ません。明確な価値基準を内に持っていらっしゃると思います。
ランチをごちそうになりながら伺った近江商人の話。蒲生氏郷に端を発する三方良しの考えを解説してくださいましたが、たぶん宗雪さんのお考えにも共通項がありそうでした。これぞ、宗雪さんの前頭葉です。

(国立近代美術館工芸館。元近衛師団司令部庁舎)
第一線を引かれて、名誉職に就かれる方は多いと思いますが、日本カメラ財団でも、ご自分の「やりたいこと」をなさった感じを受けますし、経団連写真同好会というのもいいじゃないですか。右脳なしでは写真作品はできません。
恵泉女学園の理事長もなさっていますが「この仕事は思いがけず楽しいよ。学生たちはよく話を聞いてくれるし、素直だよ。若くて元気がある」と以前に伺ったことがあります。
戸畑高校関東同窓会の幹事会の時お目にかかることが主でしたが、宗雪さんのご意見は「シンプルで前向き。柔軟で温かい。励ましが感じられる」というふうにいつも思っていました。
このエピソードも付け加えましょう。
「経堂(だったと思います)で評判の店のたい焼きが買えたから」と持ってきてくださったこともありました。その時の幹事会での何とも言えない座のなごみ方が忘れられません。
第一の人生で何をやったかということ以上に、第二の人生を生きるときにこういうふうに柔軟で、肯定的で楽しそうな生き方ができることを、私たちはかくしゃくへの道と信じています。前頭葉をはじめとして右脳を置き去りにせずフルに脳が使われているからです。

好奇心と意欲-iPhoneの交換に挑戦

2020年01月09日 | 前頭葉の働き
新年そうそうですが、iPhoneのバッテリーが不調になりました。
充電がたびたび必要になってきていたのですが、それにしても早い。玉石混交は承知の上でネット検索をしてみました。(今日の写真は1/6中伊豆ワイナリー)

いくつかの新情報ゲット。
1.バッテリーは500回充電すると、大体寿命が来る。
1日1回なら1年半と言うことになりますが、毎日しないこともあるし、大体2年くらいかという説明に納得しました。この機種に代わって2年3か月でした!
2.バッテリーの状態はiPhoneの「設定」から。簡単にチェックできる。
3.ドコモ店で交換してもらうと、データ移行ができない。量販店ならできる。
量販店で確認したら「うちではやっておりません」
その後訪れたドコモ店では「バッテリー交換はありません。器械本体に関してはアップルに相談していただきます」
つまり上の情報は、私の住んでいる地域では不正確でした。
4.電話相談した時に「最近の電池は性能がいいので、100%になっても通電し続けてもよい。ただしなるべく少なくなってから充電を始めた方がいい」と教えてもらってましたが、どうも違うらしいです。100%になったらなるべく通電をやめる。とか20-80%の間で使うようにとか各説あってここはまだ未確認です。

いずれにしても、ここにはアップルのお店がないのでドコモ店に行って相談するしかありません。
この際なので、iPhone11に変更するつもりで行きました。値段もチェックしましたとも。10万円を切るくらいです。
担当の方のお話「基本的にバッテリーの交換というのはしないのです。ケータイ補償がついていますから、もしiPhone7のままでよかったら車でいえば新古車のような新しいiPhoneをアップルから送ってもらえますが。費用は1万円くらいです」
「店頭展示品みたいなものですか?」
「そうではなくて、基盤は全く異常がないのに製造段階で外側に傷がついたようなものを入れ替えたものでだれも触っていませんよ」
「11にはホームボタンがないのですよね。私は7に慣れてるし。カメラの性能がいいところには惹かれますが」とネット予習のおかげで話が進みます。
結局1/10(なおかつポイントがたまっていたので実質は1/20)の取得費用にひかれてiPhone7に決定。翌日には我が家に郵送されてきました。

写真は晴れやかな富士山ですが、まだ試練は続くのです。初期設定をしていないパソコンはただの箱とよく言われますが、iPhoneだって同じこと。
ドコモ店は余りにもお客さんが多いので「データ読み込みは自分でやります」といってきましたから、さあがんばらなくては。
実はパソコンを初期設定したり初期化したりしたことが何度もあります。何もわからないままにマニュアルだけでやるのですからほんとに1日仕事でした。
ところが去年パソコンを買い替えた時の設定が、とても簡単でびっくりしました。「クラウドに保存」というのはもう表技なんですよね。
そして解説も便利に親切になってます。取扱説明書もあるのですが、その中にネットで、しかも動画で解説してくれるサイトの紹介がありました。

「用意周到」という働きは、当然前頭葉機能なのです。
IDやパスワードなどのチェックもしていましたし、クラウドの保存も万全を期するためにアップルの電話相談も受けていました。大体の手順はわかっているつもりでしたが、動画を見ながら実施していくのはとっても簡単でした。
機種が違うと、指定された項目に行きつく過程が画面と違う時があって、その時だけちょっと困りました。
旧電話機の初期化も成功、それをアップル返送用封筒に入れて一件落着。
「ちょっと大変でも、『ここはどんな意味だろうか』『次はどうなるか』と興味や好奇心がムクムク湧いてくる課題だと、意欲も途切れずやれるものですね。これって前頭葉の働きです」で大円団のはずだったのです。

冠雪の南アルプス。富士山の南に連なります。
1/4にドコモ店に行って、1/5に新電話機が到着、その日のうちに交換完了。
1/6に中伊豆ワイナリーに行きました。そこで事件発生!
アンテナ4本立ってるのに「モバイル通信」ができないのです。田舎ではWiFiが飛んでいないところはたくさんありますから、モバイル通信必須です。
「ネットワークにつながっていない」という無情の表示。
私の前頭葉は「昨日の交換過程でどこかでミスしたのではないか?、昨夜家で確認した限りでは、どのアプリも正常だったけど…WiFiでつながっていただけだったのか…」と反省モードに入りました。これも前頭葉機能。

帰宅途中、ドコモ店によって相談しようとしますが待ち時間が長く、再訪となりました。店員さんがアップルに相談するようにといわれたので、その夜、明日相談すべきこと、疑問点をまとめてみました。夜になったら無事につながっていましたので余計訳が分かりません。
「交換したばかりで、アンテナが4本なのに何故つながらないか。何もしないのにつながったのはなぜか?器械のせい?」
翌日、アップルによるその回答。
1.電波状況が不安定。(それにしても半日は長すぎるのでは)
2.SIMカードの問題。これに対してはドコモに交換を申し出る様にと。
3.現状は接続できているので、この状態では何かチェックすることはしない方がいい。
そして「iPhoneに圏外検索中と表示される場合」のページを紹介されました。自分でよく勉強しなさいということですね。
①サービスエリアの確認をして再起動。(再起動済み)
②キャリア設定のアップデートがないか確認。(アップデートの確認方法を調べて確認済み)
③SIMカードを取り外す。(初回のドコモ店で実施済み)
④ネットワーク設定をリセットする。(上記3のため実施できない)
⑤iPhoneをupdate。(必要なアップデートはなし)
⑥通信業者に連絡。*アカウントが有効、*サービス停止なし、*お使いのデバイスがモバイルデータ通信サービスを受けられないようにブロックされていないこと、適切なデータプランが設定されていることを確認します。(料金未払いはしていない)
これだけ、調査検討してからドコモ店に行ったので、実にスムーズに事は進みました。

経過をお話しすると、すぐにSIMカードを無償交換してくれ、説明もありました。
「何しろ精密機械なので、ちょっとした不都合はいつでも起こりうる。もし故障ならどうしても治らないが、今回のようによかったり悪かったりするのは、SIMカード接触不良が一番可能性が高い。カードに汚れがある場合もあるし、時間がたった基盤に不具合が出ることもある。何しろ精密機械なので交換のせいではない」と「精密機械」を強調されましたから、
「パソコンのパグみたいなものですか」と言ったらニコッと笑顔を返してくれました。
ネット情報でも、再起動のおすすめが多かったことを思い出し、「パソコンでも困ったときの再起動」というなあと、これだけ進歩していてもそのちょっとした不具合を防止できないことに逆に心動かされました。
不都合が起きた時に、ドコモの店員さんやアップルの相談員の方のように、その理由を切り分けて、原因項目を列挙することは、もしかしたらAIでもできるかもしれません。
今回、私の前頭葉ががんばったように、できないことをなぜなのか検討することそのものに興味を持って、次々に課題をこなしていくこと、解決していく喜びなどをAIも感じることができるのでしょうか?



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