脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

伊豆城ヶ崎海岸活性化委員会

2019年01月25日 | エイジングライフ研究所から
1月23日、「伊豆城ヶ崎海岸活性化委員会の発会式」がありました。
伊豆急富戸駅―城ヶ崎海岸駅ー伊豆高原駅に至る、ピクニカルコース・自然探索路の魅力のアピールが最大の目的と思います。発会式はニューヨークランプミュージアム&フラワーガーデンのまさにその魅力的な海を望む屋外で開かれました。


ほんとに他にはなかなかないような海岸沿いの遊歩道です。富士箱根伊豆国立公園内の特徴あふれる緑の木々の中を歩きながら目をやれば青い海。その海には大室山の溶岩が海に向かって流れ出て作られた、変化にとんだダイナミックな地形、大島・利島・新島・式根島等の伊豆七島のパノラマが繰り広げられます。
今回の委員会発足の理由は、その得難い自然のなかでのハイキングやダイビングを楽しむことで可能な健康増進が一つの柱。もう一つがこの海から揚がる地魚を中心とした食を楽しめる・・・温泉もあるし、種々の文化的施設にも恵まれている・・・委員の皆さんがこの魅力を再認識したから、といってもいいような気がします。
いとう漁協、伊豆海洋公園ダイビングセンターを中心に周辺の会社や店、個人等の皆さんが参画されています。
開会を待つ、「かんぽの宿 伊豆高原」のからのお二人。この柱状節理が魅力的。

挨拶をされる、いとう漁協 日吉さん。「僕らにとってあまりにも普通にあるこの海。でも、守らなければいけないし、多くの方に魅力を発信しなくてはもったいない」

伊東市 小野市長。「伊東市としても、城ヶ崎海岸の活性化に協力する」とおっしゃいました。地元の方々が先に動くということは、市長さんのお立場からだと、とっても嬉しい流れのはずですよね。

静岡県 土屋副知事。「ラグビーワールドカップやオリンピックで、伊豆を訪れる外国人が増加する。しっかり魅力を発信するように」
海から眺める城ヶ崎海岸の魅力を、関係者の皆さんに教えてくださったそうですね。

短い時間でしたが、海も空も微妙に変化し、もう満開かというほど咲き誇っている菜の花の香りが漂って、心身ともにリラックスできることを実感しました。

私にも、挨拶の指名がありました。
「食と健康といわれるのなら、健康に関しては体と脳の両方があることに気づいてください。ここでの時間は脳の健康にも大きく寄与できます。城ヶ崎海岸活性化の第一段階としては、ターゲットを若者や外国の方にしていいでしょう。

次のステップとして、高齢者の脳活性化の場としての可能性を考えていただきたい。なぜならここで運動し、おいしいものを食べて満足する時間を持つことは、脳のなかで最も大切な前頭葉を活性化します。そのことこそが認知症予防。城ヶ崎海岸で認知症予防ができるという観点も加味してください。認知症が予防できるとしたら、個人の幸せだけでなく、日本という国を救うことにもなるのです」
一言お願いしますといわれても、なかなか一言では・・・
原因不明といわれていている、アルツハイマー型認知症のメカニズムは以下の通りです。
1.脳には20歳代でピークを迎え年齢とともに機能を低下させる、正常老化という実態がある
2.大きなできごとや生活の変化をきっかけに、それに負けてしまって、生きがいも趣味も交遊もなく運動もしないナイナイ尽くしの生活に入ると、廃用性の機能低下による老化の加速が起きてしまい、小ボケ・中ボケ・大ボケと移行していく

老化を加速させないようにするには、その人らしい生き生きとした楽しい生活が必須です。(その場として城ヶ崎海岸の活用を提言したわけです)
もう少し詳しく説明するためには、いつもの三頭立ての馬車の図が登場します。

実は土屋副知事さんと少しお話ししましたが、
「いや~僕も最近来てましてね。忘れるんですよ」と開口一番おっしゃいました。そして破顔一笑。こんな認知症ってないんですよ、土屋副知事さん!
認知症の始まりは、前頭葉機能から異常な低下が始まりますから、その場に応じた、なおかつユーモアあふれた反応はとてもできなくなります。もちろん過不足のないピリッとしたご挨拶などはとても無理。(老人会の会長さんの挨拶が終わらないことで、小ボケが発見されることがあるくらいです)まあ、表情豊かで、回転のお早いこと。発想力も素晴らしいと思いました。
認知症の始まりは物忘れではなく、意欲がなくなりボーとしています。
発会式の後、ステンドグラスを楽しませていただきました。

たくさんのランプがありましたが、菜の花の印象が強く、黄色を選びました。

この伊豆城ヶ崎海岸活性化の試みが、うまく実を結びますように。
そして次のステップ、認知症予防の聖地として城ヶ崎海岸の存在がアピールできますように。
正確な情報を提供します。静岡新聞の記事です。






失語症の検査

2019年01月20日 | 左脳の働き・失語症

今年になって続けて失語症の質問がありました。
ずいぶん前の記事で、とても珍しいケースですが、再掲します。参考になるといいのですが。(初掲載は2010.1.26)

巷では、ある程度年をとった人たちがなかなか言葉が出てこなくて「あれが、ほら何して・・・」「この前のあれは・・・」「あの人とあそこに行って・・・」
代名詞ばかりのしゃべりになると「失語症になっちゃった」と言いますね。
そんなことは「度忘れ」とでも言えばいいことです。
失語症って、そんなに軽いものではありません。













とても丁寧に検査されたケースをご紹介します。
MMSは20点(減点は所・記銘・想起・命名・復唱・口頭命令でした)この減点の下位項目を見るだけで、失語症があることに気づかなければいけませんよ。
A4版白紙

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テスターの記録を転記します。相談者の答えを青字で書きます。
 
「今日の日付を教えてください」
「え?いつから言えばいいの?」
「今日の日付です」
「だからいつから?」
「今日は何日ですか?」
「10日」続けて、年・月以下もすべても正答


「ここは何県ですか?」
「わからないな。困ったなあ」と言いながら、出席カードを見て「福祉センター」と答える。その後「困ったな」と言いながら時間はかかったが正答できる。

記銘
「何?どういうこと?」再教示するも「何?みかんって言えばいいの?」
再再教示すると、「電車?電車に乗ってくるの?」

命名
鉛筆:「え?わからない。鉛筆の何て言えばいいの?」
時計:「なんだっけ?出てこないなあ」

復唱
「ちりって何?天気のこと?ちりもくばれば?」

口頭命令
「私、書けないよ」
「言われたとおりにやってみてください」と教示すると、言い終わる前に始めて半分に折って机上に置く

書字命令
すぐに読んで「眼を閉じるってどうするの?」と言いながら正答

文を書く
「私のことを書けばいいんだね?もうわからないんだから」といって書く

かなひろいテスト
練習問題を読んで「この話は知らない」
教示に対して「こんなのできないなあ。困ったなあ」と言い下を向いて固まってしまったために中止

質問するたびに「どういうこと?」「困ったなあ」「わからないなあ」「ごめんね」といった言葉が何度も出てくる。

伊豆高原の1月(これだけの厚さの氷は初めて)
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どうですか?丁寧に検査していることが伝わってきますね。
そして正確に検査状況を記録しようとしたことがわかります。
検査は、どのようにできないのかを知るところからはじまり、それはなぜなのだろうかと推理しなければいけません。
その前提が、テスターのこのような検査態度なのです。よく頑張りましたね、M守さん!

この相談者はことばの障害がありますが、どんな障害でしょうか。
『質問するたびに「どういうこと?」「困ったなあ」「わからないなあ」「ごめんね」といった言葉が何度も出てくる』
この記録がヒントです。
 

「聞こえるけれども理解できない」
「話せるけれども、的確には言えない」ですね。
失語症を大胆に分類してしまうと、情報が脳から出ていく方よりも、脳に入ってくる方が、強く障害されているということになります。マニュアルC95P参照してください。
感覚性失語症のパターンです。

伊豆高原の1月(路地のシンビジューム)
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二段階方式では、この検査の後生活実態を調べ、最近の生活歴も確認します。
同居のお嫁さんの申告では①②③⑤⑥に⑭が相当するということで「小ボケレベル」でした。
脳機能検査結果≠生活実態です。脳機能検査のほうが悪く、生活実態のほうがいい場合は、まず失語症を疑い次に側頭葉性健忘を疑います。
MMSの下位項目を見ても失語症。二段階方式の手技に沿っても失語症。
なぜこの言葉の障害が起きたのか?は、生活歴から聞き取っていくことになります。
病気はしなかったか。けがはしなかったか。
脳の障害は、そのほとんどがある日突然起きてきます。病気や事故がその原因です。
この人の場合は、まったくそのようなことがなかったのです!

徐々に言葉の障害が起きてきて、だんだんに悪化してきている・・・
これは変性疾患を疑うしかありません。
緩徐進行性失語(最近は原発性進行性失語ともいいます)と考えることになります。二段階方式では、このような場合は専門医療機関受診ということになっていますよね。このタイプの方には北海道岩見沢市でもお会いしました。

ところで、同居のお嫁さんの見事な観察もお伝えしておきましょう。
これが、入力障害を主とする失語症の生活実態です。
伊豆高原の1月(天気がいいと房総半島が見えます)

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・言葉のキャッチボールがうまくできなくて心配
・会話は成立しているように見えるが、相手から言われたことについては、いまひとつ理解できない様子
・言われたことが分からないという自覚があって会話も外出もしたがらない。
・またはしゃべる始めると一方的にしゃべり、しゃべり終わると席を立ってしまう。
・買い物を頼んでも、理解不十分のようなので地図を書いてあげると、ちゃんと買ってきてくれる。
・初詣で、毎年買う「金太郎飴」を買ってくるように頼んだら「飴って何?」と言ったが、夫が「神社の絵を描けばわかるだろう」と地図を描いたら、確かに金太郎飴を買ってきた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
お嫁さんに対する生活指導は、「あなたがアメリカにいると仮定して、あなたが困らないように相手からしてもらいたいように、お母さんにしてあげるのが大原則です」                  
伊豆高原の1月(ロウバイ)
 













「一番困るのがペラペラとしゃべられること」
「はっきりと表情やジェスチャーをつけて会話すること」
「言葉でなく、実物を示してあげること」
「左脳がうまく働かない失語の状態は治せませんが、脳の老化はなるべく先送りにしなくてはいけません。脳リハビリは右脳と運動の脳が主役ですから、この二つはいつも使うように気をつけましょう」
「あなたがアメリカにいても楽しめるものは、お母さんも楽しめます」
「音楽・絵・花・景色・買い物・手芸・知ってるゲーム・・・」

こんなエピソードも報告しておきましょう。M守さんの記録です。
ジグソーパズルをとても楽しそうに50ピースのものでもあっという間に完成させてしまう。
「孫とよくやる」「色で探していくといいね」
絵を見て「かわいいね」と言いながら迷うことなくはめ込んでいく。

これが左脳がうまく機能できなくなった、けれども右脳が機能している人の生活実態です。


側頭葉性健忘症Q&A

2019年01月14日 | 側頭葉性健忘症

側頭葉性健忘症の家族の方から質問がありました。(このブログ右欄カテゴリーの「側頭葉性健忘」にも目を通してください〉
「その場その場ではとても適切で感情豊かな対応ができるのですが、そのやり取りなど新しい記憶が入っていかないのです」という側頭葉性健忘の説明に対して、家族の方から質問がありました
1.「すべて忘れているわけでもありません。覚えていることはしっかり覚えていて驚かされるほどです」
2.「時々忘れていたことを思い出すこともあります。朝はわからないのに夕方には思い出すことができることがありました」
河津正月桜。1/11にもう満開。

私の説明です。
「All or nothingというわけにはいきません。側頭葉性健忘症は『ざるで水をすくうように』記憶がとどまることなしに出ていってしまうという表現をよく使います。
それはざるの目よりも大きい記憶が残ることもあるという意味でもあります。ただ、何が大きな記憶になるかというと、それはわかりません」
下田市爪木崎水仙まつり。1/11

「むしろ、何が残るのかを詳細に観察してみると、一定の決まりがあるのかもわかりません。見つかるとおぼえこむ方策が一つ見つかったことになります。ただ私はそのようなことを今まで聞いたことはありません。つまりないのかもわかりません…」
黄水仙

「2も同様で『そういうこともある』という事実があるだけだと思います。この件についても1と同様に、詳細で緻密な観察の結果、何かがわかるかもしれませんが、その機序の解明はかなり難しいと思います」
伊東市松川湖畔の蠟梅。1/12

「分かったことを一緒に喜んであげることは、感情の交流という点でとてもいいと思いますが、そうしさえすれば、改善に直接つながるというふうに考えることは問題があります。脳の器質的な問題はそんなに簡単なものではありませんから。
『記憶が入らない』という事実にどのように対処するか、つまり、記録することを習慣化する方が患者さんのお役に立つと思います」だいたい以上のようにお話ししました。
その後、質問者から
「ざるで水をすくう。なるほどわかりやすい」という返信が届きました。よかった!
お正月用の鉢植えボタン。松江市大根島から届きました。

忘れてはならないことは前頭葉機能が万全だということが、側頭葉性健忘症の必要条件ということです。
記憶障害によって失敗を繰り返しいやな気分にさいなまれたり、またその時の周りの人の「また失敗して!」という言葉や態度によって、側頭葉性健忘症の方が自信を無くして、生活から積極性や好奇心をなくして行くことは容易に想像できます。その結果イキイキさや楽しみがない単調な生活になってしまうこともまた。
そのような生活は脳の老化を加速させます(廃用性機能低下)。その時最初に低下が起きてくるのは、前頭葉機能です。
記憶障害がすでにありますから、あっという間に中ボケレベルになってしまうのです。
前頭葉機能が発揮される環境を保証してあげることで、記憶障害を抱えたままでもその人らしい生活の保証ができることになります。そのためには当人も家族も大変ですが、認知症が進んでも本当に疲れます。そのことを思えば、がんばれるのではないかと思います。


「左脳がダメージを受け右マヒの後遺症が」友人のメール

2019年01月08日 | 左脳の働き・失語症

この年末年始にたくさんの日の出の写真をいただきました。あまりにも見事ですからご紹介します。
山梨七面山のご来光(M笠T子さん撮影)

写真だけ飛び込んでくるわけではありません。
友人からメールが来ました。「知り合いの方が脳梗塞なんです」でも、これだけの情報では何も言えません…
次の知らせを待っていました。
四国石鎚山系寒風山(K藤T司さん撮影)

お見舞いに行った様子のメールが来ました。青字がメール、私の類推は黒字で書きました
「車いすに座って」→下肢にマヒがある。
「けっこう、表情がある」→障害が思ったより軽いか?右脳はダメージを受けてないはず。
「右半身マヒ」→左脳障害がはっきりした。
「小さい声が出せる」→小さい声しか出せない?左脳に損傷があるので後遺症として十分考えられる
「話に対し必ずウンウンと相槌」→理解できているかどうかは不明。元来穏やかな、人の話に耳を傾けるタイプ?
「笑顔もある」→上記の穏やかな人柄を、さらに支持できそう。
「時々ため息も」→病状が安定してきて、現状の理解もできるようになったため暗澹たる思いに駆られている可能性もある。

熱海から(海からの日の出。写真サイズが小さくて失礼します)

私からの返信メールの要約です。
「失語症の状態がどのようなものか?足にマヒがあるので入力に問題があることが普通だが、その程度を知る必要がある。聞くことと読むことではどちらが良いか?単語と文章ではどうか?ハイ、イイエで答えられる質問でどのくらいコミュニケーションがとれるか?実物や絵とかイラストの理解はどこまでできるか?
出力も細かく見る必要がある。
言葉はコミュニケーションの道具だから、どのような能力があるのかをまず理解すべき。ということはむしろできないことにより注目することを意味する。
入力障害を持つ人とのコミュニケーションは、難しいことが多い。
左脳の障害は、たとえ言葉が思い通りに出なくても、感情が損なわれるわけではないので、感情の交流は十分に可能なので、ちょっと気が楽な面もある」

脳障害の解説①左脳が障害されても「目は口ほどにものを言い」

熱海から南下、伊東市北部からの日の出はまだ大島にかかりません。(T橋T里さん撮影)

二度目の面会の様子も知らせてくれました。
「満面の笑みで『お母さん』と。『お母さん元気ですか』といってくれたと思う」→そうかもしれないし、「○○さん」といいたいのに「お母さん」となったのかもしれない。
「言葉のオウム返しができる」→単語なのか文なのか。それがとどまることなく続くことはないか。
「懐かしい歌を覚えてる」→これは当然。「歌」を担当する右脳の損傷はないのだから。リハビリのヒント!
「看護師さんから笑顔は最高といわれている」→右脳の健全さと病前性格の良さ、対人親和性の高さなどを意味しているのだろう。
伊東市南部伊豆高原の我が家からだと、初日の出は大島の左岸の方から明るくなります。

10分足らずのスペクタクルショー!太陽が出てしまう前の方が、色彩は見事ですね。

伊豆高原でも少し高いところだと。高橋チヨミさん撮影。

メールでやり取りをしながら、隔靴掻痒(靴の上から足を掻く。じれったいの意味)の思いに駆られました。
これだけのやり取りでは、まだ失語症のパタンすら見えてきません。どこの能力があるのか(どの能力が損なわれたか)を知らなければ、リハビリの方向が決まりません・・・
失語症の理解のために、以前のこの記事をあげておきますので理解の手助けにしてください。

感覚性失語症の体験ーアナと雪の女王から

プロレベルの写真もお正月のプレゼントに。城ヶ崎海岸カフェ&コテージ JGarden からの初日の出(I井Y彦さん撮影)






 


あけましておめでとうございます

2019年01月04日 | 画像だけにたよらない


今年の年賀状(友人用)は、2018年6月のハワイ島マウナケア山頂でのサンライズ写真を使いました。考えてみたらマウナケアは環太平洋の最高峰ですから、この時私たちは、その日の一番早い朝日を見たということになりますね…

四国の友人K藤T司さんからは、こんな素敵なサンライズ写真が届きました。愛媛高知県境、石鎚山系寒風山からの日の出。

顔を出すや否や樹氷を輝かせる朝日。言葉も出すに夢中でシャッターを切り続けたとコメントがありました。

雲海の向こうからの日の出。つまりその先は太平洋ということですね。

こんなに見事な景色も見せていただきました。

K藤さんとは、奥様と知り合ったご縁が先でしたが、もう50年近く前にお知り合いになりました。それから福井県に転勤されたときには「越前ガニを食べにいらっしゃい!」というお誘いに、子供二人連れて即参上したり、東京に遊びに来ていただいたり。四国の実家に帰られた後にも、お邪魔しましたね。
最近はFBという便利なもので、お互いの動静がよくわかります。
直近の写真を紹介しましょう。初登山の記事でした。石鎚山頂神社へ初詣ということですがなんという雪の中!これでも去年よりも雪は少ないとか。


さて今日のテーマです。
こんな見事な写真を見せていただきましたからお礼コメントを送りました。
「ブログをお知らせくださってありがとうございました。たくさん写真を拝見しました。四国の山々もきれいですね!
山登りをしている戸畑高校の同級生がいます。ここからK藤さんのページを見てくれたらいいのですが」
お返事です。
ありがとうございます。頭も体も元気で山登りが続けられるように頑張りたいと思います。ちなみに、昨年、頭のMRI検査結果では『特に悪いところはありません。しかし、申し上げにくいのですが、年相応に脳の萎縮は進んでいます』・・と言われました」

『萎縮』は平常心で受け止められましたか?『脳梗塞がココとココに〇〇個あります』と言われることもよくありますよ。
その時、患者サイドとしての発言はこれですからね。

『年相応に脳にもシワ(萎縮)やシミ(梗塞巣)ができたってことですね。見た目と同じように、脳の見た目も歳とったんですね。それで、私の脳の働きには問題があると言うことでしょうか?(こんなにイキイキ生活してるんだから問題ないですよね!)』
形より働きが大切です!」
お返事
「 『顔にもお腹にもシワが入るんだから、脳だってそうだろうな』と思いました。(その通り!)ただ、働きも低下しているのも事実ですね!」

「歳相応にね」とごく簡単にお返ししました。追加で話させてください。

この画像は、去年NHKテレビ「チコちゃんに叱られる」で使われたものです。
右側が、私たちエイジングライフ研究所のデータで「前頭葉機能(なかでも、意欲、注意集中力や分配力)は20歳前後をピークに低下していく」という事実を表しています。ちなみに左側のグラフはハーバード大学のもので言語能力(単語量)は50歳までは能力を高めていくが、その後はやはり減少していくということを表しています。
つまり、脳の能力といえども加齢の影響を見事に受けるということです。
下の図もみてください。

歳とともに脳の力も老化していくことは紛れもない事実ですが、歳をとった人が全部ボケてしまうわけではないこともまた真実です。正常な老化の先に認知症はありません。
「人生の大きなできごとや生活の大きな変化をきっかけに、それに負けてしまって「ナイナイ尽くしの生活が継続された」時に、老化が加速されてしまい認知症の道へ進んでしまうのです。

私たちは脳を使いながら生活していくのですが、それはちょうど三頭立ての馬車が進んでいくようなものです。
デジタルな情報処理、つまり仕事や勉強を担当する左脳。
体を動かす運動脳。
アナログな情報処理、つまり趣味や遊びを担当する右脳。
どれほど馬の能力が高くても、馬車を上手に動かすためには御者、前頭葉が不可欠です。そして前頭葉こそが自分が自分らしく生きるかどうかのカギを握っています。
K藤さん。
登山を楽しむためには体を鍛えておかなくていけないでしょうし、天気予報も地図も検討されるでしょう。
景色を楽しみ、花をめで、またそれを写真にも撮り、発表の場所もある。お仲間もたくさんいらっしゃるようですね。
K藤さんの馬車は機嫌よく疾走している感じです。若いときほど早くなく、若い時ほど無理ができない…でもそれをコントロールするのが前頭葉ですから。これからも三頭立ての馬車がK藤さんらしく走り続けられますように。
この樹氷の写真もすてきでした。

機能に問題がない(今まで通りの生活が楽しくできている)のなら、器質を調べる(MRIやCTなどの検査をする)必要はありませんから。医療費を押し上げます(笑)
繰り返しますが「機能」には誰にでも正常老化があるので、無駄な心配はしないこと!一般的にいって、正常老化であるかどうかは「意欲があるかどうか」、「自分が自分らしく生きているかどうか」が目安になると思います。

 


 

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