脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

脳機能は悪いのに生活実態はいい

2008年10月30日 | 左脳の働き・失語症

M保健師さんからの相談ファックスです。
「脳外科通院中だが、妻が心配している」
妻の訴えは
  ①ボーとしていて『わからない』とすぐにいう。
    ②日中は一人でいたり、ジムに行っても黙々とこなすだけ。
    ③自分から話をすることは少ない。
  ④寝ることが多い。
  ⑤食事の後片付け、洗濯物をたたむことはやってくれる。
    ⑥薬も自分で飲む。
    ⑦日常生活の介助はまったく不要。


日光東照宮Photo の陽明門

①から④までは小ボケの症状ですね。
小ボケの人が必ず『わからない』というわけではありません。投げやりな感じの人も多くいます。ちょっと場に合わないこととを口走ったりもしますね。
⑤と⑥は中ボケ後半ではないという意味があります。
⑦は大ボケを否定しています。
脳機能検査結果(MMS)は以下のとおりです。
成績、テスターが心中思うべきことの順に書いてあります。
時の見当識=0、オヤオヤ大ボケになるのかな。生活実態とのずれの原因は何?
所の見当識=1、フムフム時に連動してる
記銘=3、MMSは7点以上はありそう
計算=0、納得
想起=0、納得
命名=0、ナニナニ!これは何が起きてるの?MMSは2点以下ということじゃない!
復唱=1、復唱ができるならMMS=6以上。命名は出来てるはずなのに・・・
口頭命令=1、ウーン、珍しい反応だこと。
書字命令=1、これに合格するなら、命名は出来ているはずなのに・・・
文を書く=0、出来ないことはおかしくないが、このボーとした感じはどこから来るの?
模写=1、ナニナニ!出来なくて当たり前なのに!立方体透視図は描けるかしら?
結局MMSは8点ということになりました。
日光の滝 華厳の滝・龍頭の滝・湯滝Photo_2Photo_4 Photo_7




前頭葉テスト結果は
立方体透視図は可。それどころかさっと上手に描く。それなのに、
語想起もかなひろいテストもまったくできない。という状態でした。
脳機能検査結果は、かなひろいテスト不合格MMS=8で大ボケ状態ということになりました。
A4版用紙の使い方Img

図形の模写に関しては、わざわざ「すぐに描けた」という注釈が付いていました。そのくらいスムーズに描けたのでしょう。
日付は「妻の指示でやっと書くが『わからん』を繰り返す」という注釈付き。
検査の最中は、点数だけでなく、アンテナを精一杯立てて、被検査者を理解しようとする姿勢を忘れてはいけません。M保健師さんが、見落とさないようにと張り詰めている感じが、この短い注釈からよく伝わってきます。
A4版用紙の使い方からは、全体的にきちんとしている印象が強く感じられますね。

ブログがリッチテキストに変換できなくなりましたので、以下は続きで。


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