よみびとしらず。

あいどんのう。

亀と月

2017-05-27 11:22:52 | 散文(ぶん)
まるいお月さまに恋をした亀がいた。どうしても一緒になりたいと一所懸命亀が願うと、お月さまのかけらが亀のいる池までぼちゃんと落ちてきた。「こんなにもわたくしのことを想ってくださる方がいらっしゃるなんて。どうか幸せにしてくださいませね」お月さまのかけらはつつましい表情と声色でそう言ったが、亀はこれを拒否した。「ボクが恋しく思うのはあの空でまんまるく輝く豊潤なお月さまであって、そんな貧相な体つきのお前じ . . . 本文を読む