よみびとしらず。

あいどんのう。

サン

2019-07-31 17:54:39 | 詩(イラスト付)
苦しさになんとはなしに見てみれば見られることすら叶わぬこの身の燃えいづることの悲しみよそれすら糧となりいまなお燃ゆる絶えぬともしびに水は届かぬただ夜だけがつつみこむしばしの別れのち 日はまた昇る苦しみぬいた先のいのちに 私は生まれた私は燃える 灼熱の太陽 . . . 本文を読む

水のなか

2019-07-29 11:58:04 | 散文
水の恵みのこの土地で 癒しを与える水酌み交わそうとも 潤いはとどまるためしなく この身は渇いていくばかり 水の恵みに癒されず ただ嘆くばかりの自分を怨んだ 憎しみに溺れたからだに水は砂漠へと成り果てて 嘆く言葉すら喉元とおらず 助けをよぶことも能(あた)わず人魚は叫ぶ 声にならない声色で その声に魅せられた龍神は涙を落とした 龍の涙は雨となり 風と雷はふたりの会瀬を妨げる ふたつのなかに架け橋か . . . 本文を読む

TIME

2019-07-27 10:10:40 | 散文
駆け上がって駆け上がって 舞い降りたのは空の底 目の前にひろがる逆さまの世界は 雲のうえと雲のした いない君をさがしまわり巡りまわってそれでも果たせずに 君の名前をよぶ声は飛び回って叫び上がって そうやって織りなした蜘蛛の糸は重なりあった よぶ声はよばれた声に いないあなたの正体もつかめぬまま あてもなく 途方にくれてさ迷った さがす自分の名前さえも あいまいになったのは海の底 たどり着い . . . 本文を読む

空と水

2019-07-25 19:20:00 | 詩(イラスト付)
空にとけた水水にとけた空掬い上げようとした両手は冷たい水にさらされてそのゆらめきがうつしだしたのはいつかあの空にうかんだ影法師真夏日の空へとのばした手のひらは水をつかんだ懐かしいあなたのほほえみに わたしの心は救われたそれなのにあなたの顔(かんばせ)はうかばれず眉間にシワよせてばかりの現実にあなたに笑顔が花ひらきますように水あびて育てよ 空高く愛しいあなたにほほえみを ただそれだけですくわれた . . . 本文を読む

たま

2019-07-23 09:41:42 | 散文
あたたかな日溜まりに抱かれて ただ晴れやかな気持ちになりたいだけだった それが叶うこそすら望まずに にこやかな顔面を掬(すく)い上げる場所 祈りすらいらない 木洩れ日ゆれる 愛のことだま . . . 本文を読む

HERO

2019-07-22 00:44:56 | 散文
泥にまみれて泥をはきだし それでも諦めきれない 正義の味方がいることを いつかは どこかで 誰かが 誰かを 救われたがり屋は世に蔓延(はびこ)りて それで自分は報われたものだと思い違う その誤りをただすヒーローは望まずに わたしの一番やわらかな心の奥にいる 素直な自分をただ守りたがるのは 歪んだ世界に立ち向かいたいと願う 間違いだらけのわたしはHERO 本当は、間違っていることは知って . . . 本文を読む

コインランドリー

2019-07-19 18:21:42 | 散文
コインランドリーの洗濯機は 残り時間36分とかかれていても たいていは36分以上かかっている それをふまえてよゆうをみても わたしにはよゆうが足りないらしく 迎えにいっても「マダ アト 6分 カカリマス」 ずれた時間ぶんだけどこかをただよう コインランドリーの時間の海に わたしの洗濯物たちは流されて 洗濯曹のなかからはるか彼方の大冒険へ 行き着いた島で清らかな魔法をかけられた洋服たちは 逆戻りの渦 . . . 本文を読む

紫雲

2019-07-17 12:07:36 | 散文
むらさき色の雲にのって きっと迎えにいくとあなたは告げた みなは云うそれは吉兆の証だと 羨望の眼差しに流されるなかれと誰かがいった 確かにいわれた 誰かも知らぬ大切なあなたから なにが吉兆かは自分で決めると ほえたわたしは神様からは切り離された 放たれた土地にひとり立ち にらんだ空の色は茜色にそまる 薄明を越えて 新しいわたしはあなたを見つける あさぼらけ . . . 本文を読む

はれ

2019-07-15 18:38:48 | 散文
明らかな曇り空を指さして彼はたたえた 今日はよく晴れた良い一日であると げんじつの空は雲ばかりだと伝えるも やかましい私が晴れというからには晴れなのだと 満面の笑みで主張するその顔は太陽のごとく その輝きに目がくらんだわたしは瞳をとじた ふたたびひらいた世界にみえるのは明らかな曇り空 今日はよく晴れた良い一日であると 口にする勇気のないわたしはくちびるを噛みしめる 嘘いつわりなき素直なこころは 嘘 . . . 本文を読む