よみびとしらず。

あいどんのう。

TODAY

2021-09-30 00:03:41 | 散文
本日というのは果たしていつの話かと昨日から顔を覗かせた月に問いかけたいつだって大切なことばかりを置いてけぼりにしてようやく辿り着いた私がいまいるこの場所はあの空の向こう側とは全く異なる乖離した呼吸の紡ぎ方今日の居場所は此処彼処から決して定まることのない定点となり流浪する明日は立ち止まったまま今日となりわたしは三日前に未来を保存したその様な時間の中にある瞬く光の一雫(ひとしずく)からあなたに今日とい . . . 本文を読む

かえん

2021-09-28 11:09:21 | 散文
愛は買えんよ御馳走は買えん徳は買えんよ健康は買えん身長は買えんよお金は買えんよ夢は買えんよお月様は買えんよ幸せは買えん買えん買えんと剥き出しにされたわたし達の欲は炎にのまれ自らも火の粉を撒き散らかした常(とこ)しえにもっともっと燃えろと灰と化すまで本当はすべて要らないただひとつ命の燃え尽きるまで . . . 本文を読む

ツキ

2021-09-27 08:36:42 | 散文
あなたのままではいられないのと毎夜その姿をかえて言葉を隠したのみ込んだ思いに身体を染めれば新月の夜はやってくるようやくからっぽになった空から再び光の支配は舞い降りてきらきらと月明かりは感情を偽るまた明るい夜から涙を流し遠くのわたしは海に入(い)るいまのままではいられないのとあなたは変わらぬ微笑みで月は罪を重ねて繰り返し生きたそんなお月さまに背を向けたわたしは後ろの正面に立つキミを待つ明るい夜のゆう . . . 本文を読む

たいよう

2021-09-26 13:00:44 | 散文
その?にはなんの意味もないよとかざした手のひらの上であなたは笑った陰ひなたなくわたしの熱は内側にこもったままの姿であなたを追いかけたそのひとすじの暗闇の向こう側で向日葵は咲いた秋空のしたに枯れ落ちた花びらは風に舞い土に待つ冬の訪れの糧にならんとあなたの熱は少しずつ遠ざかりいつまでもわたしを焦がしているあたたかな光の何もかもを受け入れて海の底に太陽の熱は届かずにいる薄紅はただ切なくて静かな海からこの . . . 本文を読む

ラックメイズ

2021-09-25 13:08:29 | 散文
言葉を追いかけて追いかけて追いかけては足りなくて答えは単純明快の誰もが知っているそのひと言が後生辿り着けなくて導き出せずに本当は知っているその言葉から追いかけるふりをして逃避した沢山の欠片を足元に残してその先に辿るべき誰かの道標となる此方ではない道を当てもなくつやつやと先陣を切るあなたの姿にほのかに香るは光の残骸辿るべき言葉はそっちじゃないよと不確かな蛍はずっとささやいていた肯綮(こうけい)に中( . . . 本文を読む

Heat

2021-09-24 10:44:45 | 散文
月の裏側から眺めた世界はどこに青い星があるかも分からず月の裏側を知らぬわたしたちはその場所に桃源郷を見出していたどこかにあるはずの幸せを互いの位置からは手の届かないわたしの眼前に昇るお月さまとはまるで正反対の居場所から月の裏側はワタシを眺めて笑ってルかんらかんらとまるで他人事のようなオモテウラ表裏一体はにじんで割れて後ろの正面を見つめていはくわたしたちはその熱に満ちていた  . . . 本文を読む

続カタマリ

2021-09-23 14:52:13 | 散文
このカタマリは泣いて海と同化して泡となる私の在り方などまるで無視してカタマリは歌をうたい朗らかに私達から産まれたこの感情が乗らない様に私はグッと堪えて朝を迎えるいつか掴まえるべき明日に手を伸ばしその指先から震える熱は誰かのカタマリにそっと触れた刹那にパッと火花散るそれはまるで落雷の如くに恐ろしいものとカタマリは私から距離をとり私を見つめる私はカタマリひとつを吐き出して海の記憶もとうに忘れた私とカタ . . . 本文を読む

カタマリ

2021-09-22 14:16:11 | 散文
吐き出したカタマリにこの感情が乗らない様にグッと息をこらえて息をのむそこに現れたカタマリはなんて私からは乖離(かいり)した私の思いからはほど遠いもの透明なカタマリは風に乗り海を目指してとにかく駆けた誰よりも愛おしい私に贖(あがな)うとカタマリは何も知らずに海を迎えたその海の青さに私の瞳は涙に満ちて知らず知らずのうちに海と同じ様でこのカタマリは泣いていた . . . 本文を読む

キリン

2021-09-21 11:27:37 | 散文
どうしてあんなにも生きにくい姿かたちでどこまでも生き抜きサバンナを歩く寝ても覚めても目にうつるのは空の青さと目の前に生い茂るみどりの光誰も手が届かない場所を目指して進化したそれはそれはとても生きにくい姿かたちでそれでも諦めることだけはしなかった眠ることさえ蔑ろにしてわたしはいまあなたを愛して眠りに入り夢のなかにうつる姿は嘘偽りの無い真のかたちあなたはいついかなる時であろうとも生きる歓びに満ちていた . . . 本文を読む

静かな夜の幸せ

2021-09-20 12:36:44 | 散文
静かな夜の幸せにあなたの歌声は聴こえずに静かな夜の幸せにわたしの手のひらは届かないそれでもあなたはそのぬくもりを知っていて静かな夜は幸せのうちに過ぎていく波の音とも葉の揺らぎともまるで異なるひとり寝の夜に身体は熱いと素直に鳴いてあなたはわたしの夢をみたその瞬間に全てを忘れた何ひとつつんざくことのないなんて静かな幸せの夜 . . . 本文を読む

掌の音

2021-09-19 11:59:40 | 散文
耳を置き去りにした芳一にあらずともわたしの耳を両手(もろて)で防いだ透明な掌から響いた声は置き去りにされた耳にのみ届いてその美しさにわたしは泣いた 熱をもつ透明な氷さえも感情を持ち  時はけたたましく朝を迎えたかしわ手ひとつの音も無し . . . 本文を読む

積み木

2021-09-17 12:50:06 | 散文
罪を着て嘘を重ねて積み上げられて生まれたいまに衣は風に揺れあなたは踊るただ崩れ落ちる時を待ちわびているそんな顔をしてなんて嘘が下手くそなあなたの内側にある心に触れた積み木は震えて崩れるなかれ水に揺らいだ心はひとつなにもまとわずにそこに産まれて罪を着た嘘を重ねてわたしはいまにつながる欠片を積み上げている . . . 本文を読む

タイム

2021-09-15 02:40:56 | 散文
昨日またひとつと会えない時間は積み重なって今日より明日と再会を託してわたしの祈りは続いていくこの靄(もや)のなかに残された希望ひとつは光と呼ぶにはあまりに儚くそこにただ在ると願うことだけが全てであった自由であるはずもないわたしたちは舟に乗りひとりまたひとりと約束を忘れていまを長らえた遠くまでやってきて未だ掌の上に立つその手のくるりとひっくり返るさまを見てもう此処にはなにもないのだと眠りについた行き . . . 本文を読む

water

2021-09-14 11:13:48 | 散文
雨の日に  水に酔ひ外は快晴 空すみわたる青色の陽射しと同じ色したあなたの匂いに包まれたその冷たい衝動にぼんやりとしたわたしは目を醒まし此処は何処だか曖昧模糊のまま清らかな水に渡らされた遠くにあって手を伸ばしたなら姿なくとけこんだ透明な在処にあなたは棲んだその水を飲み込んだわたしの腹は鳴りなにかが足りない空を見る . . . 本文を読む

NO NAME

2021-09-13 12:07:32 | 散文
名前を与えられて安心する毎日にたとえそれが偽物の名前であったとて名前を持たないはみ出し者ではいたくないとみんなひとりぼっちの仲間たち痛くないことだけをたよりに居たくない場所からは視線を外したすべては大きな口のうえごくんと飲み込まれる度に空から落ちてわたしたちはいつもわたしの名前を探している本当の名前を呼ぶ声に耳をすませば雑音となったかつてのわたしとおんなじように欲望はわたしたちを取り巻いて夜を連れ . . . 本文を読む