或るひとつの記録

昔と違い、最近は完全に子供のために生きています。

村上春樹『羊をめぐる冒険』( 上)

2007年02月07日 20時40分53秒 | Weblog
始まりの三部作の三作目。
野間文芸新人賞受賞作品。

去年の野間文芸新人賞は中原昌也の『名も無き孤児たちの墓』だったわけだが、あんなのとは比較にならないほどの名作。
一応買ってちらっと読んだけど、中原昌也とは合わん。
だからこのブログにも載せてやらん。



三作目ぐらいで芥川賞を受賞するのがベストなタイミングだけど、この作品は長編。
長編純文学は芥川賞の選考対象外なのだ。


かつて芥川龍之介は三度、長編の執筆を試みたことがある。
しかし、その三作品は全て未完に終わっている。

菊池寛が友人芥川の功績を讃え、賞を創設したときに、長編を対象外としたのは当然のことであった。


この作品以降、村上春樹は約三年に一度のペースで長編を発表し、その合間に短編を書き、翻訳をする、独自の創作スタイルを貫くことになる。



これにより、文壇は彼に芥川賞を授賞する機を完全に逸してしまう。