5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

北京行き夜行寝台

2018-02-21 21:52:23 |  旅行・地域

延安はどこら辺かと地図本を出して拡げた。帝国書院のワールドアトラス。黄土高原を流れる黄河の西、自分が行ったことのある西安から北へ300キロにあたる位置。万里の長城にも近いようだ。黄土高原や長城に沿って東に1000キロ進めば北京に着ける。

久しぶりに地図を覗いたのは、中日夕刊の「世界の街海外レポート」で北京特派員氏がこの延安のはなしを書いていたからだ。題は「昔と変わらぬ寝台車」だ。

特派員氏は出張でこの延安を訪れたらしい。ところが降雪の所為で北京に戻る飛行機が二日続けて欠航になった。空路がだめなら陸路があるわというわけで、延安駅から寝台車に乘った。

料金は350元。6000円で1000キロを寝ながら走るのだから安いといえそうだ。二段ベッドの個室スタイル。彼は学生の時に中国国鉄寝台を利用したことがあるらしく、寝台車は25年前と同じ。中国人のおしゃべり付きというのも同じだという。

巡回の乗務員に「寝る時はドアにカギをかけて。財布やスマホをテーブルに置いたままだと盗まれるから気を付けよ」と云われ、サービスは25年前よりも少し向上したと特派員氏。

アジアの寝台車はどこもよく似たものらしい。自分は中国の寝台車は知らないが、チェンマイからバンコクまでタイ国鉄の寝台車に揺られたことがある。これも二段ベッドの個室、タイ人たちのおしゃべり付きというのもそっくりだ。

途中駅から乗り込んでくる物売りたちをからかいながら夜食を買うのも夜汽車の楽しみだった。ドリアンを安く買って仲間といっしょに頬張ったのも今は懐かしい思い出になっている。

列車の振動がズンズンとベッドに伝わってくる。心地よい揺れとは云いかねるが、どこか懐かしいと特派員氏が書いている。中国国鉄もタイ国鉄も広軌だから日本国鉄の狭軌寝台より揺れが少ない気がするのだがどうだろう。

眠りに落ちて7時間後、地平線を昇る太陽の光で眼が覚めたとある。黄土高原を下って河北省の平地を走る。車窓はかつてどこかで見たような光景だというが、中国の平原地帯はどこにいっても似た光景が続くだろう。この寝台列車、結構なスピードで北京に着いたようだ。いかにも現代中国らしい。

「少し名残惜しい気持ちで列車を降りた」とこの短文は終わっているが、長距離寝台列車の旅には飛行機旅や超高速電車にはない特別な旅情を感じるものである。ひょっとすると日本ではもう感じられないものになったのかもしれない。

 


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