四谷三丁目すし処のがみ・毎日のおしながき

冬から春が旬である貝がそろそろ終盤、初鰹・鰈・鱸・鯵など夏の魚が出てきました。

4月12日(金)

2024-04-12 17:24:52 | 4/1~4/30


野上啓三インスタグラムsushi43nogami2←こちらに変更しました。
すべての魚・貝、天然ものです。
◇営業時間について◇火曜~土曜17:30~21:55※ラストオーダー(酒類・酒類以外全て)21:25まで
日曜お子さんデーは11:30~17:30です。※日曜はお子様の日です
店には月曜(+第一日曜日)以外10:30~営業終了+aおりますのでお気軽にご連絡ください!03-3356-0170
※レストラン予約代行サービス『オートリザーブ』でのご予約は日付・時間帯にかかわらず受け付けておりません。
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おかみノート
主人の実家はお寿司屋さん。私はなんにも知らないドシロウト。
今まで見たり聞いたり体験した 寿司屋のいろんなことを書いておきたいと思います。

『大根の役割』
タコと一緒に煮ている大根は、おいしそうだった。
火にかけた大きな雪平鍋の中でタコ一匹と輪切りにした大根が煮えてゆくのを見つめていた。
タイマーの合図で引き上げられたタコは、主人の手で首からSカンに引っ掛けられ、もうもうと湯気を立てている。
私は逸る気持ちを抑えきれずに訊いた。
「あのさ、これ食べていいんだよね?」
吊るしたタコの足を一本ずつ切り取っている主人が私の方を見ないで返事をした。
「大根?別にいいけど。でも旨くないよ」
「えっ、ウソ!」
「タコを軟らかく、おいしく煮るために入れてるんだから。それに醤油が濃いし、番茶も入ってるし」
いいや、それでも私は食べる。だってタコ飯って料理もあるし絶対にタコの旨みが滲みこんでいるはずだから。鍋を覗き込み、醤油色の大根を菜箸でつまみ出した。ひとくち食べた途端、口の中にアクと渋みが拡がった。おいしいとは言えない。ちょっとショックだった。
「でも、そのぶん凄く旨くなったよ、ほら」
硬くてお客様にお出しできない、タコの吸水管の部分を食べさせてもらった。滋味深い味である。
あらためて、プロの仕事とはこういうことなのだなと思った。

『菱井桁(ひしいげた)』
出刃包丁をえんぴつのように握り、笹で鶴や亀を作る主人の技はすごいと思った。
「ちょっと、こんなにできるなら笑点に出られるんじゃない?」
私が言うと主人は
「板前なら修行時代に習うことなの」
とまな板に向かいながら言った。
「でもね、鶴とか亀はかんたんなの。複雑なかたちのほうが良いか悪いかあまり見分けがつかないから。いちばん難しいのはシンプルな直線もの。俺はいまだに “菱井桁” を成功したことがない」
「ひしいげた?何それ、菱型の変形みたいなやつ?」
「うん、まぁ、そうね。俺が小僧のころから新聞紙や広告のチラシを使って、どれだけ練習してもこれだけは、まだできないんだ」
主人はそれだけ言うと、切り終えた鶴や亀を乾かないように水を張ったタッパーに入れた。おそるべし “菱井桁”。
ものすごい負けず嫌いの主人がいまだに成功したことがないものがあるなんて・・。
いつか完成したそれを見てみたいと思った。

明日は『チチカエル』『愛のビンタ』です
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◎赤貝の仕込み 動画アップしました(5分03秒)
◎シャリ酢あわせ 動画アップしました(1分50秒)
◎かんぴょうを煮る動画アップしました(7分30秒)
◎玉子焼き動画アップしました(6分53秒)
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1dayアーカイブ2023年~2001年4月12日のおしながき[2023年][2022年]
[2021年]野上啓三が見ている豊洲市場の風景 寿司屋の七十二候
[清明・第十三候・玄鳥至つばめきたる ]4/5~4/9

・富山 射水 白エビ 今、豊洲
・淡路島 アズキハタ 今、店
・東京利島 アカイカ 今、豊洲
・青森 大間 ビン入りムラサキウニ 今、店

・千葉富津 キス 今、店
・木の芽の鉢 今、店
[2020年]新型コロナウイルス感染の影響を鑑み、4/5(日)~4/12(日)まで休業致しました。
[2019年][2018年][2017年][2016年]


[2014年]
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[2013年]4/12(金)、店主腰痛のため休業させていただきました。



 

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[2012年]ホッキ貝’12 4/9→4/19 リニューアル工事でした。



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[2011年]

 

001 三重・安乗(あのり)の宝彩(ほうさい)海老が初荷だったそうです。



解説シートのようなものを主人は仲買さんからもらってきました。



海老を獲る細い刺し網の“細い”が訛って“宝彩(ほうさい)”になったとか。知りませんでした!

 

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左から長崎のコハダ、江戸前のナカズミ、イカゲソの上は兵庫のままかりです。



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[2010年]朝、築地での仕入れが終わりバイクで四谷三丁目に向かうところです。



荷物は前と後ろに振り分けて運びます。カゴの一番上にはフーセンと呼ばれる海水と活けの魚が入った袋が置かれています。魚はヒラメやカレイ、アイナメ、ソイ、ホウボウ、オコゼなどで、回遊魚のように激しく泳がず底の方で漂っていることが出来るものが適しているようです。フーセンは、その日のバランスで後ろの荷台に積む場合もあるとのことです。



魚以外にもフーセンで仕入れてくるものは、おもに・ボタンエビ ・シマエビ ・タコ ・ヤリイカなどです。

イカはヤリイカ以外にも持ってこれそうだと思うのですが主人によりますと、

◎スルメイカ=ほとんど活けで出ていない 出ていたら仕入れる可能性有り 

◎シロイカ、アカイカ=活けで出ているのを一度も見たことがない

◎スミイカ=活けで出ているが水中に墨を吐かれたら仕込みが想像を絶するほど大変になる

◎アオリイカ=活けで出ているが、お客様の前でさばくには時間が掛かり、かえってご迷惑になる 

などの事情で築地で泳いでいるものを締めてもらってくるのだそうです。その場合はビニール袋にイカと酸素だけを充填してもらうのだとか。その方がベストなコンディションという場合もあり、泳がすか、締めるか、その都度決めるのだそうです。タコも似たような判断になるとのことです。

稀にスミイカを活けで仕入れるのですが、その時は「絶対に…墨を吐かないでくれ…」と夕方までドキドキしっぱなしの主人です。

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[2009年]トリ貝を貝殻から取り出してさばく時、主人はかなり気を遣います。トリ貝らしい“黒色”は、指で強く持ったりざらざらしたまな板に触ったりなど、少しの摩擦でも剥がれてしまうからです。身の下の白色が所々出てしまっては、味は同じでも商品価値に微妙に差がつきます。ですので、なるべくつるつるした場所で仕込みます。まな板の上にラップを敷くか、ガラスの上か。

当店ではトリ貝の仕込み用にガラスのまな板を作りました。




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