もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

190329 イチロー引退に泣いたゴードン、感謝広告「愛してるよ」 ※やっぱりすごいこと

2019年03月29日 22時38分08秒 | 時代の記憶
3月29日(金):     シアトル・タイムズ紙に掲載された広告

朝日デジタルイチロー引退に泣いたゴードン、感謝広告「愛してるよ」
2019年3月29日08時13分

 大リーグ、マリナーズのディー・ゴードン内野手(30)が28日付の地元紙「シアトル・タイムズ」に、21日に行われた今季開幕第2戦(東京ドーム)で、イチロー選手と抱擁した写真を大きく使った全面広告を掲載した。「THANK YOU, ICHIRO.」の見出しで、引退を表明したイチロー選手への惜別の思いをつづった。ゴードン内野手は、イチロー選手とマーリンズ時代からのチームメート。21日の試合でイチロー選手が交代する際には、二塁の定位置でその姿を見つめながら、涙を流した。
 大リーグでは、球団を去る選手が地元紙に広告を載せて、ファンにメッセージを送る習慣がある。ダルビッシュ有投手も2017年、レンジャーズからドジャースに移籍する際、テキサス州の地元紙に感謝の広告を載せた。ただ、引退する選手に対し、別の選手が惜別の広告を出すのは異例。
 メッセージ全文は以下の通り。

親愛なるイチローへ
 まず最初に。私の素晴らしい友達で、今でも一番好きな選手でいてくれてありがとう。
 私が野球を始める前、「自分みたいに痩せた選手がいるんだ。だったら自分も出来るはず!」と思いながら、あなたを見ていたことを覚えています。あなたは、私が野球を始めるきっかけを作ってくれました。
 あなたは、エイボン・パーク(米フロリダ州、ゴードン選手の出身地)に住む少年のアイドルでした。野球のテレビゲームの選手に、あなたにちなんだ名前をつけたこともありました。
 (16歳だった)2004年、ヒューストンで開催された球宴で初めてあなたと会いました。午後3時ごろ、父とグラウンドに出たら、あなたはすでにウォームアップをしていましたね。球宴なのにですよ!? そんな選手、あなた以外にいませんでした。
 パワーヒッター全盛期のなか、あなたは自身の信念、そしてなにより、あなたを作り上げた文化に忠実でした。他の選手より、身体が小さくても、なんだって出来る! あなたは、そう教えてくれました。
 そして2012年。ドジャース(ゴードン選手が過去に所属)がシアトルに遠征したときのこと。私は遊撃のポジションから、あなたの動きをずっと見ていました。あなたの通算安打の積み上げにも貢献しましたよね。あなたに夢中になって守備に集中できなかったのです(ドジャースのみなさん、ごめんなさい。でもイチローだもん。わかるよね?)。
 翌日、あなたはヤンキースに移籍してしまいました。ショックでした。でも2015年、私がマーリンズに加入すると、数日後、あなたもやってきたのです!
 興奮しました。「イチローと一緒に野球ができるなんて、マジかよ? 俺が?」と。あなたに会いたくて、ジュピター(フロリダ州、マーリンズの春季キャンプ地)に予定より早く向かいました。あなたにドキドキしながらあいさつすると、「君の助けになるよ」と言ってくれましたよね。うれしかったです。「オレは“イチ”と一緒にプレーしたんだぜ! エイボン・パーク出身のオレがだよ??」。私の自慢です。
 この5年、あなたの存在が私にとってどれだけ大きかったのか、みんな分かっていません。イチ。これまで、私の人生にはうれしいこと悲しいこと……いろいろなことがありました。でも、あなたの友情はまったく揺らがなかった。いつだって私のそばにいてくれた。私が不当な扱いを受けたときだってね。
 あなたへお礼を伝えるのに、ツイッターやインスタグラムは適していないと思いました。だから、わたしはこういう形(新聞広告)であなたへの気持ちを表現しました。あなたの友情、教えがなかったら、そしてあなたが“秘密”を教えてくれなかったら(誰にも言わないよ)、ディー・ゴードンという首位打者はいなかった。いまのディー・ゴードンは存在しません。
 愛しているよ、ブラザー! あなたはいつまでも、私の人生の一部です。これからもオフの日は、私と一緒に打撃練習をしてくださいね。それが出来なくなることは、さびしいから。あなたを頼ることが出来なくなることも。
あなたのブラザー
ディー・ゴードン(シアトル=井上翔太)
     ◇
"Dear Ichiro,

First off, I want to say thank you for being a great friend to me and being my favorite player to this day.

Before I made the decision to play baseball, I remember looking at you and thinking to myself, 'Damn, bruh skinny like me, so if he could do it, I most definitely can, too!' You made me want to play baseball. I idolized you as a kid in Avon Park. We even named a player after you in an old video game that came out before I was born.

I met you in 2004 in Houston at the All-Star Game. I remember walking across the field with my dad around 3 p.m., and you were already there stretching and getting ready -- at the All-Star Game! No one does that!

It seemed like everyone else was huge and hit homers, but you stayed true to yourself, your work, your process, and, most importantly, your culture. You showed me that I could do anything and everything I could possibly want to do in this game, even when literally everyone is twice as big as us.

Then, here comes 2012. The Dodgers are in Seattle playing you guys. I'm standing at shortstop watching every move you make, and I end up adding to your hit total. I got caught up paying more attention to watching you hit than actually playing defense! (Sorry, Dodgers, but that's Ichiro, you know?)

The next day, you were traded to the Yankees before I could even talk to you about hitting. I was crushed, but then came 2015. I had just been traded to Miami, and a few days later, you signed there!

Now I'm jumping up and down, yelling to my best friend, 'YO!!! I get to play with Ichi-bruh?! Like, are you serious? Me? No way!' I remember going to Jupiter early, just hoping you were there so I could watch you hit and run. When you finally arrived, I nervously walked over to you and, bro, you were so nice to me. You told me you would help me in any way possible. I swear, it hit me hard. To this day, I be saying, 'Yo! I play with Ichi!? How? I'm from little Avon Park!'

People don't know how much you've helped me over these last five years, Ichi. We both know I've had good times, bad times, ups and downs, but your friendship never wavered once. You always stuck by my side through anything, and always had my back. If I was wronged, you would stick up for me every time, even if it hurt you getting on the field.

I didn't think a tweet or Instagram post was appropriate for the occasion, so I wanted to do it the right way and tell you how much I appreciate you as loudly as possible. Without your friendship and guidance -- and if you never told me your secrets (don't worry, bro, I'll never tell!) -- there wouldn't be a batting champion named Dee Gordon.

Love you, bro! You're a part of my life forever. I hope you enjoy retirement. You better come hit with me on off-days because I'm definitely gonna to miss that -- and miss having you around to lean on.

Your brother,

DeVaris."
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8 049-2 橋本健二「新・日本の階級社会」(講談社現代新書:2018)ブックレビュー

2019年03月25日 22時11分09秒 | 時代の記憶
3月25日(月):  

レビュー野中幸広:『新・日本の階級社会』(著:橋本 健二)
日本は5段階の階級社会に! 下層階級は900万人、衝撃の貧困率38.7%
  
2018.03.19

「格差」という言葉はたとえ差(=溝)があってもチャンスとやる気があれば埋められるかもしれない……そう思わせる雰囲気も漂わせていましたが、もはやそれは幻になっています。「格差」は単に経済的な差だけではありません。全社会的な差であり、疾病率を考慮に入れれば人間的な生活、生存自体の差となっています。

「持てる者」は総じて教育機会、就業機会(地位の相続などを含めて)、健康機会等に恵まれており「ますます持てる者」という優遇(?)の連鎖の中に置かれ、「持たざる者」は真逆の劣悪の連鎖に置かれています。この圧倒的な違いを「乗り越え可能」なようにも聞こえてしまう「格差」という言葉で語っては問題点が見えにくくなってしまいます。

著者がいうように、日本の社会には明らかに「階級社会」となっています。かつて一億総中流という言葉が喧伝されました。そこには当時の世論調査のミスリードだった部分もあったようですが、それはともあれ今では見る影もありません。この本はSSM調査データの精緻な分析に基づいて今の日本でどのような階級が生まれ、固定化されているのかを解き明かしています。さらに加えて、その階級に属する人々はどのような生活意識、政治志向を持っているのかを追究したのがこの本です。

ここで「階級が生まれた」というのは、古典的な階級概念ではとらえられない、新たな階級が出現したからです。

著者によれば日本には5つの階級が存在します。
1.資本家階級(経営者・役員)254万人、就業人口の4.1%。平均世帯年収男性1070万円、女性1039万円。平均資産総額4863万円(金融資産2312万円)。
2.新中間階級(被雇用の管理職・専門職・上級事務職)1285万人。就業人口の20.6%。平均世帯年収男性804万円、女性788万円。平均資産2353万円(持ち家がない人は935万円)。
3.正規労働者階級(被雇用の単純事務職・販売職・サービス職・その他マニュアル労働者)2192万人、就業人口の35.1%。平均世帯年収男性569万円、女性687万円。平均資産総額1428万円(持ち家がない人は406万円)。貧困率2.6%。
4.旧中間階級806万人、就業人口の12.9%。平均世帯年収587万円。平均資産総額2917万円。貧困率17.2%。
5.アンダークラス(非正規労働者)929万人、就業人口の14.9%。平均世帯年収343万円。平均資産総額1119万円(持ち家がない人は315万円)。貧困率38.7%。

主だった階級の特徴を本書より引いてみました。一読して日本の社会構成、社会意識がどのようになっているかがわかります。(本の中では女性に特化して分析した章もあります)

SSM調査データを駆使して日本の実態を浮き上がらせたところは目を奪われますが、この本の素晴らしいところは、さらに踏み込んで格差是正を阻む原因を探り出し、是正への具体的な提案を出しているところです。

格差是正を阻む、格差の存在を認めない、あるいは肯定する考え方が存在します。その最たるものが「自己責任論」です。著者が「格差社会の克服を妨げる強力なイデオロギー」と呼ぶ「自己責任論」は1990年代後半の「金融ビッグバン」の頃にいわれるようになったものです。

 その文脈は、金融機関に対する相次ぐ金融緩和によって、リスクの高い多種多様な金融商品が出回るようになったが、損失を出す可能性があるから、これらを買って資産運用するのは「自己責任」で、というものだった。

もともとは投資できる資産を「持つ者」への注意喚起であり、ある種、金融機関のアリバイであったといってもいいでしょう。この文脈のように「運用するだけの資産があって、その運用のしかたをみずから決定したならば、その結果を引き受けるのは当然」でしょう。しかしその後、この言葉の使われ方が大きく変わっていきます。2004年に中東地域で起きた人質事件でも「自己責任」という言葉がいわれました。後者の場合はまったく「持つ者」ではありません。この時には言葉の意味が拡大、変容され、批難めいたものになっていました。個人に責任を負わせるべきという意味合いで使われました。さらにその後のイスラム国での人質殺害事件でもこの使われ方をされました。

現在の「自己責任論」はその延長線上です。自己責任というものを問われる(押し付けられる)者への想像力は少しもありません。リスクを前にしての覚悟・決心だった自己責任は、リスクのない(少ない)者からの「上から目線的」なものいいになっていったのです。無くなったのは「社会的責任」というものでした。

今や自己責任論はその強制的なものいいもあいまって「かなりの浸透力をもっており、貧困に陥った人々自身が自己責任論に縛られ、声を発しにくい」状態を作り出しています。今の自己責任論について重要な指摘がされています。

1.自己責任を問われるのは、自分に選択する余地があり、またその選択と結果の間に明確な因果関係がある場合に限られるべき。
2.自己責任論は、貧困を生みやすい社会のしくみと、このような社会のしくみを作り出し、また放置してきた人々を免罪しようとするものである。


「本来は責任をとるべき人々を責任から解放し、これを責任のない人々に押しつける」理屈(論理)になっているのです。

また、「努力した人が報われる社会」という論理にも欺瞞が潜んでいます。耳障りのいいこの論理は、著者がいうように「努力した人」と「高所得者」を同一視しています。考えてみれば努力=成功(高所得)という単純なものであるはずがありません。努力の結果が必ずしも成功に結びつくものではありません。「成功した人が成功しなかった人以上に努力したと断言できるはずもない」のです。

「努力した人が報われるべきだ」という主張しているのはほとんどがスタートラインにいる人ではありません。成功というゴールに着いた人が振り返っていっていることが多いのです。しかも金融資産だけでなく教育資産を含めて家業として前世代からさまざまな社会的資本を相続している人も散見します。「努力が報われる」ということが「社会的公正」であるなら、努力自体の果実は社会が「公平」に努力者に報いるべきなのではないでしょうか。

 ごく一般的にいえば、「努力した人が報われる」ことが必要であることはいうまでもない。だから非正規労働者としてはたらくアンダークラスの努力は、報われる必要がある。しかし「低所得者」=「努力しなかった人」という想定の下では、彼ら・彼女らが報われることはない。ここでは「努力した人が報われる社会」というスローガンが、単に格差を正当化するためのイデオロギーとなっているのである。

このような階級社会・日本でどのような政治意識・社会意識が生まれているのでしょうか。この本で「排外主義、軍備拡張に対する意識、格差に対する意識、そして支持政党」についての意識・考え方と所属階級との関係が詳述されています。ここからは「階級構造の複雑化」や「自己責任論の悪しき浸透化」によってさまざまな意識が生まれていることを浮き彫りにしています。学ばされることの多い指摘であふれています。

「格差拡大」「階級の成立」は社会の持っているダイナミズムを失わせます。格差拡大の弊害が詳説されています。じっくり考えてみる必要がある箇所です。格差正当化の言説に惑わされることなく「格差縮小」「より平等な社会」を目指さなければ社会の活力は失われていきます。この本の最終章では「格差縮小」「より平等な社会」のための提言が、「賃金格差の縮小」「所得の再分配」「所得格差を生む原因の解消」等にわたって説得力のある議論が記されています。

「格差縮小」がどのようにして可能なのか……。著者のいう「非階級社会」の実現、そのための変革の主体はどこにあるのか……それが最後の問いです。この本に一貫して貫かれている著者の誠実な分析と追究、ここからは学ぶことがたくさんあります。現代日本を考えるための基本・必読書だと思います。
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8 049 橋本健二「新・日本の階級社会」(講談社現代新書:2018)感想 特5

2019年03月25日 21時59分15秒 | 一日一冊読書開始
3月25日(月):  

305ページ      所要時間5:30       ブックオフ66円

著者59歳(1959生まれ)。石川県。東京大学教育学部卒業、同大学大学院博士課程単位取得退学。早稲田大学人間科学学術院教授(社会学)。専門は理論社会学。

【目次】「格差社会」から「新しい階級社会」へ───序に変えて /第一章 分解した中流 /第二章 現代日本の階級構造 /第三章 アンダークラスと新しい階級社会構造 /第四章 階級は固定化しているか /第五章 女たちの階級社会 /第六章 格差をめぐる対立の構造 /第七章 より平等な社会を /参考文献

久しぶりに自分の世界を観る目を根本的に変えてくれる本に出合った。タダ同然の値段で、最新情報満載の本書を手に入れ、その内容の豊かさに目を奪われた。

正直に言うが、俺は、自分が考えていることが最も正しく良識的であると思っている。しかし、たとえ裏側に大変な不正があるにせよ「どうしてアベ・アソウのインチキ政治がこんなに続くのか。一体日本の社会のどういう連中がどう感じ、考えて支持してるのか」と訳が分からなくなっていた。「俺の方がおかしいのか?」とまで考えるようになりそうだった。

本書の壮大でトータルな日本社会分析の内容を、すべて理解することはできないし、ましてや適切に紹介することはとても俺の手にあまって不可能だ。しかし、「本書は基本的に、現代日本では格差は容認できないほど大きくなっており、格差を縮小させ、より平等な社会を実現することが必要だという認識に立っている。(250ページ)」とする本書の基本的問題設定が正しくて、その問題解決に向けて、日本社会に生きる五つの階級、①資本家階級、②新中間階級、③労働者階級、④旧中間階級、そして奴隷的な⑤アンダークラスに分けて、実にきめ細かく分析、どういう生活状態なのか、その中でどんなことを考えて生きているのかなど特質についてわかりやすく記述が行われている。さらに、その配偶者としての女性についても別に独自の章を設けて分析、記述してくれている。

俺は初めて、立場によって多様な考え方にならざるを得ない人間の存在を知らしめられた。日本社会の奥行きを見る目が大幅に広がった。自分にとって当り前のことが、一部の人間にとって当り前でないことが理解できた。今の日本社会の姿と課題が手に取るようによく見えてきた。

もちろん本書の著者は「分析のための分析」をしている訳ではなく、<格差>が<階級>になってしまいつつある現状に対する危機感から、もう少し日本社会の危機的状態を見える化して、格差・階級の弊害が人々の人権を脅かさない程度の改善と是正によって非階級社会を目指しているのだ。著者は無階級社会を目指す(社会主義)革命で、格差・階級を全否定しようとしている訳では決してない。改善・是正による非階級社会を求めているのだ。

読んでいて、今までの自分の無知さ、見方のあまさ、うかつさに気づかされた。本書は、ちょっと過激(?)とも思えるレベルで<正義の味方>の本なのである。

今回本書を読んでみて、初めて俺は自分自身の現代日本社会での<思想的立ち位置(座標)>を確認できた気がする。同時に、その立ち位置は決して子供じみた非常識な立ち位置ではなく、極めてまともなものであることも確認できた。さらにその立ち位置(座標)と親和性の高い政治勢力とその政策実現の可能性も知ることができた。社民党支持者の俺は「3つに分類された新中間層のなかの<リベラル派>」であり、ドンピシャの政党が立憲民主党であるらしい。
もし格差社会の克服を一致点とする政党や政治勢力の連合体が形成されるなら、その支持基盤となりうる階級・グループは既に存在していると言っていいだろう。アンダークラス、パート主婦、専業主婦、旧中間階級、そして新中間階級と正規労働者のなかのリベラル派である。これらの、一見すると多様で雑多な人々を、格差社会の克服という一点で結集する政治勢力こそが求められるのである。そのような政党が登場すれば、これらの人々の政党支持は激変する可能性がある。その可能性の一端は、2017年10月の衆議院選挙での立憲民主党の躍進にあらわれたといっていいだろう。略。格差社会の克服という一点で、弱者とリベラル派を結集する政治勢力。格差社会の克服は、したがって日本社会の未来は、ここにかかっているのである。(301~302ページ)」
ただし、老婆心ながら俺から指摘させてもらうが、立憲民主党が、格差容認・自己責任論・軍備重視の前原誠司の属する国民民主党と安易な妥協、合流をすれば、たちまちのうちに大きな失望を呼び、その支持の相当部分を失う!。ってことは自民党の対抗勢力にはなれないのだ!ということになるのを覚悟すべきだ。

誰か、本書のことを立憲民主党代表の枝野さんか福山さんに伝えてくれないかな・・・。

【内容紹介】かつて日本には、「一億総中流」といわれた時代がありました。高度成長の恩恵で、日本は国民のほとんどが豊かな暮らしを送る格差の小さい社会だとみなされていました。しかし、それも今や昔。最新の社会調査によれば1980年前後、新自由主義の台頭とともに始まった格差拡大は、いまやどのような「神話」によっても糊塗できない厳然たる事実となり、ついにはその「負の遺産」は世代を超えて固定化し、日本社会は「階級社会」へ変貌を遂げたのです。
900万人を超える、非正規労働者から成る階級以下の階層(アンダークラス)が誕生。男性は人口の3割が貧困から家庭を持つことができず、またひとり親世帯(約9割が母子世帯)に限った貧困率は50・8%にも達しています。日本にはすでに、膨大な貧困層が形成されているのです。
人々はこうした格差の存在をはっきりと感じ、豊かな人々は豊かさを、貧しい人々は貧しさをそれぞれに自覚しながら日々を送っています。現在は「そこそこ上」の生活を享受できている中間層も、現在の地位を維持するのさえも難しく、その子供は「階層転落」の脅威に常にさらされている。この40年間の政府の無策により、現代日本は、金持ち以外には非常に生きるのが困難な、恐るべき社会になったのです。
官庁等の統計の他、さまざまな社会調査データ、なかでもSSM(「社会階層と社会移動全国調査」)調査データと、2016年首都圏調査データを中心にしたデータを基に、衝撃の現実が暴き出されてゆきます。
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190325 一年前:7 040 佐藤亮子「「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法」(KADOKAWA:2016)感想5

2019年03月25日 18時12分44秒 | 一年前
3月25日(月):
7 040 佐藤亮子「「灘→東大理III」3兄弟の母が教える中学受験勉強法」(KADOKAWA:2016)感想5
3月22日(木):  255ページ     所要時間5:40      アマゾン1216円(866+350)著者 年齢不明(55歳?1961生まれ?)。奈良県在住。主婦。津田......

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190324 日刊ゲンダイ:格差容認、中韓嫌い 安倍4選を支持する強固な3割の正体

2019年03月24日 17時27分52秒 | 考える資料
3月24日(日): 

日刊ゲンダイの今日的<存在価値>は極めて高い!

下の記事の内容は、本ブログ冒頭の提言<秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから>引用を全く絵に描いたように裏付ける内容である。

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング

※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。


俺はタイミング的に辛うじて下の記事の<新中間層>に滑り込んではいるが、世の中の余裕のない攻撃的な<自己責任論>と<反知性主義>、<弱い者いじめ>と<無責任・無関心>体質は、日々肌身に強く感じている。職場の仲間同士でお互いが余裕なく監視し合っていったい誰が喜ぶんだ!と叫びたくなることがよくある。しかし今は、互助、共助、団結の<核>が存在しないのだ。昔と違って、誰もが職場で孤立した<点>でしかない。理想も責任感も能力もない管理職が、その権力を自己保身のためにだけ使っている。

労働組合の弱体化は目を覆うばかりだし、<連合>という原発推進、非正規・貧困に無関心な鵺(ぬえ)のような巨大組合が、むしろ逆に政府批判の芽を摘んでいる。正直、訳が分からない。いずれテロが頻発して、緊急事態が叫ばれ、ファシズムが再来することになるのだろう。そうなれば、自分の家族を護るだけで精一杯の段階が来る、というかもはやその段階に突入している。

東日本大震災という災厄を転じて、素晴らしい国に生まれ変わる千載一遇のチャンスの芽を、アベ・アソウという世襲政治屋によって喪失した。この8年間は、その意味で最悪の選択を積み重ねた日々であり、取り返しがつかない。日本人(って何?)はその報いを罰として長く受け続けることになる。俺の人生は、そう長くはないだろうから、<新中間層>として何とか逃げ切れるだろうが、ひどい社会と国を子どもたちに残すことになるのは本当に申し訳なく思う。

   排外主義者に支えられ(C)共同通信社

日刊ゲンダイ 文字起こし:格差容認、中韓嫌い 安倍4選を支持する強固な3割の正体  
2019/03/23
 
 まだ3割もいることにギョッとする。安倍首相の党総裁連続4選について、直近の世論調査ではさすがに反対が半数を超えたものの、賛成は3割前後に上る。朝日新聞が賛成27%、反対56%。産経新聞・FNNが賛成31.1%、反対59.3%。ANNが賛成33%、反対51%――。この結果には正直、驚いてしまう。

 ただでさえ、自民党は二階幹事長の主導で連続2期6年だった党則を強引に変え、総裁任期を3期9年に延長。安倍が3選を果たしてから、まだ半年だ。早くも延命のために再び勝手に党則を改め、4期12年、2024年まで続投との言説がまかり通ること自体、ルール無用の独裁体制そのもの。安倍4選支持は北朝鮮さながらの独裁国家の容認に等しい。

「百歩譲って、この6年余りで安倍政権がマトモな政治を行ってきたのならまだしも、平然と隠す、ゴマカす、嘘をつく。外交は対ロ、対韓、対朝ともども行き詰まり、一枚看板のアベノミクス成功の宣伝も統計カサ上げの捏造で、3年ぶりに景気判断の下方修正に追い込まれた。それでも、安倍首相の総裁4選を3割も支持するとは、政権内に蔓延する『反知性主義』が少なからぬ国民に伝染してしまったのか、と疑わざるを得ません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 今の日本は格差拡大が続き、膨大な貧困層が形成されている。所得が国民の平均値の半分に満たない人の割合を示す「相対的貧困率」は、1985年の12.0%から2012年には16.1%に上昇。

 人口に置き換えると、貧困層は1400万人から2050万人に増えたことになる。直近の2015年の貧困率は15・6%と微減したが、依然として高止まり。ひとり親に限れば5割を超える

 世界3位の経済大国でありながら、7人に1人が貧困にあえいでいるのに、なぜ国民の3割がペテン首相の独裁4選を許すのか。ここまで貧者が増えているのに、それが政権転覆への怒りのエネルギーにならないのは、どうしてなのか

岩盤支持層はあたかもカルト教団

 安倍4選支持者の正体を探る上で示唆に富むのが、早大教授の橋本健二氏(社会学)が著した「新・日本の階級社会だ。格差が固定化し、次世代に継承される負の連鎖を「階級社会」と捉え、この国の危機的現状を最新の社会調査データを基に読み解いていく。

 橋本氏は①資本家(経営者、役員)②新中間階級(被雇用者管理職、専門職、上級事務職)③労働者④旧中間階級(自営業、農業)――と4つの社会学的階級の分類だけでなく、近年の労働者階級内における正規と非正規の格差拡大に着目。労働者を正規と「アンダークラス」(パート主婦を除く非正規)に二分して議論を展開する

 圧巻は第6章だ。16年首都圏調査(有効回答2351人)に基づき、各階級ごとの格差と排外主義に対する意識の違いを浮き彫りにしている

 貧困層の増大は、資本家階級が辛うじて半数、アンダークラスでは8割、その他の階級も3分の2が認識しているが、新中間階級は資本家階級と同じく決して「格差が大きすぎる」とは考えていない。

 また、「貧困になったのは努力しなかったからだ」などと格差と貧困を正当化する自己責任論は、アンダークラスも含め多くの階級が容認。ただし、アンダークラスの半数以上は「理由はともかく生活に困っている人がいたら、国が面倒をみるべきだ」といった所得再配分政策を支持しているのに、新中間階級も正規労働者も積極的支持は、資本家階級と同じ30%台にとどまる。

 この調査から新中間層」と言うべき新中間階級と正規労働者の深層心理がうかがえる。所得再配分によって利益を得るのは貧者のみ、自分たちは損だという意地汚い考えだ。

 橋本氏は〈むしろ貧困層に対して冷淡であり、アンダークラスに対して敵対的であるように思われる〉と分析した。

「こうした社会的亀裂を一段と進めたのが、アベノミクスです。社会の1%を優位に立たせるため、99%の富を奪うという新自由主義の教科書通り。所得税や法人税の最高税率を引き下げ、その穴埋めのように消費増税で庶民生活を痛めつけるのです。この国の新中間層が自己責任論を振りかざし、貧困層に冷淡なのはアベノミクスの6年で実質賃金が減り続けた影響も大きい。目減りした所得から払った税金を貧者に渡したくない、と生活の余裕を失って心がすさんでいる証左ではないでしょうか」(経済アナリスト・菊池英博氏)

 本来なら政権に痛めつけられる者同士、一致団結すべき労働者階級が、縮小する所得の配分を巡り、いがみ合う。

 なるほど、貧者が増えてもエネルギーが分散し、倒閣運動に発展しないわけだ。

 さらに橋本氏の著書で興味深いのは、アンダークラスほど所得再分配を支持する傾向が「自分の住む地域に外国人が増えて欲しくない」「中国人・韓国人は日本を悪く言いすぎる」といった排外主義と結びついているとの指摘だ。その他の階級と違って、所得再配分に積極的でかつ排外主義的傾向の強い「格差是正排外主義」が最も多いのが、特徴だという。

 ひと昔前なら貧困層の格差解消と平等への要求が、政治への怒りに直結したのに今は違う。現実への強い不満が政治に向かわず、排外主義とリンクしがちだ。橋本氏は〈追いつめられたアンダークラスの内部に、ファシズムの基盤が芽生え始めているといっては言いすぎだろうか〉と懸念するが、確かに時の政権に所得再配分を懇願する一方で、排外主義まで求める発想は危うい。

 前出の菊池英博氏が言う。

「増え続ける非正規労働者が強い不満を抱いていても、経営陣はもちろん、労組も救済の手を差し伸べてくれない。外国人労働者受け入れ拡大策により、自分の職場への流入を警戒し、不安定な雇用を脅かす“敵”に思えるのかも知れません。いずれにせよ、困窮を紛らわすため、日本の戦争責任を問う中韓叩きで留飲を下げる貧困層は確実に増えている。その現状を百も承知で安倍政権は昨年来から意識して韓国バッシングを仕掛け、嫌韓感情をたきつけているとしか思えない。そんな政権を改めて『よくやった』と盲目的に支持する排外主義者が増える悪循環では、ファシズム到来へとまっしぐらです」

 橋本氏の著書によると、自民党支持者は格差拡大を明確に認識している人が少なく、自己責任論を肯定する人の比率が高い。所得再配分の積極的支持者はたった10・3%。9条改憲や沖縄の米軍基地集中を容認する「軍事重視」の傾向の強さは他の政党支持者を大きく引き離し、排外主義的傾向も強い。

 橋本氏は〈あたかも自民支持者は、排外主義軍備重視に凝り固まったカルト集団であるようにも思えてくる〉と断じたが、安倍自民を格差容認の排外主義者が積極的に支持していることはデータからも裏付けられる。まるでヘイト政権

人為的に引き上げた株高で潤ったホンのわずかなアッパークラスと、排外主義に走るアンダークラスが岩盤支持層というイビツな構造です。だからこそ、排外主義者にこびるように対韓強硬路線をエスカレートさせ、資本家階級が求めるインバウンド需要増のため、観光立国を成長戦略に掲げるチグハグぶり。外国人の観光客も労働者も大量に受け入れながら、排外主義的憎悪をあおるなんて、どうかしています。憎悪は悲劇しか生まず、行き着く先はこの国の孤立化です」(五十嵐仁氏=前出)

 厚労省の現職課長がわざわざ韓国に出かけて、ヘイトに暴力。ネット上にも中韓への差別的表現が満ちあふれている。安倍の求めた「美しい国」は今や悪い冗談でしかない。
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8 048 金谷俊一郎「金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本 近現代史 」(東進ブックス:2000)感想3

2019年03月24日 16時00分46秒 | 一日一冊読書開始
3月24日(日):  

207ページ     所要時間2:15     アマゾン258円(1+257)

著者33歳(1967生まれ)。予備校講師。   

2015年にCD(70分)付きの改定版が出ているが、もちろん旧版である(2011年第21版)。

内容については、違和感を覚えるところも多々あったが、近現代史では仕方がない。否定も肯定もしない。立ち読みをして使いやすいなと思う高校生は使えばよいだろう。

15年戦争(1931~1945)中が、案外と好景気だったという指摘は良かった。景気が良いと国民の政治に対する目が甘くなるのは事実だ。たとえ、それが非道で破滅への道であっても。
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190323 一年前:180321 昨夜観たBS-TBS「池上彰vs磯田道史」は対談の白眉だった。録画できたのは超ラッキー!

2019年03月23日 19時34分02秒 | 一年前
3月23日(土):
180321 昨夜観たBS-TBS「池上彰vs磯田道史」は対談の白眉だった。録画できたのは超ラッキー!
3月21日(水):  昨夜観たBS-TBS「池上彰vs磯田道史」は対談の白眉だった。二人とも俺が今最も信頼し、判断の指針とする知識人であるが、意外なことにこれが「初めまして」で......

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190322 小松久子:本当の悪は平凡な人間の凡庸な悪 「ハンナ・アーレント」の哲学

2019年03月23日 01時56分00秒 | 時代の記憶
3月22日(金):     ハンナ・アーレント(1906~1975)

平凡な日常のなかで、「いつの間にか、自分で自分の首を絞める息苦しい世の中になった」としみじみと思う。職場でも、世間全体でも、家を一歩出ると息苦しい嫌なことに出遭うことが多くなった。優秀なはずの人間が、他人を管理下に置くことが、自己の能力の発揮だと勘違いしている。その取り巻きも、なんとなく波風立てずに従うことを常識的態度だとはき違えている。凡庸な悪>の深みに捕らわれた時代になっている。

小松久子(前東京都議会議員):本当の悪は平凡な人間の凡庸な悪 「ハンナ・アーレント」の哲学
2013年11月21日 23時35分 | カテゴリー: 女性・ジェンダー, 憲法・平和・社会, 映画・オペラ・おたのしみ

実在したドイツ生まれのユダヤ人哲学者を主人公に据えた映画『ハンナ・アーレント』をみてきました。ナチによる弾圧から生き延びたハンナが、ニューヨークの大学で教鞭をとっていた時期、1960年にホロコースト加害者のアイヒマンが逮捕される場面から映画は始まります。

ハンナは彼の裁判を傍聴すると決め、名門雑誌『ニューヨーカー』の依頼に応じてレポートを執筆することにします。アイヒマンは、ナチ親衛隊員としてユダヤ人を強制収容所に移送する列車を動かした責任者です。彼の指示で大量殺人が行われたのだから、レポートは極悪人を糾弾するものになるはずでした。

ところが、傍聴席で見たアイヒマンは「ふつうの」人だった。そのことにハンナは衝撃を受けます。彼は命令に従っただけ。ただの役人。――そして、そのことを率直に「彼が20世紀最悪の犯罪者になったのは思考不能だったからだ」と書いた文章が『ニューヨーカー』に掲載されると、たちまち非難の標的にされます。

罪人の非道さを暴くのでなく、ありふれた凡人の小心さを「悪の凡庸さ」という言葉で表現し、さらにユダヤ人で構成された「評議会」がナチの下部組織として機能したことまで書いたために、同胞のユダヤ人からも激しいバッシングを受けることになりました。夫や友人が支えてくれはするものの、社会を相手に懸命に反論に立ち向かうハンナ。

ハンナはヘビースモーカーで、思索を深めるとき、思い出に浸るときはもちろん、原稿のタイプを打っているときもタバコを離しません。大学の講義のときでさえタバコを手にしつつ、「本当の悪は平凡な人間の行う悪です」と説き、満場の学生から拍手が贈られる場面に、ようやく救われる思いです。

平凡で、ふつうに穏やかで、おとなしい人の悪行にこそ、悪の本質があるということ。ハンナが99%の人を敵に回しながら導き出した哲学は、今の時代、すぐそこに存在します。たとえばヘイトスピーチ。嫌悪を扇動する人種差別意識に付和雷同する言動は、思考停止状態であればやすやすと拡散してしまいます。

またたとえば、婚外子差別。民族差別。生れ出てきた時点ですでに子どもが差別にさらされる理不尽は、倫理観という衣をまとった凡庸な悪か、ちいさな悪意から生じます。では秘密保護法はどうか。

特定秘密保護法そのものは巨大な悪という感じがしますが施行するのは人。ここにも「凡庸な悪」がたくさん、空気のようにそこらじゅうを満たす予感がします。
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190322 大阪ダブル選の本質:「法の穴つく政治家の暴走 中島岳志さん(政治学者・東京工業大学教授)感想5

2019年03月23日 01時23分42秒 | 時々刻々 考える資料
3月22日(金):  

真の<保守>とは何か。100分で名著オルテガ「大衆の反逆」に通底する内容が書かれている。

朝日デジタル <耕論>:法の穴つく政治家の暴走 中島岳志さん(政治学者・東京工業大学教授)
2019年3月21日05時00分

 「大阪維新の会」の大阪市長と大阪府知事が任期途中で辞め、それぞれが違う立場で選挙に立ち、事実上任期を延長する――。市長と知事がそのまま出直し選挙に出馬し、当選すれば任期は残り任期と同じです。この公職選挙法の規定は、首長側の恣意(しい)的な選挙を避けるためのものですが、今回の大阪の選挙は法の穴を狙った、いわば脱法的行為です。同時期の府議選や市議選も有利に運びたいというもくろみもあるでしょう。
 憲法や法律といった明文の規定で禁止されていないから、「民意を得れば良い」ということかもしれません。しかし、権力を持つ人の多くは保守派を自任しています。現行のルールの穴を見つけて、先祖たちが失敗を重ねながら築き上げてきた慣習や知恵を無視するのは、私に言わせれば保守ではありません。これは大阪だけの問題に限りません。現代政治の問題点が表れているように感じます。
 例えば安倍内閣が臨時国会を開かなかったことが典型でしょう。憲法53条で衆参どちらかの総議員の4分の1以上の要求があれば、嫌でも臨時国会は召集されなければなりません。ところが「何日以内に」というルールがないことを根拠に開きませんでした。
 異なる意見に耳を傾ける寛容な保守政治家が、してこなかったことです。最近の政治家は、「そんなこと法律に書いてないじゃないか」の一言で押し通す。慣習や暗黙知を平気で破っているのです。
 民主主義と立憲主義の対立という、現代日本にとって切実な問題もあります。民主主義は、今を生きる人間の多数が支持していることは正しいという考えに傾きがちです。それに対し、いくら今生きている多数が良いと言っても、憲法が権力を縛る、ダメなことがあるというのが立憲主義です。
 両者は簡単には合致しないのですが、「今生きている人」だけでなく、過去の人たちの英知と折り合いをつけるのが民主主義の知恵でした。保守と呼ばれる人たちには、「今」だけを特権化してしまうことは、おこがましいという謙虚さがあるはずです。
 保守思想家たちは「庶民」と「大衆」を区別してきました。庶民は、それぞれの居場所を持ち、異なる意見を持つ他者とも合意形成し、社会の秩序を保つ知恵を歴史的、集合的経験から得ている人々のことです。一方、瞬間的な熱狂、「炎上」などでうわーっと瞬間的に盛り上がり、また忘れていく根っこのない人々を大衆と呼んでいました。
 民主主義が大衆によって乗っ取られ、暴走することを心配していました。「違う意見の持ち主は壊滅させてしまえ」と言わんばかりの主張が保守と呼ばれる。そんな最近の風潮に憤りを感じています。(聞き手・池田伸壹)
    *
 なかじまたけし 1975年大阪生まれ。北海道大学准教授などをへて現職。著書に「中村屋のボース」「保守と立憲」など。


凡庸な悪について(ウィキペディアより)
中島はハンナ・アーレントの「凡庸な悪」が日本に蔓延していると主張している。その根拠は従軍慰安婦問題に対して疑念を持つことや植村隆による従軍慰安婦問題の誤報に対する不寛容さを示すことであり、日本人は正義と良心によって自己を問い直すべきであると主張している。
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8 047 金谷俊一郎「日本史の勉強法をはじめからていねいに」(東進ブックス:2016)感想3

2019年03月23日 01時03分08秒 | 一日一冊読書開始
3月22日(木):  

285ページ       所要時間2:15        アマゾン678円(398+280)

著者49歳(1967生まれ)。東進予備校日本史講師。

本書は、漫画で描かれている。予備校の日本史授業に関心があって購入した。期待していた内容に対して、「それ以上でも、以下でもなかった。」というのが正直な感想である。これは本書を貶めて言っているのではない。本書を必要とするレベルの人たちには良いのかもしれないが、俺が読むべき本ではなかった、ということ。

【目次】第1講 なぜ日本史を学ぶのか /第2講 日本史の勉強法 /第3講 日本史の流れ /第4講 試験に役立つ勉強法 /第5講 日本史は将来役立つ

【内容紹介】◆著者からのメッセージ◆ :人間は考えて行動します。その考えの裏にある物は「論理」です。つまり人間は論理的に行動し、その行動の結論の集積が「歴史」なのです。ですから「歴史」を理解するためには、その「論理」を理解することが大切になります。高等学校の日本史で扱う内容は膨大です。とてもではないですが丸暗記できる分量ではありません。そこで本書では、「論理」を理解するための学習方法や入試で役立つ様々な「戦略」、さらには歴史の流れまで講義し、本当に日本史の実力をつけるための勉強法を余すところなくお伝えしていきます。最後までついてきてください。あなたの努力を「報われる」努力にするために。  報われない努力はない

出版社からのコメント
◆予備校のリアル授業を完全漫画化! :日本史のカリスマ講師、金谷俊一郎先生が「日本史の勉強法」をわかりやすく、ていねいに講義。大学受験の日本史は、丸暗記では決して通用しない――。だからこそ本書では「時代の整理の仕方」や「入試問題の攻略法」、さらには「ノートの取り方」「音読の仕方」まで、「日本史の知識を定着させる」ために必要な「正しい勉強法」を余すところなく収録しました。
◆大きな「歴史の流れ」がわかる!  :「先土器時代」から「現代」までの大きな歴史の流れを完全収録。「日本」という国がどのようにして歴史を紡いできたのか、実際に歴史を動かした先人たちの“想い"や、重要な“出来事"を中心に、「日本史で最も重要な流れ」を躍動感溢れる漫画でビジュアルに楽しく学習できます。
◆日本史を学ぶ全ての人が対象 :大学受験を目指す高校生はもちろん、高校日本史をもう一度学び、教養を身につけたい大学生・社会人にも読んでいただきたい内容です。
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190319 一年前:180317 124万PV超:「前原詐欺師を排除すること!」これが“合流”をめざす「希望の党」と「民進党」に対する<唯一の注文条件>である!

2019年03月19日 13時31分35秒 | 一年前
3月19日(火):

180317 124万PV超:「前原詐欺師を排除すること!」これが“合流”をめざす「希望の党」と「民進党」に対する<唯一の注文条件>である!
2018年03月18日 13時46分13秒 | 閲覧数 記録

2018年3月17日(土):  記録ですm(_ _)m。ブログの開設から2352日。 

アクセス:閲覧 1,159PV/訪問者 273IP

トータル:閲覧 1,240,046PV/訪問者 323,071IP

ランキング:4,055位 / 2,813,611ブログ中   週別 3,903位

もみさん「前原詐欺師を排除すること!」これが“合流”をめざす「希望の党」と「民進党」に対する<唯一の注文条件>である!

頽勢挽回のために、「希望の党」と「民進党」が“合流”を目指しているそうだ。政権交代を目指す野党の大同団結にとって、民進・希望の“合流”による「旧民進党」の復活は悪い話ではないと思う。しかし、唯一の条件は、「その中に前原詐欺師を入れるな!」ということだ。これは、小さくない、非常に重要な観点だ!。

「希望の党」が信用されない最大の要因は、国民を騙して平然としている前原詐欺師や細野某、長島戦争屋といった<アベ自民党別動隊>がいるからだ。特に、前原詐欺師の存在は致命的だ。昨年秋の総選挙で野党共闘の足を引っ張り、旧民進党を解体して国民の期待を根底から裏切り、アベ自民にあり得ない大勝利を提供した張本人だ。あれほどの背信行為を行っていながら、この男は反省も無く、小池百合子すら去った「希望の党」に恬として素知らぬ顔で居座っている。前原詐欺師がいる限り「希望の党」が政党として信用されることは絶対にない。

その「希望の党」と「民進党」が前原を残したまま“合流”しようというのは、理念も反省も無い数だけを求める野合集団のレッテルを貼られる覚悟をすることだ。来年の参議院選挙で大敗し、立憲民主党に吸収されて消滅してしまうだろう(本当は、その方が良いのだが…)。俺は前原詐欺師が所属する政党には絶対投票しない。

本当は「野田汚物も取り除け!」とかいろいろ注文したいことはあるが、この際他は何も求めない。ただ一つだけ「希望の党」と「民進党」の“合流”に要求をする。「前原詐欺師だけは排除すること!」この男が所属する勢力が何を言っても信用できない。そしてこれは今の自民党・公明党の政治に苦しむ国民の多くに共通する要求条件だろう。 

国民の期待を裏切った前原詐欺師を取り除けば、小沢一郎、枝野幸男の指導力のもとで「共産党」まで含めた<野党共闘>の大同団結が一気に進む。アベ・アソウ・スガ・アキエ・コウメイのインチキ政治を倒し、<政権交代>が実現し、アベらの私利私欲まみれの政治的犯罪を断罪することができる。今まさに倒壊寸前にまで陥っている日本の官僚制、戦後民主主義政治をなんとか立て直し、正常化する道が開けるのだ。

そのためには、新しい野党共闘勢力の中に断固として前原詐欺師を入れてはならないのだ!前原詐欺師さえ取り除いてくれれば、俺の住む選挙区には「社民党」も「立憲民主党」の候補もいないので「希望の党」の候補に投票する。前原詐欺師が残れば、俺は「共産党」の候補に投票する。投票の基準は明確だ!。

最後に、話は変わるが、そろそろ公明党は、平和・生活の党として自民党と手を切ったらどうだ。大阪維新の会(もう日本じゃない)と希望の党にいる<自民党アベ別動隊>の前原・細野・長島らが一緒になって自民党と合同すればいい。それでスッキリする。今の政治を分かりにくくしているのはこの連中だ。

共産党は野党の<大同団結>という難しい選択にかじを切ったのだから支持できるが、前原詐欺師や大阪維新の連中が国民を混乱させ、国民の選択権を奪い、自民党を甘やかせ、アベのような歴代最低の愚劣で幼稚な私利私欲まみれの政権を長期にわたって野放しにしてきたのだ。

再掲「170815 前原詐欺師は、安倍晋三以上に<日本政治の癌>である!民進党と自民党の違いをわからなくしている!」
                    2017年08月15日 16時51分10秒 | 時代の記憶
(2017年)8月15日(火):  

ステイツマンの河野洋平氏は自民党の政治家である。河野氏に比べて、民進党の前原詐欺師の方がはるかに”右翼・憲法軽視、好戦的・新自由主義的”であり、民進党ではなく自民党に所属しているべきなのは誰の目にも明らかだろう。代表選挙に負ける前原グループが枝野民進党に残留すれば、俺たち有権者は民進党を信用できない。野党共闘に否定的な前原詐欺師グループが残留する民進党には投票ができない。

民進党は、枝野と前原が「経済政策で同調、すり合わせ」なんて下らない”まやかし”で誤魔化さず、安倍ファシズム政権によって荒廃した立憲主義の再建を高く掲げ、社会保障重視>、<護憲>、<日米安保堅持>、<沖縄重視>、<反戦平和外交>、<反核・反原発>、<多文化共生>、<中韓アジア外交重視>を明確に示して闘えばよいのだ。

一見矛盾した政策内容を含むが、それを調節して何とかやり繰りして維持するのが政治家の役割だ。純化路線ばかり叫ぶのであれば政治家は要らない。枝野民進党は、
前原詐欺師グループと妥協せずに分党して、野党共闘による政権奪取の意志をしっかり覚悟を決めて示せば、先日の都議会議員選挙と同じように、一時的に減った議席よりもはるかにあまりある議席を獲得できるだろう。要は、覚悟を決めることである!

好戦的で新自由主義的な前原グループを切り捨てて、小沢一郎氏に三顧の礼を尽くして野党共闘するしか枝野民進党には道はないのだ!さもなければ、前原詐欺師のいる民進党と、安倍よりもずっと知的で穏健そうに見える岸田自公政権とを見比べれば、俺も含めて6割近い無党派層の票が路頭に迷うのは間違いない。河野洋平の流れを汲む岸田が総理大臣を務める自公政権の方がリベラルなイメージを持ってしまうのだ。前原グループを切らなければ、岸田自公との差別化ができない。違いを示せなければ政権政党の方が勝つに決まっているのだ。

結果、岸田自公政権が勝ち、背後にいる従米ファシズム勢力がさらに強化され、政治への容喙を強め日本は破滅する。前原詐欺師は、ある意味、安倍晋三ファシズム政権の最大の協力者にして、安倍晋三以上に<日本政治の癌>であると言える。代表選に負ければ、前原グループは潔く細野のように民進党を出ていけ。民進党は一時的にダメージを受けるかもしれないが、リベラルとしての政党のかたちが明確になることでかえってあまりある大きな勢力に発展できるだろう。

但し、決断できず日和見して、代表選後に前原グループと未練がましく同居すれば、間違いなく枝野民進党に未来はない。岸田自公政権に必ず国政選挙で負ける。憲法が改変される。そしてそれは民進党をはじめとする野党の敗北ではなく、戦後民主主義の敗北であり、日本国民(外国籍市民を含む)にとっても致命的敗北になるのだ。 俺は、若い時に世話になった在日コリアンのおばさんを公衆の面前で切って捨てた前原詐欺師の恥知らずなふるまいを絶対に忘れていない。
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190316 是枝裕和監督「誰も知らない」(2004)感想5 しかし、哀し過ぎる。

2019年03月16日 03時54分02秒 | 映画・映像
3月15日(金):        

母子家庭で母親に遺棄(置き去り)された4人兄妹弟妹(父親がみんな違う!)の物語り。周囲の無関心の中で、主人公の男の子(小6~中1:学校には行かせてもらってない)が、児相だと家族がバラバラにされるので「自分がしっかりしなければ」と精一杯踏ん張って頑張り続ける。しかし、大人や制度に助けを求めることを理解できずに、彼が頑張れれば頑張れるほど、子どもたちの事態は取り返しのつかない状況へと進んでいく。

主人公の子どもだけでなく、出演する子どもたちみんなの演技力のすごさが印象的だった。観ながら、頑張っている主人公の少年にイライラしている自分に気が付いて、「この子が悪いわけではない。親と社会が理不尽なのだった」と慌ててしまった。

本作品は、巣鴨子供置き去り事件をもとに是枝裕和監督が創作した物語である。この事件は、東京都豊島区で1988年に発覚した保護責任者遺棄事件。父親が蒸発後、母親も4人の子を置いて家を出ていき、金銭的な援助等を続けていたとはいえ実質ネグレクト状態に置いた(ウィキペディア)。

また何か書ければ書きます。とりあえず、もう寝ます。

「Nobody knows 」だけど「Somebody knows 」なのだ。
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190315 一年前:180310 コンプリート!昨晩、NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」(1990)全46(27+19)話を観終わった。感想特5

2019年03月15日 13時33分04秒 | 一年前
3月15日(金):

180310 コンプリート!昨晩、NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」(1990)全46(27+19)話を観終わった。感想特5
2018年03月10日 13時33分04秒 | 日記

2018年3月10日(土):    
3月9日(金)夜、NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」(1990)全46(27+19)話を大満足のうちに観終わった。正直、観始めたら止まらない。一気呵成に観徹した感じである。

感想は言うも愚かなぐらい素晴らしいかった。間違いなく歴代大河ドラマ中の最高傑作の一つである。司馬作品を基に制作されているので、群像劇の肝ともいうべき登場人物の一人一人が明確な輪郭・性格を持って描き分けられている。そして、史実的にもそのイメージはほぼ間違いがないという“折り紙付き”なので安心して作品世界の中にのめり込むことができた。西郷隆盛(西田敏行)、大久保利通(鹿賀丈史)の配役の妙ついては、もほやこれ以外を考えられないほどにはまっていた。特に、鹿賀丈史の大久保利通は「よくぞ彼を選んでくれた!」と言うしかない。

改めて、歴史小説家としての司馬遼太郎の存在の大きさを確認できた。今回の大河ドラマ『西郷どん』については、比較すること自体が愚かしいことであり、これはこれとして、それなりに楽しませてもらおうと思う。と言いつつ、仕方がないことだが、群像劇としては人物像がぼんやりとして甘すぎる、とだけは言っておきたい。

そいは暴論ごわす!
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190315 一年前:180314 変!アベが「アキエが言ってない」と確認したって、超変!本当なら即、アキエの証人喚問に応じろ! ※結局、「一事が万事だった!」ということだ!

2019年03月15日 13時27分51秒 | 一年前
3月15日(金): ※結局、一事が万事だった!ということだ! モリトモ・カケも、中央官庁の記録改ざんも全部根っこは同じ、通底している。

180314 変!アベが「アキエが言ってない」と確認したって、超変!本当なら即、アキエの証人喚問に応じろ!
2018年03月14日 17時30分53秒 | 時代の記憶

2018年3月14日(水):

前にアベは、「アキエは知らない。無関係。」本人に確認したって国会で断言していたのに、今回の公文書公開で“反対の事実”が出てきたのだ。それに対して、また「アキエが言ってない」と確認したって、法的には元々通らない話だったが、論理的にも破綻しているだろう!

泥棒に「泥棒してない」って確認したのに、“動かぬ証拠”が出てきた。それで、また泥棒に「泥棒してない」って確認した。これで世の中済まされるのなら、犯罪者はみんな自分で「やってない」と犯罪行為を否認しさえすればよいことになる。有り得ないことだ。それを平気で繰り返すこの国のバカ宰相の頭脳は完全に破綻している。ガキの使いじゃあるまいし、国民・市民・民主主義を愚弄するにもほどがある!

そこまで言うなら、なおさらさっさとアキエの証人喚問に応じればいいだろう。

時事通信改ざん、自身の指示否定=安倍首相、昭恵氏発言「ないと確認」―森友問題・参院委  3/14(水) 9:50配信
  参院予算委員会は14日午前、安倍晋三首相と関係閣僚が出席して集中審議を行った。
  学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省決裁文書の改ざんについて、首相は「私から文書の書き換えを指示したことは全くない」と全面的に否定した。麻生太郎副総理兼財務相も「指示したことはない」と改めて強調した。自民党の西田昌司氏への答弁。
  首相夫人の昭恵氏が学園側に「いい土地ですから、前に進めてください」と発言したと改ざん前文書に記載されていたことについて、首相は「妻に確認した。『そんなことは言っていない』ということだった」と説明した。
  首相は国有地売却に関し、「払い下げや学校の認可に私や妻や事務所は一切関わっていない」と重ねて主張。「書き換え前の文書を見ても明らかだ」と述べた。
  首相は改ざんについて「行政の長として責任を痛感している。国民におわびしたい」と改めて陳謝。麻生氏の進退に関しては「信頼回復に向け組織の立て直しに取り組んでほしい」と、続投させる考えを強調した。麻生氏は「国会に説明責任を果たせるよう最大限努力したい」と語った。

日刊ゲンダイ:小泉元首相キッパリ指摘 改ざんの発端は“昭恵夫人隠し” 2018年3月14日 
   小泉純一郎元首相(C)日刊ゲンダイ     
  “安倍降ろし”の先頭に立つ小泉進次郎氏に、“援軍”が現れた。父親の小泉純一郎元首相が安倍首相と麻生財務相を痛烈に批判したのだ。
  小泉元首相は13日、BSテレビの番組に出演。公文書改ざんを指示した佐川宣寿理財局長の国税庁長官就任について「国税庁長官になって記者会見を一度もしていない。ひどいなあと思っていた」と述べた上で、「安倍首相も麻生さんも“適材適所”と何度も言い切った。これには呆れたね。判断力がおかしくなっているんじゃないか。誰も適材適所と思わない」と切り捨てた。
  さらに、安倍首相が昨年2月、自身や昭恵夫人が国有地売却に関係していたなら首相も国会議員も辞めると述べたことが改ざんの発端となったとの見方を示した。「財務省は(昭恵夫人が)関係していると知っていたから、答弁に合わせるために改ざんを始めた。(財務省が)忖度したんだよ」と指摘した。

  まさしく、森友疑惑の核心を突いている。


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190315 一年前:7 037 星野博美「転がる香港に苔は生えない」(情報センター出版局:2000)感想 特5

2019年03月15日 13時20分19秒 | 一年前
3月15日(金):

7 037 星野博美「転がる香港に苔は生えない」(情報センター出版局:2000)感想 特5
2018年03月08日 17時55分12秒 | 一日一冊読書開始

2018年3月8日(木):  

582ページ    所要時間10:40     アマゾン349円 

著者34歳(1966生まれ)。東京都生まれ。OL、写真家・橋口譲二氏のアシスタントを経てフリーに。2001年『転がる香港に苔は生えない』で第32回大宅壮一ノンフィクション賞受賞

典型的な失敗読書である。速読できなかった訳ではないと思いたいが、結果としてダメだった。一番の原因は3分の2ぐらいまで進んだところで最後まで一気に読み切らなかったこと。次がインフルエンザB型になって、回復期も含めて読書復帰が遅れたこと。結局調子が上がらず読むことから避けていた。

それでは、つまらなかったのかというと真逆で無類に面白かった。そのため手放すこともならず、読書生活が糞詰まり状態になっていたのだ。今は、ブログ更新が大変で少し憂鬱だが、すっきりした腹ぐあいになった感じである。

【目次】一九九六年八月十九日香港時間午後一時四〇分// 第1章 香港再訪/第2章 深水捗/第3章 返還前夜/第4章 返還/第5章 逆転/第6章 それぞれの明日/第7章 香港の卒業試験//二〇〇〇年三月十五日、日本時間午前二時二〇分浅い眠りの中で見る夢は

【アマゾンの紹介】がよくできている:
  ノンフィクション作家であり、写真家でもある著者は、香港の中国返還の瞬間(1997年7月1日を体験するため、2年にわたって香港で暮らした。観光客が足を踏み入れることのない下町の古アパートに居を定め、生活者の立場で香港と向き合ってじっくりと観察した。そこから生まれたのが、第32回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した本書である。受賞発表後の記者会見で、著者は「子どものころから中国に興味があった。大学生で1年間香港留学もした。返還は自分にとって大事なことだと感じていたから、人から聞かされるのでなく、自分自身で体験したかった」と香港に住んだ理由を説明している。
  もちろん、返還は本書の重要なファクターだ。しかし、そこだけに焦点を当てたドキュメンタリーではない。むしろ、およそ返還とは関係なさそうなエピソードにこそ、この本を読む楽しさがある。たとえば、著者が飲食店で働く美少年に興味をひかれ、なんとか彼に近づこうと努力する話。あるいは、仕事を得るために白髪を染めた中年カメラマンが仕事と一緒に若い彼女を手に入れた話。また、地下鉄に乗り込んできた家族が、幼い息子の活躍によって次々と席を確保していくありさま。返還があろうとなかろうと、たくましく暮らさざるを得ない香港人こそ本書の主役といえるだろう。


香港返還から20年が経ち、昔のことだから、今の香港は変わってしまっているので読む価値が無いのか…?という問いに、俺は「それには全く当たらない。面白がる精神さえあれば、(現在の現実を知らないが)たとえ、あの時の香港が今存在しなくても全く構わない」と俺は答える。

本書の中の香港は、特定の場所、特定の時期の出来事であって、一方で実は今だって世界中のどこかであり得る人間社会の普遍性を感じさせてくれる。観光で有名な素敵な香港のウラ側に、全く別の香港が息づいている。その生活の臭い、息遣いが尋常でなく活気に満ち満ちていて面白い。じっとしてると死んでしまうから動き回る、みたい強迫性とともに、「転石苔を生じず」から来たまさにタイトル通り、本書を読んでいて退屈することが無かった。

ただ、雑多で膨大な本書の内容をまとめるとなると全くのお手上げだ、と思っていたのだが、それが今日読んだ終章「二〇〇〇年三月十五日、日本時間午前二時二〇分浅い眠りの中で見る夢は」の574ページ~581ページで見事にまとめられていた。著者にしか書けない、著者の深い香港愛を感じさせる少し泣かせる素敵なまとめ方になっていた。
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150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)