もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

190430 一年前:7 051 バートランド・ラッセル「ラッセル幸福論 安藤貞雄訳」(岩波文庫:1930)感想4

2019年04月30日 18時04分53秒 | 一年前
4月30日(火):
7 051 バートランド・ラッセル「ラッセル幸福論 安藤貞雄訳」(岩波文庫:1930)感想4
4月29日(日):    294ページ     所要時間3:05     蔵書1995年10刷著者58歳(1872-1970:97歳)。ノーベル文学賞(1950年)。ま......

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190429 正社員でもすごく実感している。「何年勤めても給料上がらない」。非正規はもっと悲惨だろう。

2019年04月30日 00時33分41秒 | 今、思うこと&意見
4月29日(月):     

半歩前へ正社員でも地獄!ずっと勤めても賃金は横ばい! 2019/04/28 12:05 
  高齢化に伴い介護福祉業界で、働く人は急増しており、労働力調査によると2018年時点で422万人。2003年から2・2倍以上に。にもかかわらず、正社員でずっと勤めても賃金は横ばいだ。
  ほとんど昇給しないのは介護だけではない。賃金構造基本統計によると、販売店員の男性は二十代前半から四十代のピークまで約10万円しか上がらない。保育士はほぼ横ばいだ。
  昇給制度がある自動車組立工場で働く男性は右肩上がりで昇給するが、自動車など製造業で働く人は02年の1100万人が18年の1000万人まで100万人減少、雇用の場として縮小する。
  昇給がなく、一つの会社に勤め続けるメリットが薄れる中、転職に活路を見いだそうとする人も。東京都国分寺市の自動販売機設置会社の正社員の男性(33)。
  正社員として就職した料理人を振り出しに派遣の工場労働者、太陽光パネル販売など6つの職を経験してきた。だが、正規、非正規にかかわらず全て時給換算で1000円から1200円。「子供が大きくなった時、お金が足りるか」。不安がよぎる。
  都留文科大の後藤道夫名誉教授の試算では、一七年時点で正社員でも一割の人が最低賃金の三割増し未満の低賃金で働く。後藤は「非正規だけでなく正社員にも低所得者が急増していることに目を向けるべきだ」と警鐘を鳴らす。 (以上 東京新聞)
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190428 一年前:180428 「国民民主党」は生まれる前から終わっている。「前原詐欺師と一緒にやれる」というセンスが有権者をなめ切っていることの証明!

2019年04月28日 22時48分13秒 | 一年前
4月28日(日):

180428 「国民民主党」は生まれる前から終わっている。「前原詐欺師と一緒にやれる」というセンスが有権者をなめ切っていることの証明!
2018年04月28日 13時45分07秒 | 徒然・雑感

2018年4月28日(土):  
今度できる「国民民主党」(略称「国民党」)は、「国民党」が蒋介石の中国国民党をイメージさせることを軽視する歴史的無知と、理念なく「国民」という言葉にしがみつく心根の卑しさが露骨に出過ぎていることに気が付かないのだろうか。

そもそもこの<国際化と多様性の時代>に、「国民(限定!)」という言葉は、<外国籍市民>を平気で切り捨てる、古臭くてあまり筋の良くない言葉だ。女性、「障害」者、被災者、LGBTなど<マイノリティの人権>にもあまり配慮できない冷酷でにぶいセンスを思わせる。世話になった在日朝鮮人のおばさんを平気で切り捨てて、恥をかかせられるご立派な保守政治屋の前原大先生には喜んでもらえるかもしれないが、俺はごめんだ!

あまりにも命名センスが悪過ぎると思っていたが、その上に前原詐欺師を受け入れるそうだ。おそらく、前原の子分で独り立ちできない立命館大学卒の泉健太あたりが(京都大学卒の前原の)忠臣ぶって後押ししたのだろうが、お里(おつむのレベル)が知れるとはこのことだ。もうこの政党は生まれる前から終わっている。同じ京都選挙区でもリベラルで京都大学卒の山井和則はもったいないので、何とか立憲民主党に移ってもらいたい。

「前原詐欺師と一緒にやれる」という精神構造が有権者をなめ切っていることの証明以外の何物でもない、といことになぜ気づかないのだろう。見たくない現実は見えないふりをするような政治屋集団を信用できるわけがないだろう。俺は、前原詐欺師がいなければ、今のところ俺の住む選挙区に社民党や立憲民主党の候補がいないので、「国民党」に投票をしてもいいかな…と思っていたが、これでさっぱりと野党共闘路線をとる「共産党」に投票することができる。

センスの悪い、卑しい名前の「国民党」さん、前原詐欺師と忠犬ケンタとともにさようなら。紛らわしいので、維新の党とともに早く消えて無くなってください。

岩上安身  @iwakamiyasumi 9:56 - 2018年4月26日
前原氏が、国民民主党⁉︎ さすがに、どのツラ下げて、と思う。民進党分裂劇を仕掛けた張本人が、その傷の修復のために合併しようという時にヌケヌケと加わるとは。国民民主党をどう評価するかは、この反共の権化を入れるか入れないかで決まる。前原氏のいる政党に、野党共闘は不可能。


京都新聞前原氏・泉氏、国民民主党に参加意向 希望の党分党  4/26(木) 23:09配信
 希望の党の両院議員総会で26日、民進党と「国民民主党」を結成するグループと、松沢成文参院議員らが新たに設立する「希望の党」への分党が了承されたことを受け、京都の所属衆院議員4人のうち、前原誠司氏(京都2区)と泉健太氏(京都3区)が国民民主党に参加する意向を示した。
 山井和則氏(比例近畿)は「地元の支持者と相談して決める」と態度を明らかにしなかった。
 井上一徳氏(同)は総会で「安全保障分野で公約に掲げた政策、理念を守っていくべきだとの思いで、(松沢氏らの)希望の党を選ぶことにした」と語った。
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190428 一年前:7 050 養老孟子・池田清彦・吉岡忍「バカにならない読書術」(朝日新書:2007)感想5

2019年04月28日 22時44分02秒 | 一年前
4月28日(日):
7 050 養老孟子・池田清彦・吉岡忍「バカにならない読書術」(朝日新書:2007)感想5
4月27日(金):    245ページ    所要時間5:15     ブックオフ108円養老70歳(1937年生まれ)東大名誉教授。専門は解剖学池田60歳(1947年生......

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190428 国民民主党はもう一度分裂するべきだ。前原詐欺師のいる政党にはどうしても投票できない!

2019年04月28日 13時26分02秒 | 今、思うこと&意見
4月28日(日)追記:     立憲民主党、頑張れ!ついでに社民党、頑張れ!、沖縄、頑張れ!

党本部は斎藤氏を衆院選小選挙区の候補者として擁立する方針。現在、関西を中心に選挙区を選定しているとみられる。」(京都新聞 4/28(日) 8:00配信)

 こんな気位の高い自意識過剰な若造を国会議員候補として認める選挙区なんて存在しない。するわけがない。立候補したければすればよい。当選はあり得ない。金をどぶに捨てるようなものだ。それよりもきちんと就職して最低10年は、国家に税金と社会保険料をしっかりと納め続けることだ!(俺なんて30年以上重税に耐えているぞ!)

 まじめに働いている国民・市民の重税感と痛みをしっかりと学んで、40歳を超えてまだ政治に情熱がもてるのであれば地方議員でも国会議員でも立候補すればいいだろう。それが物事の筋道というものだ。

 国民民主党はもう一度分裂するべきだ。前原詐欺師と完全に手を切って立憲民主党に合流できる政治家グループと、あくまで前原詐欺師と組み続けて自立できない鵺(ぬえ)のような政治屋グループとに分かれるべきだ。

 例えば、京都の選挙区なら山井和則をはじめ<前者>は胸を張って立憲民主党に合流すればよい。<後者>の前原詐欺師や北神圭朗らのエセ野党(隠れ自民)の連中は、細野のように自民を目指すか、日本維新と合併すればよいのだ。その方が選挙民にとって絶対にわかりやすく風通しが良い。

 前原詐欺師のいる政党にはどうしても投票できない!前原詐欺師は、アベ自民と補完関係にある政治家だ。前原が、集団的自衛権の閣議決定、安保法制に対して<反対>・<廃止>ではなく、<修正>・<現実的?運用>を唱えたことを絶対に忘れてはいけない。

前原氏も26日のブログで、岡田氏が法成立後も「安保法廃止を目指す」と明言していることに対し、「廃止」ではなく「見直し」との立場を表明。集団的自衛権の一部行使にも「賛成」と記した。産経新聞、2015.10.1 12:13 )」

本ブログ記事「151002 49万PV超:民主党前原詐欺師の戦争法案「見直し」論は憲法軽視、国民欺瞞の裏切り。」、「151023 前原詐欺師は、安倍晋三の分身だ。enough!民主党内の<第二自民党>勢力の薄っぺらさに驚く。」も見てくださいませm(_ _)m。
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190427 「国民が候補擁立見送りへ、立民に一本化 参院選京都」 ※前原詐欺師の秘書を取り下げて国民党の印象改善!

2019年04月27日 18時28分00秒 | 時代の記憶
4月27日(土):   増原裕子氏(42)

前原詐欺師の秘書だった候補者を取り下げて、前原の影響力を否定した国民民主党京都府連の判断を強く支持する。これで俺自身の国民民主党へのこだわりは相当改善した。小沢一郎の自由党との合流も、一転して前向きに評価することができるようになった。

俺は、国民民主党全体を否定していたわけではない。前原詐欺師を筆頭に、細野某、長島戦争屋らがいることに異議を唱えていたのだ。細野,長島が去り、前原詐欺師の影響力を断ち切ったことで国民民主党の印象は随分と変わった。前原詐欺師が離党するまで、俺自身の国民民主党への不信感は残り続けるが、今回の措置により大幅に軽減したのも事実だ。

今後の野党共闘、野党統一候補への応援を心置きなくできるように、共産党との全国的な協力関係をうまく維持してくれるように期待したい。

京都新聞国民が候補擁立見送りへ、立民に一本化 参院選京都  4/27(土) 14:50配信
 国民民主党京都府連は27日、参院選京都選挙区(改選2)に擁立を決めていた新人の元衆院議員秘書、斎藤アレックス氏(33)について、党本部に公認の取り下げを申請する方針を固めた。国民府連は今後、立憲民主党が公認した新人で性的少数者(LGBT)コンサルティング会社社長の増原裕子氏(42)を「非自民非共産」の統一候補として支援していく方針
 旧民主党から分裂した両党は、「共倒れ」への懸念から一本化に向けた話し合いを進めていた。
 同選挙区には現職の自民党、西田昌司氏(60)と共産党の倉林明子氏(58)が立候補を予定しており、三つどもえの争いとなる公算が高まった。
 同選挙区では6年前、野党の乱立で旧民主党の候補が落選した経緯があり、今夏の参院選に向け、国民と立民を等距離で支援する連合京都も両党に一本化を求めていた。
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190424 神野直彦(インタビュー 平成から令和へ)財政の機能不全

2019年04月24日 22時36分28秒 | 時代の記憶
4月24日(水):   「租税は『良き市民が負担する文明の対価である』という認識を、国民が持たなければいけない」
朝日デジタル(インタビュー 平成から令和へ)財政の機能不全 東京大学名誉教授・神野直彦さん
2019年4月23日05時00分

 平成を通じて、日本の財政は膨らみ続けた。国の一般会計の歳出は100兆円規模、国と地方の借金は1千兆円と国内総生産(GDP)の約2倍に匹敵する。なぜこんな状況に陥ったのか。どうすればよかったのか。地方財政審議会会長などを歴任し、政府の経済財政運営に物申す立場だった財政学者の神野直彦さんに聞いた。

 ――国の財政からみると、平成はどんな時代でしたか。
 「『悪循環』の時代です。経済成長をめざして減税したものの、増収も成長もできず、社会保障サービスは抑制が続き、貧富の差が拡大した時代だといえるでしょう。本来の財政とは、社会に生じる様々な困難を解決して、国民を幸せにするもの。それなのに、財政が逆に人々を不幸にしてしまった。財政の機能不全です
 ――元年(1989年)に消費税が導入され、段階的に税率が引き上げられた平成は「増税の時代」だったのでは。
 「それは誤解です。国民所得に対する租税の負担率をみると、平成のピークは89年度、90年度の27・7%。その後は下がりました。最近は持ち直したものの2018年度は24・9%です。昭和の時代は国が借金をしても財政赤字はさほど増えなかった。税収も増えていたからです。平成に入ると税収が一気に落ち、歳出との差が広がった。90年代前半まではバブル経済の崩壊が原因でしたが、後半以降は政府が構造改革の名の下で進めた政策減税によるものでした」
    ■     ■
 ――何のための減税だったのでしょう。
 「経済成長をとにかく追求したのです。『上げ潮政策』と呼ばれた減税重視の財政運営は、活力ある社会、努力ある者が報われる社会をめざしました。経済の牽引(けんいん)役が伸びれば、低所得層にも恩恵が行き渡る『トリクルダウン』が起き、税収も増えるという算段でした。しかし経済は成長せず、税収は下がる結果になりました。一方で、歳出は社会保障を中心になだらかに増え続けたため、雪だるま式に赤字が膨らんでいきました」
 ――なぜそんな過ちを犯したのですか。
 「そもそも国の税制論議が『減税の方向性は正しいが、減税のボリュームが足りないから経済が成長しないのだ』という方向になってしまった。政府は政策ミスを認めず、『もっと減税すべきだ』という便法をとりました」
 ――政治に追従した財務省(旧大蔵省)に罪はないのですか。
 「旧大蔵省は、あくまで所得税・法人税の減税は消費増税とセットだという考えでした。しかし、細川政権下で浮上した94年の国民福祉税構想をはじめ増税策は軒並み失敗し、減税だけが残る結果となった。これに財務省の戦略ミスも重なりました。このまま財政赤字が続けば将来世代が大変になるぞと、財政赤字をあおって増税を実現しようとした。財政は生活を支える国民の財布なんだ、という意識を社会に浸透させる道をとるべきでした」
 ――政治家も官僚も、不人気の増税に及び腰だったのでは。
 「減税すれば経済成長するという神話に毒されていたのです。戦後の日本は、シャウプ勧告に基づく累進性の高い所得税・法人税制がうまく機能していました。経済が成長する時は累進的に税収が増えるため、財政をまかなえた。だから、成長の配当として減税ばかりやってきた。しかし、70年代の石油危機後は低成長時代に入り、所得税・法人税中心の税制では、増大し続ける社会保障を維持できなくなった。もっと早い段階で他の先進国と同様に、所得税・法人税の課税ベースを広げるなどして税収を確保すべきでした」
 ――自民党一党支配の限界だったようにも見えます。
 「自民党のほかに代替案がなく、対抗する政治勢力が弱かったとしか言いようがありません。政策形成能力がある野党が育たなかったため、議論が非合理的な方向に進んだ。自民党もかつては多様な利害を包み込む政党だったが、09年に下野した後は政策の幅が狭まってしまった
 ――09年の政権交代は日本の財政が変わるチャンスだったと。
 「民主党は代替案を示し、実行に移す責任がありました。『コンクリートから人へ』というメッセージの方向性は間違っていなかったし、公的年金の一元化や教育の無償化など掲げた理想は高かった。しかし、中途半端で失敗に終わり、国民は政治に失望した。民主主義に対する幻滅を生んだともいえ、歴史的責任は大きい
    ■     ■
 ――なぜ失敗したのですか。
 「政策立案機能を担ってきたのは官僚です。日本でも戦前の官僚たちは英国のように、政権交代を意識して2種類の政策を用意していた。戦後は長らく政権交代が起こらなかったため、こうした慣習が薄れた。民主党政権が官僚たたきに走ったのも一因です」
 ――民主党の政策には、神野さんが唱えてきた政策の一部も採り入れられたのでは。
 「私は、財政学者として自分の思想を唱え続けてきました。民主党のマニフェストにはその一部が入ったが、実現しなかった。結果として、日本を幸福とは逆の方向にかじを切らせてしまった責任がある。歴史の中に生きる人間として批判を甘んじて受けます」
 ――平成を通じて、世界の経済秩序はどう変化したのでしょう。
 「第2次大戦後の世界は、米国が覇権を握るパクス・アメリカーナ(米国による平和)の時代でした。平成は、その秩序を支えてきた欧州や日本が停滞する一方、中国やインドなどが頭角を現した。パクス・アメリカーナ後を探る過渡期でした」
 「日本は脱工業化社会に向けて経済や社会の構造を変えざるをえない転換期にありました。にもかかわらず政府は構造を変えないまま成長をめざし、利益が出ている部門の利益をさらに増やそうと減税戦略をとりました。戦後の重化学工業化において世界有数の『優等生』だったがために、なかなかマインドチェンジができなかった。いまなお新しい産業構造はできず、経済は停滞したままです
 ――経済成長の実現には、いったい何が必要だったのでしょう。
 「国民経済は、市場と財政が車の両輪となって初めてうまくいきます。市場はエンジンであり、財政はハンドルなのです。経済を伸ばすには産業構造を、知識集約産業やサービス産業などソフトな産業を基軸に変える必要がある。その副作用に備えて、職業訓練や生活保障など社会的な安全網を強くして、失敗してもトランポリンのように戻れる仕組みをつくるべきでした。正規と非正規社員に二分化されて賃金格差が拡大する傾向に対応し、格差に対する税や社会保障の対応も必要でした」
    ■     ■
 ――平成は日本の家族のかたちが変わった時代でもありました。
 「日本型の社会福祉を補完してきた家族や共同体の機能が崩れていった時代でした。だからこそ、国民に安心をもたらすために増税して『大きな政府』をめざす、というべきだった。それなのに自民党も民主党も事業仕分けと称して生活に必要なサービスまで打ち切り、小さな政府』にかじを切った。国民は、国が自分たちの生活を支えてくれている実感がもてなくなりました。『保育園落ちた、日本死ね』という女性の悲痛な言葉はその象徴だといえます」
 ――新年度予算の一般会計の歳出は、当初予算として初めて100兆円を超えました。これでも「小さな政府」ですか。
 「GDPに対する財政規模ではなく、生活保障機能という観点でみれば、いまの日本は間違いなく『小さな政府』です。歳出がなだらかに増え続けたので『大きな政府』と思う人が多いかもしれません。でも歳出が減らなかったのは、借金の返済が増えたことと、高齢化に伴う社会保障費の自然増があったから。政府は歳出を抑えようとしたが、できなかっただけです。いまはあせって財政再建を急ぐよりも、社会や経済の障害をなくしていく方が大事です
 ――まずは国の借金返済を優先すべきではありませんか。
 「直ちに日本がギリシャのように財政破綻(はたん)に陥ることはないと思います。ただ、借り入れに依存し過ぎるのがよくないのは事実です。返済のための公債費が膨らみ、必要な公共サービスができなくなる。悪性インフレが起こる可能性もゼロではありません」
 ――10月からは消費税が10%に引き上げられる予定です。
 「日本の中間層の重税感が強いのは、所得税・法人税が控除や特別措置で抜け穴だらけになった一方、消費税だけがじわじわと上がってきたことが大きい。財政のありがたみが感じにくいのです。政府には増税の先にどういう将来が待っているのか、そのビジョンを示すことが求められています
 ――次の時代の財政はどうあるべきですか。
 「国民が主体的に参加して財政を有効に機能させる。経済を活性化させて、心の豊かさが得られる日本へとかじを切る。『公の再創造』の始まりを期待しています」(聞き手・日浦統)
     *
 じんのなおひこ 1946年生まれ。東京大学教授、関西学院大学教授を経て2017年から日本社会事業大学学長。政府の税制調査会や地方財政審議会の要職歴任。
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190423 一年前:7 047 司馬遼太郎「燃えよ剣 下巻」(新潮文庫:1964)感想5

2019年04月23日 20時10分31秒 | 一年前
4月23日(火):
7 047 司馬遼太郎「燃えよ剣 下巻」(新潮文庫:1964)感想5
4月21日(土):  438ページ    所要時間5:45    蔵書(1990年の42刷)著者41歳(1923~1996:72歳)読み終わると、改めて司馬遼太郎の代表......

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190423 おいおいマジかよ?「北方四島、日本帰属」記述抹消って!国民に説明もなしに勝手にやってんじゃねえよ!内弁慶の腰抜けのカス!

2019年04月23日 19時41分45秒 | 今、思うこと&意見
4月23日(火):  

俺はナショナリストじゃないが、北方四島にはそれなりの思い入れはある。高田屋嘉兵衛の択捉航路の開拓、近藤重蔵の「大日本恵土呂府」の標柱はどうなったんだ? 今までさんざん北方四島について国民を煽ってきたくせに、国民に何の説明もしないで、ロシアが強く出ると怖いからしっぽを巻いて誤魔化すというのか?

「北方四島の日本帰属」って、根本的な問題じゃないのか? それを国民への説明なしで、そんなに簡単に変更していいのか??? 沖縄の人々の生活や誇りは簡単に踏みにじり続けられるのに、ロシアのプーチンの顔色ばっかり窺って、歴史的背景を無視して日本の領土の帰属問題の記述を抹消するって、アベはどこまで内弁慶の腰抜けなのか!

「日本帰属」の記述を抹消するなら、日本国民の前でしっかりと説明してから堂々とやれよ! 火事場のコソ泥みたいな卑しい精神性が衆目にさらされているのがわからないのか。カス。

朝日デジタル:「北方四島は日本に帰属」記載を削除 外務省が配慮か 4/23(火) 10:23配信
  外務省は23日の閣議で、2019年版の外交青書を配布した。北朝鮮に関する記載を大きく変え、18年版にあった「圧力を最大限まで高めていく」などの表現を削除。ロシアについて「北方四島は日本に帰属する」との表現を削った。拉致問題や北方領土問題の打開に向け、北朝鮮やロシアへの配慮をにじませた。
  北朝鮮の項目で「圧力」や「脅威」との表現をやめ、昨年6月と今年2月の米朝首脳会談などを列挙し、「国際社会が一体となって米朝プロセスを後押ししていく」との表現にとどめた。拉致問題は18年版と同様、「主権や国民の生命と安全に関わる重大な問題」と指摘。「拉致問題の解決なくして国交正常化はあり得ない」と記載した。
  ロシアの部分では、18年版で強調していた北方四島の帰属については触れず、これまでの日ロ交渉の過程を明記。「両首脳の強いリーダーシップの下、領土問題を解決して平和条約を締結すべく、交渉に粘り強く取り組んでいく」とした。
  一方、韓国については、慰安婦問題や日本企業に賠償を命じた元徴用工をめぐる韓国大法院(最高裁)判決を詳しく記載。「非常に厳しい状況に直面した」とし、18年版にあった「日韓関係を未来志向の新時代へと発展させていく」などの前向きな表現を削除した。
  外交青書は毎年発行され、国際情勢や日本外交について政府としての現状認識や方針が示されている。
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190421 一年前:180421 財務大臣、財務事務次官、財務省、セクハラ大国ニッポン。恥ずかしい…。今は何時代なのか。

2019年04月21日 18時25分16秒 | 一年前
4月21日(日):
180421 財務大臣、財務事務次官、財務省、セクハラ大国ニッポン。恥ずかしい…。今は何時代なのか。
4月21日(土):あきれ果てて物が言えない。アベ・アソウが作ったニッポン、チャチャチャッ!文春オンライン:大山 くまお「福田次官セクハラ更迭 なぜかテレ朝の女性記者が叩かれ......

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190420 政府広告にキレた!どこまで恥知らずになれるのか?<子どもの貧困>は人々の善意ではなく、<国家の最優先>課題の政策!である。

2019年04月20日 23時31分32秒 | 今、思うこと&意見
4月20日(土):   

今朝、朝刊の一面を見て呆れ返ってしまった。子どもは<国の未来>である。<子供の貧困>問題は政府にとって最も緊急を要する解決すべき重要課題である。それを放置して、解決を<一般市民の善意>を促す形で<責任転嫁>して頼っているとはどういうことか? 我々は、何十年も過重な税金、社会保険料を納めて耐え続けてきている。その上、政府が最も責任をもって取り組むべき<子供の貧困>問題をボランティアで取り組めというのか? まるで、<子供の貧困>問題が<国の責任>ではないかのような振りをして、<政府の不作為>に頬かむりして誤魔化してしまっている。これを恥知らず!と言わずして何と呼ぶべきか。

一方で、アメリカの一時的なご機嫌取りのために、一機100億円の戦闘機を100機以上一度に買うという。計1兆円超である。数千億円の陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」を購入設置。そして、沖縄の人々の反対の願いを踏みにじって辺野古埋め立てを強行し、さらに軟弱地盤問題にぶつかり、砂の杭を7万6699本打ち込む工事で埋め立て費用合計は2兆5500億円になるという。

また、北朝鮮が、日本との戦後補償で目指している額が、1兆円~2兆円だと言われている。それをはるかに超えて武器を買い、基地を増設する必要があるのか…?どうしてこんな風に底なしに国家の金と時間をどぶに捨てるようなことができるのか。

これらはすべて我々から搾り取った血税であり、国民の財産である。<子供の貧困>を民間に委任するのは“本末転倒の極み”である。今の政府は事の善悪、理非曲直がまったく見えていない。<子どもの貧困>は人々の善意ではなく、国家が最優先で全力で税金を投入して取り組むべき課題なのだ。それを上記のような広告を載せることで、<政府の責任>を誤魔化して平気で済まそうとするのは絶対に間違っている!

県は軟弱地盤の問題がいずれ主戦場になると予測してきた。対策の一つが辺野古工事の膨らむ事業費と工期の計算だ。/政府は埋め立て工事で工期5年、事業費2405億円を計画する。現在は全22カ所の護岸のうち、6カ所が完成し2カ所が建設中だ。政府が18年10月に示した資料では3月末までに920億円を業者に支払っている。/県は政府から提出を受けた資料などから積算し、ここまでで政府は91億円かかる計画をたてていたとみる。工事の遅れですでに10倍以上に膨らんだとの見立てだ。埋め立て費用も単純に10倍し、2兆4000億円かかると見積もる。/軟弱地盤の対応も試算した。山口県の岩国基地の沖合移設事業を参考に5年の追加工期が必要だと指摘した。地盤改良と土砂調達で1500億円をさらに工面しなければならず、埋め立て費用合計は2兆5500億円にのぼると結論づけた。(日本経済新聞2019/2/2 23:00)
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190416 一年前:180415 合掌 m(_ _)m 「時事放談」で野中広務師追悼特集(古賀誠、藤井裕久)

2019年04月19日 00時02分31秒 | 一年前
4月16日(火):

2018年4月15日(日):    
                        多くの人が参列した野中広務さんのお別れの会(京都市下京区) 
 今朝のTBS「時事放談」録画を繰り返し観続けている。1月26日に逝去された非戦の政治家野中広務師(136回出演:92歳逝去)の追悼特集で、生前を知る二人の大物政治家が野中師について語り合う内容だった。俺にとっては永久保存版である。

 野中師は、俺が人生で同時代的に最も尊敬した政治家だった。その野中師を卑劣な差別で貶め陥れたアホウが副総理兼財務大臣を務める現政権が腐敗政権になることは必然だった。それに無知で無恥な虚言癖のある私利私欲のガキンチョが総理なのだ。今の日本は罰を受けているのだと思う。政権交代の後、アベを徹底的に訴追して、牢屋に送り込まなければ日本を立て直すことはできないだろう。それは自民党政権では無理だ。

 二人の大物政治家は野中師を以下のように、述べている。
 *古賀誠77歳:日本政界最強のリベラル。弱者に優しく思いやりのあるリベラル。
 *藤井裕久85歳:本当に立派な人だった。最高のリベラリスト。

京都新聞弱者に寄り添う人柄しのぶ 故野中広務さんお別れの会
  自民党幹事長、官房長官などを歴任し、1月に92歳で死去した野中広務さんのお別れの会が14日、京都市下京区のホテルで営まれた。政財界や宗教界など幅広い分野から約3千人が参列し、政局を動かした辣腕(らつわん)と弱者に寄り添った人柄をしのんだ。
  実行委員長の二階俊博自民党幹事長は式辞で「われわれの道しるべとなった先生を失ったことは、国家の大きな損失」と悼んだ。安倍晋三首相は野中さんが府議時代に京都府政を革新から保守系へと転換させた経過に触れ、「正義を貫き、不正を憎み、弱き者に寄り添った。先生が守り、引き継いでくださった素晴らしい日本を守り抜く」と語った。
  遺族を代表して長女の河合多恵子さんがあいさつし、「息を引き取った顔は少しほほ笑み、穏やかだった」と臨終を振り返った。「平和な国を築く理想を掲げ、長く孤独な道を歩いてきたお父さん、本当にお疲れさま」と静かに語ると、ハンカチで涙を拭う人もいた。最後に伊吹文明元衆院議長が「野中先生に賜(たまわ)った温かい気持ちを、残されたご遺族に注いでください」と参列者に謝辞を述べた。
  「政敵」だった小沢一郎自由党共同代表や、森喜朗元首相ら与野党の政治家が多数参列した。1994年の松本サリン事件で容疑者扱いされ、当時国家公安委員長だった野中さんから直接謝罪を受けた河野義行さん、野中さんが沖縄振興に尽力した縁で交流のあった稲嶺恵一元沖縄県知事、中国の程永華駐日大使も遺影に手を合わせた。
  作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんは参列後、「いざという時にちゃんとした言葉をいただける頼りになる人だった。とっても寂しいです」と話した。
  野中さんは旧園部町議、同町長、府議などを経て、83年の衆院補選で初当選。2003年に政界を引退した。お別れの会は自民党や全国土地改良事業団体連合会、野中家などが主催した。15日には地元の南丹市でお別れの会がある。【 2018年04月14日 23時30分 】


*アベの弔辞は、滑稽なお笑いぐさである。敢えて言えば、アベではなく、時の<総理大臣>が言わねばならない弔辞だったということだ。
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190411 再掲:181201 山田洋次監督映画「学校」(1993)を観た。日本は25年前より貧しく卑しくなっている。

2019年04月11日 22時25分44秒 | 一年前
4月11日(木):

立憲民主党、頑張れ! 妥協してはいけない! 立件民主党には既にしっかりとした<コアな支持層>が存在する。この支持層を裏切ってはいけない! 鵺(ぬえ)の如き国民民主党は早く消えて無くなれ! 心ある国民党議員は早急に前原詐欺師と手を切り、辞を低くして立憲民主党の<枠組み>に合流して野党共闘を実現せよ!

4ヵ月以上前の記事なのに、連日多くの方々が読んでくれているので、再掲させていただきます。よろしければお読みくださいませ。そして、私(もみ)の「8 049 橋本健二「新・日本の階級社会」(講談社現代新書:2018)感想 特5 」「190129 京都の参議院議員候補は立憲民主党の<増原裕子>で決まり! ※前原詐欺師の国民党は早く消滅しろ。忘れないことが我々の闘いだ!」の声にも傾聴して頂ければ幸甚です。m(_ _)m

181201 山田洋次監督映画「学校」(1993)を観た。日本は25年前より貧しく卑しくなっている。
2018年12月01日 15時23分25秒 | 映画・映像

2018年12月1日(土):                   

昨日、念願の山田洋次監督の映画「学校」(1993)のBS放送があった。録画をして久しぶりに繰り返し観た。

中国残留孤児を母に持つ中国人青年(日本国籍?)、在日コリアンのオモニ、戦後の混乱期貧しく仮名文字すら学べなかった高齢の労働者、不登校の女の子とヒビのいった夫婦(その後離婚、家庭崩壊)、何らかの理由で学べず働きながら、あるいはぶらぶらしながら寄る辺なく学びに来ている若い男女、心身ともに少し弱くて普通の学校に通えなかった青年、みんなが自らの「居場所」がなく、誇りを持てなかった人たちである。それでも、前を向いて生きよう、前を向いていきたいと思った時に「学校に行きたい。学びたい。」と考えた。

競争ではなく、学力ではなく、みんながお互いの「学びたい」という思いを大切にし合いながら集い、寄り添いながら学ぶ場所、それが夜間中学だった。そして、夜間中学の存在意義をまさに体現した存在としての西田敏行、竹下景子をはじめとする先生たちがいる。誰がなんと言おうとここには「学びたい」という思いだけを大切に認め合うユートピアが存在している。

25年前の映画である。月並みな問いだが、「今の日本は当時よりも少しは良くなっただろうか。」。俺には、状況はかえってひどくなっている、としか思えない。何よりも本質的なことは、25年前には「世の中を少しでも良くしていこう。良くしていかねばならない。今はできていなくても、日本社会にいる人間はみんな人間としての尊厳を持てるように大切にされなければいけないのだ」という前向きな理念、志(こころざし)が生きていた。いつの時代も理想が実現することは難しいだろう。しかし、この前向きな理念、志(こころざし)さえ大切にされていれば、社会に希望が持てる。

今の日本は、あの頭の悪いどぶの目をした男を担ぎ上げて、自分たちの利益やゆがんだ主義主張を押し通そうという少数の勢力が日本社会を乗っ取る腐敗した構造ができ上り、かつての未来への希望ある展望は失われている。今のままではどぶの目をした男が政権の座から墜落しても、この男を利用できてきた構造自体は残っているので、別の神輿が担ぎ出されて目先を変えても結局同じ状態が続くだろう。

再び手を変え品を変え「パンとサーカス」が供されて、少なくとも2025年まで「日本人(とは何か?)」はバカ踊りを続けるのだ。本当に大切な、そして難しい「人間存在の多様性を認め合い尊重されなければならない」「一人一人の個人が人間として尊重されなければならない」という課題は置き去りにされ、政府がきちんと向き合うことはない。それらは、ますます少数の限られた個人のボランティアの取り組みに片付けられて、問題は深刻化し後戻りできないところに行きつくしかない。構造的差別、構造的貧困、「自分さえ良ければよい」「今さえやり過ごせればいい」という刹那主義の蔓延する中で、目の前で苦しみ泣いている人間の存在が見えなくなる。すべては<自己責任>、弱い者が自分より弱い者を探し出して安堵しながら、さらに弱い者いじめをする。強者は高みの見物をして、自分の力の固定化、世襲化にのみ力を注ぐ。

25年前の映画なのに、ここで提示された問題を日本社会は何ひとつ自らの意志と努力で解決できなかった。すべては弱者による自己解決と老齢化による消滅を待つのみだった。それでも、当時は「それではいけない」という前向きな理念と志(こころざし)があったが、今は意図的に(!?)無関心がはびこらされてそれらすら忘れ去られている。

日本社会の抱える問題は、どぶの目をした虚言癖の男と口と心のねじ曲がったゲスが政権に付いたこの6年間で取り返しがつかないほど、それこそ不可逆的に深刻化してきた。古くからの弱者、マイノリティの取り組まねばならない問題は、ほとんど置き去りにされたままで、新たに取り組むべき弱者、マイノリティの問題が、今後急速に加速度をもって雪だるま式に増えていく。衆議院を何ら審議しないまま強行採決した外国人労働者受け入れの法案は、日本の将来にとって恐るべき禍根を残すだろう。

事実上の移民となる外国人労働者の数が一定数を越えた段階で、今の日本社会の形は大きく決壊して無残なことになるだろう。何より、外国人労働者は日本のこれまでの価値観とは違う、例えばイスラム教など独自の強固な価値観(ドグマ)を持つ人々であり、少子化の日本社会にあって急速に多くの子供を産み育て始めるだろう。しかし、忘れてならないのは彼らは「人権を尊重されるべき人間なのだ」ということ、「彼らは日本で子供をもうけ、その子供たちは<日本生まれの人間>であり、急速に増加していく」ということ。簡単に、ルールに従って帰ってもらうべき存在ではないのだ。人間を<道具>のように付け外し自由と考える国家や社会は恐ろしい世界だ。

また、急速に増える外国人労働者やその子ども(<日本生まれの人間>)は、単に弱い存在ではない強固なドグマを持ち、これまでの日本社会や民主主義の手続きとは相容れない存在の人々もいるだろう。住民間で様々な問題、軋轢が生じるだろう。法治主義を掲げても、“差別に対する絶望”を前提にした若者の<暴力>、<自爆>を防ぐ手立てはあるのか。イスラムの教えに対応する社会の準備はできているのか。

目先の労働者不足を解消するために、女性や障碍者、社会的弱者の人権、社会参加、低賃金労働者の待遇改善などの問題を置き去りにして、受け入れを急いだ外国人労働者の労働条件が人間らしいまともさを保障されたものとなるとは思えない。今後ますます矛盾は広がり深刻化していくことだろう。人間はすべて、賢さ以外に弱さ、愚かさ、過激さなども抱えた存在だ。いつまでも不当な差別や暴力に耐えるだけの存在ではない。人間としての存在を主張し、闘いを挑み、時に暴力、犯罪にも手を染めることもありうる。そんな時、「予想もしていなかった」として国家権力の暴力で対応するのか。<日本で生まれた外国人>の若者たちに、警察は銃口を向けるのか。あり得ない。

いくら十分に起こりうる事態を想定しておいても足りることはないだろう。それなのに内容スカスカの目先だけしか見えてない外国人労働者受け入れ法案を現政権が強行採決するのを「実行力がある」「頼もしい」とする一定数の国民がいることが空恐ろしくなる。将来必ず、日本人(って何?)、日本社会は天罰を受ける。その責めはすべて現在の我々にある。子どもたちにひどい矛盾と苦しみを付けとして残していくことに心から申し訳ないと思う。

若い時の俺は少なくとも「世の中は、いや日本社会は、少しずつであってもよくなる方向に進んでいくのだ」と信じて疑わなかった。今、それが大きな誤りだったと言わざるを得ない。25年前の弱者・マイノリティの人権問題が、愚劣な政治屋の不作為、ポピュリズムに迎合するマスコミの無責任、グローバルのはずが内向化して無関心・無行動の日本人(って何?)たちのもとで、何も解決しないで、むしろ後退してきた。弱者・マイノリティの差別・人権問題は新たな装いに改めて拡大再生産されていく。

息を吐くように政治屋や官僚が嘘をつき、見せしめの弱い者いじめを平気でする。当然のように<人権>が軽視され、踏みにじられる。それを多くの子供や若者が見つめている。絶対、教育によくない!。今後、悪い影響が必ず出てくる。沖縄、福島、地震・台風の避難民、自分さへ関わらなければよいと思っていたことが、いつの間にか大変な思いをして納めている血税は、どぶに捨てられ、数千億、兆を超える莫大な金がアメリカからの武器購入に回されている。もう少しだけでも従米的でない自立的安全保障政策を模索し防衛費をしぼったお金を社会保障費に回せれば、日本の社会は劇的に変わるはずなのだが、一体日本の政策はどこを見て行われているのか。今の日本は、アメリカの最大の植民地だと言っても過言ではないだろう。

今の時代「国益を犯す」というのが、絶対的なきめ言葉になっているそうだ。しかし、「国益」とは何か。誰の利益が、国の利益なのか。「国民」の利益か、全くそういう風に見えないのはどうしてだ。そもそも「国家」とは何のために存在するのか。そこに住む人々の福利、社会保障を目的とするものではないのか。こんなことを考える俺は日本国籍を持っているが「非国民」なのか。今時「日本人」って何なのか。由緒正しい「日本人」というのがいたとして、そいつらだけが「日本人」なのか。そいつらが「日本(って何?)」のことを本当に思ってくれているのか。そんな風には全く思えないのはどうしてだ!

そろそろ、朝起き後の頭のさえた状態が鈍ってきた。昨夜、録画撮りしたかった山田洋次の映画「学校」(1993)を久しぶりに繰り返し観て感じた由無しごとを、特に推敲もせず徒然なるままに書き連ねてみただけなので、乱文お許しいただきたい。また、手を入れられたら入れます。

結局、今の日本は25年前よりもよくなっていないどころか、前向きな理念、志(こころざし)が失われた分だけ卑しく悪くなっている。何よりも未来に希望を持てなくなっている。そして、これはファシズムの起こるお膳立てができ上ったということだ。

181215追加政治がこれほど平気で簡単に悪用されるものだとは知らなかった。戦後日本は間違いなく、悪い方で“新たなステージ(段階)”に突入した。すでに取り返しのつかないことになっているが、それでも一刻も早く新たな対抗運動を創り上げなければいけない。
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190411 ブラックホールの撮影に成功 世界初 一般相対性理論を証明

2019年04月11日 00時05分05秒 | 日記
4月11日(火):  
© 毎日新聞 M87銀河の中心にある巨大ブラックホールの影(中央の暗い部分)をとらえた画像=国立天文台など国際研究チーム提供
毎日新聞ブラックホールの撮影に成功 世界初 一般相対性理論を証明
2019/04/10 22:07

 世界で初めてブラックホールの影を撮影することに成功したと、日米欧などの国際研究チームが10日、発表した。ブラックホールの存在は約100年前にアインシュタインの一般相対性理論によって予測されたが、強大な重力で光さえも外に出られないため、観測が難しかった。研究チームは高解像度の電波望遠鏡を利用してブラックホールのごく近傍のガスが発する電波を精密に観測し、影絵のようにブラックホールを浮かび上がらせた。
 一般相対性理論の正しさを証明するとともに、銀河の中心にあると考えられてきた巨大ブラックホールを直接確認した成果。ブラックホールの影の大きさから質量などを算出し、銀河の起源や進化を解明する重要な手がかりとなる。
 チームは2017年4月、おとめ座の方向にあり、地球から約5500万光年離れた楕円(だえん)銀河「M87」の中心にあると考えられていた宇宙最大級のブラックホールを観測。南米チリにある「アルマ」をはじめハワイ、南極など世界6カ所にある8台の電波望遠鏡の観測データを約2年かけて慎重に解析した。
 その結果、ブラックホール周辺部のガスがリング状に輝き、中心が影のように暗くなっている画像が得られた。リングの直径は約1000億キロで、そこからM87の中心にあるブラックホールの質量は太陽の約65億倍だと算定できるという。
 プロジェクトには約200人の研究者が参加。日本の研究者の代表を務める本間希樹(まれき)・国立天文台教授(銀河天文学)は「誰もその姿を見たことがなかったブラックホールの姿を撮影でき、アインシュタインの一般相対性理論を裏付ける結果となった。過去100年にわたる物理学的、天文学的な問いに対する明確な答えだ」と話した。【斎藤有香】
ブラックホール
 極めて高密度、大質量で重力が非常に強く、周囲にあるガスなどの物質を引き込む天体。光の速度でも脱出できない。角砂糖の大きさで地球ほどの質量を持った物体はブラックホールになるとされる。重い星が一生の最後に自己の重力によって収縮してできるタイプのほか、銀河中心に巨大ブラックホールがあると考えられているが、巨大ブラックホールの成因はよく分かっていない。
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8 050 金谷俊一郎「金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本  文化史」(東進ブックス:2010)感想4

2019年04月09日 01時54分01秒 | 一日一冊読書開始
4月8日(月):  

211ページ      所要時間2:45      アマゾン514円(2018年1月 第19版:売れている!)

著者43歳(1967生まれ)。予備校講師。

著者は学者ではない。日本史を専攻したのかもわからない。従って、本書に学術的価値はない。一方で、高校生にとって使いやすい参考書であるか、の価値は論ずることができる。「金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本」のシリーズ、原始・古代史、中世・近世史、近現代史、文化史の4冊のなかでは、本書「文化史」編が最も価値が高いと評価できる。

特に本書の値打ちは、後半以降の近世史と近現代史の「文化史」部分である。進学校の学生を除いて、普通の高校生で江戸、特に元禄・化政文化を押さえることは大変だろう。その上に、明治、大正、昭和の膨大で煩雑な文化史を押さえることは至難のことである。

本書「文化史」編を読めば、まがりなりにも短時間で近世・近現代の「文化史」をざっとおさらいができる。その上で、何度も繰り返せば、まちがいなく能率的に力がつくと思う。

政府は数年後をめどに、紙幣を刷新するそうだ。 1万円渋沢栄一、5000円津田梅子、1000円北里柴三郎ということらしい。いずれも近現代史の主役たちである。
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150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)