韓流ラブストーリー完全ガイド夢幻の愛号 (COSMIC MOOK) | |
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チョルはあてどなく雨の降り出した街を歩きました。
その時、バスが目に入りました。ラッピングバスです。自分の顔が・・・漫画の主人公“カン・チョル”の顔が描かれたバスです。
思わず近づいてしまいました。
書店に行きました。そこで、持っているお金で『W』を読みあさったのです。
自分の人生の全てがそこに描かれていました。
ヨンジュの言葉は真実でした。そして自分は漫画の世界で、虚構の世界を構成するピースの一つに過ぎない事も分かったのです。
ショックのあまり、座り込んでしまいました。
呆然自失のチョル。
閉店時間になったと店員に促され、書店を出ました。向かったのは、ヨンジュの病院でした。
「婚約者と言えば分かる。」
そう言ったと、同僚のソクボムが知らせてくれました。でも、ヨンジュは何を馬鹿な事を・・・と一笑にふそうとしたヨンジュですが、何か引っかかるものを感じ、ロビーに行って見ました。
何とそこに居たのはチョル。
自分が又知らないうちに漫画の世界に引き込まれたのか?いや、ソクボムもいるし、ここは自分が勤務する病院だ・・・。
ヨンジュは混乱しました。
チョルは、ヨンジュの腕をとり、屋上に連れて行きました。そこで、事情を話したのです。
「悔やんでも悔やみきれない。君の忠告に従うべきだった。」
チョルは言いました。
俺の為に君が黙っていたと、今なら分かる・・・と。最後に礼が言いたくてここに来た・・・と。
どこかに行こうとしているチョルを、このまま黙って見送ることなんてできないとヨンジュは思いました。ヨンジュは漫画の世界に引きずり込まれた時、自分を証明するモノを何も持っていないし、お金も無かった。それがどれほど心細く大変な状況かよく分かっていました。だから、待ってて・・・と言いました。手術に入る予定になっていたのです。
すぐに終わる手術だから・・・とヨンジュ。
行こうとしたヨンジュを、チョルが引き留めました。kissしました。
でも、ヨンジュが戻った時、チョルの姿は無かったのです。
チョルは、オ・ソンムの元を訪ねていました。自分を作り上げた人ですからね。
留守でした。
窓を割って侵入しました。
そこで、チョルは自分の世界の設計図とも言える登場人物や自分の部屋等のデッサンを見たのです。
ますます絶望的になるチョル。そしてもう一つ。ヨンジュがソンムの娘だと言う事もここで初めて知ったのです。
ソンムが帰宅して来ました。
携帯にヨンジュからの着信があった事を知り、折り返し電話しました。その時、チョルが現れたのです。
驚いたソンムは、携帯がヨンジュにつながった事にも気付きませんでした。
ヨンジュは、父とチョルの会話を聞く事になったのです。
チョルはソンムと初対面じゃ無いとすぐに気付きました。
屋上で自分にトドメを指そうとした人物だと。
実は、謎の犯人が、チョルを刺した後、現れたソンムが、助けを求めるチョルを刺したのです。チョルが必死に反撃し、同じナイフでソンムを刺したのに、ソンムには傷一つつかなくて。そのままソンムは逃げてしまったのです。
チョルはソンムに怒りをぶつけました。ソンムはチョルを殺そうと襲いかかりました。
でも、チョルに敵う筈ありません。
「娘に感謝しろ。ヨンジュさんに免じて手加減してる。」
銃を突きつけながらチョルは言いました。ソンムが殺そうとするたびに、ヨンジュが助けてくれていましたからね。
チョルの人生はソンムの筆一つで決まっています。
ソンムの無責任さ、意志の弱さゆえの苦しみをチョルを描く事で忘れ、苦しみをチョルに背負わせることで鬱憤を晴らし、結果的に富を得たわけです。
チョルには許せない事でした。
自分が苦しんで来た全てがソンムの作り上げたモノで、自分にも家族にも何の責任も無いわけですからね。
苦しみから逃れるために死のうとしても、気まぐれを起こして又生きさせたり・・・とチョル。
でも、チョルが生きようともがいたのは、チョル自身の意志だったとソンムは思っています。自分が描いた覚えが無いからね。そのあたりから勝手に創作されてきたわけですから・・・。
ソンムも自分の弱さを充分意識していました。
だから逃げようとした事もあったようです。でも、幼いヨンジュがいました。
ヨンジュへの愛情は決して変わらないモノで、娘の開業資金を稼いでやりたいと言う思いがあったので、仕事を放り出す事は出来ませんでした。
それ以来、ただひたすら「W」の完結する日が一刻も早く訪れるよう願っていたのです。
なのに、ヨンジュまでもが漫画の世界に引きずりこまれることとなり、とうとうチョルが現実の世界に出て来てしまったわけで・・・。
だから、あの日、屋上でチョルを刺した・・・とソンムは言いました。
「お前は虚像だ。漫画のキャラクターに過ぎない。何故俺の前に現れて人間のフリをするんだ娘まで巻き込んで勝手に話しを進めるな」
そして、チョルが手に持つ銃を指差して言いました。
それで撃て。撃てないだろう。お前は人殺しではない・・・とソンム。
「法と良心を重んじる正義漢だ。俺がそう設定した。」
ここまで来たのも、不屈の精神を持つ強い男に俺が設定したからだ。お前の自由意思では無い・・・と。
全部おれがお前に与えてやったんだ・・・とね。
チョル、流石に何も言えません。
呆然としてしまったチョルですが、すぐに立ち上がりました。
ソンムに当初予定していた結末を描けと言いました。予定通りの結末を描けば、停まってしまっている漫画の世界の住人たちが動き出し、正常に戻るかもしれない・・・とね。
でも、ソンムは無理だと言いました。自分には何もできない・・・と。チョルが納得しないと物語が進まない・・・と。
「俺が納得するエンディングは、真犯人が捕まって平穏な日常を送る事だ。」
とチョル。
真犯人を教えてくれ。それだけを知るために、ここに来たんだ・・・と。
なのに・・・ソンムは言ったのです。真犯人はいない・・・と。
「それもまた設定だった。主人公を強くするための設定。」
つまり、犯人の正体など、どーでも良かったと言う事ですよね。単に主人公のキャラクターを印象的にするためだけに、設定された殺人事件なので、その動機も犯人の正体も元々特に設定していなかったという事なんです。・・・よね?
生きているチョルにとって、それはあまりにも非情な事実でした。
チョルは確かに苦痛を感じて生きて来ました。苦しみ、悲しみ、絶望を幾度となく感じて生きて来ました。
そして、犯人が設定されていないと言う事は、決してチョルにとってのハッピーエンドは無いと言う事です。
ソンムの指先から生み出された無責任な事件によって自分がどれほどの苦痛を感じて来たか・・・とチョルは激怒しました。
でもね、ソンムにしても、責められても・・・という思いですよね。
チョルはソンムに向かって銃を突き出しました。引き金を引こうとしました。
でもやはり引けませんでした。そう言う設定ですからね、チョルの性格が。
その時、門の外からスボンの声が。
ヨンジュが連絡して、家に行くよう指示していたんです。チョルとソンムが言い争っていると。
その声で、チョルもソンムも冷静さを取り戻しました。
ところが、ソンムが得意げに言っちゃった。お前は俺を撃てない、そう言う設定だ・・・なんて。
その瞬間、チョルの感情の封印が解けた感じ。堪忍袋の緒が切れたみたいに・・・。
振り向いたチョルは、ソンムに向かって引き金を引いたーっ
これを全てヨンジュは聞いていたのです。
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