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深田萌絵さんのデマ創作事例・750℃編

2021年06月12日 | 深田萌絵事件
2024.01.20 元動画のアーカイブを追記






私は深田萌絵さんの動画は逐一見てるわけではないが、たまたま見た動画でまた変なことを言ってたので軽く考察した。




(アーカイブ)橋下徹参戦!足立康史が擁護する背乗り解放軍スパイの軍事研究とは!? - YouTube
https://web.archive.org/web/20210613194748/https://www.youtube.com/watch?v=lV5oiSVrgrs


中国のある論文を取り上げて、これは軍事研究に違いないとして、次のように言っている。

深田萌絵さん:
(18分付近)「どう見ても、これ軍事研究なんですよね。750℃まで温度を上げて走るクルマとかありませんから、どう考えても宇宙航空あるいはミサイルの技術なんですよ。」


この発言の周辺を考察するが、結論を書くと「SOFC/固体酸化物形燃料電池」の動作温度「750℃」が「すごい温度だ、軍事技術に違いない!ミサイルの研究に違いない!」と一人で勝手に暴走してるように見える。



1. クルマと750℃
- 自動車エンジンの燃焼温度は2,000-2,500℃
- 日産GT-Rの排気管(エキゾーストマニホールド)の温度は1,000℃以上

2. 軍事用断熱素材(ICBM弾頭保護)
- ICBM弾頭の大気圏再突入時の温度は7千℃
- 「はやぶさ2」帰還カプセルの大気圏再突入時の温度は1万℃
- 深田さんがいう「750℃」とは1桁違う

3. SOFC/固体酸化物形燃料電池
- SOFCの動作温度は通常700~1000℃
- SOFCの研究開発は日本が先行しているが、中国も後を追っている

4. SOFCは既に実用化された民生用技術
- 「エネファーム」として販売中




《1. クルマと750℃》


話がつい脱線気味になっているが、要するにクルマのガソリンエンジンの場合、燃焼温度は2,000-2,500℃付近、高性能な日産GT-Rの場合なら排気管(エキゾーストマニホールド)で1,000℃以上の温度になる。レース用のエンジンでも同じく排気管(エキゾーストマニホールド)で1,000℃以上は普通、という話。

つまり、750℃の取り扱いなんて軍事技術でもなんでもない。その辺の駐車場にある工業製品(自動車)で対応できている。












《2. 軍事用断熱素材(ICBM弾頭保護)》


軍事用の断熱素材というと、例えばICBM(大陸間弾道ミサイル)の弾頭保護用が思い浮かぶ。

ICBMは弾頭を一旦大気圏外まで打ち上げて、敵地に向かって大気圏内に再突入する。その際に、弾頭が大気を圧縮し、超高温になる。その高温で弾頭が破壊されてしまえば武器として役に立たない。そこで、断熱素材が必要となる。

その温度は、7千℃とも言われるし、武器ではないが「はやぶさ2」帰還カプセルの大気圏再突入時の温度は1万℃くらいではないかという。

このくらいの温度を扱うのは軍事技術と言える。深田萌絵さんがいう 750℃とは1桁違う。







ICBMの弾頭保護用断熱材を中国がいつ獲得していたかというと、おそらく80年代くらいではないだろうか。

中華人民共和国の大量破壊兵器
https://ja.wikipedia.org/?curid=2662268



北朝鮮の場合は、この頃にその技術を獲得しつつありながらも、まだ失敗したというところか。

IISSの専門家であるマイケル・エレマン(Michael Elleman)氏は、弾道部を搭載した再突入体(RV)について「ばらばらになって壊れた可能性が高い」と指摘。「まず外側の部分が外れ、それから完全に分解したようだ」としている。

北朝鮮ICBM、弾頭の再突入には失敗か 専門家が映像分析(2017年8月1日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3137677





《3. SOFC/固体酸化物形燃料電池》


そもそも、深田萌絵さんが動画で取り上げてる中国の論文は「SOFC/固体酸化物形燃料電池」の話だと自分で書いている。

つまり、深田さんが動画で言ってる「750℃」は「SOFC/固体酸化物形燃料電池」の動作温度の話である。


概要
現在知られている燃料電池の形態では最も高温(通常700~1000℃)で稼働し、単独の発電装置としては最も発電効率が良い(45~65%)。 電極、電解質含め発電素子中に液体が存在せず、全て固体で構成される。 電極間のイオン伝導は水素イオンでなく酸化物イオン(O2-)である。 化学反応が高温で行われるため、白金などの高価な触媒が不要である。 高温で稼働し水素以外に一酸化炭素も燃料にできることから脱硫処理は必要であるが簡単な水蒸気改質処理(一酸化炭素の除去が不要で、燃料中に若干の未改質ガスを含む改質)により都市ガスや天然ガスなどを装置内で改質しながら発電に用いることも可能である。また排熱の温度が高いため、排気ガスから直接タービンなどで二次的に発電したり、コジェネーションシステムとして更に熱効率を上げることができる。

固体酸化物形燃料電池
https://ja.wikipedia.org/?curid=3096568




この「SOFC/固体酸化物形燃料電池」については知財(特許)で見ると日本が先行してるようだが、中国も研究開発している。その動向は、次のツイートにあるNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)のレポートを見てもらえば良い。

それで、中国も「SOFC/固体酸化物形燃料電池」の研究開発をしているから、だからどうだというのか。

SOFCが何かも理解せずに、「750℃」という温度が「すごい温度だ、軍事技術に違いない!」と一人で勝手に暴走してるように見える。







また、識者の方から補足説明をいただきました。





《4. SOFCは既に実用化された民生用技術》


「SOFC/固体酸化物形燃料電池」は「エネファーム」として既に実用化され販売されている。したがって、軍事技術ではなく民生用の技術。もう誰でも買える。


2005年末、大阪ガスと京セラは他社に先駆け、開発目標の定格発電効率45%を超える1kW小型SOFCを発表しました。このことは業界全体に大きな衝撃を与えました。その結果、業界全体のSOFCの研究開発の方向性が、中大型の業務用から小型の家庭用へと大きくシフトしました。
(中略)
そして、4年間に及ぶ実証研究の成果を基に、家庭用SOFCコジェネレーションシステム「エネファームtype S」を開発。2012年4月27日、販売開始に至りました。

高効率な固体酸化物形燃料電池(SOFC)を使った、家庭用燃料電池システムを開発(取材:March 2013)
https://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201215osakagas/index.html


SOFCシステムは、発電ユニットとバックアップ熱源機の2つで構成されています。発電ユニットでは発電するとともに、発電時に生じた排熱をお湯として貯湯タンクに貯めます。貯湯タンクのお湯に水を混ぜ、バックアップ熱源機により設定温度に合わせてお湯を加熱し、給湯に利用します。



固体酸化物形燃料電池について/技術開発情報/取り組み・活動/企業情報/大阪ガス
https://www.osakagas.co.jp/company/efforts/rd/topic/1289546_45128.html




とはいえ、SOFCも燃料電池の一種なので、ノートPCやスマホのバッテリーとして使われている「リチウムイオン電池」が海自潜水艦に採用されたように、SOFCがいずれ軍用として採用されることもあるかもしれない。

ただし、繰り返すがSOFCは純軍事用の技術ではなく、民生用の技術である。

海中を進む際の動力として、従来の鉛蓄電池に代わりリチウムイオン電池を採用したのが特徴。潜航できる時間をより長くでき、相手から見つかりにくく、秘匿性がより高まるという。海自によると、リチウムイオン電池は昨年3月に就役した「おうりゅう」に世界で初めて搭載し、とうりゅうが2隻目となった。

リチウム電池でより長く潜航、秘匿性もアップ 潜水艦「とうりゅう」就役  - 産経フォト
https://www.sankei.com/photo/story/news/210324/sty2103240008-n1.html



いずれにしても、日本ではエネファームとして既に販売中のSOFCの技術に登場する750℃という温度だけを見て「軍事研究に違いない、ミサイル研究に違いない」と決めつける深田萌絵さんの妄想力は恐ろしい。

これに煽動される信者の皆さんも、一旦立ち止まってよく調べた方がいいと思う。




《改版履歴》


2024.01.20 元動画のアーカイブを追記
2021.06.12 新規




《関連記事》


深田事件の考察一覧
https://blog.goo.ne.jp/zf-phantom/e/94aa92677310e83bfae5d3ce982ffeff

深田萌絵事件リンク集
https://blog.goo.ne.jp/zf-phantom/e/bd2c799f63c376acf2054713fbc93cdc













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2 コメント

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Unknown (八洲子)
2024-01-16 02:20:03
深田萌絵さんが動画を削除しているようなので、アーカイブ(再生可)を置いておきます。
良ければ記事内にリンクを入れてください。

橋下徹参戦!足立康史が擁護する背乗り解放軍スパイの軍事研究とは!? - YouTube
https://web.archive.org/web/20210613194748/https://www.youtube.com/watch?v=lV5oiSVrgrs
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Unknown (ZF)
2024-01-20 17:05:30
八洲子さん、ありがとうございます。リンク入れておきました。
返信する

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