中国が「一帯一路」という経済圏構想を打ち出し、これを実現する資金源としてAIIBを発足させましたが、この構想は見方によっては日本の安全保障上もかなり怪しいのです。
以下の記事に書きましたが、物流と石油について中国自身の南シナ海依存度を下げ、南シナ海を軍事封鎖して日本を兵糧攻めにしても自身は困らない体制を構築しようとしているように見えるわけです。
AIIB出資は中国という敵に塩を送る行為
http://blog.goo.ne.jp/zf-phantom/e/97a5c1ead56e078ebd694b41fe232975
事実、以下の記事に取り上げましたが、「南シナ海に空母艦隊を置けば日本のシーレーンは容易に寸断できる」などという脅し記事が出され、さらに厳然たる事実として南シナ海の島嶼を埋め立てて軍事基地を建設中です。
なぜ、集団的自衛権?
http://blog.goo.ne.jp/zf-phantom/e/4c9b3df7900cf97a77cd4047eb7d44b7
孫子の兵法に次のような記述があります。
「故に上兵は謀を伐つ。其の次ぎは交を伐つ。その次は兵を伐つ。その下は城を攻む。攻城の法は、已むを得ざるが為めなり。」
一帯一路/AIIBは「謀を伐つ」に見えますし、これが成功して「兵糧攻めにするぞ」と脅せば日本を屈服させられると思っているでしょうから、これによって日米同盟を破壊できます。つまり、「交を伐つ」です。
そうすると中国は太平洋の西半分を手に入れるでしょうから、米国と最終決戦に臨むでしょう。
この読みが当たっていれば、中国は敵のカネを使って敵に勝つインフラを作ろうとしているわけです。
このようなリスクがあることが、日米がAIIBに出資しない、そして邪魔するひとつの理由だろうと思います。
欧州勢は鉄道の終着点ですから、その意味で利権狙いとしてのAIIB出資を考えたのでしょう。
ただ、日米が出資しないことで信用問題の関係からAIIB融資は金利が高くなるはずだからADBとの融資競争では不利だとか、余剰インフラ建設能力をこれでなんとか輸出して稼ごうとしているとか、原資にするはずの中国の外貨準備が高官の不正持ち出しなどで激減してるだとか、様々な問題が指摘されてるようですので、うまくいくかどうかはわかりません。