サムライ左近法務事務所の事件帳

本業の法律事件の他、考古学、歴史学、戦国山城等を、その実証から紹介します。

有終の美「遺言」

2008-09-29 20:10:33 | Weblog
親に殴られて育った子供が大きくなり,
自分の家庭を持った時

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我が子を殴ってしまうケース。
負の連鎖をいち早く指摘したのは
なだいなだ氏でした。

我が子は「みな可愛い」は親の真の姿だと
思いますが
子供は大きくなるにつれて性格が変わってきます。

私は親に殴られた記憶がありません。
ですから、子供にも手をあげた事は
一度もありません。

子が親を殴る。
精神的な虐待をする。
そんな中で生まれたのが
「高齢者虐待防止法」です。

自分が死んだとき
自分を虐待した子にも
平等に遺産が相続されると思うと
何か一抹の悲しさを覚えるかも知れません。

私論ですが
親孝行の子には手厚く残して
あげるべきかと思います。

そのためには
生きている間に「遺言」を書きます。

以下は、その説明です。
お役に立てば幸いです。





民法で定めた遺言の方式


遺言は民法で定められた、一定の方式に従わないと、
法律上の効果は、生じないことになっています。

遺言が効力を生じるのは「遺言者の死後」からになる為、
その時点で、遺言者本人の最終真意を確かめることができません。

それゆえ遺言者に、慎重な遺言書を作ってもらうと同時に、
他人の偽造・変造を防ぐべく、遺言に厳格な方式を要求している訳です。

尚、遺言には普通方式と特別方式がありますが、
ここでは、通常の普通方式について述べます。

【1】 自筆証書遺言
遺言者が自ら遺言の全文、日付および名前を書き、押印して
作成する方式です(民法第968条)。

①遺言者が、その遺言書の全文を「自分の字」で書く事。
②日付及び氏名を自書する事。
③押印する事。

いつでも、どこでも作成できて内容も秘密にできる長所がありますが、
遺言書を紛失してしまったり、死後見つからないこともあります。

また、第三者に隠匿されたり変造されたり、
更に内容に意味不明な点があったりすると、
遺言が無効になるおそれもあります。

当事務所では、そうした危険を回避するために、
遺言書の作成指導をし、遺言執行者として
遺言書を速やかに家庭裁判所に提出して検認を受けます。


【2】 公正証書遺言

公証人が遺言者の口から遺言の内容を聞き(口授)、
それを筆記して公正証書として作成する方法です(民法第969条)。
以下、その手順を述べます。

①証人2人以上の立会がある事。
②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授する事。
③公証人が遺言者の口授を筆記し、これを遺言者
 及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させる事。
④遺言者及び証人が筆記内容の正確なことを承認
 した後、各自これに署名し押印する事。
⑤最後は公証人がその証書が①から④の方式に従って
 作成したものである旨を付記して署名押印する事。

 
この場合、原本が公証役場に保管され、
遺言書検認手続を受ける必要もないのですが、証人2人以上の立会いや、費用が高くなる欠点があります。

最近は公正証書遺言を希望される
お客様が増えています。(当事務所への相談実績)

(公正証書の予備知識)

「公正証書」とは遺言に限らず、お金の貸借や
離婚した際の養育費の取り決めなど、個人間で
結んだ契約内容を法的に証明してくれる書類を指します。
全国に約300ある公証役場は国営機関で
公証人を通じて作成します。
公証人は検事や裁判官を30年以上経験した
準公務員で全国に約550人近くいます。
特に公正証書遺言の場合は、相続時での裁判所「検認」が
不要ですので、現在では自筆証書遺言より広く
普及していると言えます。

当事務所近くには
上田公証役場があり、少し離れた小諸市には
小諸公証役場があります。


● 民法上、証人になれない者(民法第974条)

①未成年者
②推定相続人、受遺者とその配偶者、直系血族
③公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

*判例上、推定相続人の配偶者も証人欠格者とされています。

● 公正証書作成前に準備して頂くもの

①遺言者の実印と印鑑証明証1通
②各証人の印鑑(実印でなくともよい)
③遺言者及び受遺者の戸籍謄本(抄本) 各1通
④不動産の登記事項証明書(不動産登記簿謄本)筆数ごとに各1通
⑤不動産の固定資産税評価証明書または評価通知書

● 公証役場での作成手数料

公正証書での遺言書作成手数料額は、遺贈する財産の
価額において定められています。

(財産の価額)   (手数料額) 
。100万円まで・・・・・5,000円
。200万円まで…・・・7,000円
。500万円まで・・・・11,000円
。1000万円まで・・・・17,000円
。3000万円まで・・・・23,000円
。5000万円まで・・・・29,000円
。1億円まで・・・・・・・43,000円
。3億円まで・・・・・・・43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額
。10億円まで・・・・・・95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額
。10億円をこえるもの・249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

(公証役場外執務)

①日当・・・・20,000円(4時間以内は10,000円)
②交通費・・実費額
③病床執務手数料・・・各事項の手数料の半額加算



【3】 秘密証書遺言

この方式では遺言書の存在は知られるものの、
内容を秘密にしておくことができます。
手順は以下の通りです。

①遺言者が遺言書に署名し押印をする事。
②遺言者が、その証書を封じ証書に用いた
 印章をもって、これに封印する事。
③遺言者が公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して
 自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述する事。
④公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載
 した後、遺言者及び証人と共に、これに署名押印する事。


代筆やワープロも可能ですが、遺言書の内容についてまでは、
公証人も関与しませんので、意味不明で疑義が生ずるおそれが出たり、
また証人2人以上の立会を要する点で,手続き上での煩雑さが伴います。

(私のホームページより)

http://www.aoki-houmu.com/