暇つぶしひつまぶし

四方八方に興味が伸びる一貫性の無いだらだら日記。
ブームは日々移り変わります。

勧めるのに躊躇する作家

2006年01月25日 | 本のこと。
「博士の愛した数式」
映画も先週から公開で、本も本屋大賞を受賞して売れに売れて有名な一冊。
小川洋子が大好きで、既刊本は殆ど網羅しているのですが、なぜかこの一冊だけは読んでいませんでした。
何故って、それは別に私が常日頃からベストセラー本を毛嫌いしているからではなくて、「数式」がひっかかっているからです。
パラパラとページをめくってみたときに、ところどころ目にする「数式」
ああ!ダメ!とてもダメ!
しかも息子の通称が√って!無理!ルートって何だっけ!?
数学恐怖症の私にはとても読めない・・・!
仕事は経理ですが、数字も算数も大嫌いです。

しかし文庫になっていたので、コレクター魂で買ってしまいました。
今現在半分ほど読みましたが、数式のくだりになると途端に投げ出したくなります。でも基本的には小川洋子作品に変わりないので面白いです。
数式が出てくるたびに明らかに読み進めるのが遅くなるので、読了までに相当な時間がかかりそうです。そこまでして読む必要があるのか?

小川洋子といえば「薬指の標本」がフランスで映画化なんて情報を昔見た気がするのだけどどうなったのでしょう?個人的には今回の「博士・・・」よりこっちの映画の方が気になります。
「薬指の標本」に収録されている「六角形の小部屋」という話の方が薬指よりちょっと好き。説明のつかない微妙で複雑な感情がとても理解できる。

それにしても、一貫して「喪失」の物語の多い作家ですね。
「密やかな結晶」がその中でも軍を抜いて好きな作品です。
切なくて哀しくて優しい。

私はこの人の書く「エロス」「残酷」「狂気」「妙にリアルで気持ち悪い食事描写」(あくまで私の視点ですが)を盛り込みつつも、上品で静かな雰囲気を崩さないところが好きなんだよなあ。
「ホテル・アイリス」までいっちゃうとエロス詰め込み過ぎですが。
でもこの作品も嫌いじゃなかったりする。

「博士」を読んだ後に他の作品を読もうと思って、手にとってしまった本によってはトラウマになりかねない危険を孕んだ作家だと思います。
うわ~是非「博士」以外の小川作品を読んだことのない人に「ホテル・アイリス」を勧めてみたい!鬼畜!サド!


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