あらすじ
北米東部。とある企業の実験室に勤務するレイは、誰とも
深く関わらないことを信条に生きてきた。彼の唯一の趣味
は、ロボット型プラモデルでのひとり遊び。ところが母の
葬儀の直後、ひとり暮らしのアパートから、レイはやむなく
実家に舞い戻るはめになる。
そこには、引きこもりのピアニストの兄モーリーと、ちょっと
勝気な大学生の妹リサ、猫のセンセー、そして“ばーちゃん”
が暮らしていた。
ばーちゃんは、彼らの母親が亡くなる直前に日本から呼び
寄せた3兄弟の祖母。英語が全く話せないばーちゃんは自室
にこもりきりで、トイレから出てくるたびに深いため息を
つく。そんなある日、以前母親が使っていた古いミシンを
見つけたモーリーは、「布を買いに行きたい」と、ばーちゃん
に訴える。
心の病のモーリーは4年間、外に出られずにいたのだ。
【出演】
アレックス・ハウス
タチアナ・マスラニー
デイヴィッド・レンドル
サチ・パーカー
もたいまさこ
感想 ※ネタバレ注意
様々な問題を抱える家族が、それを乗り越えていく姿を描く
「めがね」の荻上直子監督作。
監督自身のオリジナル脚本で、全編カナダで撮影。唯一の
日本人キャストとなる「プール」のもたいまさこを始め、
映画初出演のデイヴィッド・レンドル、「西の魔女が死んだ」
のサチ・パーカーらが出演する。
『かもめ食堂』等で人気の荻上直子監督が5年の構想を経て、
脚本を書き下ろした。自らが映画を学んだ北米を舞台に、
問題を抱えた一家を温かく描く。
日本の映画でありながら、全編英語で展開されるし、吹替えも
ありません、それでも3人の兄弟とばーちゃん、センセー
との小ネタの効いたシュールな展開と、言葉は通じなくても
家族という絆を丁寧に描けていたと思う。
こういうあたたかみのあるシュールさを描かせたら、この監督
はピカイチだと思う。
登場人物は、人とのコミュニケーションが苦手なレイが
実家に仕方なく帰ってくるところから始まる。
その実家には勝気な性格の妹のリサ、ひきこもりの天才
ピアニストの兄、モーリーそして、母の祖母にあたる
ばーちゃん、そして猫のセンセーがいる。
この登場人物たちがみんな丁度いい塩梅で、後々に効いてくる。
特にばーちゃん役を演じたもたいまさこは、劇中ほとんど
話さない。
初めは少し、もうちょっと子供たちと歩み寄れないものかと
思ってしまうが、その不器用さも観ているうちに良くなって
くるから不思議だ。
後、レイの同僚が何かにつけて、女性に飢えているところ
とか面白かった。
物語の展開としては、盛り上がりに欠けるかもしれないが
この監督の映画にそれは望めないだろうし、何より現実世界
の中では意外にも日常生活の中でしか、家族の絆の再認識は
確認されるものなんだと思う。
レイとばーちゃんが餃子を食べた後、たばこを吸うシーンや
葬式の後、トイレで初めてウォシュレットを体験したレイが
涙するシーンなど、じんわりと胸に響く。
そういう意味でも、すごくゆったりと有意義な時間共有が
出来る映画でもあるので、休みの日にゆったりと観ることを
おすすめします。ボクは結構、気に入りました☆
【評価】
(4.2点/5点満点中)
トイレット HP