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THE WAVE ウェイヴ

2010-06-28 | 洋画(あ・か)
 THE WAVE ウェイヴ


  あらすじ 
高校教師のベンガーは特別授業週間で独裁制について学ぶ
クラスを受け持つことに。若くて生徒からの人気もあるベンガー
は授業の一環として、生徒に独裁制を体験させようとある提案
をした。それは授業中に自分を指導者とした独裁制を行うと
いうもの。最初は嫌悪感を示す生徒たちだったが、やがてこれ
までに味わったことのない一体感に興奮していく。そして生徒
たちは自らを「ウェイヴ」と名乗って異物の排除を行うようになり。

【出演】
ユルゲン・フォーゲル
フレデリック・ラウ
マックス・リーメルト
ジェニファー・ウルリッヒ
ヤーコプ・マチェンツ




  感想  ※ネタバレ注意

教育の一環としてごく軽い気持ちで始めた、独裁制の体験授業。
しかしそれが徐々に熱を帯び始め、やがて高校生たちを暴走
させていく…。



「独裁」とは「ファシズム」とは何か?
おそらくほとんどの人が、過去の経験や歴史から「独裁」に
おいて、自分は独裁制には染まらないと思っていると思う。
だが、この作品では授業の一環としてその独裁制を取り入れる。
集団の中で得る一体感からくる、それぞれの生徒の高揚感が
次第に高まっていき、気づいた時には先生であり、総統でも
あるベンガーにも制御できない状態にあった。

この作品は1967年にアメリカ・カリフォルニア州の高校で実際
に起こった事件を基にしているという。それをあの独裁政権でも
有名なナチス政権のあったドイツが映画化し、舞台もドイツの
学校というところに、また意味があると思いました。
そして、簡単に独裁というものは人の中で生まれるということを
この作品は恐怖をもって教えてくれる。

「独裁」とは一部の個による、平等だと思っています。
この映画では、何もすべてが悪いとは言えない部分もある。
今まで個性が尊重されてきた現代で、逆に自由になると我を
出せない子供もいる。
進むべき道を示してくれた方が良いという子も、この年頃の子
には多いだろう。
自分がみんなの為に成せる達成感が学校では見えないところ
で「ウェイヴ」は、まさに津波のようにすべてを飲み込んで、
膨れ上がってしまった結果…ラストの惨劇に繋がった。

描こうとしているテーマが事実にそっていることもあるが、洗脳
…というか、事実は小説よりも奇なり…人間の心というものは
複雑な面と単純な面があり、そのジレンマで人は心を変化させて
いくものなんでしょう。
子供たちの家庭環境とウェイヴがリンクして膨れ上がるのはよく
出来ていたと思いますが、肝心のベンガーの内面などにも、もう
少し触れてくれたら良かったかな。




【評価】
 (3.8点/5点満点中)

 THE WAVE ウェイヴ HP

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない

2010-06-23 | 邦画(な・は)
 ブラック会社に勤めてるんだが、
          もう俺は限界かもしれない



  あらすじ 
ニート生活を送ってきた26歳のマ男は、母親を事故で亡くした
ことで一念発起。情報処理の資格を取得する。しかし試験に
落ち続け、最終的にパスしたのが、ある小さなIT企業だった。
そこで働くメンバーは、責任感ゼロのリーダー、お調子者の
リーダーの腰巾着、挙動不審なPCオタクなど、超クセ者揃い。
おまけに初出社日から毎日サービス残業をさせられ、徹夜の
連続という、ありえない仕事場だった。

【出演】
小池徹平
マイコ
池田鉄洋
田辺誠一
品川祐
田中圭
中村靖日
千葉雅子
森本レオ




  感想  ※ネタバレ注意

インターネットの掲示板「2ちゃんねる」の書き込みから生まれた
実話に基づく物語。
サービス残業、ムチャな仕事量、上司や同僚との人間関係
ストレス、安すぎる給料…etc。
そんな“ブラック会社”に飛び込んでしまったニート青年が、
奴隷のようにコキ使われながらも孤軍奮闘する様子を面白
おかしく描く。



監督は、前作『キサラギ』が映画賞を総なめにした佐藤祐市。
『ホームレス中学生』では中学生を演じた小池徹平が、主役を
演じている。


タイトル通りブラック会社に勤める元ニートの青年が、悪戦苦闘
しながらも成長していく姿を描くわけだが…監督があの『キサラギ』
の監督なので期待していたんですが、ちょっと期待し過ぎたの
でしょうか、肝心のブラック会社に関して映画の作風がそこまで
ブラックに感じさせないように仕上がっていたので残念でした。

これまでもIT企業における労働時間の問題は、問われてきた
のだが、この会社もそれに該当するブラック会社なのだ。
だが、意外と優秀な主人公は納品日に、悪戦苦闘しながらも
間に合わせたり、短期間のリーダーを務めたりする。
小池徹平の爽やかさが増して、いまいちブラックさが欠ける。

周りの役に立たない仕事の先輩たちも、ITで働く人にしては
キャラが偏ってるような気もするが、そこは面白いので良いかな。

IT企業の現状をユーモアに描いているのは好感が持てたが
あくまでブラック会社で、限界を描くには少し物足りない部分
があった。
救世主のようなイケメン先輩が、もっとすごい爆弾を落として
いたら話はまた変わったかもしれませんね。




【評価】
 (3.8点/5点満点中)

 ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない HP

エスター

2010-06-21 | 洋画(あ・か)
 



  あらすじ 
赤ん坊を死産したショックから立ち直れずにいたケイトとジョン。
この傷を癒すため、二人は養子を迎えることを決意する。
訪れた孤児院で二人は他の子と交わらず一人で絵を描く少女
に出会う。彼女の名はエスター。この聡明で絵が上手な少女
を喜びとともに迎え入れたケイトだが、その直後から奇妙な
事件が頻発する。ケイトはエスターに違和感を感じて周囲に
警告するが、逆に孤立してしまう。そして、事件は家族にも
及び始めた…。

【出演】
ヴェラ・ファーミガ
ピーター・サースガード
イザベル・ファーマン




  感想  ※ネタバレ注意

孤児院の少女を養子に迎え入れた夫婦が、その日以来奇妙
な出来事に遭遇する恐怖を描くサスペンス・ホラー。
『蝋人形の館』のジャウム・コレット=セラ監督がメガホンを取り
実子を流産で亡くしたことへのトラウマと謎めいた養女に苦し
められる夫婦の姿を追う。
悪魔の形相を見せる少女役の子役イザベル・ファーマンの
熱演。



映画のジャケットを観ただけで、この子おかしいと思わざるを
えないが…これまでこういった類のホラーサスペンスはいくつ
もあった「オーメン」みたいな。
そんな内容の映画だが、中々丁寧に作られたサスペンスだ。

エスター役を演じたイザベル・ファーマンがとにかくすごい!
こういう映画は肝となる子役がどこまで演技できるかで作品
自体の面白さが欠けてしまうのだが、エスターだけでなく他の
子役も悪くない演技だった。

またこのエスターは、父親や母親以外の大人には表面はとても
良いのだが、母親にだけは、わかるような本性を見せてくる。
徐々に怪しみだした母親が夫や周りの大人に説明しても
わかってくれないのだ。
そういったやきもきした気持ちを観る側に与えるのがうまい
作品だった。
それにしても彼女が描いた絵が、個人的にツボでした(苦笑)。

ただ、わからないのが2人子供がいて3人目を流産させて
しまった母親が悩んだり、アルコールに依存するのはわかる。
しかし、2人の子供がいるのに、3人目をわざわざ養子に
迎える理由が少し弱い気がする。

しかし中盤からラストにかけて、急に本性を見せ始めるエスター
には、最近満たされなかったサスペンスとしての恐怖を感じた。
エスターの正体にも驚愕したけど…彼女の演技がうまくて
本当にそう思えてしまうからすごい。




【評価】
 (4点/5点満点中)

 エスター HP

空気人形

2010-06-17 | 邦画(あ・か)
 



  あらすじ 
古びたアパートで持ち主の秀雄と暮らす空気人形は、ある朝、
本来は持ってはいけない「心」を持ってしまう。彼女は秀雄が
仕事に出かけるといそいそと身支度を整え、一人で街へと
歩き出す。メイド服を着て、おぼつかない足取りで街に出た
彼女は、いろいろな人に出会っていく。
ある日、レンタルビデオ店で働く純一と知り合い、そこでアル
バイトをすることになる。ひそかに純一に思いを寄せる彼女
だったが…。

【出演】
ぺ・ドゥナ
ARATA
板尾創路
オダギリジョー
高橋昌也




  感想  ※ネタバレ注意

09年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門でワールドプレミア
を果たした本作は、心を持ってしまった空気人形と人間の交流
を温かく見守るファンタジー。



『ワンダフルライフ』や『歩いても 歩いても』などで“生きるという
こと”を見つめてきた是枝監督が、業田良家の短編コミック
「ゴーダ哲学堂 空気人形」を映画化した切ないラブストーリー。

『リンダリンダリンダ』で日本映画にも出演経験のあるペ・ドゥナ
が空気人形を熱演。共演者には、是枝作品は3度目の出演と
なるARATAや板尾創路、オダギリジョー。
また、アジアを股にかけて活躍する撮影監督リー・ピンビンの
カメラによる東京の情緒豊かな風景も見所。


神の悪戯か?奇跡か?人形に心が宿ってしまったことから
人形の視点から、人間の持つ社会の中でただ空気のように
生きている人たちの孤独や心を通して描いている逸品。

またこの人形は、性欲処理に使われるダッチワイフだから
驚きだけど…それをぺ・ドゥナが見事に演じている。
彼女以外ではこの映画は描けない程に素晴らしい演技だった
と思う。

突然自我に目覚めた彼女が話す片言の言葉や、初めて外の
世界を見た時のキラキラとした表情や、初めて知る感情と
いい、空気が抜けてしまった彼女にARATAが息を吹き
込むシーンがまた逸品。その時の彼女の恍惚とした表情は
この映画の中でも1番のシーンだと思う。

またこの映画で使われている楽曲も爽やかでいて切ない
映像とカメラワークにのって、映画をうまく包み込む様。

この作品が普通なら彼女を作ったオダギリジョー演じる人形
師とのシーンで終わっていたかもしれない。
この映画が普通でないのは、やはりラストの彼女の人形として
の結末があったからだと思う。

この映画に登場する人たちは、みんな心の中や生活がどこか
からっぽなのだ。
ダッチワイフで心を満たす男性、母親のいない娘や過食症の
女性、生きることに希望をもてない男性…
みんなこの空虚な社会に、満たされない心にどうすることも
出来ずに、生きていくことしか出来ない。
人は心が備わったために悩み、苦しむ。
彼女がいった「心を持つことは切ないことでした」という言葉が
胸に染みてくる。

そんな世界をこの映画は見事にスポットを当て、またそんな
世の中でも、誰かが誰かのために命を繋いでいるという
メッセージもこめられていると思いました。


「心なんて、持たなければ良かった?」

「わたしも同じさ…からっぽだ。」

「あなたの息で、わたしのカラダを満たして…。」

なぜ人は心を持ったのか?
それは生きていく上で逃げることは出来ない…
生きて死ぬまでの、持たされた人としての課題なんだろう。




【評価】
 (4.2点/5点満点中)

 空気人形 HP

クヒオ大佐

2010-06-15 | 邦画(あ・か)
 



  あらすじ 
米特殊部隊ジェットパイロットのジョナサン・エリザベス・クヒオ
大佐。華麗なる経歴と流暢な日本語で次々と女性をおとす彼
は、実は名前も経歴もでっちあげの稀代の日本人詐欺師だ。
今は弁当屋の女社長・しのぶを夢中にさせているにも係わらず
、博物館のエリート学芸員の春や銀座のホステス・未知子も
その毒牙にかけようとしていた。しかしそんな中、しのぶの弟
・達也に、クヒオが詐欺師だと見抜かれてしまい…。

【出演】
堺雅人
松雪泰子
満島ひかり
中村優子
新井浩文
児嶋一哉(アンジャッシュ)
安藤サクラ
内野聖陽




  感想  ※ネタバレ注意

「母はエリザベス女王の妹、父はカメハメハ大王の末裔」など
語り数々の女性を騙した、実在の結婚詐欺師をモデルにした
ドラマ。
詐欺師のクヒオ大佐と彼が狙う女性たちの関係を、オフビート
な笑いとともに描いていく。



クヒオ大佐を演じたのは、『クライマーズ・ハイ』『ジェネラル・
ルージュの凱旋』
の堺雅人。
クヒオ大佐をつかみどころのない演技で表現し、不思議な空気
感を醸し出す。クヒオに入れ込むしのぶを演じた松雪泰子、
クヒオに興味を持ち始める春を演じた満島ひかり、海千山千の
ホステス・未知子を中村優子が演じた。


実際の話をもとに作られたらしいのだが…本当にこんなコント
のような展開で、女性たちが騙されるのだから人の心と言う
ものはよくわからないですね…苦笑。

そんなクヒオ大佐を演じたのは堺雅人で、彼自身掴みどころが
ないので、映画を観る側にしてみたら、あからさまな行為に
あの明らかな付け鼻も中々、似合っていて面白かった。
バレてるのにバレてないフリとか、わざとなのかボケたところ
も愛嬌があって、やってる事は悪い事だけど何か憎めない(笑)。

そうしているうちに、弁当屋の女社長しのぶのヤクザみたいな
弟に見破られてしまい、逆にお金を要求されるクヒオ大佐(笑)。
こっから繰り広げるドタバタ劇は、中々面白い。


騙し、騙され、最後には自分自身すら騙す。
彼の過去が見え隠れするが、本当なのかどうかすらわからない。
彼が本当に嘘をついているのか、そう信じ込んでいるのか…

昔は中佐で、今は大佐…次は総帥にでもなってるのかな(笑)。





【評価】
 (4点/5点満点中)

 クヒオ大佐 HP

引き出しの中のラブレター

2010-06-14 | 邦画(な・は)
 



  あらすじ 
FMラジオのパーソナリティ、真生(まい)は、ある日、北海道
に住む少年から「笑わない祖父を笑わせるには?」と書かれ
たハガキをもらう。
とっさに答えられなかった真生は、おじいちゃんを笑わせる
方法を番組で募集。その方法が全国から寄せられるが、ある
時、「もう募集はやめて欲しい」と再び少年から手紙が。
この少年がどうしても気になる真生は、ひとり北海道に向う。
実は真生には、絶縁した父を亡くしたという過去があった…。

【出演】
常盤貴子、林遣都、中島知子
岩尾望、竹財輝之助、萩原聖人
本上まなみ、吹越満、六平直政
水沢奈子、伊東四朗、片岡鶴太郎
西郷輝彦、豊原功補、八千草薫
仲代達矢




  感想  ※ネタバレ注意

伝えたくても伝えられなかった大切な想い。誰もが引き出しの
奥深くに眠らせているのでは?そんなせつない想いを手紙で
伝え、踏み出せなかった一歩を踏み出していく人々を描いた
群像劇。



ラジオの人気パーソナリティ、真生は、仲たがいしたまま父親
を亡くしたことを後悔していた。しかし、真生は「引き出しの中
のラブレター」という番組を自ら企画し、北海道に住む少年の
家族を繋ぎながら、自分自身と向き合っていくのだった。
出演は、常盤貴子、林遣都、萩原聖人、本上まなみほか。
監督は、映画『花より男子ファイナル』の製作を手がけた三城
真一。


ラジオというツールが消えないのは、やはり人の持つ言葉の
力を声にのせるというのは、人が持つ声のぬくもりや思いが
伝わるからだろう。
この映画では、伝えられなかった思いを手紙にしてラジオで
思いを伝えるという趣旨だが、ラジオというツールでは、
伝えたい思いを相手が聞いてくれているかはわからない。

そこを常盤貴子演じる真生が、リスナーの少年を通して自身
の経験をもとにリスナーの家族を説得するのだが…
ひとつ間違えばやり過ぎかもしれないが、丁寧に作られた
登場人物たちのおかげで、それ程嫌味には見えない。
それに関係のないと思われていた人物が、ラストに向けて
繋がった時の展開もさりげなく、とても好印象だった。

ラジオというものの思いを伝える上でのツールの良さを
この映画を観ることによって、再認識できると思う。
仲代達矢のおじいちゃんと、八千草薫のエピソードは涙を
誘う。個人的には八千草薫がお返しに渡した手紙を放送
するシーンも観たかったかな。

今じゃインターネットを使って個人でもラジオを放送できる時代
になりましたね。たまには文章だけで伝えるのも良いけど
ラジオを使って、映画レビューとかも面白いかもしれませんね。
機会があればやってみたいですね。




【評価】
 (3.8点/5点満点中)

 引き出しの中のラブレター HP

鈍獣

2010-06-13 | 邦画(さ・た)



  あらすじ 
週刊誌記者の静は、失踪した作家、凸川(でこがわ)の行方
を探りに、彼の故郷にやって来た。そこで待ち受けていたのは
、凸川の同級生で町の実力者の江田、警察官の岡本、そして
江田の愛人、純子とホステスのノラだった。
静は、失踪する前に、江田と凸川が再会していた事実を知る。
実は、凸川は、江田の過去を小説のネタにしており、怒った
江田は、凸川を殺そうとしたのだ。しかし、凸川は、何度殺そう
としても死なない…!?

【出演】
浅野忠信
北村一輝
真木よう子
佐津川愛美
南野陽子
ユースケ・サンタマリア




  感想  ※ネタバレ注意

宮藤官九郎の伝説の舞台、「鈍獣」が映画化。
20年前の情けない過去を小説のネタにされ怒った江田は、
元同級生の作家、凸川を殺そうと企てる。しかし、凸川は
世界で一番鈍くて幸運な男だった。

主演は、浅野忠信、北村一輝、ユースケ・サンタマリア
真木よう子ら。
演技初体験である黒人演歌歌手ジェロや、元横綱大乃国こと
柴田山親方なども出演。



失踪した作家の凸川を探すために寂れた町を訪れた編集者の静。
そこで彼女は次々と怪しげな面々に遭遇する。実は凸川は彼ら
に何度も殺されかけていたのだ、しかし話の最後まで聞くと、
なぜか凸川は、死なずにいることが判明するのだった。

殺そうとどんなに計画を実行しても、凸川は死ぬどころか逆に
元気になるばかり、はじめは隠して行ってきた殺人も、最後に
なるころには、あからさまになってくるところなどは面白い。

うーん、実にシュールな映画。クドカンらしいのだろうけど
少しテンポ遅れが目立つかな…展開や話の内容は面白いのに
勿体無い気がしました。
キャスティングも見事にハマッていたし、もっとテンポを
あげて、毒殺だけじゃなくそこは喜劇にハイテンションに
話を盛り上げて欲しかったです。




【評価】
 (3.5点/5点満点中)

 鈍獣 HP

Shall we Dance?

2010-06-12 | 洋画(さ・た)




  あらすじ 
弁護士のジョンは帰宅途中、ダンス教室の窓辺に佇む美しい
女性を見かけ、その物憂げな姿に心奪われる。ある夜、途中
下車して教室に足を踏み入れたジョンは、そのまま入門クラス
のレッスンを受けることに。窓辺の女性、ポリーナの姿を追い
ながら、ダンスの楽しさを覚えていくジョン。やがてジョンは、
ダンスコンテストに出場するボビーのパートナーに選ばれる。
その頃、妻のビヴァリーはジョンの変化に気付き、探偵を雇う
ことに…。

【出演】
リチャード・ギア
ジェニファー・ロペス
スーザン・サランドン
スタンリー・トゥッチ
リサ・アン・ウォルター
アニタ・ジレット
リチャード・ジェンキンス




  感想  ※ネタバレ注意

周防正行監督作『Shall We ダンス?』は、日本アカデミー賞
受賞をはじめ、世界的なヒットとなった映画をリメイク。

主役にはあのダンディなリチャード・ギア。
竹中直人が演じた濃い同僚をスタンリー・トゥッチ、渡辺えり子
が演じたコンテストのパートナーをリサ・アン・ウォルターが熱演。
マドンナ役にはジェニファー・ロペス、ジョンの妻にスーザン・
サランドンという豪華な顔ぶれも見どころです。



仕事や家族との生活は幸せだが、単調な日々を送る男が、
社交ダンスの楽しさを知り、人生の喜びを見出していく姿は
原作のままに、個性豊かなキャラクターもそのままに描き
オリジナルの良さも受け継いでいるので、ハリウッドの
リメイクにしては良い出来に仕上がっている。

リチャード・ギアといえば『シカゴ』でもダンスを見せて
くれたが、今回もそのダンディズムを如何なく発揮。
姿勢も良くスラッと伸びた身長と、手を伸ばした時の優雅な
動き…そしてナイスミドル!
もう敵なし!エスカレーターから上がってくるリチャードを
観た時は、奥さんの同僚みたいになってました(笑)。




【評価】
 (4点/5点満点中)

大洗にも星はふるなり

2010-06-09 | 邦画(あ・か)
 



  あらすじ 
クリスマス・イヴの夜、大洗海岸に立つ1件の海の家に、夏に
ここで働いた5人の男たちが集められた。彼らを集めたのは
それぞれに送られた手紙。
手紙の主は海の家の同僚でみんなのマドンナ・江里子で、
手紙には「イヴの夜、海の家で会いたい」とだけ書かれていた。
手紙の意図を推測する男たちは、「この中に、江里子の本命
がいる」と結論。やがて誰が江里子の本命なのかを巡って
熾烈な自己アピールが始まり…。

【出演】
山田孝之
山本裕典
ムロツヨシ
小柳友
白石隼也
安田顕
佐藤二朗
戸田恵利香




  感想  ※ネタバレ注意

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』やドラマ「33分探偵」などを
手掛けた福田雄一監督による、ハイテンションな青春コメディ。



真冬の海の家に、以前この海の家で働いていた男のアルバイト
たちが次々と集まってくる。
それは、アルバイト期間中に一緒に働いた誰もが恋するような
かわいいマドンナ・江里子からの手紙に「会いたい」と書かれ
ていたからだ。しかもイヴの夜に。

誰もが自分が本命だと疑わないところへ、海の家を取り壊す
ようお役所から指示されやってきた弁護士が乱入。
話は急にマドンナが誰に恋をしているか?という話のズレた
方向へと行くが、そこへ弁護士が1人1人の自己アピールを
聞いて、誰が1番マドンナに愛されているのかを判定すると
いうのだ。

それからの自己アピールは、かなり笑える!
自分の良いように話を捻じ曲げてばかりで、自分が本命だと
疑わないのだが、そこへきて弁護士が話の中におかしな矛盾点
を次々と指摘!
指摘された男たちの絶叫やどん底への落ちっぷりはまるで人
が変わってしまったようになり!かなり面白かった!
でも男ってこういうバカっぽくて、純情なところ…確かにある!



舞台は「キサラギ」と同じワンシチュエーション形式!
「キサラギ」ではどれだけ自分がアイドルのファンかを競って
いたが、この男たちのおバカな妄想は素晴らしい!
ボク以上です(笑)。
そして、本来脇役のはずの弁護士まで話を聞いているうちに
マドンナに恋をしてしまい、このおバカな戦いに名乗りを
あげてくるのだから、男ってバカです(苦笑)。

中でも山田孝之が演じた杉本が、アルバイトしていた時は
まるでジョニー・デップのようだったと他のアルバイトから
言われていたのに、途中から恐ろしいほどの変貌ぶりを
見せてくれて、彼の新境地を見た感じ(笑)。面白かった。

バカな男たちの妄想劇に付き合ったマドンナ役を演じた
戸田恵利香もとてもキュートで魅力的です。
確かに彼女になら男はバカになるかもしれないですね。


そして、いったい彼女は何のためにここへみんなを集めたのか
謎は深まるばかりだが…7人目のバカ…いえ、男が登場して
話は急展開を見せます。

妄想ばかりで突進していたのに、急に謎の部分が判明して
しまいます。その展開も中々ほろりとして、映画が終わる
時に何だか、夏が終わる時のような少し寂しい気持ちを
感じさせ良い映画でした。

映画が終わった後でも、猫田先輩の彼女が気になりましたね。




【評価】
 (4.2点/5点満点中)

 大洗にも星はふるなり HP

告白

2010-06-08 | 邦画(あ・か)
 告白
 


  あらすじ 
女教師・森口悠子の3歳の一人娘・愛美が、森口の勤務する
中学校のプールで溺死体にて発見された。数ヵ月後、森口は
終業式後のホームルームにて「私の娘はこの1年B組生徒
二人に殺されたのです」と衝撃の告白をし、ある方法にてその
二人の生徒に復讐する。そして4月、クラスはそのまま2年生に
進級。犯人のひとりAはクラスのイジメの標的になっていた。
そして、もうひとりの犯人Bは登校拒否し、自宅に引きこもって
いた…。

【出演】
松たか子
岡田将生
木村佳乃




  感想  ※ネタバレ注意

2009年の本屋大賞を受賞した湊かなえの同名小説を、
『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督が映画化。
娘を殺されたシングルマザーの教師を、松たか子が演じ
37人の中学生がそのあどけない残酷性を秘めた無邪気さを
中島監督が、今までにない映像とリアリティで表現している。



原作を読んで、原作がとても面白かったので、さっそく映画化
していたので観に行ってきました。
月曜日はレディースデーともあって、女性の人がたくさん映画館
にいました。なぜ、メンズデーがないのか…女性だけずるいなぁ
と思いながらも観賞しました。


女教師である松たか子演じる森口先生の告白から物語は始まる。
それは、事故死と思われた自分の娘が、自分が担任を受け持つ
生徒の中に犯人がいると告白したのだ。

それまで騒がしかった生徒たちも、静まりかえり森口先生の話
に釘付けになる。
この映画で1番の成功は、森口先生を演じたのが松たか子さん
だったからじゃないでしょうか。
はじめの告白のシーンも原作では、一人で喋りつづけているので
どのようなシーンになるのか気になっていましたし、その場面
は一つのキーになる場面だったので、そこは見事にこなしてくれ
原作のイメージのままでした。

これまでの彼女のイメージをまるで変えてしまう役柄ですが
娘を失った母親として、自分の生徒を法ではなく自らの手で
復讐していく姿は、とても良かったと思います。

犯人Bの母を演じた木村佳乃さんと空気を読めない先生役を
演じた岡田将生くんは、それなりに役をこなしていたと思います。




そして、映像の撮り方がとてもうまいと思いました。
もちろん編集もなんですが、映像はこれまでの中島監督作品に
比べ、わざと暗いフィルム調の色彩で、犯人が発明した殺人の
道具の効果など、子供をプールへ投げ入れる映像や、森口先生
の告白のあとの、新学期が始まる時の映像といい、随所に監督
のこだわりが見てとれた。

中でもボクは、犯人Aの修哉と美月を演じた子が良かったと
思いました。子供たちの言葉では表現しにくい、無邪気で、残酷
で、純粋で、わがままで自分勝手な都合の考えや、自立しようと
するけど最終的に誰かに依存し甘えたり…
この頃の微妙な心模様をとてもうまく捉えているのが原作同様
映画も表情といい、うまく表現していました。
修哉はとても頭が良いのですが、母親の居場所を知りながらも
会いにいけない心情も、この年齢の子供なら何となくうなずける。


映画では、原作では見られなかった場面がいくつかあり、また
省かれた場面もあったのですが、原作は原作、映画は映画として
映像から訴えるものがあったので、特に修哉が発明した逆時間
時計を使った映像と爆発のシーンは圧巻です。
最後まで目が離せなかったし、そこから放つ森口先生の言葉が
復讐を遂げた爽快さと虚しさが入り混じった何ともいえない
ものになって、映像と観客席を漂わせていた。




映画 「 告白 」 予告編



【評価】
 (4.5点/5点満点中)

 告白 HP