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Cinema Cafe ~シネマ・カフェ~

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カラフル

2011-10-02 | 邦画(あ・か)
 



  あらすじ 
天上界と下界の狭間。死んだぼくの魂が漂っている。
そこにブラブラという天使が現れ、話しかけてくる。
“あなたは大きな過ちを犯して死んだ罪な魂ですが、もう一度
下界に戻って再挑戦するチャンスが与えられました。そして
自分の犯した罪を思い出さなければいけません”。こうして、
ぼくの魂は、自殺して息を引き取ったばかりの“小林真”と
いう名の中学3年生の体に入り込み、“小林真”として生きる
ことになる。生き返った真を囲んで、幸せそうに見える家族。
しかし、その裏では一人一人の思いがすれ違っていた。

【声の出演】
冨澤風斗
宮崎あおい
南明奈
まいける
入江甚儀
藤原啓治
中尾明慶
麻生久美子
高橋克実




  感想  ※ネタバレ注意

「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」
「河童のクゥと夏休み」で不動の地位を築いた原恵一が、
森絵都の同名小説を映画化。自殺した中学生の体に乗り
移って蘇ったぼくが、その中学生として生きる中で、人生
を見つめ直していく。



直木賞作家・森絵都の同名小説をアニメ化。大きな罪を犯した
という“魂”がホームステイすることになったのは、成績も
クラスで最下位、友だちもおらず、放課後に美術部で絵を描く
だけが楽しみの小林真という少年。
ブラブラより言われたのは、生前の自分の罪を思い出すこと。

はじめは良い家族に見え、真がなぜ自殺したのか疑問に思って
いたが、次第に家族が抱える苦悩が見えてくる。
祖母と不仲で、不倫していた母親、能天気で人がイイだけが
取り柄の父親。自分に興味のない成績優秀の兄。
それと、真の自殺の原因が、密かに思いを寄せていた後輩の
ひろかの援助交際にあった。

真となって家族や学校で、様々な事を知る内に、嫌気がさして
いくのだが、初めて出来た親友や家族の心の奥に触れていく
ことで、真としてどう周りに接して、生きていくのか、ブラブラ
から言われた修行の意味を考えはじめる。


中学生特有の悩みや、多くの中学生が人生ではじめてぶつかる
進路の壁や友達関係の悩み、中学生と言えば、繊細な時期で
ちょうどボクも同じような悩みを持っていた。
生と死について深く考えたのもこの時だったように思う。

おそらく中学生の子供がこの作品を観たら、自分たちを見て
いるようで気恥ずかしくなるんじゃないだろうか。
でもこの歳になって観ると、それは甘酸っぱいような、大切
な思い出として、今はある。
友達とチキンと肉まんをわけあうシーンなど、漠然とした
未来の不安を抱きながら、手探りのまま進む。
そうやってみんな大人になっていく。

途中、廃線になった路面電車を巡る旅から親友になり、次第に
本当の自分に気づいていく展開は、今はない画面いっぱいに
映る廃線の美しさは情緒的で、なぜか観るものの心に触れるもの
がある。
映画の作中で、色んな色があって人はみんなカラフルでいい
というタイトルでもあり、この作品のテーマ、人間が生きる
ことに必要なテーマに気づく。
このテーマをじっくりと、最終的には重みのあるものとして
この作品は教えてくれる何かがあるとボクは思った。


【評価】
 (4点/5点満点中)

 カラフル HP

恐怖

2011-05-07 | 邦画(あ・か)
 



  あらすじ 
脳科学研究者の太田悦子・行雄夫妻は、森の奥の自宅で16ミリ
フィルムを見ていた。
取り壊された病棟の地下室で悦子が見つけたそのフィルムには、
戦前の満州で撮影された脳の実験の様子が映されていた。
被験者たちが何かを凝視する姿を見た悦子は、自分たちに見え
ないものが見えていると呟く。やがて、スクリーンに白い光が
現われる。悦子と行雄、偶然部屋に入ってきた幼い娘のみゆき
とかおりは、巨大化するその光に目を奪われる。
17年後、26歳になったみゆきは、すでに自殺した行雄の後を追う
ように、インターネットで知り合った人々と集団自殺をする
決意をする。
みゆきは発起人の服部、理恵子、和志、拓巳と地方の駅で合流し
ワゴン車で森の中の空き地に行く。一行が一斉に睡眠薬を飲み
練炭に火をつけると、急速に意識が薄らいでいく。
みゆきは、悦子が経営する病院の隔離病棟で目を覚ます。
フィルムを見て以来、悦子はここで非合法の脳手術を行っていた。
被験者の脳のシルビウス裂という部位に電極で刺激を与えると
人間には見えないもうひとつの現実が見えるという。
悦子はその実験を繰り返し、人間の霊的な進化を追究していた。

【出演】
藤井美菜、中村ゆり
片平なぎさ、日下部そう
斉藤陽一郎、吉野公佳
長宗我部陽子、高橋長英



  感想  ※ネタバレ注意

禁断の領域に触れた美しい姉妹の運命を描くサイコ・ホラー。
死の誘惑に取り憑かれた姉の行方を追って上京した妹は、
脳の人体実験を繰り返す母と再会する。
監督は、「リング」脚本の高橋洋。



日本のみならず、海外でも高い評価を受けた『リング』『仄暗い
水の底から』の一瀬隆重プロデューサーと、彼がホラー映画界
における師と崇める、映画版『リング』の脚本を手掛けた高橋洋
による野心作。


そろそろ、あったかくなってきたのでホラーでもって感じで
時々どうしようもなくホラー映画を観たくなるのですが、、、
以前にポスターが不気味で、掲載禁止になったとかいう映画で
Jホラーの集大成的なキャッチコピーで宣伝してた映画なので
観てみようと思ったのですが…。

幽霊だの心霊だの、ホラー映画を期待している人は、肩すかし
をくう映画でしたね、片平なぎさ演じる母親がマッドサイエン
ティストで、自分の探究心の為に自分の娘であっても脳をいじ
くりまくって、はい、さようならみたいな映画だった(苦笑)。

怖かったシーンといえば、最初のフィルムシーンで脳をいじ
られて、あっ…とか言ってるシーンは、ヤバい映像を見せられ
てるみたいで、後、失踪したお姉さん役を演じた中村ゆりさん
彼女と再開した時の目がポスターみたいになってて、怖かった。



何となく、脳を触って見えない世界が見える的な内容だった
のですが、特に大きい展開も見せ場もなく、刑事もしょぼいし
内容もわかりにくかったし、睡魔との闘いでした(苦笑)。

とにかく、上の画像の通り、片平なぎささんが出てくる事に
よって火サスのイメージがぬぐえなかったです(苦笑)。

これで、Jホラーの集大成、完結みたいにしてよかったのかは
疑問に感じるところでした。


【評価】
 (3.5点/5点満点中)

君に届け

2011-04-16 | 邦画(あ・か)
 



  あらすじ 
高校1年生の黒沼爽子は、見た目が暗く何もしていないのに
周りから怖れられ“貞子”というあだ名まで付けられている。
しかし、その見た目とは裏腹に、実はとても健気で善意の
かたまりのような女の子であった。ただ、周囲のことを第一
に考えすぎるため、自分のことをうまく伝えることが出来ず
“貞子”としてクラスからは浮いた存在だった。
一方、爽子のクラスメイト風早翔太は、明るく誰に対しても
分け隔てなく接する男の子。爽子に対しても皆と同じように
明るくフレンドリーに接してくれるので、爽子は憧れと尊敬
の念を抱いていた。
風早はいつも人知れずクラスのために働いたり、本当はとても
前向きな爽子に特別な感情を抱いているのだが、爽子の尊敬
の眼差しにしばらくは恋愛感情を温かく見守ることを誓う。
そんな中、爽子は少しずつクラスにも打ち解けるようになり
義理人情に厚く涙もろい吉田千鶴や、沈着冷静な矢野あやね
と仲良くなっていく。
そんな友人たちに、爽子は初めて自分の気持ちを話せるように
なり、心の中にある風早に対しての“特別な気持ち”に気付き
始めるのだった。
だが、風早を中学時代から知る胡桃沢梅が爽子の前に現れ、
風早への想いを告白、爽子に協力して欲しいと告げる…。

【出演】
多部未華子、三浦春馬
蓮佛美沙子、桐谷美玲
夏菜、青山ハル
金井勇太、ARATA
勝村政信



  感想  ※ネタバレ注意

椎名軽穂の同名コミックを「おと・な・り」の熊澤尚人監督が
実写映画化。
見た目が暗く、クラスに馴染めない健気で純粋な女子高校生の
初恋を描く。



累計発行部数1200万部を超える椎名軽穂の人気少女まんがの
実写化。
不器用で周囲に誤解されがちな女の子・黒沼爽子の初めての
友情や恋を描く。


どんだけ、爽やかやねん!と叫びたくなる映画。
観終わった後に、朝日を浴びた吸血鬼のように消えてしまい
たいと思ったのはボクだけだろうか(苦笑)。

何より登場する子たちがみんな、純粋なのです。
爽子は、人付き合いが苦手で、不器用なところから貞子と
言われながらも、周りに気を使う女の子で、せっかく出来た
友達を自分と一緒にいることで周りから悪く思われるのが
嫌で遠ざけたり、深く知りあえば良い子なのです。

風早は、とにかく爽やかを絵で描いたようなキャラ。
隣りにいるだけで、爽やかな風が流れてきそうなヤツ(笑)。
でも意外と不器用というか、優柔不断というか、この子も
良い子ですね。

友達、恋愛などの人間関係など…この年齢の不安な心模様を
丁寧に描けていたと思います。

最近の流行り(?)の誰かが病気で死ぬとか、援助交際とか
そういうのが一切ないので、せいぜい手をつなぐのがやっと
くらいなので、観ていて安心出来るというか観終わった後も
爽快感は抜群でした。

監督の熊澤尚人監督といえば、あの「おと・な・り」の監督さん
なので、こういう映画を作るのがうまいですね。




【評価】
 (4点/5点満点中)

 君に届け HP

悪人

2011-04-10 | 邦画(あ・か)
 
 


  あらすじ 
土木作業員の清水祐一は、長崎の外れのさびれた漁村で
生まれ育ち、恋人も友人もなく、祖父母の面倒をみながら
暮らしていた。佐賀の紳士服量販店に勤める馬込光代は、
妹と二人で暮らすアパートと職場の往復だけの退屈な毎日。
そんな孤独な魂を抱えた二人が偶然出会い、刹那的な愛に
その身を焦がす。
だが祐一にはたったひとつ光代に話していない秘密があった。
彼は、殺人事件の犯人だったのだ…。
数日前、福岡と佐賀の県境、三瀬峠で福岡の保険会社の
OL・石橋佳乃の絞殺死体が発見された。事件当日の晩に
佳乃と会っていた地元の裕福な大学生・増尾圭吾に容疑
がかかり、警察は彼の行方を追う。
久留米で理容店を営む佳乃の父・石橋佳男は一人娘の死に
直面し、絶望に打ちひしがれる中、佳乃が出会い系サイト
に頻繁にアクセスし、複数の男相手に売春まがいの行為を
していたという事実を知らされる。
そんな折、増尾が警察に拘束されるが、DNA鑑定から犯人
ではないことが判明、やがて新たな容疑者として金髪の男、
清水祐一が浮上する。

【出演】
妻夫木聡、深津絵里
樹木希林、柄本明
岡田将生、満島ひかり



  感想  ※ネタバレ注意

吉田修一の同名小説を「フラガール」の李相日監督が映画化。
ある殺人事件の犯人と彼を愛する女の逃避行、引き裂かれていく
家族の姿を描く。音楽を「おくりびと」の久石譲が担当。
原作者の吉田修一は李相日と共同で脚本も手掛ける。




いったい、悪人とは何か?

この映画を観ると、悪人とは何かわからなくなる。
結果的には殺人を犯した祐一になるのかもしれないが、自分
勝手な被害者の女性・佳乃や、山に放り出した大学生の圭吾
殺人を犯した祐一を引き留め一緒に逃避行する光代。
どれも悪人と呼んでもいいのでは?と思ってしまいます。


冒頭の祐一の生活や、状況を映像で観ただけで、彼のおかれる
状況がすんなり入ってきてうまい。

高齢化が進み、閉鎖された漁村で、祖父母の面倒に自分を
犠牲にしている祐一。それが悪いわけではなく結果的に
彼のやさしさに甘えることしか出来ない家族。
彼を捨てた母親。
誰かに出会いたくて、出会い系サイトにアクセスする青年。
そして、別では欲にまみれた軽い人間関係から生まれる出会い。
日常に絶望しながらも、誰かとの出会いを渇望する女性。

この事件の影に見える現代社会の紙一重な人のつながりが
生んだ何とも言えない切ない映画でした。



そして、やはり加害者や被害者だけでなく、巻き込まれる
その家族たち。
殺された娘を思い、容疑者でもあった大学生の圭吾の前に
現れ、彼を殺そうとする父親。
しかし、目の前にしながらそれをしない。
いったい殺してしまった祐一と何が違うのか?

今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎるというセリフ
からのくだりが、作品のすべてを語っているように思えた。

確かに、大切な人がいない人間は、どこか冷めたような
失うものがある怖さもなく、欲しいものもない。
ボクも含め現代人って、あまり一喜一憂したり、夢というか
欲というか、それに敏感であったりしないのもリアルな現実
で、そのくせ、プライドだけは高い。
比較的、何でも手に入りやすい現代では、すでに欲が満た
されていることが多いからなのか。

善人がいるから悪人がいて、光があると影が出来るように
善悪というものは悪ばかり表に見られがちだけど、実の
ところ現代において本当の善人という人間自体が、もう
存在しないのかもしれない。
光があると影が出来るのが当たり前なのに、光がなく闇
だけが混在する矛盾した現代社会では、人間の心は行き先
を失ってしまっているのかもしれません。

などと考えてしまったり観終わった後も、無常感たっぷり
で、地震のことや色んな事を考えているうちに、久々に
落ちてしまいました(苦笑)。

映画の賞をたくさん獲った映画だけに、役者さんたちの演技は
みんな素晴らしかったです。



この妻夫木くんの泣いてるような笑顔が切なくて、彼の
もっと早く光代に出会っていたらという言葉や何でこんな
人間に生まれてきたんやろという言葉が辛い。

愛する人、好きな人が出来た時、日常のつまらないものも
素晴らしいものに思えるものです。
この時見た、景色は2人には素晴らしいものに映ったはず。


【評価】
 (4.5点/5点満点中)

 悪人 HP

インシテミル 7日間のデス・ゲーム

2011-02-26 | 邦画(あ・か)
  


  あらすじ 
謎の施設、暗鬼館を訪れる10人の男女。フリーター青年の結城
倒産した元会社社長の安東、専業主婦の渕、経歴不明の岩井
リストラされた中年の西野、研修医の大迫、ネイリストの若菜
WEBデザイナーの関水、元OLの祥子、大学生の真木。
それぞれに大金を必要とする理由があり、時給11万2千円という
常識はずれな高額のバイト料に誘われてやってきたのだ。
アルバイトの内容は“7日間にわたる心理学の実験”に参加すること。
ルールは極めてシンプル。ここで体験する事件を解決するだけ。
発生した事件の犯人を参加者全員で推理し、多数決で犯人を決定
監獄へ投獄するというものだった。
その目的は、人間心理のサンプルデータ収集。うまくいけば、
わずか7日間で億万長者になれるはずだった。だが実験2日目
1人が死体となって発見された。

【出演】
藤原竜也、綾瀬はるか、石原さとみ
阿部力、武田真治、平山あや
石井正則、大野拓朗、片平なぎさ
北大路欣也




  感想  ※ネタバレ注意

「パレード」の藤原竜也、「ハッピーフライト」の綾瀬はるか、
「桜田門外ノ変」の北大路欣也など、豪華キャスト共演の心理
サスペンス。
監督は「リング」などでジャパニーズホラーを牽引する中田秀夫。



高額のアルバイト料に誘われて謎の施設を訪れた10人の男女が、
7日間は完全に外部から隔絶された建物の中で、心理ゲームを
行うのだが、1日目の終わりに各部屋には鍵もなく、怪しげな
箱が1つ置いてある。その中には、人を殺す事が出来る凶器が
入っていた。
そんな密室の建物の中で、翌朝死体が発見される。
パニックに陥る参加者たちだが、外に出ることも許されず、
犯人探しのゲームに参加させられる。
残り6日間を無事に生き残るか、生存者が2名となり実験不可能
と見なされ、実験終了となるか…。


このゲームの内容だが、誰か1人、「探偵」を決め「犯人」を
探す。そして、多数決により決定した内容に従って、「探偵」「犯人」
両方にボーナスが出るという不可解な内容。しかも「死体」に
までボーナスが出るという。
繰り返すうちに、互いに疑心暗鬼に陥ってゆくというものだ。


ホリプロに所属する藤原竜也、北大路欣也を始めとする実力
派俳優たちを起用して、ホリプロ50周年企画として制作された
みたいなんですが、非常に勿体ない出来になってました。

とにかく建物の中に出てくるロボットの陳腐さが目につく。
この現代においてあのロボットの出来はないと思う。
後、まるで「ソウ」等で、定番化されてしまったように
人形が喋る演出とか、見飽きてしまっている。

肝心の謎解きもほとんどなく、主人公たちでさえ消去法で
消えていく登場人物から、最終的に誰が誰を殺したのか
わかるような内容では、ミステリーとは言えないのでは。
最後の鞄を投げるシーンは、おい!フリーター!って怒り
たくなりました(笑)。
色々言ってますが、意外とこういう展開のミステリーとか
は好きだったりするんです(苦笑)。

豪華な俳優を使った割には、何だか勿体ない気がした作品
でした、でも俳優さんたちの演技でそれなりに楽しめるとは
思います。
この映画で、1番しっくりきたのは、人形の声をしていた
彼なのかも(苦笑)。




【評価】
 (3.5点/5点満点中)

 インシテミル 7日間のデス・ゲーム HP

孤高のメス

2010-12-19 | 邦画(あ・か)
 



  あらすじ 
大学病院に依存しきった市民病院・さざなみ病院に、外科医
の当麻が赴任してきた。患者のことを第一に考え、オペも
鮮やかな手際で対応する当麻。そんな彼に第一外科医長の
野本らは反発するが、その一方で看護師の浪子たちは仕事への
やる気を取り戻していく。そんな中、市民病院の強化に努める
市長が末期の肝硬変で倒れてしまう。
彼を救う手段は法で認められていない脳死肝移植のみ。
そこで当麻が下した決断は…

【出演】
堤真一
夏川結衣
吉沢悠
中越典子
生瀬勝久
柄本明



  感想  ※ネタバレ注意

原作は現役医師でもある大鐘稔彦のベストセラー小説。
旧弊な市民病院に赴任してきた一人の外科医が、「患者を救う」
という信念のもとで困難な手術に立ち向かう姿を、重厚かつ繊細
に描く。
主人公の外科医・当麻勝彦を演じたのは堤真一。
夏川結衣、吉沢悠、中越典子、平田満、生瀬勝久、柄本明ら
個性派・演技派俳優陣が固める。



ある1人の医師が地方の市民病院に赴任したことによって、
彼の実力だけでなく、医療への誠実な対応が、これまで体裁ばかり
を気にしていた大学、周りの医療スタッフなどが変わっていく
そんな医師・当麻は、前例のない生体肝移植をすべきかどうかの
選択を迫られる。

物語は、成宮寛貴演じる中村弘平が、母を亡くし遺品を見ていたら
1つの日記帳を見つける。

そこには、母が今の病院での医療に対して限界を感じていたこと。
そこへ堤真一演じる当麻が赴任してくる。
この当麻という医師、医療の技術もさることながら、その医療に
対する誠実さが他の医師とは、まったく違う。
当麻によって母や周りの医療スタッフは、再び医療に熱意を再燃
させることになる。

人の命を救うのが医師の役目だが、金、名声、医療ミスの隠ぺい。
多くの問題にとらわれることが多い。
なぜ、当麻が患者の願いや医療に対して思うのか、そんな実力を
もった彼がなぜ地方の病院にこだわるのか。

それは彼の過去に、地方で住んでいた時に母を十分な医療で治す
ことが出来なかったからだ。
その時の気持ちが、彼を失敗すれば医師免許剥奪、成功しても世間
からバッシングを受け病院にいられなくなるリスクのある生体肝
移植を行うことに決意させることになる。


しっかりとしたドラマと、演技力のある役者たちによってしっかり
と描かれている。
脳死になった息子の肝臓を当麻にお願いするシーンやそこに至る
までの経緯も必見です。
医者として完璧過ぎる当麻なので派手さはないが、すーっと心に
染み込んでくる作品だと思います。




【評価】
 (4点/5点満点中)

 孤高のメス HP

今度は愛妻家

2010-10-16 | 邦画(あ・か)
 今度は愛妻家



  あらすじ 
かつては売れっ子カメラマンだった北見俊介。しかし、今では
なぜか1枚の写真も撮る事ができず、ぐうたらな毎日を送っている。
妻のさくらはそんな俊介に文句を言いつつも世話を焼くのだった。
しかしある日、女優志望の蘭子を家に連れ込んでいる俊介をさくら
が目撃。彼女は愛想を尽かし、旅行へと出てしまう。
その後しばらくは独身気分を満喫していた俊介だったが、なかなか
家に帰ってこないさくらに苛立ちを覚え始め…。

【出演】
豊川悦司
薬師丸ひろ子
水川あさみ
濱田岳
城田優




  感想  ※ネタバレ注意

ぐうたらで愛情表現の下手な夫と、明るく世話焼きな妻。
そんな2人が結婚10年目にして迎えたある局面を、時にコミカルに
時に切なく描き出した、ファンタジックなラブストーリー。



2002年初演の同名舞台を行定勲監督が映画化、舞台からの映画化
だけあって、物語は夫である俊介とさくらの家の中で展開される。

はじめはぐうたらな夫の俊介に愛想を尽かして妻のさくらが家
から出ていき、普段は厄介者扱いしている妻に対して、いないと
落ち着かない夫。
そして、出ていったはずなのにいつも忘れ物を取りに帰ってくる妻。


2人のやりとりはかなりテンポもよく、まるで本物の夫婦のようで
何より自分の気持ちをうまく表現出来ずに、つい妻に冷たくして
しまう子供みたいな夫を豊川悦司が好演している。
妻役の薬師丸ひろ子も、どこかほっとけないような可愛さのある
演技を見せてくれている。

この2人だけでなく俊介の家では、見習いアシスタントの誠や
女優志望の蘭子やオカマの文太など濃い~メンバーが出入りする
のだが、物語が進むにつれ、展開が一気に急変する。
その辺りから彼らが俊介の家に度々、登場する本当の理由や
それぞれの葛藤が組み合わさっていく。

豊川悦司と薬師丸ひろ子の2人が良過ぎるのか、終盤で自分の
気持ちに素直になっていく夫と別れを告げる妻のシーンあたり
から涙が出そうになったが、ファンタジーが織り交ぜられている
せいか、途中まで引き上げられていた涙もひいてしまったのは
もったいない気がしました。
ラストもちょっと引き延ばし過ぎかな…最後に俊介がカメラマン
として何かみせてくれても良かったかも。




【評価】
 (3.8点/5点満点中)

 今度は愛妻家 HP

携帯彼氏

2010-10-04 | 邦画(あ・か)
 携帯彼氏



  あらすじ 
「彼氏に殺される…」とメールを残して自殺した同級生の真由美。
里美は自分の周りで恋愛シュミレーションゲーム“携帯彼氏”
にはまっている女の子が多いことを知る。
真相を探るべく“携帯彼氏:リク”をダウンロードするが“リク”を
横取りしたバイト仲間は急死し、親友の由香も“携帯彼氏:雅也”
のせいでパニック状態になっていた。さらに、1年前まで思いを
寄せていた直人までが“携帯彼氏”として里美の前に現れる。

【出演】
川島海荷
朝倉あき
石黒英雄
大西結花
星野真里
小木茂光




  感想  ※ネタバレ注意

恋愛ものが主流のケータイ小説に誕生した異色のサスペンス・
ホラー。それが女子中高生の圧倒的な口コミ人気で180万読者
を記録した「携帯彼氏」。
携帯電話で彼氏を調達し、お手軽な疑似恋愛を楽しむゲームが
、恐怖のサバイバル体験へと変貌する。
「ブラッディ・マンディ」「アイシテル~海容~」を経て、映画初
主演となる15歳の川島海荷がヒロイン・里美役を熱演している。



普段から肌身離さず持つ必需品となった現代での携帯。
携帯にダウンロードした彼氏と良い感じになってラブゲージを
あげる恋愛シュミレーションゲームが一変、その携帯の彼氏に
命を奪われるという携帯小説らしいホラー映画です。

全部が全部、恐ろしい携帯彼氏というわけではなく、ある事件
に関係のある実際にいた人間だけがこの恐ろしい事件を引き
起こしているのだ。
途中で携帯の赤外線機能で転送したりと機能を生かした内容
も中々面白い。

途中、この手の映画のこっぱずかしい恋愛シーンもあるが
先輩とのラストは意外とあっさりしていて好印象でした。
ホラーとしてはほとんど怖さはないので、苦手な人でも大丈夫
だと思います。
最後はお約束の終わり方で、可もなく不可もなくといった
ところでしょうか。




【評価】
 (3.8点/5点満点中)

 携帯彼氏 HP

幻魔大戦

2010-09-02 | 邦画(あ・か)
 幻魔大戦


  あらすじ 
トランシルバニア王国の第一王女ルナ姫は、親善使節として
米国に向うジェット機に乗っていた。機内で、彼女は手に持った
水晶の球の中にジェット機が落ちるのを見て大声をあげた。
同時に機は宇宙から飛んできた物体と衝突して墜落する。
空中に放りだされたルナは、宇宙のエネルギー生命、フロイ
の声を聞く。フロイによれば、宇宙の破壊者、幻魔大王の死
の手が銀河系に伸びており、超能力を持つ者を集めて地球
を救うために戦えという。
ルナはフロイによって遣わされたサイボーグ戦士ベガとともに
同士を求めて飛びたった。

【声の出演】
古谷徹
小山茉美
江守徹
池田昌子
美輪明宏
佐藤正治



  感想  ※ネタバレ注意

大宇宙の破壊を企む暗黒の支配者、幻魔と戦う地球の各地
から集まったエスパーたちの活躍を描く。
平井和正、石森章太郎の同名の原作のアニメーションで、
脚本は「宇能鴻一郎の姉妹理容室」の内藤誠。
「襲われる女教師」の桂千穂、真崎守の共同執筆、監督は
「さようなら銀河鉄道999」のりんたろうがそれぞれ担当。



今では有名な大友克洋がキャラクターデザインを務めた作品。
後の「アキラ」につながった作品と言われています。
たまたまディスカスでいろいろ検索していたら、発見したので
観てみましたが、正直、物語も内容も今の現代では出しつくした
感があるエスパーものといった感じ。

でも、当時のことを考えると何とも言えない不思議な音楽と
雰囲気のある作風が、今までにない作品であったことは
間違いないと思います。

それにキャラクターデザインを担当した大友克洋がこれまで
にない異様なメカや背景描写、正確なデッサンなどアニメ・
漫画の世界でおそらく多くの影響を与えた作品だと思います。
それを確認するだけでも面白い作品かもしれません。




【評価】
 (3.8点/5点満点中)

ゴールデンスランバー

2010-08-21 | 邦画(あ・か)




  あらすじ 
首相の凱旋パレードが行われているそのすぐ近くで青柳は、
大学時代の友人・森田と久しぶりに再会していた。
様子がおかしい森田。そして爆発音。首相を狙った爆弾テロ
が行われたのだ。「逃げろ!オズワルドにされるぞ」。
銃を構えた警官たちから、反射的に逃げ出す青柳。本人の
知らない“証拠映像”が次々に現れ、青柳は自分を犯人に
仕立てる巧妙な計画が立てられていた事を知る。
青柳は大学時代の友人たちに助けを求めるが…。

【出演】
堺雅人、竹内結子
吉岡秀隆、劇団ひとり
貫地谷しほり、相武紗季
ソニン、大森南朋、濱田岳
柄本明、香川照之




  感想  ※ネタバレ注意

人気作家・伊坂幸太郎の同名ベストセラー小説を、『アヒルと
鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』に続き中村義洋
監督が映画化したサスペンス。

巨大な陰謀に巻き込まれ、首相暗殺の濡れ衣を着せられた
宅配ドライバーの決死の逃避行をスリリングに描く。



『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』に続き
中村義洋監督と原作作家、伊坂幸太郎の新作が今作だ。
伊坂幸太郎といえば、関係のないと思われた出来事が終盤に
入ってピタリとあわさる爽快感を味わえる作品が多い。
映画化した作品でも『フィッシュストーリー』は見事に爽快感
を味あわせてくれた。

伊坂幸太郎の映画化といえば、監督だけでなく、もう定番化
しつつある濱田岳がキルオ役で出演し、楽曲提供は斉藤和義
によるカバーなど、これまでの作品を考えると今作も期待が
高かった。
そして今作は、首相暗殺から無実の罪を着せられた主人公が
立ち向かう物語だ。

主人公を演じたのは、堺雅人。伊坂幸太郎の作品に登場する
キャラクターはどこか掴みどころがない人物が多い。
映画でどこまで原作ほどの個性のあるキャラを活かせるかで
映画自体の面白さが変わってしまう。
堺雅人や竹内結子、香川照之など俳優の演技はベテランも
揃っているので文句なしです。



首相暗殺から無実の罪を着せられた主人公が行く先々で
影の見えない黒幕に追いつめられたり、逃げきったりする
という展開は過去にもいくつか観たことがあるような内容。
それでも、突然現れるキルオの手助けや、友人たちが
スパイスになって、中々楽しめる。

警官隊に囲まれた主人公・青柳が花火に気を取られている
隙に逃げ出すシーンが、過去の花火の出来ごとの複線に
なっていたり、元恋人である晴子の「よくできました」から
「たいへんよくできました」の件は、面白かった。

ですが、最後までなぜ主人公・青柳が罪を着せられたのか
キルオが手助けをした理由と過去などが見えないままに
終わってしまってるのが、何とも腑に落ちない。
結局、黒幕も怪しい人物はいるけど公には出て来ないので
消化不良に感じる人はいると思う。

伊坂幸太郎の原作は好きなのでたくさん読んでいるのですが
この作品はまだハードカバーなので文庫化したらすぐにでも
読んでみたい作品です。
原作を読んでから、映画をもう一度観ると、また違った感想
があるのかもしれませんね。


【評価】
 (3.8点/5点満点中)

 ゴールデンスランバー HP