





天上界と下界の狭間。死んだぼくの魂が漂っている。
そこにブラブラという天使が現れ、話しかけてくる。
“あなたは大きな過ちを犯して死んだ罪な魂ですが、もう一度
下界に戻って再挑戦するチャンスが与えられました。そして
自分の犯した罪を思い出さなければいけません”。こうして、
ぼくの魂は、自殺して息を引き取ったばかりの“小林真”と
いう名の中学3年生の体に入り込み、“小林真”として生きる
ことになる。生き返った真を囲んで、幸せそうに見える家族。
しかし、その裏では一人一人の思いがすれ違っていた。
【声の出演】
冨澤風斗
宮崎あおい
南明奈
まいける
入江甚儀
藤原啓治
中尾明慶
麻生久美子
高橋克実



「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」
「河童のクゥと夏休み」で不動の地位を築いた原恵一が、
森絵都の同名小説を映画化。自殺した中学生の体に乗り
移って蘇ったぼくが、その中学生として生きる中で、人生
を見つめ直していく。

直木賞作家・森絵都の同名小説をアニメ化。大きな罪を犯した
という“魂”がホームステイすることになったのは、成績も
クラスで最下位、友だちもおらず、放課後に美術部で絵を描く
だけが楽しみの小林真という少年。
ブラブラより言われたのは、生前の自分の罪を思い出すこと。
はじめは良い家族に見え、真がなぜ自殺したのか疑問に思って
いたが、次第に家族が抱える苦悩が見えてくる。
祖母と不仲で、不倫していた母親、能天気で人がイイだけが
取り柄の父親。自分に興味のない成績優秀の兄。
それと、真の自殺の原因が、密かに思いを寄せていた後輩の
ひろかの援助交際にあった。
真となって家族や学校で、様々な事を知る内に、嫌気がさして
いくのだが、初めて出来た親友や家族の心の奥に触れていく
ことで、真としてどう周りに接して、生きていくのか、ブラブラ
から言われた修行の意味を考えはじめる。
中学生特有の悩みや、多くの中学生が人生ではじめてぶつかる
進路の壁や友達関係の悩み、中学生と言えば、繊細な時期で
ちょうどボクも同じような悩みを持っていた。
生と死について深く考えたのもこの時だったように思う。
おそらく中学生の子供がこの作品を観たら、自分たちを見て
いるようで気恥ずかしくなるんじゃないだろうか。
でもこの歳になって観ると、それは甘酸っぱいような、大切
な思い出として、今はある。
友達とチキンと肉まんをわけあうシーンなど、漠然とした
未来の不安を抱きながら、手探りのまま進む。
そうやってみんな大人になっていく。
途中、廃線になった路面電車を巡る旅から親友になり、次第に
本当の自分に気づいていく展開は、今はない画面いっぱいに
映る廃線の美しさは情緒的で、なぜか観るものの心に触れるもの
がある。
映画の作中で、色んな色があって人はみんなカラフルでいい
というタイトルでもあり、この作品のテーマ、人間が生きる
ことに必要なテーマに気づく。
このテーマをじっくりと、最終的には重みのあるものとして
この作品は教えてくれる何かがあるとボクは思った。
【評価】




