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十三人の刺客

2010-10-29 | 邦画(さ・た)
 十三人の刺客
      



  あらすじ 
将軍の腹違いの弟という立場に甘んじ、悪行の限りを尽くす
明石藩主・松平斉韶(なりつぐ)。幕府の老中は、この暴君が
国の要職に就く前にひそかに闇に葬るよう、御目付役・島田
新左衛門に密命を下す。
斉韶の凶行の数々を知った新左衛門は、命がけで大義を果たす
ことを決意。信頼が置けて腕の立つ刺客を集め、斉韶が参勤
交代で江戸から明石へ帰国する道中を狙うことに。わずかな
手勢で300人を超える軍勢を迎え討つため、新左衛門たちは
落合宿を買収。大掛かりな罠を仕掛け、斉韶ら明石藩の一行
を待ち受けるが…!?

【出演】
役所広司、山田孝之、伊勢谷友介
沢村一樹、古田新太、高岡蒼甫
六角精児、波岡一喜、近藤公園
石垣佑磨、窪田正孝、伊原剛志
松方弘樹、松本幸四郎、稲垣吾郎
市村正親




  感想  ※ネタバレ注意

1963年に公開された同名映画を、鬼才・三池崇史がリメイク
した超大型時代劇アクション。
主演の役所広司を筆頭に、同士となる刺客に山田孝之、伊勢谷
友介、伊原剛志、沢村一樹、松方弘樹ら。
さらに冷血で残酷な暴君に稲垣吾郎、彼の忠実な家臣に市村
正親という、まさに日本映画界を代表する豪華な顔ぶれが集結。



勧善懲悪型のチャンバラアクション映画です。

小さい頃から時代劇が好きで色々観てきましたが、ボク自身は
こんな時代劇を待っていたと言いたい出来でした。
とにかく越後屋も悪よのお~とか、お代官様ほどでもとかのレベル
を飛び越えた悪そのものを演じた松平斉韶役の稲垣吾郎が良い!

斉韶に対し抗議の切腹をした者の家族を女子供関係なく弓で射殺し
たり、他人の妻を犯したうえに夫を惨殺したり、何よりも一番
ショッキングなシーンは、一揆を起こした百姓の娘の両手両足を
斬り落とし、舌まで抜き、慰み者にした後捨てるという極悪ぶり。

その名も無き女性が、目から血の涙を流し、筆を口にくわえて
書く「みなごろし」のシーンは強烈で怖かったです。
最後の叫ぶ姿には夢に出そうな程で、恐らくこの映画を観た
ほとんどの方がこのシーンひとつで斉韶という人間性を見せつけ
られたに違いありません。
そんな人間が、国の政治を動かす老中になるというのですから
やるしかありません。

そして、その悪行をその目で見た役所広司演じる島田新左衛門が
武者震いし、一瞬笑うのですが、そのシーンも含め、この映画の
名場面と言っても過言じゃないと思います。



密命を受け島田新左衛門が、斉韶暗殺の為に命をかけて手だれを
集めます。
その顔ぶれは、山田孝之、松方弘樹、伊原剛志、古田新太、伊勢谷
友介、高岡蒼甫、六角精児などキャスティングもすごい面子です。

ただ、このうち主要に描かれるのは数人で、高岡蒼甫や石垣佑磨
などの刺客たちは、どんな役回りや立ち位置なのか、いまいち
わからないのが残念です。十三人もいれば仕方のない話なのですが。
正直、山の民という設定の伊勢谷友介が演じた小弥太をもう少し
抑えて、散っていった他の役者たちをもう少し描いてほしかった。


そして何といっても、“ラスト50分の壮絶な死闘”!
たった十三人の刺客で戦うは、斉韶率いる200人以上の敵!
斉韶を討つために買収した落合宿での死闘は壮絶!

罠や迷路と化した落合宿で、200人を相手に混乱に乗じて倒して
いく。そんな中でさすがに何十年と時代劇を演じてきた松方弘樹は
伊達じゃない!もう殺陣のレベルがハンパないです!
キレもスピードも一人だけ、達人の域なんです。
小さい時から観てきた殺陣と遜色なし、さすがです。



役所広司も時代劇をやってきただけあって、因縁の相手でもある
鬼頭半兵衛との一騎打ちも手に汗握りました。
そんな新左衛門と半兵衛は、剣の同門の仲。
しかし、2人の生き様はまったく違う。
民のために戦う新左衛門。主君がいかに暴君であっても、主君への
忠誠こそが侍だと戦う半兵衛。
2人の侍としての生き様が、ぶつかり合い最後に新左衛門が言った
「侍とは、面倒くさいものだ。」が生きてくる。

「余が老中となったあかつきには、再び戦の世としよう」と言った
斉韶。その23年後に江戸幕府が滅び、映画の冒頭にある太平洋
戦争、広島・長崎原爆投下へと日本は進んでいくこととなるとは
何たる皮肉なのか。




【評価】
 (4.2点/5点満点中)

 十三人の刺客 HP


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