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Symphonyeel!(シンフォニエール!)

ようこそ。閲覧者の皆さんとのメッセージが響き合う場となってほしいナ―という想いで綴ってます

「A LETTER」 歌:Cyua(『機動戦士ガンダムUC』サントラより)

2010-10-28 00:56:37 | 聴きながら「お別れ」したい、私が泣いた曲

この曲は、アニメ「機動戦士ガンダムUC」のサウンドトラック内に収められているヴォーカルトラックのうちの1曲で、第一作『ユニコーンの日』の劇中では、主人公“バナージ・リンクス”と、ヒロイン“オードリー・バーン”が出会い、コロニー内を二人で歩くシーンにインストのみで用いられた。

ピアノが印象的に使われており、ピアノソロから始まり、弦楽器やギターの絡みを経て次第に盛り上がっていく。

コーダに入ると打楽器が入り、ストリングセクションもボリュームを増し、曲は最高潮に達する。

最後にピアノのポツン、ポツンとしたフレーズで曲は閉じられる。

 

 

サントラの詳細は、「聴いてほしいオススメCD」の方に委ねるとして、この歌の内容は非常に濃いものとなっている。

それを如実にあらわした使い方をされたことがあったので紹介しよう。

 

TBS系列朝の報道・情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」。

2010年10月25日放送時、番組終了間際に、その夜9時から放送されたドラマ「明日もまた生きていこう」のプロモーションのため、相武紗季さんと比嘉愛未さんが出演していた。

何気なくその放送を見ているうちに、番組はエンディングへ。この時点で、エンディングテーマは通常ならSHUUBIの「星屑よけてクロールしたら」が流れるはずだが、その日は違ったのだ。

「ん?このピアノ、どこかで聴いたようなフレーズ・・・」

今回紹介する「A LETTER」が流れたのである!

 

「明日もまた生きていこう」のドラマの原作は、全日本女子バレーのエース・木村沙織選手の一学年後輩であり、21歳という若さで亡くなった横山友美佳さんが執筆した書籍『明日もまた生きていこう 十八歳でガン宣告を受けた私』。

高校二年生で全日本に初進出し、女子バレーの将来を担うと期待されながら、18歳でがん宣告を受けた彼女が、懸命に病と闘った苦悩や、木村沙織選手との固い絆、バレーボールを失った彼女が見つけた新たな人生への転機などを綴ったドキュメントである。

 

実は、木村沙織選手が世界の舞台で活躍する模様がテレビで放送されていた際、CMから放送へのアイキャッチ映像で、横山さんのエピソードが綴られており、私は横山さんの書籍こそ読んだ事はなかったが、木村選手にとってかけがえのない存在である横山さんのことを知ってはいた。

18歳という若さでがん宣告・・・。21歳で永眠・・・。

10代後半はおろか、20代も過ぎ去った私にとって、この事実は言葉で言い表せない重さを持っている。

ドラマは最後まで見ることはできなかったが、実在する人物が描かれている物語であり、実話を元にした感動のドラマであったこともあって、心に訴えかけてくるものがあった。

後で聞いたところ、「A LETTER」がドラマの最後に使われるのかと思ったが、実際にエンディングで流れたのは違うアーティストの曲だったらしい(詳細は現在調査中)。

 

上記ドラマ本放送前に番組宣伝のために用意した報道番組のエンディングテーマとしてこの曲が採用されたことにまず驚いたし、改めて思えば、通常のエンディングテーマと入れ替える形でこの曲を流した番組スタッフの選曲センスの良さを評価するべきだろうと思う。

歌詞の内容とゆったりとした曲調が、ドラマの内容と見事にぴったり合っているからだ。

 

この歌を、出所も歌の内容も含めて知っている自分が嬉しかった。

この歌に出会えたことに感謝したい。

そして、多くの人に聴いてほしい。

たかがアニメサントラの1曲だと思って侮ってはいけない。

 

 

あなたは、伝えたいことを全部手紙に書いて、いなくなることができるだろうか。

 

 

(日本語訳)

友達がみんな遠くへ行っちゃって

私は 自分のためにこの歌を歌うわ

あなたは とうにいなくなっちゃって

でも 私はそれでいいの

私の すべての願いと力が

私を 扉へと導いてくれるでしょう

自分の問題の答えを 見つけるべきだったのかしら?

私は 何について知るべきだったのかしら?

私が言いたかったことは全部

私に宛てた手紙にしたためているの

 

人生って諦めちゃだめなのよね

すべてのコトが人生の道になってゆくのだから

これって 長い道のりを経て辿りつけたことなのよ

人々が嘆き悲しんでも

これから 苦悩の中から私は光を見つけるわ

私は 愛への道を見つけられるから

 

あなたは人生を諦めることはないのよ

すべてのコトが人生の道になってゆくのだから

これって 長い時間をかけてわかったことよ

人々が嘆き悲しんでも

あなたは 苦しみの中から光を見つけるはずよ

 

突き抜けるような青空へと 別れを告げても

あなたの愛は 心からの頼りになってくれるわ

「STARGAZER~星の扉」 歌:根岸さとり

2009-07-08 20:58:17 | 聴きながら「お別れ」したい、私が泣いた曲
「スターゲイザー」=[星を見る者]の意・・・


この歌は、アニメ『機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER』のテーマソングである。いわずと知れた「ガンダム」のアニメで、『機動戦士ガンダムSEED』をはじめとするコズミック・イラを舞台とした世界のサイドストーリーとしてネット配信され、2006年11月24日に全3話全てを収録したDVDが発売された。

アニメの詳細はオフィシャルサイトに委ねるが、この作品で登場するガンダムは、いわゆる「機動兵器」たるモビルスーツだけでなく、主人公の女性セレーネ・マクグリフが所属する、深宇宙探査機構=D.S.S.D(Deep Space Survey and Development Organizationの略)が開発した非戦闘惑星探査用モビルスーツ・「GSX-401FW」の存在が大きい。
当初機体コードで呼んでいたこの機体は、テスト中、同じくD.S.S.Dのソル・リューネ・ランジュにより「スターゲイザー」の名を与えられた。
機動運用システムの頭文字を取ると「G.U.N.D.A.M」となり「ガンダム」と読むことができ、模型の商標では「スターゲイザーガンダム」と呼ぶ。

宇宙を探索し、人類の未来を描くべく、「star=星」を「gaze=じっと見つめる」という名前を持ったモビルスーツ、そしてそのままアニメタイトルにもなっているこの言葉は、何とも言えない清々しさを持っている。これに「星の扉」という言葉が加わった題名を持つこの歌は、歌手である「根岸さとり」さんのデビュー曲である。

曲のテンポはゆったりしたものだが、それに加え歌の部分の拍が細かくなく、根岸さんの透き通った声も合わせて歌詞が聴き取りやすい。
歌詞の内容は、まさに「星を見つめる」ように、高い地点を見据える、見上げることを教えてくれる、訴えかけるものが多いのが特徴。

曲の展開は、Aメロ、Bメロは静かに語りかけるような、独白のような歌い方だが、サビになると大きく広がりを見せる。戦争や諍いといったモノ、その他人間の災いを全て超越した世界へ向かっていこうとする強い意思のある歌だが、サビの最後のコードは、先への未来の「少しだけの不安」を感じさせるような響かせ方をしており、そこが涙を誘う。

「先を見つめる勇気を持つことの大切さ」と「それに伴う大なり小なりの不安、葛藤、心の痛みといった、人間の弱さ」を感じさせてくれる、温かな歌であると思う。ただのアニメソングだけで片付けてはいけない。

あえてこのカテゴリーに投稿したのは、私がこの世界から消えても、この歌を聴いた人が、自分の目指すべき星を見つけるために、常に進んでいってほしいという私からのメッセージである、と取って欲しいという想いがあるからである。

アカデミー賞受賞の映画「おくりびと」の中で、笹野高史さん演じる平田正吉は、銭湯「鶴の湯」の常連客であると同時に火葬場職員でもあった。
彼は言う。有名なあのセリフだ。

「死ぬっていうのは 終わりでなくて 次へと向かう、まさに門です。いってらっしゃい。また、会おうと言いながら」


門もまた、扉のひとつととらえるならば、
私の目の前にある「星の扉」の向こうには、何があるのだろう―


【CD情報】
「STARGAZER ~星の扉」
歌:根岸さとり
販売元:ビクターエンタテインメント
発売日:2006/08/23
品番:VICL-36154
価格:1000円(税込)
C/W 三日月のパズル


今回も、英訳の歌詞を記載しよう。
―――――――――――――――――――

(見上げる空 哀しみの 蒼き嘆きの歌がただ聞こえる)
As I look to the sky, all I can hear is the song of the sorrow’s blue lament.

(優しい白い瞬き 奪い去った 風… 彼方)
A gentle white twinkle was carried off by the wind, into the distance.

(逃げない 僕は決めたよ 君の温もり傍に 感じて)
I decided not to run away, as I felt your warmth by my side.

(何かが変わる 両手広げたら それが真実だから)
If something changes and you open your arms to it,that is the truth.

(何処へも行かず 僕の傍にいて)
Stay by my side and don’t ever leave.

(扉を開けてあげよう)
I will open the door for you.


(目をそらさずに 全てこの胸に 刺さる真実ならば)
Without averting my eyes, I’ll keep everything in my heart, if it’s the sound truth.

(歩いてゆこう 歪み塞がれた 星の扉の向こう…)
Let’s walk on, beyond the distorted and closed door of the stars.

「パリは燃えているか」 作曲:加古隆

2009-04-20 00:06:57 | 聴きながら「お別れ」したい、私が泣いた曲
作曲者の加古隆は、「ジャズ・クラシック・現代音楽の要素を融合させた独自の作曲形式を確立しており、ピアニストとしては、自身の作品の演奏を中心に活動している。ジャズや自然をテーマにした作品から、絵画・文学・浮世絵・ダンス・建築といった他の様々な芸術から着想を得た作品まで、その音楽のスタイルは自由かつ幅広く、個性に富んでいる。また、近年は映像とのコラボレーションによる音楽も数多く手掛け、映像音楽の作曲家としても活動の幅を広げている。自身の作品によるコンサートは世界各国に及び、オリジナルアルバムは50作品を超える。シンプルで繊細かつ壮大なメロディーと、ピアノから紡ぎ出される透明な音の響きから、『ピアノの画家』と称される」作曲家である。
演奏時には、今やトレードマークとさえ言える黒い帽子をかぶり、ピアノは「ベーゼンドルファー」社製の物を使用する。ちなみに「ベーゼンドルファー」は、オーストリアのピアノ製造会社のピアノで、「スタインウェイ(スタンウェイ・アンド・サンズ)」、「ベヒシュタイン」と並び世界三大ピアノの一つに数えられる。スタインウェイが「透明感溢れる音色」であるのに対し、極めて芳醇でまろやかな響きを持つが「弾き手を選ぶむつかしい響きを持つピアノ」だともいう。

さて、この曲は、NHKスペシャル「映像の世紀」 テーマ曲として作曲されたもので、番組の放送後に曲の問い合わせが殺到したとまで言われる、氏の代表作の一つ。「パリは燃えているか」というタイトルは、かの「アドルフ・ヒトラー」の言葉から引用(と)ったものである。
番組サウンドトラックには様々なヴァリエーションのものも収録されているが、一番有名なのはオーケストラと氏が演奏するピアノを合わせたメインテーマの方だ。番組のエンドロールに流れるのもこのヴァージョンである。
ストリングのテヌート気味のシンコペーションと、木管楽器のロングトーンから厳かに始まり、ピアノが絡まってきた後、主題が歌われる。オーボエの対旋律が重なり、24小節の大筋のフレーズが形作られていく。
その後形を変えて、打楽器や金管楽器が加わり、少し盛り上がりをみせる2フレーズ目へ。
3フレーズ目は2フレーズ目に更なる盛り上がりを加え、弦セクションが拍の頭を今までよりも強く演奏する中、16小節の間前フレーズと同様のメロディーが歌われた後、少しアゴーギクがかけられ、新しいメロディーと共に曲の山を迎える。その後デクレシェンドが掛かり、オーケストラセクションが静かに消え行く中、ピアノソロが歌いだす。このピアノソロのメロディーが、恐ろしいまでに美しく、とにかく泣ける!ポツン、ポツンとした雰囲気を持ちながら、非常に伸びやかな響きを持っており、この番組の雰囲気が持つ「人間模様」や「歴史の重さ」、そして駄洒落ではないが「『過去』はずっと、すぐそばにある」という事をストレートに語りかけてくるような雰囲気さえ感じられる。ピアノのソロのあと、木管・弦セクションが主題のフレーズの後半部分を演奏して冒頭の雰囲気に戻り、静かに曲が閉じられる。

大学の政治学の講義で初めてこの番組に触れ、この番組のクオリティの高さと、音楽の素晴らしさを知った私は、中学校の教育実習で、地理の授業の際、「中国・四国地方」の導入で、「中心都市・広島」の事をもっとよく知ってもらおうと、第五弾「世界は地獄を見た 無差別爆撃、ホロコースト、そして原爆」の番組終盤からエンディングの部分を使用した。それは、B29爆撃機「エノラ=ゲイ」から、原子爆弾が投下され、キノコ雲が上がり、灰燼―いや、それ以上の地獄と化した街の様子を記録した映像だった。生徒たちは、夏休みの全校登校日に、「終戦」や「ヒロシマ・ナガサキ」のコトに少しは触れていても、どんな様子だったのかを知る人はいなかったらしく、その映像に驚いた、身震いがしたという生徒もいた。
改めてこの曲を動画サイトやCDで聴くと、単なる「暗い音楽」、「イージーリスニング」というコトバでは終わらせられない「重く儚い迫力」があり、じっと耳を傾けて聴くと、歴史の舞台で、生まれ、時を刻み、死んでいった先人たちの様々な思いがこの身を覆い尽くしてしまいそうな、喩えがたい雰囲気に包まれ、「自分も、時代を生き、時代を作っている人間なのだ」という事を胸深く教えてくれるような気さえする。
このテの曲のファンにとっては、ある種有名な、NHKスペシャルのテーマ曲、だが・・・
この曲は、私が自分の歴史を刻み終えたそのときにぜひ流して欲しい。


収録CDは一番手軽に手に入り、癒しブームの火付け役となった「image(イマージュ)」シリーズの記念すべき第一弾を紹介しておこう。

【収録CD】
「image(イマージュ)emortional & relaxing」
ディスク番号:SRCR-2561

(記事の内容の一部は、「ウィキペディア」の項目から引用しております)

「Peace of mind」 歌:angela

2009-03-29 12:13:40 | 聴きながら「お別れ」したい、私が泣いた曲
この記事をアップする少し前、パチンコ台の稼動と、ゲームソフト「スーパーロボット対戦K」に参戦していることで話題になったアニメーション・「蒼穹のファフナー」。
真壁一騎たちがフェストゥムと戦う「Arcadian Project」遂行の”アニメ本編”の時代から約1年前のエピソードとして、2005年の年末に一部地域で放送された1話のみの物語、それが『蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT』である(現在DVDも発売されている)。ちなみに「RIGHT OF LEFT」はいわゆる「右」「左」ではなく、「権利」「去り行く者」と訳し「去り行くものの権利」いう意味が込められている。
物語の舞台は同じく竜宮島=Alvis(アルヴィス)だが、主要登場人物がアニメ本編と若干異なっており、ストーリーの詳細はアニメーション紹介のサイトなどに委ねるが、ファフナーの戦闘シーンはもちろんのこと、友情が恋愛へと替わる寸前の、少年少女の心の揺れ動きや、大切な人をおもうピュアな気持ち・・・体や心に何かしらのものを抱えながらも懸命に生きる人間模様―そういった、アニメ本編の持つ良さはそのままにそれらを充分以上に補完するかの様に、わずかな時間の中に色濃く描ききっている、秀逸で感動的なアニメーションだ。ワルシャワフィルハーモニーの奏でる音楽はここでも採用され、作品に彩を増している。
「ファフナー」のシリーズソングの殆ど全てを歌う「angela(アンジェラ)」が、このアニメでも主題歌(エンディングテーマ)を歌っており、それが、今回紹介する「Peace of mind」である。
作中、ヒロインの生駒祐未(いこまゆみ)のセリフに
【今そばにいるのが、あなたで良かった・・・すごく、そう思うの】
とあり、「大切な人がすぐそばにいること」喜び、「素直になりたくて、けれどなかなかなれなくて」、という期待と不安が入り混じった思春期の心情、などのピュアな要素が、わかりやすい言葉たちで多く歌われ、このアニメにふさわしい歌詞の内容となっているので、アニメのクライマックスからこの曲が流れるエンディングにかけてのシーンを目にした人で、涙した人は少なくはないだろうと想像に値する。
ハードでアップテンポなナンバーが多く、伸びる高音と響く低音を使い分ける歌い方が、どこか中島みゆきさんのようにも聞こえる「angela」の歌たちの中で、透き通るようで純粋な少女の声のようなハイトーンが印象的なこの歌は、単一の曲としても良い歌だが、アニメのシーンと併せて聴くと、非常に感動的で、「静かに消え入るような切なさと温かみのある優しさ」を湛えた楽曲である。

「心の平穏」というのはどこにあるのだろう、という一つの答えが見つかるよい歌なので、古きよき昭和の歌曲や、昨今のヒットソングだけに注目せず、こういった歌たちもどんどん歌い継がれていって欲しいと思う。
これを聴いた多くの人が、日常のどんな小さなことでも「幸せ」を見つけ、それを感じて生きていけるような希望を持って欲しいと願う。

【収録CD・詳細情報】
2005年12月21日発売 シングル「Peace of mind」
ディスク番号:KICM-3118
定価 \1,050

2006年3月15日発売  3rd ALBUM 「PRHYTHM」
ディスク番号:KICS-1236
定価:\3,150


今回も歌詞の英訳を紹介しておこう。

How long will it take for our hearts to be connected?
It would be nice if I’m able to heal a lonely smile.
I was too close to notice the person most dear to me.
I’m able to feel happy just having you by my side.
Even on nights of sadness, and mornings of joy, you were watching over me.
Though my only word of “Thanks” could not reach you.
I was a little scared to become modest.
Now that I’m in your arms, my heart is opening up to you while being hold in this gentle peace.

Outside the window filled with a sudden silence, snow falls and scatters in a world stained in pure white, I’m drawn in closer by your sound.

I was a little scared to become modest.
Now that I’m in your arms, my heart is opening up to you while being hold in this gentle peace.

「Forever」  歌:渡辺典子

2009-03-27 00:10:35 | 聴きながら「お別れ」したい、私が泣いた曲
1992年2月20日に仮面ライダー誕生20周年の一作として東映ビデオより発売されたオリジナルビデオ・「真・仮面ライダー 序章(プロローグ)」。
父の研究を手伝っていた風祭真は「財団」により、自らも知らぬ間に改造兵士(サイボーグ・ソルジャー)レベル3にされてしまう。そしてある日、真は鬼塚義一のレベル3への変身の影響を受け、感情の高まりと共に異様なバッタ怪人の姿へと変貌して行く…というのがストーリーだが、グロテスク・性的な描写が含まれるなど、これまで子供向けに製作されていた「仮面ライダー」シリーズとは一線を画す大人向け特撮作品を目指し、「序章」というタイトルからも判るようにシリーズ化を意識していた。しかし、続編が制作される事はなく、大人向けの仮面ライダーというコンセプトの映像作品も2005年公開の映画『仮面ライダー THE FIRST』まで途絶える事となる。

この歌は、その主題歌で、作品が非常にハードな内容になったため、エンディングテーマをインストゥルメンタルにするという案もあったが、最終的に「やさしく包み込むような歌声で締めくくりたい」ということで歌を入れることになったことから採用された歌である。楽曲制作に当たっては歌手の選考を最初に行い、歌唱法も詞の内容も感情を優先する形で作られている。
歌詞は著作権の関係で載せることは控えるが、まさに「女性視点の恋の歌」。特撮モノの主題歌でないかのような印象を受ける。
ピアノの切ない音から始まり、ストリングセクションが入ってきた時点でもう涙!ソプラノサキソフォンのメロディやホルンセクションのオブリガードなど、切ないコードを紡ぐ前奏・間奏部分はとにかく泣ける。
歌い方もまさに「語りかけるような」感じと女性ならではの透き通る伸びが特徴でしっとりしている。
全体的に80年代の歌であるような印象が強く、また特撮ヒーロー映画の主題歌だとすら感じさせないのも特徴的。


【収録CD・詳細情報】
収録CD:仮面ライダー主題歌大全集
CD番号:COCX-32289
楽曲作詞:阿木燿子/作曲:宇崎竜童/編曲:湯川徹

「瞳はコスモス」 歌:燕奈緒美・燕真由美(ザ・リリーズ)

2008-04-24 08:19:31 | 聴きながら「お別れ」したい、私が泣いた曲
この歌は、この記事の投稿から22年前、1986年4月16日から11月19日にかけて、TBS系列で放送されていた、「ワンダービートS」(ワンダービートスクランブル)という、SFアニメーションの主題歌である。

まず、アニメーションのストーリーは、人体の中でミクロ化した救急隊が敵と戦うという物で、22世紀(2121年)の日本で結成された特殊医療部隊・ホワイトペガサスに、主人公ススムが入隊し、人体への攻撃を繰り返す正体不明の異星人との戦いを繰り広げていく。
1986年は、かの手塚治虫氏がまだ生きていた頃で、手塚氏本人が番組最後に、舞台となった臓器の説明を行うために実写で登場したり、さまざまな医療関係者などをスタッフとして配し、声優陣もベテランばかりが揃うという、クォリティの高いアニメーションだったが、残念なことにこのアニメは、裏番組である人気アニメーション「めぞん一刻」の前には視聴率で及ばず、26話構成を24話に再編成し、「打ち切られ」てしまったという運命を持っている。
しかし、2005年にようやくアニメの完全DVD化が実現し、手塚ファンのみならず、80年代アニメーションを愛する人たちに親しまれている。

さて、この主題歌「瞳はコスモス」は、なんといっても流麗なメロディ、琴線を震わす歌詞、双子姉妹ならではのハーモニーが特徴の、ハートウォーミングな素敵な歌である。歌詞の転載は著作権の関係で控えるが、主人公のススムとヒロインのマユミをクローズアップしたとき、「大人になる」ということの難しさ、「愛というモノを知る喜び」といった深い内容が歌われている。決して曲調は単調などの悲しげなものではないが、最初に触れた瞬間「なんていい歌なんだろう!」と感激して泣いたのを覚えており、そこからこのアニメの長いファンである。

放送開始時はオープニングテーマとして使用されていたが、後に、エンディングテーマである「ワンダービート」と入れ替わって、エンディングテーマとして使用されるという、ユニークな使われ方がされている。
番組放送当初は、シングルレコードとして発売され、その後、CD化されることは無く、残念に思っていたが、JVCエンタティンメントから発売された、「flying DOG アニメコレクション テーマソング・アーカイブ 80's Part II」に収録されていることが判明。
80年代のアニメーションソングを収録した「アニメ歌年鑑」は、その年の有名どころしか収録されていなかったが、この歌が収録されたということで、多くのヒトに聴いていただきたい。
今まで、自分が好きになったヒトに、ぜひ聴いてほしいと思うが―どこまでできるカナ


【CD情報】
「flying DOG アニメコレクション テーマソング・アーカイブ 80's Part II」
CD番号:VTCL-60039/40
価格:¥3150

「Moonshine~月明かり~」 歌:松下奈緒

2007-09-14 22:26:28 | 聴きながら「お別れ」したい、私が泣いた曲
松下奈緒さん、という名前を聞いてピンと来る人は、さまざまなメディアに通じているなどの方だろう、と想像できる。肩書きは「女優、モデル、ピアニスト、歌手」なので、活躍のジャンルが実に幅広いからだ。ちなみに、出身は兵庫県で、3歳の頃からクラシックピアノを弾いており、そこからモデル活動、芸能活動、そして音楽大学進学と、さまざまな航路を進んできている。
そして、2006年にピアノアルバムでCDデビューを果たし、ピアニストとしても高い評価を得ている。

初めてお顔を拝見したのは、この曲のジャケット写真及び、歌披露のネット動画で、そこからいろいろ調べたりしていると、さまざまなコトに挑戦しており、多才な方なのだなと驚かされるばかりだ。出演しているドラマ、発表したピアノのCDなどどれにも触れていないのだが、私が見た中で唯一、「あ、素敵なヒト―♪」と思ったのが「アイフルホーム」のCMで見せたあの表情。
そして、今秋公開予定の映画、『未来予想図』の予告映像。演技の一部も見ることができた。公開日になったら観に行こうと思う。ストーリーも気になるし・・・。
単純な第一印象は、柴崎コウさんの目元口元の表情をちょっと穏やかに、やわらかくしたような感じだな、と思ったのだが、1985年生まれとはとても思えないほど大人っぽい印象を受ける。笑顔も素敵。
これからの活躍が本当に楽しみな方である。

さて、彼女自身のことはこれくらいにして、今回の曲は、その彼女の歌手デビュー曲となったこの曲。「シネマレビュー」にもある、映画『ピアノの森』主題歌で、2006年に歌手役としてドラマ出演を果たしたことがきっかけでデビューを望むファンの熱い期待に応えて生まれた、秀逸かつ素晴らしい歌である。
最初に聴いたのは『ピアノの森』の予告映像。
登場人物の一人である阿宇野壮介の「聴かせてくれ、あの音を・・・!」と言うセリフとともにホロリ、と涙を流すシーンの後、この歌のサビが流れるのである。
もう、涙涙!!

最初は、松下奈緒さんという名前と顔と声とが一致せず、「いい歌・・・誰が歌っているんだろう?」としか思っていなかった。調べてみてびっくりというヤツである。ファーストシングルにしてこのクオリティ、歌唱力!しかもピアノはもちろん本人の演奏。
歌詞の詳細は著作権の関係で掲載を控えるが、優しく切ない別れの歌である。
Aメロ、Bメロは寂しげな曲調だが、サビになるとまさに「月明かりが差したように」明るくなりDキィの和音となり、暖かく包み込むような癒される曲調へとなる。この部分がとにかく泣ける!
Cメロのあと、少しアゴーギクがかかり、異なる歌詞でサビのメロディが歌われた後、コーダに移り、優しく朝を迎えるように曲は終わる。
ドラマティックな展開を見せる曲だが、「かわいさ」と「オトナっぽいつややかさ」との境目くらいのちょうどいい声質なので、そういうタイプの歌が好きという方はぜひ聴いてみて欲しい。

少し前、音楽療法の先生だったか、セラピストの先生だったかが「DとGの音、及びそれを貴重にした長調のコードは癒しの効果がある」と言っていたような気がする。事実と内容の真偽は定かではないが、この曲はまさにそのセオリー通り癒される曲―

ピアノが弾ける人がいたのなら、傍で歌いながら弾いてもらいながらゆっくりと眠りにつきたい。
(叶うかどうかはともかく、私の理想である。念のため)



【CD情報】
『Moonshine~月明かり~』
[収録曲]
1 Moonshine~月明かり~(映画「ピアノの森」主題歌)
2 Sleepwalker
3 Moonshine~月明かり~(instrumental)
4 Sleepwalker(instrumental)

CD番号:ESCL-2954
歌:松下奈緒
作詞:松尾潔
作曲:松本俊明

保科洋作曲 「響宴 Ⅰ」  

2007-08-30 00:37:50 | 聴きながら「お別れ」したい、私が泣いた曲
優れた作品を多く出版し、日本の吹奏楽作曲界においてのリーダー的立場にある作曲家・保科洋(ほしな ひろし)。1987年のコンクール課題曲Aである「風紋」などが有名である。
その氏が、1985年に、ナゴヤ・ディレクターズバンドの指揮者を、作曲家・兼田敏氏に譲り兵庫県に移った際、同バンドの創立20周年を記念して、1988年に作曲された曲である。
静かな第一部が「Ⅰ」、力強い第二部が「Ⅱ」となっているが、CDなどの音源で演奏が聴けるのはこの「Ⅰ」のみである。タイトルの『響宴』は、普通は「饗宴」となるところを、「響きのいろいろな表情の変化を通して曲を構成していく」という着想をそのまま漢字に当てはめ、「饗宴」という言葉そのものが持つ華やいだニュアンスをこめてつけられたものだという。
「静かで、流れるような6連譜の音型に乗り、序奏が始まり、断続的な旋律が絡み合いながらだんだん盛り上がりを見せていく。そして起伏が激しい部分に移りいろいろな盛り上がりを見せながら変化を重ね、クライマックスへと進む。
そして、最初のテーマが再び現れた後、響きの色を変えて最初の部分が再現され、小さな盛り上がりを見せた後、コーダへと流れてゆく。コーダは全曲を回想するかのように各部分のテーマが断続的に現れ、静かに消えてゆく」と、作曲者自身がアナリーゼしている。

とにかく美しい!そして心の昂ぶりと静けさが見事に融合され、それに身を委ねてしまいたくなる様な、ロマンティックな曲。
木管楽器の旋律の歌いっぷりとせつなさはまさに秀逸で、泣けることこの上なし。
ハープが効果的に使用されているのも大きな特徴である。
なかなかアマチュアの演奏会で取り上げられないので、とにもかくにも聴いていただきたい。

「TKWO JAPANESE BAND REPERTOIRE vol.2 『ぐるりよざ』」
演奏:東京佼成ウィンドオーケストラ
指揮:小田野宏之
CD番号:KOCD-2902
佼成出版社より出版・発売
原題:「Deux Paysages Sonores (Part I) 」
演奏時間:11分19秒

「深海の孤独」  歌:(機動戦士ガンダム SEED Destiny内)ステラ・ルーシェ(=桑島法子)

2007-08-28 19:18:37 | 聴きながら「お別れ」したい、私が泣いた曲
この曲は機動戦士ガンダムSEED Destinyに登場する、エクステンデッド(強化人間の一種)の美少女ステラ・ルーシェのイメージソングである。劇中やアーケードゲーム内にも彼女にまつわるシーンに登場する。悲劇的な最期を遂げてしまうステラの、心を通わせた主人公シン・アスカへの思いや、さまざまな深遠な心境を垣間見せるような歌詞が印象的。
独自のステップで華麗に舞うというダンスが趣味のステラらしく、拍子は8分の6(のハズ)で、1拍目が強拍となっており、メロディラインを口ずさむのみでは一種の舞曲の様に聞こえるが、これにストリング(ヴァイオリンがメイン)によるマイナーコードの伴奏が加わった途端に劇的に泣ける曲へと一新する。
アニメソングだけに、普通にBGMとして聞いただけでは何も思わない人も多数おいでるとは思うが、歌詞の中身をしっかりと噛み締めて聴いて欲しい。
これが最も効果的に使われたアニメのシーンで涙したファンは数知れない、という。

この曲とともに死ぬことが出来たらある意味私も、「これ以上複雑で殺伐混沌とした世界で弄ばれない様に」なるのかもしれない・・・?

今回は、とある箇所で手に入れた英語訳の歌詞を掲載することにしよう。


Tell me about sorrow…

You can’t see even sorrow with your eyes closed.
You won’t be hurt if you don’t know kindness.
The kind voice that I can’t recall tells me so the vast ocean within the mourning heart.

Someone is calling from my erased past.
When will I regain my sorrow?
In this irreplaceable moment, I can’t only see you.

There’s one ship glimmering softly, far away.
It disappears into the waves in your heart with swirling sorrows on board.
Why does it wander the seas searching for the love that it shouldn’t even know about?

Overcoming the waves, the boat of life will go on.
It’ll keep moving, overcoming the rough and starless seas.
Beyond the darkness, I can only see you.


【収録CD・詳細情報】
収録CD:「機動戦士ガンダムSEED~SEED DESTINY 『THE BRIDGE』」
商品番号:VICL-62050/1
作詞・作曲・編曲:梶浦 由記(サウンドコンポーザーである彼女のソロプロジェクトFiction junctionが有名)

「・・・そしてどこにも山の姿はない」

2007-08-26 10:20:25 | 聴きながら「お別れ」したい、私が泣いた曲
原題:[・・・and the mountains rising nowhere for amplified Piano,Winds,Brass and Percussion]
作曲:ジョセフ・シュワントナー
出版:Helicon Music

この曲は、ピューリッツァー賞など数々の作品賞を受賞しているアメリカの作曲家、ジョセフ・シュワントナーが、1977年にイーストマンウインドアンサンブル・及び常任指揮者ドナルド・ハンスバーガーの為に作曲され、全米芸術基金の作曲賞を得た作品。
タイトルはキャロル・アドラーという女流詩人が1975年に書いた、「アリオーソ」という現代的な詩の中の一句を取った物である。
これは私が中学校1年生の時(1991年/第39回)全日本吹奏楽コンクール全国大会で、埼玉栄高校が演奏したもので、その10年前来日した、アメリカ・カリフォルニア州大学ロングビーチ校の演奏に感動した指揮者が、10年間暖め続けてようやく演奏したまさに「熱演」だっただけに、評価は審査員のほぼ全員がA評価(B評価はわずかに2つ)を叩き出し、トップ金賞を受賞した曲。吹奏楽コンクールではもちろん初演である。

記譜法が自由で、驚くのは小節の長さが「秒」で書いてあること(ここは○秒間、といった具合)。また、水の入ったワイングラス(グラスハープ。7つのグラスに水が入っており、H、D、E、F#、G、A、C#に調律されている。オーボエ奏者4人が使用)の上の淵を指でなでて出る音を使用する、口笛を吹く、ヴィブラフォーンの鍵盤の横やゴングのふちをストリングベースの弓で擦って音を出す、などといった、今までにない斬新な手法を取り入れることによって、独特のムードを生み出している。

曲は、打楽器の強烈なリズムから始まった後、静かな場面が続き、全楽器の複雑なベルトーンが繰り返され、一時の盛り上がりを見せる。
その後、アルトサキソフォンのソロ、オーボエとの絡みを経て、ホルンのメロディーで盛り上がっていく。その後、フルート6人のうち4人がピッコロに持ち替え、さながら自然破壊で逃げ惑う小鳥たちを表現したような、けたたましく啼くような場面が現れる。それに伴い、壮絶な打楽器の打ち込みが展開。さらにトロンボーンなどの勇ましいメロディが綴られ、数回のベルトーンのあと、クライマックスを打楽器のリズムで迎えた後静かになり、最後に、淡く涼やかなハミングの中、ピアノの切ないメロディで曲は静かに閉じる。
ちなみに、使われている打楽器は以下の通り。
シロフォン×2、ヴィブラフォーン×2、グロッケンシュピーゲル×2、マリンバ、チューブラベル、半音階のクロタルズのセット(アンティークシンバルのような小型の金属ディスク)、鈴、ウォーターゴング(小型のゴングをたたき、それを水槽にひたしたり、引き上げたりして音を変化する銅鑼)、シンバル数種、トムトム、バスドラム×3、ゴング、トライアングル。

これを演奏するには、打楽器パートの品揃えをはじめ、ワイングラスの購入からチューニング、通常の吹奏楽編成では考えられないほどの管楽器の数、演奏開始直前の準備などにそうとう苦労するらしく、大変だったとの後日談がある。

吹奏楽曲の現代曲だけに、敬遠する人は多いかもしれないが、この曲が持つタイトルと神秘的な雰囲気は今もなお色褪せる事無く静かな輝きを放っている。
あのような雰囲気を持つ曲は「似たような曲」こそあれど、一つの作品としてみたときに、これは「死別」の際にぜひ演奏して欲しい。そして、多くの人に聴いていただきたい。

参考までに音源をいくつか。

CD番号:CACG-0029
「・・・そしてどこにも山の姿はない」
演奏:神奈川大学吹奏楽部
指揮:小澤俊朗

CD番号:SRCR 8840
「イーストマン・ウィンド・アンサンブル ライブ・イン・大阪」
演奏:イーストマン・ウィンド・アンサンブル
指揮:ドナルド・ハンスバーガー

CD番号:SRCR8703
「第39回全日本吹奏楽コンクール実況録音版 優秀団体編」
演奏:埼玉県埼玉栄高等学校吹奏楽部
指揮:大滝実
(これが、上記の実際の演奏)