この曲は、アニメ「機動戦士ガンダムUC」のサウンドトラック内に収められているヴォーカルトラックのうちの1曲で、第一作『ユニコーンの日』の劇中では、主人公“バナージ・リンクス”と、ヒロイン“オードリー・バーン”が出会い、コロニー内を二人で歩くシーンにインストのみで用いられた。
ピアノが印象的に使われており、ピアノソロから始まり、弦楽器やギターの絡みを経て次第に盛り上がっていく。
コーダに入ると打楽器が入り、ストリングセクションもボリュームを増し、曲は最高潮に達する。
最後にピアノのポツン、ポツンとしたフレーズで曲は閉じられる。
サントラの詳細は、「聴いてほしいオススメCD」の方に委ねるとして、この歌の内容は非常に濃いものとなっている。
それを如実にあらわした使い方をされたことがあったので紹介しよう。
TBS系列朝の報道・情報番組「みのもんたの朝ズバッ!」。
2010年10月25日放送時、番組終了間際に、その夜9時から放送されたドラマ「明日もまた生きていこう」のプロモーションのため、相武紗季さんと比嘉愛未さんが出演していた。
何気なくその放送を見ているうちに、番組はエンディングへ。この時点で、エンディングテーマは通常ならSHUUBIの「星屑よけてクロールしたら」が流れるはずだが、その日は違ったのだ。
「ん?このピアノ、どこかで聴いたようなフレーズ・・・」
今回紹介する「A LETTER」が流れたのである!
「明日もまた生きていこう」のドラマの原作は、全日本女子バレーのエース・木村沙織選手の一学年後輩であり、21歳という若さで亡くなった横山友美佳さんが執筆した書籍『明日もまた生きていこう 十八歳でガン宣告を受けた私』。
高校二年生で全日本に初進出し、女子バレーの将来を担うと期待されながら、18歳でがん宣告を受けた彼女が、懸命に病と闘った苦悩や、木村沙織選手との固い絆、バレーボールを失った彼女が見つけた新たな人生への転機などを綴ったドキュメントである。
実は、木村沙織選手が世界の舞台で活躍する模様がテレビで放送されていた際、CMから放送へのアイキャッチ映像で、横山さんのエピソードが綴られており、私は横山さんの書籍こそ読んだ事はなかったが、木村選手にとってかけがえのない存在である横山さんのことを知ってはいた。
18歳という若さでがん宣告・・・。21歳で永眠・・・。
10代後半はおろか、20代も過ぎ去った私にとって、この事実は言葉で言い表せない重さを持っている。
ドラマは最後まで見ることはできなかったが、実在する人物が描かれている物語であり、実話を元にした感動のドラマであったこともあって、心に訴えかけてくるものがあった。
後で聞いたところ、「A LETTER」がドラマの最後に使われるのかと思ったが、実際にエンディングで流れたのは違うアーティストの曲だったらしい(詳細は現在調査中)。
上記ドラマ本放送前に番組宣伝のために用意した報道番組のエンディングテーマとしてこの曲が採用されたことにまず驚いたし、改めて思えば、通常のエンディングテーマと入れ替える形でこの曲を流した番組スタッフの選曲センスの良さを評価するべきだろうと思う。
歌詞の内容とゆったりとした曲調が、ドラマの内容と見事にぴったり合っているからだ。
この歌を、出所も歌の内容も含めて知っている自分が嬉しかった。
この歌に出会えたことに感謝したい。
そして、多くの人に聴いてほしい。
たかがアニメサントラの1曲だと思って侮ってはいけない。
あなたは、伝えたいことを全部手紙に書いて、いなくなることができるだろうか。
(日本語訳)
友達がみんな遠くへ行っちゃって
私は 自分のためにこの歌を歌うわ
あなたは とうにいなくなっちゃって
でも 私はそれでいいの
私の すべての願いと力が
私を 扉へと導いてくれるでしょう
自分の問題の答えを 見つけるべきだったのかしら?
私は 何について知るべきだったのかしら?
私が言いたかったことは全部
私に宛てた手紙にしたためているの
人生って諦めちゃだめなのよね
すべてのコトが人生の道になってゆくのだから
これって 長い道のりを経て辿りつけたことなのよ
人々が嘆き悲しんでも
これから 苦悩の中から私は光を見つけるわ
私は 愛への道を見つけられるから
あなたは人生を諦めることはないのよ
すべてのコトが人生の道になってゆくのだから
これって 長い時間をかけてわかったことよ
人々が嘆き悲しんでも
あなたは 苦しみの中から光を見つけるはずよ
突き抜けるような青空へと 別れを告げても
あなたの愛は 心からの頼りになってくれるわ