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Symphonyeel!(シンフォニエール!)

ようこそ。閲覧者の皆さんとのメッセージが響き合う場となってほしいナ―という想いで綴ってます

「君への誓い」(原題:THE VOW)

2012-06-07 22:46:53 | シネマレビュー
【イントロダクション】
事故で記憶を失った妻と、彼女の心をもう一度射止めようとする夫・・・
愛し合うカップルにとって最大の試練ともいえる記憶喪失は、これまでも多くの映画に描かれてきたが、この映画はある夫婦の驚くべき実話に基づく真実のラブストーリーである。

全世界で大ヒット!究極の優しさが女性たちの胸を熱くする真実のラブストーリーが、ここに。


【ストーリー】
 シカゴに住むペイジとレオは、最近親しい友人たちの立会いのもと、美術館で自分たち独自の結婚式を挙げたばかり。2人は永遠の愛を誓い合い、ペイジは彫刻家として、レオは録音スタジオの経営者として充実した日々を送っていた。
ある雪の夜、車で外出した2人は追突事故に遭った。レオは大した怪我を負わなかったが、ペイジは東部に外傷を負い、昏睡から目覚めたときにはレオは見知らぬ人となっていた。2人が出会ってからの4年間の記憶をすべて失い、両親の元でロースクールに通っていた頃までのことしか覚えていないのだ。
レオの存在に戸惑う一方で、見舞いに訪れた父ビルと母リタには、何年も絶縁していたことも忘れて親密な笑顔を見せるペイジ。最愛の妻であり、たった一人の家族でもあるペイジの世界から突然閉め出されたレオは、ショックを受けながらも優しく彼女を気遣い、2人で困難を乗り越えようとする。しかし、退院して家に帰ってきたペイジは、赤の他人同然のレオとの生活に違和感を覚え、自分の服や背中のタトゥーにもなじめない。
そんな中、レオ同伴で高級住宅地にある両親の家へ食事に招かれた帰り、ペイジは元婚約者であるジェレミーと偶然再会する。後日ペイジは彼のオフィスを訪ね、5年前の婚約解消の理由を尋ねるが、彼女のほうが心変わりしたということしかわからなかった・・・。
さまざまな試みにもかかわらず、ペイジの記憶は一向に戻らなかった。
 2人の関係は、どうなってゆくのか・・・?

【メインキャスト】
ペイジ:レイチェル・マクアダムス
レオ:チャニング・テイタム
リタ・ソーントン(ペイジの母):ジェシカ・ラング
ビル・ソーントン(ペイジの父):サム・ニール
ジェレミー(ペイジの元婚約者):スコット・スピードマン

【スタッフ・詳細情報】
原作:『君への誓い(The Vow)』キム・カーペンター、クリキット・カーペンター著(いのちのことば社刊)

監督:マイケル・スーシー
音楽:レイチェル・ポートマン、マイケル・ブルック
製作国:アメリカ
上映時間:115分
2012年6月2日劇場公開開始
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント

【コメント】
 同時期公開されていた、ジョニー・デップ主演のヴァンパイア映画と迷いましたが、こっちを見て大正解!それほどの感動を味わいました。
 これを見た方々はきっと、今までの「記憶喪失」がキーワードになる数々のメディア作品を思い出すんじゃないかなと想像しました。
 主に挙げられるのが、
○「心の旅路」(1942年公開/監督:マーヴィン・ルロイ)
○「メメント」(2000年公開/監督:クリストファー・ノーラン)
○「私の頭の中の消しゴム」(2004年公開/監督:イ・ジェハン)
○「50回目のファーストキス」(2004年公開/監督:ピーター・シーガル)
辺り・・・だそうですが、私は、あらすじだけ聴いたときは、アニメーション作品の『君が望む永遠』や、竹野内豊さん主演の放送中のドラマ『もう一度君に、プロポーズ』、更には交通事故が絡む『冬のソナタ』までもが、頭の中でぐるぐる絡み合い、周りからも「今、似たようなドラマやってんじゃん」と言われつつも、映画館ならではの感動がほしくて観に行きました。
 
 原作とは違う場面も多数あるそうですが、実話に基づいて作られている映画ということがまず驚き。2人の出会いやデート、さまざまな葛藤などのあらゆるシーンが、並みのドラマ以上に心に刻み込むようにやってきます。
 妻が記憶喪失になったという理不尽な出来事に遭遇したにも関わらず、レオがとても献身的な夫であり、物解りが良く、気長に物事を考える男なのがまずすばらしい所。演じるチャニング・テイタムも、あたたかい表情が素敵な、いい役者さんだと思いましたね。生活の総てを彼女が記憶を回復して元の生活をする事を願って、考え付く事を思い切って実行していくその姿が、とにかく切なくてたまりません。「愛を愛し、誰かを愛している状態が好き」というチャニングにとっては、「究極のファンタジー」であり、その意気込みは確かなものだったということができるでしょう。
 レイチェル・マクアダムスは、私と同い年。こちらも親しみのわきやすいやわらかい雰囲気の女優さんですよね。『シャーロック・ホームズ』シリーズに出演なさっていたときにはあまり注意してみていなかったのですが、今作でいっきに注目度が増しました。
 チャニングもそうですが、レイチェルがインタビューにおいて、原作となるカップルに会ったときは、前向きで明るく、本当に素敵なカップルで、それと同時にキリスト教への信仰心がとても強いのだということを知った、と語っています。そこで、事実に基づいた映画を作るにあたり、あまりにも出来過ぎていてリアリティに欠けるということで、敬虔なクリスチャンである原作の夫婦とは少し雰囲気を変え、もう少し信仰心をあまり強くない設定にして、記憶喪失というハードルを簡単には乗り越えられないようにしたのだそう。これが功を奏しているのでしょう。

 しかし、愛とは難しいものです。
 どんなに愛し合っていても、怪我・病気で脳が損傷してしまった場合に、時にその後遺症として記憶を失う事がある―という事は、人間の愛とは、日々の記憶が作るただの想い出の積み重ねでしか無いの?という考え方もできますものね。この分野はどうも苦手なところです(苦笑)。

 そこで、考えて欲しいのが、この映画のもう一つのテーマとして語られるのが、「瞬間」です。
 レオが冒頭で言う「自分を定義するのは、決定的瞬間の積み重ねだ」という言葉―(もう名言の域に達していますね)からもわかるとおり、自分を形作っていくピースの一つ一つなんだと思います。心理学の記憶の箇所をしっかり勉強してそれなりに説明できればいいのですが・・・「エピソード記憶」とはちょっと違うような気がします。
 「今」「ここ」「目の前の自分」、それこそが自分であり、それまで積み重ねてきたものを頼りに自分をアイデンティファイする―
 自分のすべてが「あの時はこうで、そうで、あんな気持ちだった。だから今はこうなんだ」という記憶を頼りに紡ぎだすお話(あるいは物語)のような導き出し方で説明できるものではなく、写真でもある、「決定的瞬間」。
映画において、ペイジは記憶をなくしてしまったけれど、同じ「決定的瞬間」を積み重ねたレオとのことは、レオからの何かしらのアクションで“新たな瞬間”として刻まれ、それが実を結び、あのラストシーンへと繋がったのではないかと考えています。

私自身、「なんでそんなことまで覚えているの?」と言われる位に幼少期のことを覚えているのは、単に記憶力が良いわけではなく、「決定的瞬間」として取り込まれていくのが鮮明で、情報量も多かっただけなのかな?と思っています。けど、結果としてそれが「私」を作っていることに繋がるんだということを発見しただけでも大きな収穫でしたね。
「『今を大切に』」
その意味も、この映画を見ることで少し解ったような気がします。

 神様に、そして愛する人に捧げた誓いが、これほどまでに感動的な物語を生むのだと思わずにはいられない、すばらしい恋愛映画でした。




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