お多福 満腹 大福帳

金沢でお芝居にかかわっています。
今かかわっている舞台などの情報や、お芝居についての思いなど書いていきます

「土田英生戯曲講座」 報告レポート (1日目)

2006年09月11日 | 戯曲講座
あっというまの戯曲講座初回の二日間を終えて、
まだなんとなく興奮がさめていないというのが本音です。

土田さんのお話が興味深く面白かったことや、親しみやすい人柄のおかげももちろんありますが、
2日目に、実際に台詞を書いてみたり、
テーマに沿って2人のやりとりを5行分だけで作ったりという実践的な講義で、
久々に頭を使い、他の参加者の皆さんの感性や考えかたに触れて、
最近刺激の少なかった私の頭脳はフル回転したせいかもしれません。

さて、1日目。
この日の受講生は8名。3名が欠席。
聴講生は2名。
芸樹村の和室にこじんまりと机を口の字型に並べて講座は始まりました。

面白い芝居、観客が心を動かされる芝居と、そうではない芝居の違いについてを
土田さんはカラオケを例えにして説明されました。

講義を聞きながらとったノートに私がメモしたこと。
ちょっとぐらい上手いからといっても、完全に自己陶酔して他の人のことを意識していない人の歌は聴きたくない。
自意識をコントロールして、抑制をきかせたものは、ちゃんと聴いている人の心に届く。

もしくは、圧倒的な実力でねじふせるしかないが、そんなケースは少ない。
とにかく自分を客観視して謙虚になることが大事。

くさい芝居とくさい脚本に共通していえることは、
自分が上手いと思っていたり、かっこいいと思ってやっていることは
観客から見て受け入れられない。

興味のわかない脚本にありがちなのは、都合良くことがはこびすぎたり、
作者が説明したいと思っていることを登場人物にむりやり喋らせていたりする。
観客は、そんなことに興味を持てない。

展開は、疑問と解決の繰り返しにしていくこと。
なんだろうと思わせておいてそれを、じょじょに解決していく。
場面の空気をどう動かすか。
呼吸の流れを考える。

メモ書きを列挙しただけでは、講座を受けていない人にはぴんと来ないかも知れませんね。
私自身も、その場では土田さんの話術に引き込まれ、時折挟まれる体験談に笑い、
わかったつもりになっていて、実はちゃんと理解していない部分や、
聞き漏らした部分もたくさんありそうです。

あ、あと「きしみ」という単語が何度も出てきました。
場面にきしみをつくらないとか、きしんだときは笑いに持っていくとかいうお話があったのですが、
今思いだそうとしてもちょっと具体的に覚えていません。

私が一日目の講座のなかで一番なるほどと思ったのは、
『戯曲は、観客という多数にあてたラブレター』という言葉でした。
ラブレターというのは、あまりにストレートに好きだ!と書いてしまうより
(もちろんそういう手法も有効な場合があると思いますが)
微妙な言い回しで、何気ない言葉の中に信号として送ったもののほうがいい。
ラブレターは、あまりに情熱的な単刀直入なものだと、
振られた場合とっても恥ずかしいからさりげなく書いたりするでしょ?
とのことでした。

戯曲は、観客に伝えたいメッセージや言いたいことを直接的な言葉ではないもので、
いかに遠回しに表現できるかが大切。

今回の講座では、最初からきっちりテーマを決めて書いていくのではなく、
まず日常のなかでの自分が伝えたい場面を探したり、
書きたい場面や、会話から書いていってみようとおっしゃっていました。
とにかく、リアルな台詞で書いてみようとのこと。

そこで、まず手始めに明日までの宿題が出ました。
これまで自分が体験した特殊な体験や、感動したこと、心が動いたことを思い出して、
明日それぞれ発表することになりました。
それは、べつにとりたてて美しい話しやオチがある話しでなくていい。
他の人が聞いたらもしかしてふ~んですんでしまうかもしれなくても、
とにかく自分自身が本当に感激したり心が動いた瞬間を思い出すことで、
自分を見つめてみよう。
自分をしっかり追求すれば、普遍的なものが見えてくるはず。
土田さんにそう言われ、参加者はそれぞれ考えてみることになりました。






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