お多福 満腹 大福帳

金沢でお芝居にかかわっています。
今かかわっている舞台などの情報や、お芝居についての思いなど書いていきます

土田英生俳優ワーク 2日目

2007年09月27日 | ワークショップ
今回はワークショップ中にメモをとらなかったのと、
終わって、日がたってしまったこともあり、
内容がちょっとあやふやになっています。

これ以上あやふやにならないように、
とりあえず覚えている部分だけでも書き出しておくことにします。

1日目で、書き漏らしましたが、
「え!」で、緊張を高め、「ああ~」で身体の空気を全て抜くという練習をした後、
今度は半分だけ緊張を抜くということもやりました。

あれは、もしかして借金取り?「えっ!」
ん?なんか違うみたいだぞ「あ~」
やっぱり違ってた「ああ~」

みたいなかんじ。

身体の緊張のコントロールをしました。
これもなかなか難しいものです。

このあと、全員でひとつの場面の空気を作ってみることになりました。
参加者は2組に分かれます。

ひとつのグループの中で、ひとりだけ後から入って来る人を決めます。
その他の人は、2~3名の組になり、
雑談をします。
雑談をしつつも、まずは土田さんがパンっと手をたたくと、
ぴたっと会話をとめます。
雑談に熱中していると、会話を止めるタイミングが遅れます。
かといっていつ手が叩かれるかと、
そちらばかりに気を取られていると会話がおろそかになります。

慣れてきたら、手を叩いた土田さんを全員で見ることにします。

これがうまくいくようになった時点で、
みんなから見える場所にイスを置き、
そこに後から入って来る人は座ります。
会話が盛り上がっているところでその人は入ってくるのですが、
入ってきた時点ではみんなその人のほうを見たり、
会話をとめたりはしません。
その人がイスに座ったと同時に会話をぴたっとやめて、
全員でその人を見ます。

イスに座った人は、みんなからの視線に耐えられなくなった時点で立ち上がります。
立ち上がると同時に、他の人は何事もなかったように、
また会話を続けます。

会話が続くと、立ち上がった人はまたイスに座ります。
そしてイスに座ったと同時にまた、他の人は会話を止めて見ます。

私が参加した後のほうのグループでは、
これの発展系で、イスに座った人としばらく目を合わせた後、
「何座ってるの?」
と台詞をいれるというのをやりました。
すでに、全員で緊張感を合わせているため、
台詞にへんな抑揚をつけなくても、充分空気は伝わるようです。
やっていて、これは楽しかったです。

ただ、全員で一斉に会話をやめて、その人を見る…
というだけで、その人がみんなから嫌われていたり、
いじめられているということがはっきり分かるのです。

この時、ひとりでもみんなと呼吸を合わせずに、
勝手な演技をしたり、
視線を別のところにもっていったりすると、
その場面の空気は壊されてしまいます。

「ぼくなりに、この場面の心情を表してみました」
とか言って、いらない演技をする役者というのがいるんだよね。

土田さんは、おもしろ可笑しくその悪い例について説明してくれました。

舞台というのは、ひとりひとりの台詞で作るというよりも、
そこにいる役者たち全員で作り出す空気で作るのだということを、
今回のワークショップで痛感しました。

このあと、「あなた浮気したの!」←緊張感高める
「何よ、もう。あなた、いい加減にしてよ」←な~んだ、違うの、と緊張感を抜く
(台詞はあやふやです。なんかこんなかんじ)
というのをひとりひとりやってみたり、
2人ひと組になり、
短い台詞のやりとりをしたりしました。

2人組でやったのは、
ひとりが呼びかけ、相手が何?と同じトーンで緊張感を高め、
呼びかけたほうが「なんでもない」とトーンを落としたところで、
「何よもう~」と一緒にトーンを落とす。
これを両方の立場になってやります。

私は、ついついひとりで芝居をしてしまいます。
これは以前からよく演出家に注意される悪い癖です。
自分の芝居を小細工してなんとか場面を作ろうとするのです。
相手との呼吸、相手とのやりとりでお客さんに伝える芝居の醍醐味を、
会得するのはまだまだかかりそうです。

こんなかんじで、あっという間の2日間でした。

土田さんのワークショップは、とても具体的で実践的で分かりやすかったです。
土田さんは、参加者をうまくいじって、
全員が飽きないように、参加意識を強くもてるように
導いてくれました。

私的ツボは、某劇団の彼の息づかいが小さいことから
土田さんが「生命力○○」と名付けたところでした。
あと、あまり人の話を聞くのが苦手そうな方のことも、
本当にうまく話しの輪のなかにひっぱりこんで、
逆に笑いのきっかけにしてみたり。
このあたりの話術や、人をひきつける力はすごいなぁと思いました。

今回は、参加者の年齢層が大変高かったのですが、
せっかくのワークショップ、地元の若い世代がほとんど参加していないのが、
なんだかちょっともったいないような気がしました。
地元にいて、こういう機会に恵まれることが、
私が若い時にはほとんどありませんでした。
だから今、そのありがたさがよく分かります。

自分たちだけで、狭い世界で芝居をしていても、
見えないこと気がつかないことがたくさんあるし、
人脈も広がりません。
思い切って、積極的に、いつもとは違うところに飛び込んでいくのも、
いいのになぁとしみじみ思いました。

12月は、演出者ワークショップがあります。
これは定員5人で、すでに定員を満たしているようです。
できればこれは見学してみたいなぁと思っています。

次回記事は戯曲講座について。


土田英生俳優ワーク

2007年09月23日 | ワークショップ
9月21日(金)と、22日(土)の2日間、
土田英生俳優ワークショップを受講してきました。

22日と23日は、かねてより受講している同じく土田さんの戯曲講座もあり、
まさにこの週末は土田さん一色でした。

まず、俳優ワークのほうからご報告です。

今回のワークショップは金沢市民芸術村アート工房で行われました。
これまで私はワークショップといえば、
ドラマ工房か、里山の家、もしくはマルチ工房で受講することが多かったため、
アート工房はちょっと新鮮でした。
18名という大人数の参加でしたが、
マルチ工房に入ってすぐのスペースのみを使って、
ぎゅっと凝縮した空間を作って始まりました。

今回の参加者は、シルバークルーから参加された方や、
キッズクルー出身の方の他、
県外からの参加者や、
芸術村のワークショップには初参加の方、
戯曲講座からの参加者の方と、
かなり幅広い年齢層となりました。
私自身、お話するのは初めての方が何人もいて、
初めはちょっと緊張気味でしたが、
土田さんのお話がはじまってしまうと、
そんな空気はどこへやら。
すっかり土田ワールドに誘い込まれました。

これまでの俳優ワークショップのほとんどでは、
はじめにストレッチなり、肉体訓練なり、
身体を動かしたりほぐしたり、
または自己紹介やコミュニケーションゲームなどで心をほぐしたりしてきたのですが、
土田さんは違いました。

始めに少しだけ、舞台に立つ時の役者の自意識についてのお話を、
土田さんの体験を交えて伺いました。
そして、役者が舞台の上で自由に動けるために必要なのは
リラックスした状態をつくれるかどうかにかかっているということで、
まず人前でリラックスした身体の状態を作ってみる体験をしました。

円陣を組んで座った状態で、ひとりが立ちます。
他の人はその人に悪意を持った視線をなげかけます。
(というのは、観客は必ずしもみんなが温かい視線を送ってくれているわけではないからで、
  それを感じつついかにリラックスできるかを試してみたようです)

ただ立つだけでも、人から見られていると意識すると、
身体がこわばります。
そこへ土田さんから
「お風呂あがりに部屋で、なんの悩みもなく、ただリラックスしてぼーっと立ってみて」
と指示がありました。

指名されたほとんどの人は、どうしてもリラックスしている状態を演じようとします。
肩をまわしたり、腕をかいたり。
すると「肩がこっていたり、腕がかゆいというのはリラックスした状態じゃないよね?」
と土田さん。

何かをして、リラックスした状態に見せようとするのではなく、
まず呼吸をゆっくりすることでその身体の状態を作ってみようということになりました。

ゆっくり身体の中の息を吐き出し、
たっぷりと吸い込みます。
そしてそれをまた残らず吐き出す。
中途半端に空気が残らないように、
意識して呼吸をします。

それができたら、今度は何かに驚いてみる。
驚く時、人は息をのみます。
一瞬呼吸をとめ、身体が固まります。

そして、そのあとな~んだ‥と安心してみる。
安心するとき、息は身体から抜けていきます。

これを「え!」 「ああ~」のリズムで
止めたり、抜いたりしてみます。
なかなか、ああ~で空気が抜けきれない人が多かったり、
え!で、しっかり上がりきらなかったり。
前に出て何人かやってみたあとは、
順番に全員で座ったまままわしていきます。

単純な行為なのに、これがやってみると難しいものです。

呼吸がいかに大事であるかということを
実際の舞台での動きにからめて土田さんが説明します。
身体が、その感情の状態になっていないのに、
いくらうわべの芝居で驚いた表現をしたり、
口先の台詞で表したとしても、
観客には届かないし、むしろなんだか気持ちが悪い。
面白い芝居、引き込まれる役者というのは、
観客の呼吸も自由にあやつっているもの。
自然と観客は役者の息づかいと同じ息づかいをしいているものだ。
というような内容だったと思います。

これはこれまでたくさんの諸先輩方からアドバイスしてもらってきたことですが、
今回のようなかたちで体感させてもらったのは、
私にとっては初めてでした。

土田さんの説明はとにかく分かりやすくて面白い!

で、「え!」「ああ~」の発展系をやってみることになりました。

私が指名されました。

「ちえさん、あなたは中世のプリンセスです」
いきなりの設定にちょっと引き気味の私。

「父王は、伯父に殺され、現在は伯父が即位しています。
 プリンセスちえは、王家の印があるこの赤いペンを探し求めて、
 5年間の放浪の旅に出ていました。
 見つからずあきらめかけていた頃、そこにそのペンらしいものをみつけました。
 その時の反応を「え!」「ああ~」のみで表しましょう」
だいたい趣旨はこんなかんじだったと思います。
ま、設定自体はなんでも良かったようですが、
土田さんはノリノリでシェークスピアばりの設定をおもしろおかしく話しました。

う~ん、メモをとっていないので記憶が曖昧です。
ごめんなさい。

で、いろいろやってみるのですが、
どうしても私はやらなくてもいい小芝居をいれようとしたり、
呼吸がうまくいかないところを顔芝居でごまかそうとしたりしてしまいます。
赤いペンを見つけて喜びと安堵の「ああ~」も
なくしたと思っていた保険証が見つかった程度にしか見えません。

それじゃあ、音響さんが盛り上がりの音をいれるタイミングがとりにくいよとか、
それでは、観客が「わ~プリンセス、良かったね~~」と思えないよ。
という具体的なダメ出しに納得。

このあと、何人かの人がみんなの前でやってみました。

呼吸により緊張感の上げ下げ、
場面の空気の作り方の具体的な例の説明など
もりたくさんの内容はちょっと書ききれません。
この日は、とにかく身体の緊張と緩和状態を作る体験に終始しましたが、
得るものはたくさんありました。

長くなりましたので、2日目の様子はまた後日。


セイムタイム・ネクストイヤー 公演終了

2007年09月18日 | その他
9月16日~17日 金沢市民芸術村pit2ドラマ工房において、
能登半島地震被災地支援ステージエイド実行委員会による
チャリティー公演「セイムタイム・ネクストイヤー」が上演されました。

6人の演出家と、12人の俳優達による、
1組の男女の25年間のお話。
私は一場面のみト書き読みで参加させてもらいました。

普段一緒に何かやるということのめったにない顔ぶれが、
前ドラマ工房ディレクター市川さんの呼びかけに応じて集まりました。
同じ芝居が、演出家が変わることでどうなるのか?
普段組んだことのない相手役と組むことで、
どんな空気を醸し出すのか、
市川さんから企画の提案があったときから、
興味津々でした。

演出家、役者、スタッフ、
金沢の多くの演劇人が関わって、
無事公演は大盛況のうちに終わりました。

企画に賛同して、協賛金を出してくださった方々や、
チケットを買って足を運んでくだささったみなさんのおかげです。
チケット収益は、全て能登半島地震の被災地支援に寄付されます。
詳しい金額や、入場者数の報告があったのですが、
メモの用意がなくて今はわからないのですが、
後日追記したいと思います。

17日の昼公演終演後に撮った写真です。
各場面のヒロインドリス、勢揃いです。


なかなか、それぞれ魅力的!
なかには、お互いお話したことがないという方もいたようでしたが、
短い期間で交流を深めました。
私は1場のドリス役、澤田春菜さん以外は皆さんとなんらかのかたちで
懇意にしているため結構気楽に楽しく過ごせました。
澤田さんの舞台も前回のマクベスを見ていたこともあり、
なんだか初対面という気がしませんでした。
公演が終わるころには、みんな和気あいあいと過ごしていました。

で、こちらが各場面のジョージたち勢揃いです。


こちらも、なかなか皆さん個性的!
初めてお会いする方、舞台は見ていてもお話するのは初めての方、
お話ししてみて、印象が変わったりしてなかなか楽しかったです。
それぞれの、芝居のスタイルや、
役への取り組み方の違いなどを間近で見ることができて、
とても勉強になりました。


そして、そんな個性的な役者たちをまとめた演出家の皆さん。

考えてみると、同じ舞台上にこれだけの人数の演出家が並ぶことなど、
そうそうないのではないでしょうか。

舞台監督の風李さんは、
シニア世代の演出家たち(含むうちの夫)を
まとめるのに苦労していました。
みなさん良い意味でも悪い意味でわがまま。
全員をカーテンコールで並べるのも一苦労のようでした。

考えてみると、風李さんと一緒に舞台をつくるのは、
本当に久しぶり。
昔々のセブンスターズカンパニー時代を思い出し、
ついつい「吉岡くん」呼ばわりをしてしまいました。

裏方スタッフとして、KAZARIの劇団員の方や、
羅針盤の方が参加して、
本当によく細々と気を遣って動いてくださいました。
羅針盤の平田くんも、風李さんをしっかりサポート。
若い世代の頼もしさを感じました。

17日の表方スタッフのみなさん


他にもたくさんいらしたのですが、
写真を撮る時間がなくて残念です。
16日にも、たくさんの皆さんが場内整理や受付として参加くださいました。

このような試みは初めてでしたが、
たしかにいろいろ大変なことはあっても、
やった意義は大きかったと思います。

金沢の演劇シーンがもしかして、ほんの少しづつでも変わっていくのではないか、
そんな予感がする企画でした。


夫は、これを区切りに10月から闘病生活に入ります。
たくさんの皆さんに支えられ、
助けてもらって担当していた様々な企画をフォローしてもらいます。
感謝しいています。

必ず元気になって、
今度は夫が中心となって、またこんな企画を進めていけたらと
思っています。






発表会終了

2007年09月01日 | その他
タント朗読ナレーション講座の、年に一度の発表会が、
無事に終了しました。

今年は、お客さんにたくさん来てもらおうという目標をたて、
受講生の皆さんが手分けして頑張ったおかげで、
1時半公演が73名、3時半公演が34名、
合計で100名を超えるお客さんに見ていただくことができました。

これは、この講座での新記録です。
多くの方に見ていただくことで、励みにしよう、
お客さんの力を借りて舞台をより熱いものにしようという、
ことが実現できて嬉しいかぎりでした。

7回目の発表会にして初めて、私自身も朗読に参加してみました。
ただやはり、全体の構成演出をしながら出演するというのは、
難しく、自分の朗読がどういうことになっているかチェックできませんでした。
自分が常々朗読してみたいと思っていた文章を朗読出来たのは楽しかったのですが、
やはり次回は、スタッフに徹しようと痛感しました。

あと、つくづく自分には全体を俯瞰して見る力、
バランスを把握する力、
演目を構成していくセンスがないことに気づきました。
個々の読みの細かな指導はできるのですが、
ひとりひとりの個性を生かし、
それぞれが輝けるような割り振りをする能力に欠けているのです。

今回、選曲とオペレーターをプロにお願いしたおかげで、
その選曲のセンスや音だしのタイミングに救われた部分が多々あります。
しかし、本来選曲は私自身がもっとはっきりとしたイメージを持った上で、
自分で選ぶことができないといけないのです。

小さなところでの、
それも芝居と違って動きも少ないというのに、
それでも音と照明のバランスやタイミング、
出演者の出入りなど全体のイメージを持てない自分が情けなかったです。

それでもアンケートの回収率はとても良く、
しかも概ね好評で、
出演者たちも「楽しかった」「終わるのが寂しい」と言ってくれているのが、
救いです。

来年の発表会は、これを教訓に、
よりステップアップしたものにしたいと思います。