お多福 満腹 大福帳

金沢でお芝居にかかわっています。
今かかわっている舞台などの情報や、お芝居についての思いなど書いていきます

土田英生戯曲講座 6月23日

2007年06月25日 | 戯曲講座
ちょうど、「ブエノスアイレス迷宮」のリハーサルと本番に重なったため、
もしかして今回は出席できないのではないかと、
随分心配したのですが、わがままを通していただくことができ、
23日(土)は全て、
24日(日)は、1時間半のみ受講することができました。

私にとって、戯曲講座の受講は大きな楽しみとなっています。


相変わらず、土田さんは私たち受講生よりも早く到着されていました。
始まるまで時間もたくさんあったので、
先日、青年座が上演した土田さんの戯曲「悔しい女」を観てきた話しをし、
内容についてのお話を少し伺いました。
紀伊国屋でその時買った、
土田さんの新しい戯曲集「相対的浮世絵」を持参し、
サインもしてもらいました。
かなり嬉しい、私。

さて今回は、講義というかたちではなく、
受講生が書いてきた脚本へのアドバイスを全員の前で公開でするという
進め方になりました。
たしかに、1日を講義にして、
1日だけで全員の分を個別に指導していたのでは、
時間が足りなかったことと思います。

講座が始まる前に、土田さんから
未提出だった人や、未提出の上欠席の人、
書き上げないまま途中原稿を提出した人との、
今後の係わり方のお話がありました。

どんな事情があったにせよ、この3ヶ月間のなかで、
なんとか仕上げようとする気概を持ってほしい。
なぜ自分が戯曲講座を受講したのかをよく考えてほしい。
提出できなかったり、出席できない人は、
聴講生として参加してはどうなのか。
もしも、単に戯曲を書きたい人の集まりをやりたいのであれば、
ここではなく、新たにそんな集団を作って、
飲み会をするなり、自分たちのペースでやっていけばどうだろうか。
この講座を受講したのであれば、
締め切りを守って、書き上げるのは自分自身のためではないのか。

というような内容を、土田さんなりにものすごく気を遣いつつも、
それでもわき上がる感情を必死で押さえつつ、
熱く語っていらっしゃいました。

北九州で、現在長期のワークショップを行っていて、
その合間にこちらにいらして、
やはりいろいろ思うところがたくさんあったことと思います。

単に仕事として、事務的に関わっていくのではない、
きちんとひとりひとりと真剣に向き合おうとする土田さんだからこその、
厳しい言葉だと受け止めています。

受講生と、土田さんの間に入らなければならない、
担当ディレクターの井口さんは、大変だろうなぁと思います。

これ以上脱落者が出ないように、
とにかく必死でついていかねばならないと痛感しています。


真剣な話しが終わり、講座に入ると、
またいつもの土田節が炸裂しました。
戯曲を書くうえですごくためになる、良いお話や、
台詞を書いていくうえでの大きなヒント、
悪い例、良い例なんかを説明していらっしゃるのですが、
なぜか数分間に一度は、みんな爆笑。
分かりやすい例えの出し方や、
土田さんのサービス精神たっぷりのお話っぷりに、
あっという間の2時間でした。

この日は、池田さん、私、林くん、原さんの戯曲の講評でした。

林くんと、原さんのがすごく良くなったと誉めていらしたのが
大変羨ましかったです。
私は、各ページごとに事細かなチェックをいれていただき、
台詞が説明口調、理路整然としすぎる、
やりとりが漫画チックなところがある、
エピソードがご都合主義になっている部分など、
私自身、とても痛いところを突かれました。
それにしても、ほんとに全員の作品を
事細かく隅々まで読み込んでくださっていて、
しかも登場人物たちの名前や、関係まで、
ほとんど覚えていて講評をされることに、
つくづく驚きました。
ありがたいことです。

この日も終了後、受講者たちと飲みに行かれたようですが、
私は翌日の朗読のステージのリハーサルのため、
今回は参加できませんでした。
土田さんを囲んでの飲み会はとても楽しいので、
次回はぜひ参加したいと思っています。

前日北九州で朝5時まで参加者と激論を闘わせていらしたので、
かなりお疲れだったのではないかと心配でしたが、
参加した方達から、熱く語る土田さんの様子を聞いて
安心しました。

でも、いつも周囲に驚くほど気を遣う土田さん、
飲み会がしんどいときはないのでしょうか?
ちょっとそれが心配になりました。

ということで、一日目のレポートはこのへんで。





「ブエノスアイレス迷宮」に出演します

2007年06月23日 | お知らせ
「ブエノスアイレス迷宮」に、朗読で出演するお知らせです。

6月24日(日) 19時開演(18時半開場)

パフォーミングスクエア

一般       2000円
高校生以下   1000円


出演    エスタモス・アキ  田辺義博(バンドネオン)
                   金益研二(ピアノ)
                   長浜奈津子(朗読・歌)

        ゲスト       古橋ユキ (ヴァイオリン)
                   斉藤徹  (コントラバス)
  
        朗読        市川幸子
                   東  修
                   東 千絵


「ボルヘスの詩に、アストル・ピアソラのタンゴがからむ」
という副題のついたこのコンサートは、
ミュージック工房とドラマ工房の共催事業です。

俳優座の女優であり、エスタモス・アキの歌手として、
活躍中の長浜奈津子さんとともに、
ボルヘスの詩をいくつか朗読します。

生の演奏を、朗読に即興でつけていただけるという、
なかなか体験できない企画に出演者としてわくわくしています。

情熱的なタンゴのリズム、美しいボルヘスの言葉の数々を
どうかご堪能ください。

ご来場お待ちしております!



青年座「悔しい女」見てきました

2007年06月19日 | 観劇レポート
土田英生さんが以前青年座に書き下ろした「悔しい女」の再演を、
紀伊国屋ホールで見てきました。

キャストも一部変わり、台本も少し手をいれられたとのこと。
初演を見ていないのですが、
初演の台本の途中まで読んだことがありました。
土田さんから、青年座で再演することを聞き、
全部を読んでしまうと、見る楽しみが半減すると思ったので、
途中でやめておいたのでした。


いやはや、土田さんが作り出す独特の微妙な空気!
はじめは、ごく普通の人に見えていた女性の中に潜む、
危うい部分、どうしようもない部分が少しずつ少しづつ明かされ、
主人公である夫がどんどん精神的に追い詰められていく様に、
こちらもすっかり感情移入していました。

わ~~~っうざっ!

なんだよ、こいつ。

めんどくさっ!

周囲の人間達が感じているのと同じ思いを、
私も感じながらも、
「あ、でも私もこれに近いこと言ったことあるかも」
「私もひとつ間違えたら、この人の側に行ってたかも」
と思ってみたり。

それと、ラスト近くの夫婦が2人で話し合うシーン、
妻がこれまで自分が生きてきて感じたことを夫にぶつけるシーンですが、
言っていることはものすごく重たくて、
鬱陶しいはずなのに、
客席は大笑い。

おそらく台本を読むだけでは、私はここまで面白いシーンを
予測できなかったと思います。
土田さんが描きたかった世界を、
みごとに体現させた演出の宮田慶子さんと、
青年座の役者さんたちのすごさを痛感しました。

これ、土田さんの演出でMONOの役者さんに
客演の女優さんを迎えて上演したものも見てみたいなぁと思いました。

金沢の役者たちでやったら、
どの役を誰でやればいいだろう?
そんなことも考えてしまいます。

観る者の想像力をかきたてる、そんな舞台でした。