スカパー!のフジテレビ721で、今月から始まった「インプロ」を昨晩みました。
司会は劇団MOTHER代表の升毅さん。
最近では、テレビドラマでのアクの強い芝居が印象的な魅力的な役者さんです。
インプロというのは、「男の花 女の冠」の自主稽古でも少しだけやりましたが、
即興でみんなでひとつのシーンをふくらませてつくっていくもの。
芸術村で、過去に今井純さんや絹川友梨さんなどをお呼びして
ワークショップを何度か企画されていました。
私は残念ながら受講したことはないのですが、見学させてもらったことがあります。
この番組は、そのインプロを各劇団で競わせて、日本一を決めるというもの。
もともと、インプロは「シアタースポーツ」と言って、
お客様の前で規定の即興のルールに基づいて上演し、
お客様に判定して勝者を決めるかたちがあります。
ここに目をつけるなんて、最近のテレビのプロデューサーもなかなかです。
笑福亭鶴瓶さんが「スジナシ」という、ゲストと2人で即興で
ミニドラマを演じるという番組がかなりヒットしたので、
そのあたりの影響もあるのでしょうか。
さて、昨日見たのは「東京乾電池」VS「InnocentSphere」でした。
東京乾電池は、シュールな笑い。
InnocentSphereは、いかにも小劇場的な言葉をまくし立てる笑い。
全く違う毛色の劇団が、同じお題にどう取り組むかというのは、
とても興味深いものがありました。
最初のゲームはまず「放課後の教室」という設定だけをもらいます。
15分間の途中3分ごとに1回あるお題が表示され、
劇中にそのお題をとにかく混ぜ込んで話しを進めねばなりません。
おしまいのほうには、ラストの台詞まで表示され、
何がなんでもその台詞で芝居を締めなければならないのです。
「網タイツ」「突然誰かが踊り出す」「失恋」
そしてラストの言葉は「明日になればわかるさ」
とにかく、3人は必死でそのシーンを作っていくのですが、
その様は見ていて本当に面白いのです。
役者たちの緊張感や、とっさに出てくる台詞の面白さ。
予想どおり、東京乾電池は間を大事にしたシュールな笑いに、
InnocentSphereは、とにかくがんがんしゃべりまくり、
とっぴなアイディアをどんどん膨らましていきました。
同じキーワードでこうも違うものかと思いました。
その後は、それぞれの劇団から1名代表を選び2人組でシーンを作ります。
事前に観客に書いてもらった台詞のメモを裏返しにして、
地面に散らしておきます。
場所と、人物の設定のみ決めます。
止まったエレベーターのなか。
アイドルと監督。
東京乾電池のお世辞にもアイドルとは言えない容貌の男優に
アイドル役がふられた時点で興味津々です。
規定時間内に、それぞれ3回、地面の台詞を拾ってその台詞を言わねばなりません。
それまでの展開とは全く違う台詞にもなんとか対応してつなげて行くという難しさ。
いきなり「神様 仏様 石田純一さま」とか「それはユン・ソナだろ」とか。
これ、お互いのことをよく知っている関係ならなんとかなるのかもしれないのですが、
初対面の違う劇団の役者が相手なので、
全くどういう反応が来るか予想がつかないようです。
インプロでは、相手の提案を絶対に否定せず
受け入れて発展させるという鉄則があるのですが、
昨日の2人はなんだか自分のペースにしょうと思う気持ちが強く、
相手の提案をことごとく否定していたように思えました。
いやはや、見ている分には面白いのですが、
人前でやるとなったらほんとに大変そうです。
文学座や、渡辺えり子さんのところの宇宙堂も参加するようです。
とても楽しみな番組です。
インプロそのものについて、詳しいことを知りたい方は、このサイトが分かりやすいです。
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