リタイアした「から」、あれがやりたい。これもやりたい。

人生のセカンドステージに、もう一度夢を描き直す。
「夢翔庵」の気ままなひとり言です。

水引草のふしぎ

2020年08月30日 | ひとり言
集合住宅住まいですが、一階なので南側ベランダから3・4段の階段を下りれば小さな専用庭がついています。働いている頃は庭の世話をする気分的な余裕などなく、年に何度か剪定や草取りをするのが精一杯でした。

猫の額とはいえ、リタイア後に庭の作業はたいへんだろうな、と思案していたところ、カミさんの友達のダンナで教師から庭師に転身(!)した方がいて、新たな植栽や敷石など使ってあまり手間がかからないように作り直してくれました。今から十年ほど前のことです。それ以来、こまかな世話をすればなんとか庭の形を保つことができ大助かりです。

その庭に不思議なことがあって、自分で植えた記憶がまったくないのに毎年自然に生えてくる「水引草」という植物があります。春の球根植物が終わったころから大きな葉っぱをつけた茎が伸びてきて、夏から晩秋まで水引の赤を思わせる小さな赤い花を咲かせます(これを下から見ると白いので紅白の水引になぞらえた命名だと思います)。

この花をわが庭に見つけた時の嬉しさは、なんともいえないものでした。なぜなら、この前の忘れ草(萱草)同様、立原道造の詩に詠われた草花だったからです。

夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を

うららかに青い空には陽がてり 火山は眠つてゐた
――そして私は
見て来たものを 島々を 波を 岬を 日光月光を
だれもきいてゐないと知りながら 語りつづけた・・・・・・

以下略「のちのおもひに」