浅野ゆうじの独り言

社会・政治に関連する本の感想や日々の出来事についての私なりの考え方を書いています。

「民意の反映」とは

2010-10-02 08:48:23 | 国際・政治

地方議会での議員定数問題や住民投票条例、また名古屋市のリコール問題などを見ていますと、「民意」を反映するとはどういうことであろうかと考えさせられます。

一つの政策判断に、民意を反映させる方法は、基本的に議会であるのが間接民主主義ですが、その議会の判断が民意を反映していないとする首長または市民の意見が大勢を占めるであろうことに軋轢が生まれ、民意が反映されていないとされるところに問題があります。当然のことながら間接民主主義であるべきか、直接民主主義であるか、という問題になるでしょう。

そこで二つの切り口、「責任」と「情報判断」という側面で、間接民主主義のメリットを取り上げてみたいと思います。

政治においては、よく「責任」という問題がないがしろにされがちです。しかし、「選挙」によって責任はとらされていると考えれば当然かもしれません。一方、直接民主主義の政策ミスによる責任はだれが取るのでしょう。当然、市民です。間接民主主義も最終的に責任を取るのは市民ですが、直接の影響は形にあらわれることなく責任の所在はあいまいになってしまうのではないでしょうか。であるからこそ負託を受けた議員は、議論し、十分な審議を行う責務があります。

さらに、議員は審議の過程において、多くの市民からの様々な角度からの意見を検討し、自らの判断を下すために、「情報」の収集をしなければなりません。特定の団体や組織に偏ることなく、公平・公正な判断が求められます。そこでは、結果は別としても少数意見が尊重される議論が行われることこそ、間接民主主義の利点でもあるのです。直接民主主義は、ともすると偏った情報の中で判断を迫られ、単純に多数決の原理で物事が決まってしまう恐れがあります。また、賛成か反対の二者択一の政策決定は、リスクの大きい決定方法であるともいえます。

こうした基礎的な政治制度の中で、今の地方自治の混乱が語られているのかを疑問に思うところがあります。人気があるというようなポピュリズム的な流れがあるとしたら、極めて憂慮すべき事態ではないでしょうか。

以上