プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

記事のタイトルを入力してください(必須)

2011年10月28日 | 日記
食品の生涯累積被曝基準 危険値は100mSv?
 
 政府の食品安全委員会は、「健康影響が見い出されるのは、生涯の累積でおおよそ100mSv以上」(引用は『朝日新聞』)との答申を行ないました。「これまで同委員会は、食品だけでなく環境からの外部被曝も含めて100mSv」だとしていましたが、「外部被曝は所管外」として、「食品による内部被曝だけで100mSvという意味だと強調した」そうです。つまり、これまでの基準よりさらに緩和された(甘くなった)ということです。

 この食品による内部被曝の算定の基準は、「外部被曝がほとんどなく、汚染された食品からだけ被曝する状態」を前提として、「福島第1原発による放射性物質を含んだ食品を1年間摂取した場合の被曝線量を全年齢で約0.1mSvとして推計して」おり、「0歳児が100歳まで生きたとしても、生涯10mSv程度という計算になる」そうです。それでは、健康に影響を与える100mSVに達するには、1000年生きなければならないということで、原発事故で汚染された食品を食べて内部被曝しても、誰も健康被害を受けないという結論のようです。

 しかもこの内部被曝の推計線量は、「原発事故後の3月17日に、厚労省が決めた」もので、「食品からの被曝を放射性物質全体で年間17mSvを超えないようにする大枠から、各食品の平均摂取量などをふまえ、1キロ当たりの基準を算定」したものです。年間1mSvではなく、年間17mSvです。しかも、「食品による内部被曝の研究は乏しく、同委員会の審議は外部被曝のデータを中心に行なわれた」そうで、彼等の推定そのものの根拠となるデータがそもそも存在しないのです。

 ご存知のように、これまで高名な専門家と言われる先生方が「100mSv以下は被曝しても安全なのだ」とのたまわれてきたのは、外部被曝のことであってはっきり言って内部被曝のことは全く考慮にはありません。その基準の基準となってきたのが、内部被曝を否定するために作られた組織、IAEAであることに鑑みれば、一目瞭然です。何百キロも離れたスタジオから、原発事故を遠望しながら、まず届くことのない(放射性物質ではなく)放射線の影響はないと、断言していただけに過ぎないのです。

 今回の内部被曝だけで100mSvを許容した基準は、実質100mSvを認めている外部被曝の100mSvと合わせれば、計200mSvまでは被曝しても良いんだと、言っているようなものです。原発作業員の外部被曝による(殆ど認められることのない)労災認定でさえ、(正確な数字は忘れましたが)50mSvで認められているケースもあるにも拘わらず、今回の基準では、(年間17mSvを基準にした)汚染された食品を食べ続けても、0歳児が100歳まで健康で生きられると言うのです・・・これでは、汚染食品にお墨付きを与えているばかりか、放射能汚染を引き起こした原発事故そのものを肯定するようなものではないでしょうか?今回の答申を受けて厚労省は、食品の基準を「影響を受けやすい子どもを前提に進める」そうですが、危険を「安全」だとして押し付ける彼等に、何も期待するものはありません・・・

P.S.  文科省はSPEEDIの情報公開をしなかった理由を、不正確なデータを下に算出したものだからとしていましたが、連載「プロメテウスの罠」によれば、「原子力安全委員会が定めた指針では・・・単位放出または事前に設定した値で計算する」というマニュアルがあり、ホットスポットをピンポイントで指定した正確なシュミレーション結果も、この単位放出を元に算出されたそうです。しかしこの「正確」な情報が避難に活かされることはありませんでした。しかし問題はそれだけではありません。事故時の原子力災害対策本部長である「首相の菅直人も、経済産業省の海江田万里も、官房長官の枝野幸男もSPEEDIを知らなかったと主張」、(海江田、枝野は20日過ぎまで知らなかったと)国会答弁までしています。連載の続きはまた後日・・・