陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

本の段組みって好きですか?

2019-04-20 | 読書論・出版・本と雑誌の感想

読書が好きな、その割にはこれといった良著をおススメするわけでもない、半端な自称・読書家が読書について語るシリーズ記事。このシリーズ、だんだん、本そのもののありかたにケチをつけているような気がしてなりません。

雑誌や新聞はいわずもがな、一般書籍にも段組み構成があります。
さすがに新書や文庫本にはないですが、そこそこボリュームのある文学全集は二段組が多いですよね。古い評論文や小説にもあるのですが、現在の単行本の小説では珍しいのではないでしょうか。私が知る限り、近作では、恩田陸の『蜜蜂と遠雷』ぐらいだったか。

私、原則的にはこの段組のある一般書籍が好きではありません。
文字の密度が濃く感じられて読むのが疲れるのと、うっかり下段へと目が滑って先の展開を読んでしまったりするからです。ですから、ある一作だけ読みたくて買った文学全集のある巻も、文庫で単体が出版されたら買い替えることにしています。

最近、完結した田中芳樹の『アルスラーン戦記』というカッパノベルズの人気作がありますよね。
あれも図書館で借りたのですが、二段組で目が先に泳いでしまって楽しめなかったので、第一巻で読むのをやめてしまいました。文庫版はあるのでしょうか。子どもの頃、「鎧伝サムライトルーパー」というアニメのノベライズ本があって、それも二段組で楽しく読んだのですが。いつのまにか苦手になってしまいました。

ただし、図書館で借りるときは、二段組もののほうが少ない冊数で借りられるので便利ではあります。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』も、スタンダールの『赤と黒』も、吉川英治の『水滸伝』も。文庫ものにすると、何分冊されるものでも、一冊だけで読めるのはいいですし、全体の進捗もわかりやすいです。

段組自体が苦手というよりも、やはり内容によるのかもしれません。
個人的には、新聞連載などで極端に一文が少なすぎる、短文での改行がかなり多い小説は下の空白が気になるので、やはり二段組にしていただきたいです。逆に樋口一葉の『たけくらべ』みたいな、一文が長すぎて、区切り目がわかりづらいのは、二段組でないほうがいいかもしれないです。そもそも文字が小さすぎて読みづらいので、漢字がやたらと多いのも。

ところで、頁内の段組がきついものといいましたら、なんせ辞書にまさるものはありませんよね。
改行もなく、空白もなく、文字は寿司詰めで、スマホ老眼になると読むのがつらすぎますが、頁の紙の薄さ透明感と、情報量の多さで救われている面があります。しかし、電子辞書ユーザーやインターネット辞書愛好者には、たしかに異物で重たい字面に見えるのは否めないでしょうね。
 

読書の秋だからといって、本が好きだと思うなよ(目次)
本が売れないという叫びがある。しかし、本は買いたくないという抵抗勢力もある。
読者と著者とは、いつも平行線です。悲しいですね。



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