映画「マスク・オブ・ゾロ」

この放映、楽しみにしていました。
数年前に怪傑ゾロを映画化したと聞いていたので。ところが、それは監督・主演はおなじでもタイトルの違う続編の「レジェンド・オブ・ゾロ」（2005年作）だったようですね。そちらも、機会があれば視聴してみたい。

マスク・オブ・ゾロ【字幕版】 [VHS]
	アントニオ・バンデラス, マーティン・キャンベルソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 1999-09-24売り上げランキング : 56517おすすめ平均 ＣＧゼロの勧善懲悪冒険活劇！Amazonで詳しく見る by G-Tools

さて、この98年の映画「マスク・オブ・ゾロ」
その舞台は、19世紀初頭のカリフォルニア州南部。1821年にメキシコはスペイン領から独立しましたが、1848年までカリフォルニア州は、そのメキシコの一部でした。

加州提督ラファエル・モンテロは、革命軍に追われてその地を去ろうとするみやげに、宿敵怪傑ゾロに一糸報いようと、罠を張る。が、ゾロに恥辱の一撃を浴びてしまう。圧政に虐げられた民衆は、無実の仲間を救ってくれた英雄をさかんに褒めそやす。
ゾロの正体は、スペイン貴族ディエゴ・デラ・ベガ。それを察知したラファエルは邸を襲う。
無情にも、ラファエルに横恋慕されていたディエゴの愛妻はいのちを落とし、娘まで奪われてしまう。ディエゴは捕らえられ投獄されてしまった。

それから20年後、ふたたび、かの地に怪傑ゾロがよみがえる。
おりしも、あの悪政者ラファエルがメキシコからまたしても渡米していた。
新しいゾロは、からくも脱獄したディエゴに剣の指南をうけ、民衆の奉仕者たれと説かれた青年アレハンドロだった。彼は亡き兄の復讐を果たすため、にっくき米国人大尉ハリソン・ラブを追っていた。敵討ちのためラファエルに近づくが、彼の刃の向け先はひとり自分の復讐のためには終わらなくなった。農民や囚人を酷使して金鉱発掘し、政治資金を得ようとしていることをつきとめてしまったのだ。
ラファエルの娘エレナに惚れてしまうが、義憤に駆られてラファエルおよびラブの野望阻止にうごきだすアレハンドロは、二代目ゾロとしてラファエル一味に正義の闘いを挑みはじめる。
だが、師のディエゴは私憤のために、ある行動に出ようとしていた。

恋愛劇がいかにも男と女が出会ったらくっつかざるをえない、という安直なものであるのは目をつぶったとしても。息をもつかせぬ活劇の数々、そして因縁でつながっていく人間模様。なかなかおもしろかったです。
気の強いエレナがアレハンドロと情熱的なダンスを踊ったかと思えば、ゾロと剣で真っ向からやりあう。

最後はもちろんお約束の結びなのですが、世代交代を感じさせもする。
二代目ゾロには、「ストレンジャー」「スパイ・キッズ」のアクションでも魅せてくれたスペイン人俳優アントニオ・バンデラス。「フリーダ」の寡黙な芸術家役も板についていましたね。
先代ゾロことディエゴを演じたのは名優アンソニー・ホプキンス。ジョディ・フォスター主演「羊たちの沈黙」のレクター博士役が有名ですね。

キャサリン・ゼタ＝ジョーンズは、この映画のヒロインで一躍時の人に。黒髪が美しいですが、アイルランド人の血をひく英国人。映画「マーサの幸せレシピ」のリメイク版となった、07年の映画「幸せのレシピ」の主演をつとめました。

監督はマーティン・キャンベルですが、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮をとったそうで。
90年代末の活劇だけど、70年代あたりの西部劇の風情が漂いますね。険しい形の山、砂煙の多い土地、逞しい馬にまたがったカウボーイふうの男。歴史考証がおかしい部分もあるようですが、楽しめました。

ある年代以上の方は、怪傑ゾロと聞けば、アメリカの作家ジョンストン・マッカレーの小説を原作とするとおわかりになるでしょうが、私などはどうしても、児童書からアニメになった「かいけつゾロリ」を思い起こしてしまう…。

（〇九年五月二十七日）