陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「ボーイズ・ドント・クライ」

2018-05-22 | 映画──社会派・青春・恋愛

男として生きようとした女という設定(すでに二次元ではおなじみですが…)に興味を惹かれたので手にとってみたのが、1999年の映画「ボーイズ・ドント・クライ」
しかし、話がとにかく重い、ひたすら暗すぎる。観なきゃよかったと思いました。しかも、これがよくできた創作でなく、実話と知ったからよけいにショック。

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1993年のアメリカ、ネフラスカ州リンカーン。
隣町のバーへふらりとやってきた華奢な青年ブランドンは、刑務所帰りの男ジョンと意気投合。ジョンの仲間たちとも親交を結ぶ。
ジョンのガールフレンドのラナと恋仲になって、幸せなブランドン。だが、ある日車のスピード違反で検挙されたことから、「彼」の嘘が発覚。ブランドンは、ティーナという少女だった。
そして、全てを知った周囲の人々の態度が豹変。ブランドンに残酷な仕打ちを与えることに…。

この映画は同性愛を描いたというよりは、トランスジェンダーに悩む女性を描いたものといえるのでしょうが。ブランドンの苦悩に想いを馳せない人々の投げる言葉のなんと痛いことか。
そして、予想されたことですが、騙された恨みからのジョンとトムの行う非道。いったんはそれで、恋人のラナに慰められて、ふたりで逃避行できるかと思わせる。
しかし、この後、さらなる地獄が待っていたとは。もう、二の句も継げないですね。唯一、救いなのはラナだけがブランドンの本性を知っても、ありのままの「彼」を受け入れたこと。

それにしても、男性同士の愛というのはたいがいフィクションの刑務所や喜劇ではおなじみで笑い飛ばす要素になっているのに、女性どうしの愛を描いたものって、どうしてこうことごとく悲劇が多いんでしょうかね。キリスト教文化圏だからか。
「女は男を愛さないと不幸になるぞ」という、社会に根付いている脅迫めいたメッセージのように思えます。別に私は性的マイノリティの味方ではないし、社会体制維持のためには子どもをつくってくれる異性愛者が増えたほうがいいに決まっていますけれど、誰を好きかに関わらず、自分に相手を大切にしたい、いっしょに暮らしていくための努力は惜しまないという、社会性がないと無理ですよね。同性のパートナーだからって、その人がお金にだらしなかったり、生活習慣がおかしくて働かなかったりしたら、どうします? 母親のように尽くしてほしい、父親のように養ってほしい、そんな同性パートナーが欲しいとか言う人は、たぶん永遠に二次元のガールズラブとか、ボーイズラブとかにハマっているだけなのでは。(と、いまだに二次元にハマっている人が申しております)

主演は、本作で体当たり演技をみせた「ミリオンダラー・ベイビー」のヒラリー・スワンク。アカデミー賞最優秀女優賞、ゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ドラマ部門) を受賞。
監督・脚本はキンバリー・ピアース。

ボーイズ・ドント・クライ(1999) - goo 映画



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