陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

『お釈迦様もみてる ウェット or ドライ』

2009-11-21 | 感想・二次創作──マリア様がみてる
いつの間にか発売されていた『お釈迦様もみてる ウェット or ドライ』(今野緒雪著・集英社コバルト文庫・二〇〇九年十月)
手にしたのは十一月なのですが、読後感がよくなかったのでレヴューを迷っていました。以下、辛口、微妙にネタバレあり。

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まず表紙からして、野郎がふたりです。しかも右側の少年はガン飛ばしてます。左側の年上の青年はなんだか眠そうな顔。
そうなんです。この巻には、あの姉が出てきません。ですので、マリみてのメインキャラ好きにはおススメできません。

内容は、福沢祐麒たちはじめ一年生四人組の夏休みのできごと。避暑地にバカンスに出かけた生徒会の先輩たちを尻目に、一年生たちは生徒会室で合宿をするように言いつけられてしまうのです。目的は部活動の助っ人。

出だしのアンドレ先輩の部分を除くと、途中まで読むのがしんどい展開。今野先生も筆が乗っていないような気がします。後半になると祐麒の野球部での活躍がいくばくか織り込まれ盛り上がりを見せるも、中途半端に終わる。その後、アリスこと有栖川金太郎くんの意外なエピソード(『マリア様がみてる─フレーム・オブ・マインド─』所収)があったりで。

主人公の祐麒はともかく、同級生の小林や高田のキャラが魅力的ではないので、読むのが苦痛です。
おかしな意味で目立っているのがアリスこと有栖川金太郎なのですが、彼の思考回路が正直かなり受けつけられない。トランスジェンダーの見かけ男の子ってこんなモンなんでしょうか?

キャラクターが部活を渡り歩くというエピソードは、「ハイスクール奇面組」を思い起こさせました。

次回はおそらく学園祭を描くと思うので、リリアン女学園との絡みが期待されるのですが、はっきり言ってこのシリーズ今後の購入を見合わせようかと検討中。
スポ根ものでも、バトルアクションでもない、男子校の日常をだらだらと書きつづられたものって、いくら好きな作家のものでも私はあまり読みたくはないです。
男子校ってこんな陰険なものなんでしょうか? 気分が滅入っているときに読んでしまっただけに、よけいに後味が悪いものでした。
『紅か白か』はけっこうおもしろかったのに。

『マリみて』初期の頃に感じたうきうきした気分は、どこに行ったのでしょう。
作品がおもしろくないというか、なぜ面白味を感じないのか、その理由を系統立てて述べられない自分にも腹立たしいのです。

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