陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

映画「名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)」

2009-04-18 | テレビドラマ・アニメ


名探偵コナンの映画が、金曜ロードショーで上演というのもなんだかすごいといいますか。ふつうでしたら、季節の変わり目にいつもの月曜七時台に放映していましたよね。
ちなみに、TVの放映は毎回観る気はしないけれど、このアニメの映画版はけっこうよくできているものが多いので、機会があれば観てしまう私です。
この作品は、音楽家が関与している事件なので、ちょっと興味もあったりしまして。

ある音楽家アカデミー出身の音楽ばかりが狙われる連続殺人事件が発生。その音楽アカデミーの創設者で元世界的ピアニストの所有する、音楽ホールのこけら落としに招かれる。そこに出演した者は、なんとなくいわくありげ。そのなかでも、ある天才ソプラノ歌手は被害者四人を殺す動機があった。しかし、その歌手がつぎからつぎに命を狙われ、コナンが間一髪で救出。
コンサートの当日、ホールでは大爆発がおこり、コナンは歌手とともにどこかに連れ去れてしまう…。

というのが、あらすじ。
このアニメは、さいしょにきな臭そうな気配を放っていたひとは、じつは犯人ではないということがよくあるわけですが、今回もそのパターン。しかし、伏線はよく張られてやはりなかなか犯人像が見えません。
いつも、コナンくんだけがかってに犯人を推量して、あのひとはどうのこうの、って分析しだすときがとても、もどかしいんですよね。

犯人がわかったあたりからは、すこしトーンダウンしちゃう。といいますのも、犯人の動機がすごくしょ~もない、って思えるから。でも、こういう理由でじっさい犯罪をおかしてしまうひともいるわけですよね。そして、このアニメは犯罪者はかならず逮捕され、法律でさばかれるところがいいところ。ひとを殺すのに理由で罪が軽くなるなら安いもんだと思うわけですが。それでも凶行に走らなければならなかった犯罪者を、社会のやさしさを感じられずに、かってに被害者面して自分をおいつめている可哀想な人間という事実をつきつけることで、刑罰をくだしているといえるでしょうか。

本作の見どころは、なんといっても、本場のソプラノ歌手の美声が発せられるところ。とくにソプラノ歌手二人が在る事情のために、違う曲を同時に競うように謳ってしまう場面は、聞いていまして圧巻。シューベルト、グノー両版のアヴェ・マリアほかそうそうたる楽曲が堪能できます、最後のアメージング・グレイスがよいですねえ。

そういや、今回は眠りの小五郎は活躍なし。
園子がけっこういい役回りしてましたね。
そして、伸一を想う蘭とコナンの最後のロマンスもなかなか。じつは、このパートがいちばん好き。逢いたいのに逢えないもどかしさ。側にいるのに名乗ることのできないかなしさ。切ないですよね。

しかし、サブタイトルは「戦慄の楽譜」というよりは「戦慄の楽音」のほうが、正確なのではと思われました。



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