goo blog サービス終了のお知らせ 

歌舞伎見物のお供

歌舞伎、文楽の諸作品の解説です。これ読んで見に行けば、どなたでも混乱なく見られる、はず、です。

「盲目物語」 もうもく ものがたり

2010年11月26日 | 歌舞伎
昭和30年初演の作品です。いわゆる「新作もの歌舞伎」になります。
谷崎潤一郎原作の作品です。
美しい姫君に心を寄せる、盲目の法師の物語です。
新作ですし、ストーリーも谷崎ももですので単純ですから、とくにわかりにくくないと思います。
一応戦国史をざくっと押さえたほうが無難かもしれません。
大河ドラマんどでよく出る題材なので、そのへんを見ていれば大丈夫です。
戦国系のゲームでも大丈夫です。

織田信長の妹の「お市の方」がでてきます。
戦国時代なので結婚した夫がどんどん死にますよ。
夫の「柴田勝家」が負けて落城したとき、一緒に自害しますよ。

盲法師の「与市(よいち)」は、すっとお市の方に仕え、娘の「お茶々」を燃えるお城から救いだします。

この「余市」が主人公です。
余市は、はじめ母のお市の方、後に娘のお茶々にも恋心を抱くのですが、その思いが叶うことはありません。
お茶々は秀吉の側室になってしまいますしね(淀君)。

与市は最後はになってさまよいますが、やはりお市の方への思いは忘れないのでした。
(この場合、「」というのは「乞食」くらいの意味になります
※参照=江戸の身分制=

そんなもの悲しいお話です。

動きのある見せ場は大阪城落城ですが、全体としては与市が寂しそうだったり、戦国の女が不幸だったり、
そういうのを見るお芝居です。

歴史の片隅にいる人物にスポットをあてて人間像を掘り下げ、その悲哀を余情たっぷりに描くというのは新作歌舞伎の得意技で、
その典型なお芝居といえると思います。


=50音索引に戻る=


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。