歌舞伎見物のお供

歌舞伎、文楽の諸作品の解説です。これ読んで見に行けば、どなたでも混乱なく見られる、はず、です。

「藤娘」 ふじむすめ

2013年04月27日 | 歌舞伎
「藤娘」 ふじむすめ
急ぐとき用の3分あらすじは=こちら=になります。
巨大な松を中心に、舞台いっぱいに大きな藤の花がたくさん下がっています。
この中で藤の精であるキレイなお姉さんが踊ります。

もともと「藤音頭」というのがあって、そこから派生した踊りですが、そのへんの詳細は割愛です。

踊りの内容は、基本的に若いムスメの恋心を描きます。恋人がつれないのを嘆いたり、藤に巻かれて寝てみたや♪ というかんじで仲のいい様子を踊ったりします。
途中に、大津絵がモチーフですので近江八景を読み込んだ文句があります。
後半は原型の「藤音頭」になり、華やかな手踊りを見せます。

踊りそのものはとくに複雑なかんじではないので、キレイなお姉さんと、キレイな藤の花の舞台装置を楽しんでください。

舞台一面の巨大な藤の花のせいで、踊っている役者さんは本当に小さく見えますよ。
三階席で見るのが逆にオススメの踊りです。

大津絵という、大津の宿場で東海道を通る旅行客向けに売ったおみやげ用の絵があります。
芸術性はイマイチですが、インパクトのある漫画的な図案で、化け物や滑稽な笑い絵、キレイなお姉さんなんかが描かれました。
「藤娘」は、この「大津絵」の定番モチーフのひとつです。女の子用のおみやげというかんじです。

初演のときは、お芝居の中で、大津絵の絵が抜け出して敵をやっつけるという展開があり、その場面で踊られました。
お芝居は、まったく同じものではないですが一部残っています。というか近松なのでこっちが原型です。傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」というお芝居ですよ。


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1 コメント

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^^ (TOM)
2010-06-22 21:50:37
親切な説明ありがとうございます。
とても参考になりました。
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