歌舞伎見物のお供

歌舞伎、文楽の諸作品の解説です。これ読んで見に行けば、どなたでも混乱なく見られる、はず、です。

「芋掘長者」(いもほりちょうじゃ)

2008年01月05日 | 歌舞伎
歌舞伎座で最後に出したのが40年以上前のようです。生まれてません。すみません。
新作ものです。
内容的には、身分の低い男が、手の届かない身分の高い美女に惚れ、あの手この手で近づき、ついに嫁にするという
おおらかでおめでたい内容です。

これは、「御伽草子」や昔話によくある展開で、
じつは、「御伽草子」に載っているバージョンの「一寸法師」や「ものぐさ太郎」なども
現代の絵本とは少し雰囲気が違い、この系統の物語です。
つまり「いかにお姫様を口説いたか」がお話の中心なのです。

三島由紀夫が出した新作歌舞伎、
鰯売恋曳網(いわしうり こいのひきあみ)」も、原型は「御伽草子」の「猿源氏草子(さるげんじぞうし)」ですが、
やはり似た系統の物語です。
身分の低いちょっと見乱暴そうな男が、じつは非常に教養があり、歌もじょうずに詠む。
これにお姫様や高級遊女が惚れる、という内容です。
近世初期の民衆の、貴族に対する地位向上のエネルギーが感じられると思います。

といってもお芝居にするときは、当意即妙の古典の引用や和歌は現代の客には通じないので、
「鰯売」の場合はおもしろい「魚尽くし」のセリフを聞かせ、
この「芋掘り長者」は踊りを見せて相手を口説きます。

セリフ付きの所作(踊りですね)ものとして気楽にどうぞ。
新作なのでお話はわかりやすいと思います。  

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