歌舞伎見物のお供

歌舞伎、文楽の諸作品の解説です。これ読んで見に行けば、どなたでも混乱なく見られる、はず、です。

「橋弁慶」 はしべんけい

2010年11月26日 | 歌舞伎
所作(しょさ、踊りね)です。
同タイトルの能の作品がベースになっています。

同じ能ベースの「船弁慶」とタイトルが似ていますが、内容はかなり違います。
「♪京の五条の橋の上♪」の弁慶と牛若丸(義経)の有名な出会いと立ち回りがテーマです。

京の都、五条大橋で弁慶と牛若丸(義経)が戦って弁慶が負け、主従の契約をするという定番の内容ですが、
一般的な伝承とは多少違う部分があります。

一般的には乱暴者の弁慶が五条大橋を通る人を殺して武器を奪って999人。これをこらしめに牛若丸(義経)がやってくるわけですが、
「橋弁慶」では、夜な夜な五条大橋で暴れているのは牛若丸(義経)のほうです。

弁慶は西塔(さいとう、比叡山)のちゃんとしたお坊さんという設定で、毎晩五条の天神さまにお参りをしてるというまじめっぷりです。
弁慶が五条大橋で暴れる少年の強さと暴れっぷりと、化生のものを使うという話を家来から聞き、
化生のものであるならやっつけようとやってきて、牛若丸と戦う、という内容です。
なので、戦いも、先に仕掛けるのは牛若丸のほうです。

戦い方も、弁慶は力任せで技術は全然ない、というありがちな設定ではなく、弁慶もそうとうの使い手なのですが牛若丸のほうが強すぎる、というかんじです。
弁慶はべつに悪いことはしていないので、有名な「鬼の弁慶、あやまったー」という展開にもなりません。
義経の強さにふつうに感服した弁慶は相手の名を聞き、「源義朝(みなもとの よしとも)」の息子だと知ります。
そして家来になろうと申し出て主従の約束をします。という内容です。

というわけで、どちらかというと牛若丸(義経)のほうが悪っぽいです。

基本的には、立ち回りがついた所作(しょさ、踊りね)、ということで気楽にご覧になればいいと思います。
弁慶も牛若丸(義経)も、能ベースらしく品のいい雰囲気になっているかと思います。

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