洋上風力発電と漁業 海外と日本の経験

Offshore wind farms and fisheries
”洋上風力発電と民主主義”

洋上風力発電と漁業 海外の経験#29 米国 東部ニューベッドフォード当局 漁業分野への配慮を勧告

2023-05-26 15:55:19 | 日記

 

2023年05月26日

北海道機船漁業協同組合連合会内 一般社団法人北洋開発協会 原口聖二

[洋上風力発電と漁業 海外の経験#29 米国 東部ニューベッドフォード当局 漁業分野への配慮を勧告]

日本での先行する欧米の洋上風力発電の漁業分野との共栄、相乗効果等の成功体験は、ほとんどが開発事業者による切り抜き発信で、実際に漁業分野の情報にアクセスしていくと様々な問題が報告されている。

米国東部マサチューセッツ州ブリストル郡南部海岸に位置するニューベッドフォード当局は、洋上風力発電会社が新規プロジェクトの許可を求めている開発事業者に、漁業分野への配慮について勧告を行った。

“サウスコースト・ウインド”(South Coast Wind:旧名 Mayflower Wind)社は、マーサズ・ヴィニヤード島南30マイルに位置する2,400メガワットの洋上風力発電プロジェクトを提案している。

ニューベッドフォード港湾管理局事務局長ゴードン・カーは、“サウスコースト・ウインド”社に対し、地元の漁業プログラムやプロジェクトの支援において“ヴィンヤード・ウインド”(Vineyard Wind)社に倣うよう勧告した。

“ヴィンヤード・ウィンド”社の風力発電所プロジェクトは先行して建設に近づいている。

ゴードン・カーは、米国内務省海洋エネルギー管理局(BOEM)からの、プロジェクトの影響を概説した“サウスコースト・ウインド”社の環境影響報告書草案に関するコメントの求めに応じた。

ゴードン・カーは、これまでのプロセスにおける主な懸念は、漁業緩和に関して決定的で強制力のある措置が欠如していることだと指摘している。

ニューベッドフォードや他の港は財政的に恩恵を受ける見通しだが、漁業への影響が懸念されており、“サウスコースト・ウィンド”社は、地元の漁業プログラムやプロジェクトを支援するため、“ヴィンヤード・ウインド”社の緩和計画と同様の“漁業革新基金”の創設を検討すべきだと言及、商業漁業を真に知る専門家を配置した強固な漁業連絡プログラムを展開しなければならないと加えた。

洋上風力発電開発と長年にわたる漁業活動の共存を促進するため、“ヴィンヤード・ウインド”社が漁業軽減基金に175万ドルを提供している。

この資金は、地元の魚類の研究、革新、促進に使用されることとなっている。

また、ゴードン・カーは、海洋生態系や漁業への洋上風力の影響に関しては不明な点が多く、最も影響を受ける地域を特定するのは困難だと指摘し、これが、将来的に変化と影響を測定し定量化できるよう、さらなる研究と分析、評価を続ける必要があると説明した。

更に、環境影響報告書草案は、建設中および建設後最低5年間、商業漁業およびスポーツフィッシング権益の損失に対する補償プログラムを実施すると述べているが、プロジェクトの期間が30年以上続く可能性があり、これでは不十分だと加えた。

ゴードン・カーは、“サウスコースト・ウィンド”社がこれらの問題を真剣にとらえるべきだと結んだ。

 

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