文字のごちそう食問答にようこそ。
食問答では食に関する疑問や不思議な事を問題提起、解決をしていこうと言うコラムです。
50音順に始まる言葉をチョイスし、その言葉から連想されるモノについて色々考えていこうと思います。
今日は「え」です。
江本に江夏に縁結び。海老蔵でてきて円楽わらい、得体の知れないエイの缶詰・・・・
「え」にまつわる話は色々ありますが、今日は塩分(えんぶん)について話しましょうか。
スーパーマーケットに行くと、「塩分ひかえめ」という謳い文句の食品が棚に並んでいるのをよくみます。
塩分を摂りすぎると高血圧になり、様々な病気を起こすキッカケになり、塩=悪の根源的な考えが世間では思われがちですが、元々我々の体には塩分は不可欠です。
汗やいろんなもので塩分が外に排出されているのを何かで補わなければなりません。
昔の日本人だと、額に汗して働く仕事が多かったのに対し、現代人ではデスクワークや外で遊ばない子供が増え、汗をかく機会が少なくなっていると言われています。
であるからして昔よりもそれほど塩を補給する必要がなくなったことで、塩分をひかえめにすることは納得いきますが本当にそうでしょうか?
まず、塩の役割をもう一度考えたいと思います。
塩はまず、味付けの働き、浸透圧で水を出す働き、そしてそれに通じる殺菌の働きがあります。
昔は佃煮や塩昆布などは一枚で飯一膳くらい食べられると言われるくらい濃い塩味だったと聞きます。
その頃、塩昆布などは夏も冬もちゃぶ台の上に常にあるもので、いくら放っておいても腐らなかったそうです。
これは塩が雑菌を繁殖するのを抑える働きをしているのです。
しかし、最近の減塩ブームで食品に含まれる塩分濃度が低いために塩が雑菌の繁殖を抑えられなくなり、何か余計に対策する必要が出てきました。
そこで、保存料などの食品添加物を加える事で雑菌の繁殖を抑える事はできましたが、食の安全に関しては疑問がのこります。
最近塩昆布屋さんと話す機会があったのですが、昨今の減塩ブームは少し危険であるとその方はおっしゃいました。
というのが、誰もドンブリ一杯の塩昆布や佃煮を食べる人はいないということ。せいぜいお箸で数回取って食べる程度なのでそれほど減塩しなくとも塩分は摂取しないのです。
しかも、そういう人に限ってラーメンのスープを最後まで飲んだり、ポテトチップを最後の最後まで食べたりするのでよっぽどそちらの方が塩分を摂取している量からすれば多いのだそうです。
ですので、塩昆布屋さんなどはそこの線引きがものすごく難しいのだそうです。
塩昆布も最近では昆布を煮て乾燥させた後、塩をふりかける作業をしているところがほとんどで、塩吹き昆布じゃなくて塩フリ昆布なのです。
昔は自然と結晶した塩が表面に出てきたようでこれを塩吹き昆布と呼んだそうですが、今となってはそういう商品は少なくなっているそうです。
同じく砂糖もそうですよね。
最近はカロリーゼロの砂糖が登場していますが、これもなんだか合点がいきません。
ウチの母親もカロリーが気になるから砂糖を極力抑えたパンケーキを作っていましたが、ソンなもんだと味気も素っ気もなく、逆に砂糖を普通に使ったパンケーキをちょっとだけ食べたいと幼少のころ思ったものです。
そういう事で塩分は摂りすぎるとあまり良くありませんが、それ相応にきっちりと量を考えて摂るのはそれほどうるさく言う必要はないと思います。
塩分控えめの裏には「添加物たっぷり」という裏の隠れた怖さがあることを知らなければなりません。
ごぞんじ。
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