goo blog サービス終了のお知らせ 

かずまんの日記

美味いモンをトコトン探求するかずまんの日記

食問答八問目

2006-05-27 13:34:50 | 食問答
 文字のごちそう食問答にようこそ。
 食問答では食に関する疑問や不思議な事を問題提起、解決をしていこうと
 言うコラムです。
 50音順に始まる言葉をチョイスし、その言葉から連想されるモノについて
 色々考えていこうと思います。
 
 今日は「く」です。

 そうですね。今回は“クセ”についてはなしてみましょうか。

 まず、人間には「無くて七癖」と言われるほど、無意識に出てしまう、
 偏った好みや傾向があります。
 鼻くそをホジったり、つめを噛んだり、何でも匂いを確かめるべく
 におったり・・・・

 おもしろいことです。
 
 僕自身も人に言える範囲の癖を紹介しますと、アメリカでもないのに、
 ちょっとした事で「shit!」といってしまうことです。
 さすがに「f**k」とは言いませんけど。

 人に関するクセは何かとマイナスの意味で使われますが、
 これが食べ物に関して使うとなると、ちょっと様子が違うようです。

 おいしい餃子なんか食べると、「この餃子、まさにクセになる味だ。
 また来よう!」なんて口グセのように言います。
 この場合、プラスの意味で使われています。

 逆に、「この肉、ちょっとクセがあるよね。」
 など、難クセつけるが如くマイナスの意味で使わる場合もあります。

 「クセになる」と「クセがある」とでは一見そんなに変わりませんが、
 全く逆の意味でとらえられているなんて。
 日本語は難しいですね。そのクセ英語は分かりやすい。


 プラスの意味で使われている場合の「クセ」とは言い換えると、
 「病みつき」、「習慣になる」など。
 最近の僕のクセになる味はピエトロドレッシングです。
 あのいかにもカロリーが高そうなドレッシングはクセになる味です。
 ヤミツキになります。
 あのドレッシングがあるといくらでもサラダが食べられるほどです。

 こう考えてみると、プラスの意味でのクセというのは、
 「いくらでもいける」、「それだけずっと食べ続けても平気」的な
 意味合いも含んでいるのでしょうね。


 それではマイナスで使われる「クセ」はどうでしょうか。

 この場合のクセはその素材が持つ「特色」や「個性」のようです。
 しかもその個性が幾分食べる人にとって受け入れにくいものである
 事がわかります。

 しかし、この個性が無ければ味気ないものになってしまうのも事実。
 クセのあるチーズなんかは好例です。

 癖のないチーズは何の面白みもないし、逆にある程度の癖がある方が
 チーズとしてはいいのではないかと思いますが。


 このようにクセについて少し書いてみましたが、あなたの最近おもう
 クセなった食べ物はどういったものですか?
 教えてください。

 断っておきますが、僕は決して手グセは悪くありません。


 ごぞんじ。

食問答七問目

2006-05-13 15:37:27 | 食問答
文字のごちそう食問答にようこそ。
食問答では食に関する疑問や不思議な事を問題提起、解決をしていこうと言うコラムです。
50音順に始まる言葉をチョイスし、その言葉から連想されるモノについて色々考えていこうと思います。
今日は「き」です。

「き」にも色々ありますが、今日は濁点をつけて偽装について書いてみましょうか。

偽装は偽装でも現在、世間を揺るがす耐震強度偽装ではありません。そちらについては他の方がイヤっ!というほど説明してくれていますが、こちらの偽装もそれに負けず劣らずタチが悪い「産地偽装」です。

最近消費者が食の安全に不信感を募らせていると言うことで各生産者、流通会社などで栽培履歴、産地の明確化、製造責任者の明確化などさまざまな形で情報開示が行われつつあります。これをトレーサビリティといいます。

そんな中、去年大阪港埠頭での産地偽装事件が明るみとなり、組織的に産地偽装を行っていることが明らかとなりました。
この事件では2001年にトンガ産のかぼちゃをメキシコ産だと偽り、「メキシコ産」と印刷されたダンボールに詰め替えて偽装。完全に確信犯的で組織的な産地偽装工作が行われていました。

こういうことを行う背景には産地のブランド化による価格格差の問題があります。たとえば国産アサリが100g約100円で取引されている中、同じ品質で見た目も同じの外国産のアサリでは半値くらいで取引されています。見た目も味もそれほど変わらないので消費者が一目みてもわからないような商品が産地を偽り国産などとして売られている事実が去年から今年にかけてメディアなどで取り上げられています。

生産者や中間業者からすると表示さえ変えれば取引価格を上げられると思い、軽い気持ちから偽装するようになるのだそうです。
その代表的なものがカニです。
最近では指定の認識タグなどをつけて対策をしていますが、そのタグ自体ニセモノをつくり産地を偽って売っているケシカラン人たちもいます。



今では産地を証明するために遺伝子レベルの証明書を作って消費者に信頼してもらおうと言う動きもあるほどです。

たとえば米。
米はよほどの人で無い限り見分けがつかないハズです。この米がどこで作られてどういう先祖だったかをDNA鑑定で証明し、それをウリにして販路を拡大しているお米屋さんもいます。


「だまそうと思えば簡単にだませる。」
ココまで来たら生産者のモラルの問題です。
いつも取材に行って感じることはこういうことです。

実際、言葉のカラクリ、たとえば「保存料無添加」がうたい文句の商品があっても、無添加なのは保存料のみで着色料やアミノ酸、合成甘味料などが使われているのが現状で、ひどいところになると原材料の中に書いていない原料を入れているところがあるという事を聞きました。

それほど今の消費者は知らなさ過ぎるのです。
教える人がいないからというのもありますけど・・・

だからいつも思うのは“社会見学”をもっとして欲しいのです。
モノがどういう風に作られ、つくっているかたの姿を見て欲しいのです。
そうすることで作っている側も見られているという事で自覚も生まれてきますし、よりいい物を作っていこうと思うようになると思います。

「手を抜こうと思えば簡単なんです。でもそれは作り手のプライドが許しません。」
「良い商品を作ろう。」
と日々思いながら作品を送り出している生産者がどれだけいるか。

わたしたち消費者側もしっかりと勉強をして新しい形の“自己防衛”をしなければならない時代に来ているのかもしれません。

ごぞんじ。


食問答六問目

2006-05-03 15:21:10 | 食問答
文字のごちそう食問答にようこそ。

食問答では食に関する疑問や不思議な事を問題提起、解決をしていこうと言うコラムです。

50音順に始まる言葉をチョイスし、その言葉から連想されるモノについて色々考えていこうと思います。

今日は「か」です。

からくちからいも、からすのからすみ、カリフォルニア在住のカリフラワー。かんぴょうかしわにカントリーからし。
いろいろありますが、今回は「かむ」でいってみましょう。

最近、かたいものを噛むという機会がすくなくなってきていると聞きました。パンはより柔らかくなり、煎餅はよりシットリしていく。(ぬれ煎餅やん!)

ですから近頃では顎が張った子供が減ったといわれています。

「噛む」という作業は口の中で歯と歯を摺り合わせ、唾液を出しながら食物を口の中で咀嚼していくという事。

よく、“噛めば噛むほど味が出てくる”といいますが、コレは唾液が食物に反応して(例えば米では澱粉が口の中でブドウ糖に変化しているのを)味が出てくると感じているのです。

民俗学の本を読んでみると、酒造りの最初は口の中で米を噛み,それを壺に吐き出して発酵させて酒を造ったといわれています。

その酒造りに選ばれるものは若い女性だといわれています。
そりゃそうでしょう、誰もおっさんが噛んで造った酒なんて飲みたくはないです。

米を口に含み、10-15分くらい噛み続けます。
そうすると耳の下あたりが痛くなってきます。
そうです。
その部分が、米をかんで痛くなるところだから、「こめかみ」という名前がついた所以の「顳」です。

酒の歴史はさておいて、噛む作業というものは食べることへの第一歩です。

この仕事をしていて噛むことの大切さを教えてもらいました。
まず、味覚を高めるためには噛むことはとても大事に思えます。
よく噛むことでより細かい味がわかってきます。そして噛むことで口の中で味の変化を楽しむことができます。
紅茶と同じでトップノートとラストノートが噛むことでより鮮明にわかります。

そして噛んで時間をかけることで満腹感を得られます。
また諸説では脳を活性化するという話や虫歯を予防する話もありますし。

それでは噛まないとどうなるか・・・
表面的な味しかわからず、物の本質が見えなくなり味音痴になる。
いつまでたっても満腹感がえられず、肥満の原因になる。
脳が活性化せず虫歯がところどころに・・・・

・・・ってちょっと飛躍しすぎですが、そういう心配があるって事です。

皆さんも食べるときには今以上に意識的に“噛むよう”にし、しゃべるときには今以上に意識的に“かまない”ようにしていかないといけませんね。


ごぞんじ。

食問答五問目

2006-04-23 13:08:35 | 食問答
文字のごちそう食問答にようこそ。
食問答では食に関する疑問や不思議な事を問題提起、解決をしていこうと言うコラムです。

50音順に始まる言葉をチョイスし、その言葉から連想されるモノについて色々考えていこうと思います。

今日は「か」です。

からくちからいも、からすのからすみ、カリフォルニア在住のカリフラワー。かんぴょうかしわにカントリーからし。
いろいろありますが、今回は「かむ」でいってみましょう。

最近、かたいものを噛むという機会がすくなくなってきていると聞きました。パンはより柔らかくなり、煎餅はよりシットリしていく。(ぬれ煎餅やん!)

ですから近頃では顎が張った子供が減ったといわれています。

「噛む」という作業は口の中で歯と歯を摺り合わせ、唾液を出しながら食物を口の中で咀嚼していくという事。

よく、“噛めば噛むほど味が出てくる”といいますが、コレは唾液が食物に反応して(例えば米では澱粉が口の中でブドウ糖に変化しているのを)味が出てくると感じているのです。

民俗学の本を読んでみると、酒造りの最初は口の中で米を噛み,それを壺に吐き出して発酵させて酒を造ったといわれています。

その酒造りに選ばれるものは若い女性だといわれています。
そりゃそうでしょう、誰もおっさんが噛んで造った酒なんて飲みたくはないです。

米を口に含み、10-15分くらい噛み続けます。
そうすると耳の下あたりが痛くなってきます。
そうです。
その部分が、米をかんで痛くなるところだから、「こめかみ」という名前がついた所以の「顳」です。

酒の歴史はさておいて、噛む作業というものは食べることへの第一歩です。

この仕事をしていて噛むことの大切さを教えてもらいました。
まず、味覚を高めるためには噛むことはとても大事に思えます。
よく噛むことでより細かい味がわかってきます。そして噛むことで口の中で味の変化を楽しむことができます。
紅茶と同じでトップノートとラストノートが噛むことでより鮮明にわかります。

そして噛んで時間をかけることで満腹感を得られます。
また諸説では脳を活性化するという話や虫歯を予防する話もありますし。

それでは噛まないとどうなるか・・・
表面的な味しかわからず、物の本質が見えなくなり味音痴になる。
いつまでたっても満腹感がえられず、肥満の原因になる。
脳が活性化せず虫歯がところどころに・・・・

・・・ってちょっと飛躍しすぎですが、そういう心配があるって事です。

皆さんも食べるときには今以上に意識的に“噛むよう”にし、しゃべるときには今以上に意識的に“かまない”ようにしていかないといけませんね。


ごぞんじ。

食問答四問目

2006-04-16 15:16:06 | 食問答
文字のごちそう食問答にようこそ。

食問答では食に関する疑問や不思議な事を問題提起、解決をしていこうと言うコラムです。

50音順に始まる言葉をチョイスし、その言葉から連想されるモノについて色々考えていこうと思います。

今日は「え」です。

江本に江夏に縁結び。海老蔵でてきて円楽わらい、得体の知れないエイの缶詰・・・・
「え」にまつわる話は色々ありますが、今日は塩分(えんぶん)について話しましょうか。

スーパーマーケットに行くと、「塩分ひかえめ」という謳い文句の食品が棚に並んでいるのをよくみます。

塩分を摂りすぎると高血圧になり、様々な病気を起こすキッカケになり、塩=悪の根源的な考えが世間では思われがちですが、元々我々の体には塩分は不可欠です。

汗やいろんなもので塩分が外に排出されているのを何かで補わなければなりません。


昔の日本人だと、額に汗して働く仕事が多かったのに対し、現代人ではデスクワークや外で遊ばない子供が増え、汗をかく機会が少なくなっていると言われています。


であるからして昔よりもそれほど塩を補給する必要がなくなったことで、塩分をひかえめにすることは納得いきますが本当にそうでしょうか?

まず、塩の役割をもう一度考えたいと思います。


塩はまず、味付けの働き、浸透圧で水を出す働き、そしてそれに通じる殺菌の働きがあります。

昔は佃煮や塩昆布などは一枚で飯一膳くらい食べられると言われるくらい濃い塩味だったと聞きます。
その頃、塩昆布などは夏も冬もちゃぶ台の上に常にあるもので、いくら放っておいても腐らなかったそうです。

これは塩が雑菌を繁殖するのを抑える働きをしているのです。


しかし、最近の減塩ブームで食品に含まれる塩分濃度が低いために塩が雑菌の繁殖を抑えられなくなり、何か余計に対策する必要が出てきました。

そこで、保存料などの食品添加物を加える事で雑菌の繁殖を抑える事はできましたが、食の安全に関しては疑問がのこります。

最近塩昆布屋さんと話す機会があったのですが、昨今の減塩ブームは少し危険であるとその方はおっしゃいました。

というのが、誰もドンブリ一杯の塩昆布や佃煮を食べる人はいないということ。せいぜいお箸で数回取って食べる程度なのでそれほど減塩しなくとも塩分は摂取しないのです。
しかも、そういう人に限ってラーメンのスープを最後まで飲んだり、ポテトチップを最後の最後まで食べたりするのでよっぽどそちらの方が塩分を摂取している量からすれば多いのだそうです。

ですので、塩昆布屋さんなどはそこの線引きがものすごく難しいのだそうです。


塩昆布も最近では昆布を煮て乾燥させた後、塩をふりかける作業をしているところがほとんどで、塩吹き昆布じゃなくて塩フリ昆布なのです。

昔は自然と結晶した塩が表面に出てきたようでこれを塩吹き昆布と呼んだそうですが、今となってはそういう商品は少なくなっているそうです。


同じく砂糖もそうですよね。
最近はカロリーゼロの砂糖が登場していますが、これもなんだか合点がいきません。
ウチの母親もカロリーが気になるから砂糖を極力抑えたパンケーキを作っていましたが、ソンなもんだと味気も素っ気もなく、逆に砂糖を普通に使ったパンケーキをちょっとだけ食べたいと幼少のころ思ったものです。

そういう事で塩分は摂りすぎるとあまり良くありませんが、それ相応にきっちりと量を考えて摂るのはそれほどうるさく言う必要はないと思います。

塩分控えめの裏には「添加物たっぷり」という裏の隠れた怖さがあることを知らなければなりません。


ごぞんじ。

※「食問答」はたべデパのメールマガジンのコンテンツです。
もし、最新号をごらんになりたい方は、たべデパのトップページからメルマガ会員登録を行ってください。


食問答参問目

2006-04-10 17:13:50 | 食問答
文字のゴチソウ「食問答」にようこそ。

食問答では食に関する疑問や不思議な事を問題提起、そして解決をしていこうと言うコラムです。

50音順に始まる言葉をチョイスし、その言葉から連想されるモノについて色々考えていこうと思います。
 
第三問目は「う」です。
“うに”に“うろこ”に“うぐいす”“ういろう”いろいろあります。でもやっぱり“うまい”これにしましょうか。


実はこの原稿、7回書き直しています。というのが、「美味い」とは本当に考えれば考えるほど奥の深いもので、もっと簡単なテーマにしようと思いましたが、これは自分に課された試練だと思い、思い切って取り上げてみました。


まず、「美味いとは何か」こんな哲学的な問題、どう解きましょう。

今まで「美味い」をさんざん姿を変えて使ってきましたが、「美味い」とはどういう事をさすのでしょう。

美味いとは簡単に使いますが、この言葉は「わび・さび」のような意味の曖昧な言葉と同じで言葉の概念規定が無いように思います。

いろんな人が「美味いとは何か」を説明しているのですが、的確に示しているのはあまりありません。

数少ないなるほどと納得して思ったのは、ある人は「美味いとは香りがよいこと」またある人は「美味いとは心と体を満足させてくれるもの」と明言しています。


僕が考えるに「美味い」とは「五感を喜ばせてくれるもの 」だと思います。
五感とは視・聴・嗅・触・味の五つの感覚のことです。

まず視。
どんなすばらしいお料理でも目隠しで食べると味そのものがしっかりととらえられない状態に陥ります。
めちゃイケのコーナーでもありますよね。

続いて聴。
あの肉が焼けるジュージューとしたシズル感。たまりません。
揚げ物のパリッ、サクッと言った音。あれが無ければよろしくありませんね。

そして嗅。
風邪を引いているときにいくら高級ワインを飲んでも本当のすばらしさがわからないと思います。

さらに触。
果物のサクッとした感じや、トロが舌の上でとろける瞬間の感触は同じ味でも液体のそれになると味気ないものになってしまいます。

最後に味。
舌にある味雷の味覚細胞が味情報を受け取り、味覚神経線維を介して脳に伝達して「快い」か「そうでないか」を判断します。

簡単に五感の作用を説明しましたが、このうちのほとんどを満たしたものが、「美味い」と認識されると思います。

どれも独立した一つだけでは「美味い」とは結びつかないでしょう。
この五つの感覚が結びついて初めて頭の中で「美味い」と認識されると思います。
その五感を喜ばせるために持っている要素がそのモノに含まれていればそれは「美味いもの」の前提になりうるわけです。


僕が尊敬する桂枝雀師匠は「笑いとは緊張の緩和である」とずっと言い続けていました。
なるほどなぁ、これは長年考えてやっと導き出した定義だと思います。

僕も今はまだ「五感を喜ばせるもの」としか定義していませんが、これから人生進んでいくうちにいろんな経験をして「美味いとは何か」を美味く説明できればいいと思います。

ごぞんじ。

※「食問答」はたべデパのメールマガジンのコンテンツです。
もし、最新号をごらんになりたい方は、たべデパのトップページからメルマガ会員登録を行ってください。

食問答弐問目

2006-04-09 17:09:56 | 食問答
文字のゴチソウ「食問答」にようこそ。

食問答では食に関する疑問や不思議な事を問題提議、そして解決をしていこうと言うコラムです。
50音順に始まる言葉をチョイスし、その言葉から連想されるモノについて色々考えていこうと思います。
第二回目は「い」です。

石焼ビビンバ、いかなご、いらっしゃいませ、池波正太郎、いのしし、イタリア料理、イチヂク・・・・いろいろありますが今回は「行きつけの店」でいってみましょうか。

只のつけじゃないですよ、“行きつけ”です。ツケ麺、ツケモノ、ツケ乳首。極めツケに掛かりツケの医者に相談しないといけないヒキツケでもありません。

ところで皆さんはどのくらい「行きつけのお店」がありますか?
僕は思いつくだけで3軒。人によっては10軒以上あるかもしれません。

“いきつけ”辞書で調べてみると「いつも行って、なじみのあること」とありました。
この辞典を編纂している人は恐らく「行きつけのお店」はそれほど多くはないと推測します。ちょっとドライ過ぎやしませんか?

まず、「行きつけのお店」の定義から考えてゆきましょう。
たとえばアナタの会社の近くにあるマクドナルド、それは行きつけと呼びますか?
よほどヘソ曲がりで無い限り、「行きつけ」と呼ばないはずです。

それではアナタの会社の近くにある週に二・三度は通うビールが美味しいお店はいかがですか?
また、子供の頃から知っている3ヶ月に一度行くおいしい鮨屋はどうですか?
考えるに、この二つはどっちも「行きつけ」であると思います。

辞書には“いつも行っている”=頻度に重きを置いている部分があります。

しかし、本当にそうでしょうか。

よく考えてみると、行きつけのお店というものは自分がすすんで通い続けているものであって、しかもそのお店に何らかの期待をしています。
わかりやすく言うと、お料理はもちろんのこと、お店のオーナーとの会話が楽しい、音楽や内装などのお店の雰囲気が良い、ここ一番のときに使おう!と考えたりして何か自分の想像以上に喜ばせてくれる等のそういった要因を孕み、“また戻ってきたいなぁ”と思わせるお店。それが行きつけのお店だと思うのです。

だから大手チェーン店にはそれほど味の期待もしないし、何かスペシャルな要因が無いので行きつけとは言わないのでしょうね。
誰しも「行きつけのマクド」とは言わないでしょう。

だから1回しか行った事の無いお店でもこっちからすると“行きつけ”と呼んでもかまわないと思います。

お店に入った瞬間にお店の人に顔を覚えられえいて「おっ、久しぶり。最近どう?」みたいなことを言われていても、あなたが何も期待していなければそのお店を“行きつけ”と呼んでいいのかどうかは疑問です。

そして、この行きつけのお店を増やすということは物理的にも精神的にも人間の幅が広がるモノだと思います。

「今日は何を食べたい?え?寿司?なるほど、ちょっと待ってね。行きつけのお店があるんだけど、空いてるかどうか確認するから・・・・・ピポパポピ・・(電話で)えーもしもし、今からなんだけど空いてる?じゃぁ二人で。それじゃこれからすぐ行きます。」

粋ですね~

こんな会話されるとかっこツケじゃなくとも心が惹きツケられて惚れてしまうかもしれません。

あなたの行きつけのお店はどんなところですか?
教えてください。

ごぞんじ。


※「食問答」はたべデパのメールマガジンのコンテンツです。
もし、最新号をごらんになりたい方は、たべデパのトップページからメルマガ会員登録を行ってください。

食問答壱問目

2006-04-02 17:02:13 | 食問答
今日から始まります新しい食のコラム「食問答」にようこそ。

食問答では食に関する疑問や不思議な事を問題提起、そして解決をしていこうと言うコラムです。

50音順に始まる言葉をチョイスし、その言葉から連想されるモノについて色々考えていこうと思います。

まず第一回目は「あ」です。

“あ”で連想するものと言えば・・そうですね・・「あげもの」「アップルパイ」「浅漬けのもと」etc…色々ありますが、第一回目という事なので広く考えて「あじ」について考えていきましょうか。

「あじ」といっても寿司屋ででてくる「アジ」じゃないですよ。「味」です。

味の基本的な分類は皆さんご存知の通り、人間の舌で感じる、甘い、苦い、酸っぱい、塩辛いの4つの基本的な分け方をされます。最近は「うまみ」というものも基本的な味に加えましょうという事で5つになりました。

仕事でいろんな食べ物をいただくのですが、味の感想を言う際に「おいしい。これは甘酸っぱいですね。うまみがある。」では言葉通り味も素っ気もないもんです。

ブログでも読み手にこれは何故美味いのか味の分析をする必要があります。
「これおいしーい!また来たーい。」では文書に切れ味がありません。

そこで味を表現するツールとして重さを用いたり、空間的な表現方法を用いたりします。特にワインとかではそうですよね。
「うーん、これは軽いね。かるい中にも奥行きがあるよ。」などと切れ味抜群なワイン通な方はおっしゃいます。
でも味に重い、軽いなんかなく、また味に広い、狭いなどの物理的な尺度はありません。

しかし、味をこういう表現方法で示せば「うまい」や「あまい」などと言う常套句を並べるよりも後味がよく、作り手側は喜んでくれるはずです。

なかには、「能書きたれずに食っちゃえばいいんだ。」というアジな人もいますが。でも、作り手と一対一なんかで食べるときはこっちも真剣に味を分析して相手に伝える必要があります。
「うーん、立体的な味付けですね。はじめはソースの辛さがやってきたかと思うと後から素材の持つ甘みが襲ってきますね。舌にのせるとパァーッと花が咲いたように弾ける。それでいて余韻がこんなに長く続くのはなんでだろう・・・」
と、評論家のようなアジな真似をすると薄気味悪がられそうですが。

しかし、本当にホントーに美味いものに出会ったトキには言葉は出ません。
今までそんな事は10回あったかなかったか・・・
そんなときには言葉が出る代わりにため息が出ます。

鶴瓶さんが昔こんな事言ってました。(関西限定かも)
「うまいもんはうまい!」
最後はこれに尽きると思うのですが。
まぁそんな事を言ってしまうと味のモトもコもないのですが。

ごぞんじ。

次回は「い」でいってみようと思います。