鎌倉八百ヶ谷戸

鎌倉の街はそのものが環境遺跡

善財 一 写真集

鎌倉石の表情

2022-03-31 08:18:30 | 環境遺跡 鎌倉の谷戸

《鎌倉八百ヶ谷戸》Web写真集(PCの大画面で見てほしい)

 

乾燥している冬季においてのみ観察されるのが、写真のような物質。

綿埃のように見える。

わずかの湿気によって地中から浸みだして結晶したマグネシウムの硫酸塩鉱物エプソマイトだ。

よく見ると細い針状で、長さは数ミリほど。磨り潰すと脆く粉末になりやすい。

雨が降ると消滅してしまう、乾燥した冬場にしか観察できない水溶性の鉱物である。

初めてこれを見たのは40年も前のことで、鎌倉のヤグラの壁面だけでなく、ヤグラの中に彫り表された石仏の表面にもヒゲ状にできていて、それが地層に沿って生じていたものだから、興味深く感じた記憶がある。

とても地味な自然現象のひとつである。

そして、最近降った雨のため、現在は観察されない。

次の冬まで。


鎌倉石の表情 採石場跡で

2022-03-30 07:49:25 | 環境遺跡 鎌倉の谷戸

《鎌倉八百ヶ谷戸》Web写真集(PCの大画面で見てほしい)

 

鎌倉石の表情は、お猿畠の大切岸でよく判る。

ただし、雨水によって表面が風化し、自然に削られてしまった。

比較的硬い部分と柔らかな部分が層を成している。

 

一方掘り込まれた場は雨水の影響が少なく、掘削の痕跡が遺されていることが多い。

 


お猿畠の大切岸を奥へ

2022-03-28 12:00:54 | 環境遺跡 鎌倉の谷戸

《鎌倉八百ヶ谷戸》Web写真集(PCの大画面で見てほしい)

 

脆弱な地質とは言え、山を掘削するのはすごい作業であったと思う。

何がすごいのかというと、鎌倉を取り囲む山々の総てにおいて、このような掘削がなされているということ。

茂った樹々によって判り難いのだが、手の加えられていない谷戸はないのだ。

お猿畠の切岸を奥へ進むと墓域に至る。

写真は墓域の上方の石切り場跡。


お猿畠の大切岸

2022-03-26 10:55:02 | 環境遺跡 鎌倉の谷戸

《鎌倉八百ヶ谷戸》Web写真集(PCの大画面で見てほしい)

 

鎌倉石の石切り場は、栃木県の大谷石のような巨大なものではない。

鎌倉石は脆弱なため、崩落が起こりやすい。

露岩を切り出したところもある。お猿畠の辺りだ。

かつて防備のための施設であると考えられていたお猿畠の大切岸は、鎌倉石を切り出した場が発見されたことから、今は石切り場跡である可能性が高いと説明されている。

だが、遺されている切岸の様子から、防備のために作られたが、後に石切り場にされたとみて良いだろう。

切岸の表面に鑿の痕跡がみられないのだ。

日の出の頃。


魯山人の星岡窯跡 山崎

2022-03-24 09:59:18 | 環境遺跡 鎌倉の谷戸

《鎌倉八百ヶ谷戸》Web写真集(PCの大画面で見てほしい)

 

魯山人の星岡窯跡は山崎小学校のすぐ近く。

空地だが、庭の要素が遺されていた。

長いあいだ放置されたままであったのが、最近整備されたようで、朽ちかけた門と垣根が取り払われ、新たに見通しの良い腰ほどの高さの竹垣が廻らされている。

どうやら入ることが可能のようだ。

ただし可能のようだ、というだけで、ボクが訪れた時にはトラ縞のフェンスがあり、チェーンが張られていた。

おそらく鎌倉市の管理なのだろう、すぐ隣が新設された『山崎・台峯緑地 北管理事務所』。

鎌倉市のホームページを探しても、星岡窯跡についての記事が出ていないので、入園はまだ先なのかもしれない。

今まで壊れた垣根の隙間から眺めていた星岡窯跡を観察できるのは有難いが、ちょっとがっかりなのは、中央辺りにテーブルが設置されてしまったこと。

テーブルやベンチは設置されてもいいだろうが、魯山人の求めた美観とはかけ離れた、あまりうれしくないテーブルであった。

置かれている位置もありがたくない。

ようやく気兼ねなく自由に写真が撮れると喜んだが、このテーブルに気付いたら、急速にその気持ちが覚めてしまった。

我々は勝手に口を挟むだけで申し訳ないが・・・、空間を活かす研究をしてほしい。