高尾山麓日誌

東京、高尾山麓付近に暮らす日常から、高尾山の状況や、高尾山・八王子周辺地域で気付いたこと、周辺鉄道情報などを掲載

Photoshopを使った黄変・退色フィルム補正の実例(2)

2017-10-11 07:04:43 | カメラ
 こちらの画像はちょっと補正に手間取ったケースなので、補正過程をいちいち写真でお見せすることはしません。



 まずオリジナル写真を見ますと屋根から空にかけて黄変が見られます。その下も黄変はあることはあるのですが見た目上はそんなに目立ちません。それと右端がひどく色抜けしています。

 補正方針ですが、右端の色抜けはBチャンネルの右端ブルー抜けが主原因ですので、Bチャンネル自体の補修で対処、また黄変の補正ですがホームの屋根以上で行い、ホームの屋根の下以下は、さほどひどくはないので、基本的には黄変の対処は行わないこととします。また一カ所ゴミのため白抜けになっているところがありますので、これはスポット修復ブラシツールを使います。

手順は次のように行いました。

1) スポット修復ブラシツールによる白抜きスポットの補正
2) Bチャンネルのデータ抜けしている右端をGチャンネルの右端から借用して、Bチャンネル画像を修復



3) 屋根、空以外をマスクしたBチャンネルマスクを作成し、これを元にBトーンカーブで黄変を補正

4) 空はまだ補正が足りないので、今度は空以外をマスクした(今回は屋根もマスク)Bチャンネルマスクを作成し、Bトーンカーブを使って黄色を補正

5) 今度は空に紫っぽい部分やシアンっぽい部分ができてしまったので、空以外をマスクした(屋根もマスク)Bチャンネル反転マスクを作成し、R, G, Bそれぞれのトーンカーブを調整して空の色を補正

6) これだけではやはり赤紫の部分などが解消できないので、色域指定を使ったマスクを、色域を変えて3点ほど作成し、細かくカラーバランスを調整して補正を積み重ねる。

7) 最後にRawTherapeeを使って全体の色調を調整して一旦終了



 結果を見ると、Bチャンネルの再編集は、右端の色抜けに対し非常に効果的なことがわかります。たぶんこの部分は、いくら色調補正を、どんな方法を使ってやっても再現することは困難だったと思います。Bチャンネル画像の編集以外に修復は不可能だったでしょう。一方、屋根やホーム上で若干黄ばみが残っていますが、まぁ許容の範囲か、というところです。

 ただ、改めて考えてみると、ホームや屋根の部分は、Bチャンネル自体を編集していじっても良かったかもしれません。屋根も点字ブロックを除くホームもいずれも灰色です。従ってRGB全チャンネルともほぼ同じ画像パターンのはずです。従ってこの部分を他チャンネルから流用して、Bチャンネルを編集しなおした方がすっきりしたかもしれません。

 そこで、Bチャンネルの向かい側ホーム屋根・上屋部分および点字ブロックを除く手前ホーム部分をRチャンネルから流用してBチャンネルを再編集してみました。その結果が下です。


 これは、我ながらすごい! 以前の補正でBチャンネルマスクをかけて補正しても、他の部分まで色がおかしくなって補正しきれなかった黄変感がきれいに取れています。退色による不均質感が完全に取れたわけではありませんが、我慢できる程度にはなっています。完璧に補正できているわけではありませんが、多分修復可能性の90%程度には到達していると思います。
 おそらく、フィルムの黄変・退色対策としてBチャンネルの再編というテクニックに言及しているネット上のサイトは他にないと思いますし、書籍等の情報もないのではないでしょうか?自画自賛で恐縮ですが、我ながらなかなかのナイスアイディアだと思います。

 なお、直接Bチャンネル上でBチャンネル画像を編集するのは危険なので、Bチャンネル画像を別ファイルにコピーし、その上で編集し、編集が終わったものをオリジナル画像のBチャンネル上に貼り付けて戻しました。

 もちろん、このテクニックはどこでも使えるわけではありません。元々色チャンネルごとの各ピクセルの値の分布の仕方が大きく異なる場合 (例えば鮮明なカラーが使われているような場合) は他チャンネルから画像を流用すると大きく色が変わってしまいます。どの色チャンネルも同じような分布をしている (つまり同じような画像になっている) 部分のみ、使えるテクニックです。ただチャネルごとに画像パターンが大きく変わっている部分は、もちろん映っているものにもよりますが、それほど多くありません。もし、このテクニックが適用可能であれば、従来、変退色が酷くてグレースケール化するしかない、と判断されていたフィルムをかなり救済できると思います。

 なお、ネガフィルム退色で最も損傷しやすいのはBチャンネル、次がGチャンネル、最も退色しにくいのがRチャンネルのようです。また、ネガフィルムのほうがポジフィルムよりも、オレンジベースのせいか、より早く退色しやすい印象です。また、当然ですが、全チャンネルとも退色が酷い場合は、どうにもなりません。

 ぜひこの記事を参考していただき、皆さんも黄変・退色補正にチャレンジしてみてください。

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▼こちらもご覧下さい

「黄変したネガフィルムスキャン画像をPhotoshopを使って修正する」
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/01fd817e2d0eeaca52a2fdf6e7ac43c6
(2)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5c335015f3aaa1dba0b11b68e23bc37c
(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7eb3ade773bf9fa853aae3cabe78ed89
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/595b996085188af62b61d36f32ffbf7f
(5)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/9455b06232b4345c5ae241b93da61946
(6)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7a78b75bd7c6573696beafe9a1a5e4fa
(7)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/484e49d09744a96456e94bdeae470845
(8)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/abef48879db7dce35dfd7dbf272456e7

Photoshopを使った黄変・退色写真補正テクニック - 追加
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/ef04ce814b541a51232f1eac14e8999d

黄変・褪色フィルム補正の実例
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5023fba39d042f036c0ffdc59a5e08b5
(2)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/42e0c21e67b82108dcec221e91d930a8
(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/08f729dff54952fa07cb2e7a34f87eb4
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/f31fcb5a8cc8950854a7c8735ff2f727



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