高尾山麓日誌

東京、高尾山麓付近に暮らす日常から、高尾山の状況や、高尾山・八王子周辺地域で気付いたこと、周辺鉄道情報などを掲載

Photoshopを使った黄変・退色フィルム補正の実例(4)

2017-10-27 20:07:30 | カメラ
 こちらは、この連載の最初にサンプル画像として提示した画像です。実はこのサンプルは Nik Collection の Viveza2のコントロールポイントを使った補正マスクと黄変の分布の形がうまく合わず、Viveza2 では補正困難な、補正難易度の高い画像だと分かりましたので、改めてマニュアル補正過程でどのようなレイヤーマスクをつくり、どのような色彩補正を掛けたのかを、例示します。



 一番上がオリジナルの黄変画像です。

 レイヤーマスク1は空および遠景の山以外を隠した塗り潰しマスクでを使い、空や山の部分を全般に、ブルーのトーンカーブいじって青みがからせています。

 レイヤーマスク2は、空周辺の黄変に対応した範囲のみ有効にしたブルーチャンネルマスクで、この部分をカラーバランス調整を使って、イェローをブルーに持って行くとともに、レッドを若干シアン側に動かして、さらに黄変部分を集中的にブルー寄りに調整しています。

 レイヤーマスク3は、オリジナルの画像の下端の緑が青みがかってしまっているので、それを補正するためのマスクで、この部分のブルーをイェロー寄りにするとともに、若干グリーンを強めて、他の部分と違和感のないよう補正しています。

 レイヤーマスク4は、画面全体にかかるBチャンネルを反転したマスクです。つまりBチャンネル中の値が低い(=暗い)要素のみに作用するマスクで、暗い要素が強ければ強いほど、大きな効果を及ぼすマスクです。明るい要素には影響を及ぼさないことが、ヒストグラムを見れば分かります。このマスクを使いブルーのトーンカーブを下に持ってきてブルー要素をイェロー側に補正しています。これはオリジナル画像の草木の緑が青寄りになっていて、色が冴えないので、それを補正するために掛けています。

 レイヤーマスク5は、画面全体にかかるBチャンネルマスクで、マスク4とは反対にBチャンネル中の値が高い(=明るい)要素のみに作用するマスクで、明るい要素が強ければ強いほど効果が大です。建物等の黄色みを補正するために掛けています。ブルーのトーンカーブをいじって、若干ブルー寄りに持ってくるとともに、グリーンのトーンカーブを若干グリーン寄りに調整しています。

 これらの結果を統合して、最終結果を得ています。最終結果は、完全には色むらは取り切れてはいないものの、まずまず我慢できる範囲に収められたと思います。


 なお、このような色チャンネルマスクを使った補正は、Photoshopの「色調補正」メニュー中の「特定色域の選択」と同じではないかという指摘もありうると思いますが、「特定色域の選択」だと、補正量が限られています。変色の度合いがさほど大きくなければかなり使えるのですが、このように変色の度合いが大きい場合は不十分です。


▼目次
「黄変したネガフィルムスキャン画像をPhotoshopを使って修正する」
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/01fd817e2d0eeaca52a2fdf6e7ac43c6
(2)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5c335015f3aaa1dba0b11b68e23bc37c
(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7eb3ade773bf9fa853aae3cabe78ed89
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/595b996085188af62b61d36f32ffbf7f
(5)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/9455b06232b4345c5ae241b93da61946
(6)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7a78b75bd7c6573696beafe9a1a5e4fa
(7)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/484e49d09744a96456e94bdeae470845
(8)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/abef48879db7dce35dfd7dbf272456e7

Photoshopを使った黄変・退色写真補正テクニック - 追加
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/ef04ce814b541a51232f1eac14e8999d

黄変・褪色フィルム補正の実例
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5023fba39d042f036c0ffdc59a5e08b5
(2)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/42e0c21e67b82108dcec221e91d930a8
(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/08f729dff54952fa07cb2e7a34f87eb4
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/f31fcb5a8cc8950854a7c8735ff2f727

GIMPでNik Viveza2を使って黄変・褪色フィルムを補正する

2017-10-24 00:37:04 | カメラ
 さて、Nik Collectionを使うなら、PhotoshopでなくてもGIMPでも遜色がないのではないかと前回指摘しました。というわけで、今回はGIMPにNik Collectionを入れて、黄変フィルムの補正に挑戦します。しかも開発途上ですが、16bit画像に対応しているGIMP2.9 (64bit版)を使ってみます。

 まず、Nik CollectionをGIMPでどう使うかですが、まず、GoogleサイトからダウンロードしてNikをインストールしておきます。

  前回紹介しておいたインストール方法解説サイトです
  https://support.google.com/nikcollection/answer/3000910?hl=ja
  http://wave.hatenablog.com/entry/2016/03/26/163000

 また、当然ですが、GIMP2.9 (64bit版)もインストールしておきます。なおGIMP2.9は64bit版しかないので、Windows 32bit OSでは動きません。

 次にこちらのサイトにある手順に従って、Nik Collection を使うためのプラグインを設置します。

 「Nik CollectionをGIMPで使う」(今日のどーじょー主) 2016.6.13
 http://blog.goo.ne.jp/noryyasuda/e/ece354a796df7116c19089f68cdf11fc

 但し、上記の記事で二点訂正があります。
 まず一点目ですが、この記事ではプラグインの置き場を C:\Users\(ユーザー名)\.gimp-2.x\plug-ins としていますが、そちらではなくて、以下のフォルダの方が適切です (自分でパソコンを管理できるのであれば、という条件付ではありますが)。
 C:\Program Files\GIMP 2.9\lib\gimp\2.0\plug-ins
  ※なおGIMP2.9のインストール先をカスタマイズし C:\Program Files\GIMP 2.9 でない場合は、その部分を適宜置き換えて下さい。またこのフォルダに ShellOut.py をコピーするには当然管理者権限が必要になります。

 ちなみに、GIMPが2.8 (またはそれ以下) の場合はこちらです。
 C:\Program Files\GIMP 2\lib\gimp\2.0\plug-ins

 また二点目ですが、ShellOut.py のうち、次の行を以下のように修正します。なお、改行コードにLFを使う必要がありますので (通常Windows上ではCR)それに対応したテキストエディターで修正する必要があります。Windows付属のメモ帳では不可です。例えばTera Pad, MK Editor, サクラエディタ, Notepad++などが使えます。
修正前
tempimage = pdb.gimp_edit_named_paste_as_new(buffer)
  ↓
修正後
tempimage = pdb.gimp_edit_named_paste_as_new_image(buffer)

なお、GIMP2.8で使う場合は、この修正は必要ありません。

 で、この後GIMPを起動し、編集したい画像を読み込ませます。そしてメニューの Filters → ShellOut... を選択します。


 すると Python_fu_shelout という小さなウィンドウがポップアップしますので、その program の右端をクリックし、Nik Collection の Viveza2 を選択します。


 なお、ShellOut.pyの上記修正を掛けないと、以下のようなエラーメッセージが出ます。


 すると Viveza2の編集 Window が開きます。


 で、編集したい部分に適宜コントロールポイントを配置していきます。


 配置したら、効果マスク表示モードに切り替え、それを見ながら各コントロールポイントの効果範囲を調整します。コントロールポイントをグループ化するつもりなら、すべてのコントロールポイントを効果マスクを表示させるようにしましょう。


 このケースでは、これらのポイントをグループ化するので、すべてのコントロールポイントを選択して、グループ化します。


 さらに、色調補正スライダーを動かして、補正します。このケースは主としてブルーチャンネルをブルー方向に動かし、他チャンネルは微調整にとどめています。


 これで結果が良ければ、保存をクリック。するとGIMPに新たな画像レイヤーとして保存されます。前は、Photoshop 上でかなり複雑な色チャンネル・レイヤーマスク編集をやって補正を掛けましたが、それとほぼ同等な結果が短時間で簡単に得られました。但し右端の青チャンネルの色あせが直っているわけではありませんので (目立たなくはなっていますが)、ブルーチャンネルの再建補正テクニックの有効性までカバーするものではありません。しかし、Viveza2だけで、かなりの割合の偏った黄変フィルム画像の補正を可能にしてくれそうです。

 ちなみに、前回マニュアルでPhotoshopのみを使って、色チャンネルマスクを編集したり、色域指定でマスクを掛けたりして、トーンカーブやカラーバランス調整をつかって補正した結果はこちらです。

 結果はまずまず互角ですが、手間は圧倒的に Viveza2の方が楽です。また、コントロールポイントから同心円状グラデーションでマスクがかかっていく点も有利です。同心円状以外の形にグラデーションがかかったマスクを掛けたい場合は複数のコントロールポイントを、影響範囲を調整しながらグループ化することで対応します。

 なお、Viveza2には、トーンカーブ補正機能もありますが、これはマスクに関係なく全体にかかってしまいます。色チャンネルマスクを通してトーンカーブ補正を掛けたいならば、やはり私がやったマニュアルで色チャンネルマスクを作って掛けなければなりません。

 とはいえ、手間を考えれば一般的には Viveza2 を使うのが不均等な黄変対策としてはベスト手段でしょう。また、黄変の不均等具合がさほど激しくなければ Color Efex Pro4の色かぶり補正でも十分でしょう。

 また、Viveza2だけでほぼ補正が完結するのであるならば、レイヤーマスク編集が非常にやりにくく、かつPhotoshopのような補正(調整)レイヤー概念のないGIMPでもデメリットはなく、しかもGIMP2.9なら16bit画像にも対応していますので、Photoshop にこだわる必要は全くないと言えます。なお、Viveza2ではできない、色チャンネル画像 (特にブルーチャンネル画像)の直接編集に関しても、GIMPで可能です。ただ画面全体が、赤、緑、青で表示されるので、見にくく編集はやりにくくはありますが... やはり、別ファイルとしてチャンネル画像を編集してペーストするだけなら、問題はなさそうです。また、一旦レイヤーごとにチャンネル分解した画像を再びチャンネル合成する機能もありますので、こちらなら見にくいチャンネル画像上で編集をしなくても良さそうです。

 ただ、黄変の形態によってはViveza2のコントロールポイントではマスクを掛けるのに非常に苦労するケースもあり、以前紹介したようなマニュアルで作業を行った方がベターなケースもありました。Photoshopによる補正の2回目で取り上げたサンプル画像などはこのケースに当たります。
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5c335015f3aaa1dba0b11b68e23bc37c

 ずいぶん迂回したような気もしますが、おかげで、なぜ Nik Collection が不均等黄変画像の補正に有効なのかの原理についても解明することができました。

 とりあえず結論としては、Nik Collection の Viveza2が不均等黄変画像の補正ツールとしては最も強力であり、これをメインとして使い、あとは多少の修正をマニュアルで行う程度であれば、Photoshopベースで編集を行おうがGIMP2.9ベースで編集を行おうが、ほぼ互角で補正作業が実行可能、と言えそうです。ただ、Viveza2も必ずしも万能ではない、という点は留意する必要があります。
 

NiK Collection Viveza2の基本使用法 (in Photoshop)

2017-10-22 17:40:08 | カメラ
 では、次に Nik Collection Viveza2の基本的な使い方を説明します。まず PhotoshopにすでにNik Collectionがインストールされていることを前提とします。Photoshopのメニューバーから「フィルタ」→「Nik Collection」→「Viverza 2」で起動します。



 インストール方法についてはこちら(公式サイト)をご覧下さい。
 https://support.google.com/nikcollection/answer/3000910?hl=ja
  もうちょっと詳しい記事(Windows版)はこちら
  「Nik Collectionが無償化したので導入してみた」(記憶は人なり) 2016.3.26
  http://wave.hatenablog.com/entry/2016/03/26/163000


 ちなみにPhotoshopを通さずに使うにはこんなところを参照して下さい。
 「Nik Collectionをスタンドアロンで使う」(記憶は人なり) 2016.6.26
  http://wave.hatenablog.com/entry/2016/06/29/080000

 起動するとこんな感じ。


 この画面の左上と、右上を見て下さい。


左上は、表示とあり、左から、全画面プレビュー、分割プレビュー、並列プレビューです。
効果を効かせたらどうなるかを、元画面とどう比較するのかを決めます。

右上は、左から選択、パン、ズームイン、ズームアウト、背景カラー変更、調整パネル表示、非表示です。

パンは、コントロールポイントによるマスク範囲を確認する表示になっているときに、クリック一つでマスクの表示とプレビュー表示を切り替えるモードです。

選択は、コントロールポイントの上の調整スライダーを動かすモードです。選択モードになっていないときにスライダーを動かすにはCtrlキーを押しながらカーソルを使う必要があります。

注意すべきなのは、ズームイン、ズームアウトで、このアイコンをクリックしただけではズームイン/アウトしてくれません。このアイコンを一旦クリックした後、画面上にカーソルを持って行ってクリックしないと拡大/縮小されません。

調整パネルは右端のパネルです。


で、こちらに簡単に基本的なパネルの説明がありました。

「無料のPhotoshopプラグイン「Viveza 2」の使い方」(M2制作ブログ) 2016.6.28
 http://lvl-lvl.com/info/2016/06/28/post-746/

基本的にはこちらを見ていただければ良いのですが、こちらに書かれていない補足説明を行います。

何もコントロールポイントを設定しない状態で、色調調整スライダーを動かすと、全体の色調等が調整されます。ただ、これだとPhotoshopの通常の色調補正機能と大して違いはありません。

コントロールポイントを設定すると、その点を中心に同心円状に効果範囲がグラデーション付きで設定され、その部分のみ色調調整ができます。しかしViveza2の特徴は、単純にそこから同心円状に効果範囲が広がるということではない、という点です。前回言及したように、コントロールポイントの色相に応じて、合成された色チャンネルマスクが設定されるので、それに応じて効果の強弱が決まります。下の図がその効果範囲を見えるようにした状態です。黒い部分はマスクがかかって効果が現れない部分、白い部分は効果が現れる部分です。


このマスクの表示状態とプレビュー画面を切り替えるのは、調整パネルの「コントロールポイント一覧」からです。


各コントロールポイントの右側 (赤い矢印で示されている) にこの効果マスクを表示するかどうかのチェックボックスがあります。このチェックボックスにチェックを入れると、そのコントロールポイントの効果マスクが、上の図のように表示されます。チェックを外すと元のプレビュー画面に戻ります。

その左側に%表示がありますが、これは各コントロールポイントの効果が及ぶ範囲が、画面全体の面積中の何パーセントになるかを示しています。最大100%ですが、100%の状態は、コントロールポイントを設定しないで色調調整を行うのとイコールでは あ・り・ま・せ・ん! というのは、100%にした場合、コントロールポイントを設定した色相に応じた色チャンネルマスクを全体に掛けることになるからです。これは効果マスク表示モードにしてみれば分かります。
こちらがコントロールポイントを設定し、効果範囲を100%にした時のマスクです。


なお、残念ながら効果マスクをコピーして別のファイルにペーストすることはできません。まぁ、これこそがNik Collectionのアルゴリズムの肝ですから簡単に流用できないようにしているのでしょう。

また左側のチェックボックス (右矢印で示されている)は、そのコントロールポイントにおける効果を有効にするかどうかを決めるチェックボックスです。チェックボックスを外すと一時的に効果を停止します。

また、いまコントロールポイント名がすべてオレンジ色になっていますが、これはそのポイントが今選択状態にあるということを示します。ポイントが選択状態にあると、プレビュー画面上で、各ポイントごとの調整スライダーが表示されます。これをコントロールポイント名上で、ダブルクリックすると、コントロールポイント名が白くなって非選択状態になります。非選択状態になると画面上の調整スライダーも表示されなくなります。

またコントロールポイントのグループ化を行う場合は、グループ化を行うコントロールポイントをすべて選択状態にしてからグループ化ボタンを押します。ポイントが選択されていない状態だと、グループ化ボタンが押せません。

フィルムの黄変の場合、フィルム枠に沿ってやや内側に黄変する場合が多いので、コントロールポイントの効果範囲の形が同心円状だけではなく長方形のグラデーションがかかると本当は良いのですが、その場合は枠の内側に長方形上に複数のコントロールポイントを設定し、それらのコントロールポイントをグループ化する、という対応になるのかな、と思います。

なお、Viveza2の公式マニュアルはこちらです。
https://support.google.com/nikcollection/#topic=2991628

NiK Collectionが黄変フィルムスキャン画像の補正に使えそう

2017-10-20 22:48:41 | カメラ
 前にも触れましたが、Photoshopのサードパーティープラグインである、NiK Collectionというものがあります。もともとはNik Softwareという会社が開発していましたが、2012年にGoogleに買収され、元々日本円で6万円ほどで売っていたものを無料で公開したと話題になりました。

 で、前の記事で、トーンカーブ補正など本格的な補正が使えない Photoshop Elements で使ったら Photoshop並みの補正ができるかも、と触れましたが、その後いろいろいじってみて、かなり使えそうなことが分かりました。とりあえず、黄変フィルムスキャンの補正に使えそうなのはNik Collectionのうち、Viveza2とColor Efex Pro4です。なぜうまくいくのかというと、どうやら、私が前に解説しました色チャンネルマスクを使った補正を内部的なアルゴリズムとしてやっているようなのです。

 まず例として、前にブルーチャンネルマスクを使った黄変補正の例として出した富士急モハ7032の写真を再掲出します。こちらは、Nik Collection を使わずマニュアルで補正した過程です。


 次に以下の画像は、Nik Collection Viveza2を使って補正した事例です。上の事例の Bブルーチャンネルマスクを使って補正した過程のうち、流石に1からは無理ですが、2の状態 (一旦自動カラー補正を掛けた状態) から、Color Efex Pro4の色かぶり補正を使うと、色チャンネルマスクの編集などせずとも、ボタン一つで4に近いところまで補正可能なことが分かりました。


 コントロールポイントを使って部分的な補正も可能なのですが、Color Efex Pro4ではどのようなマスクを使っているのかはっきり分かりません。しかし、Viveza2ではコントロールポイントを使ったマスクの形がはっきり分かります。これを見る限りでは、仮にViveza2とColor Efex Pro4のマスクが同じだと仮定すると、どうやらNik Collectionは、アルゴリズムの中で、私の言う色チャンネルマスクを使って補正を掛けているようです。だから、偏った黄変に効果があるのです。

[Viverza2におけるコントロールポイントを使ったマスクの例]




 ただ、おそらく単純にR, G, Bのどれかのチャンネルを使って補正マスクを作っているのではなく、基準点 (例えばコントロールポイント) の色相が何かを判断し、その色相に応じて、R, G, Bチャンネルをウェイト付けして補正マスク画像を合成しているのではないかと推測します。Color Efex Pro4の色かぶり補正機能の場合、何らかのアルゴリズムでホワイトバランスを調整する基準点を自動的に選び出し、そこの基準的に応じて、色チャンネルマスクを合成して色かぶり補正を実行しているのではないでしょうか。これは私の言う色チャンネルマスクと、色域指定を使ったマスクの中間的性格の補正マスクだと言えそうです。

 ということは、Nik CollectionのViverza2やColor Efex Pro4は、私がしこしことマニュアルでやった色チャンネルマスクの編集を、自動的にしかもより効果的に一発で編集してくれた上で、補正を掛けてくれている、ということではないかと推測できます。だとすれば、もちろんPhotoshopでも手間を省く手段として有効ですが、とくにレイヤーマスクの編集に手間取るGIMPの上で使えれば、GIMP上でPhotoshop並みの手間で画像編集するツールとなりそう、そして確かGIMPに何らかのプラグインを入れればPhotoshopのプラグインが使えたはずです。

 問題はNik Collectionのコントロールポイントを使った補正マスクが、全面に掛けるか、あるいは放射状にグラデーションがかかった状態で掛けるかしかないことです。これはNik Collectionの結果が背景とは別の画像レイヤーとして一旦保存されますので、それに対して、レイヤーマスクなりクリッピングマスクを掛けてやることで何とかなりそうです。この点もGIMPと親和性が高いかもしれません。


Photoshopを使った黄変・退色フィルム補正連続記事 ポイント

2017-10-15 10:49:06 | カメラ
[お知らせ]
現在は以下のサイトで、新しい補正法を公開しておりますので、そちらの利用をお勧めします。
https://yasuo-ssi.hatenablog.com/entry/2021/04/26/000000
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 今回、Photoshopを使った黄変・退色フィルム補正について、連続して記事を投稿しました。

 今回の記事連載のポイントは、従来の他のネット記事では (少なくとも日本語の記事では)、モノクロ化するか周辺を切り取る以外対処不能とされていた不均等な黄変対策に関して、初めてその対応テクニックを考え付いてご紹介したことです。

 たぶん、このような不均等な黄変に対しては、論及されていたとしてもせいぜいPhotoshopの自動選択を使ってその部分の黄色味を取る、程度の対策しか語られていませんでした。

 これに対して本記事が提案した新しいテクニックは、色チャンネル情報を使ったマスクを作って色を調整する (このテクニック自体は、画像の色を部分的に全く入れ替えてしまうテクニックとしてすでに他サイトに紹介されていたものですが、黄変対策に有効であることを初めて示しました)、という点と、もう一点は褪色しやすいBチャンネルを他チャンネルの情報を流用することで再建する、というテクニックでした。特に、この後者のテクニックはたぶんどこにも言及されていないと思います。

 なお、Bチャンネル情報マスクを使った補正においては、黄変量がさほど大きくなければ、そのマスクだけで何回か補正を繰り返すことで、偏った黄変を取ることができますが (富士急の事例のように)、黄変量が大きいときは、それと併せて色域指定を使ったマスクなどと組み合わせて、きめ細かい色調補正が必要になります。
 このテクニックを併用する場合は、先にBチャンネルマスクを使って補正をかけ、それで補正しきれない部分のみ色域指定マスクを使って補正を掛けます。

 ぜひ興味関心のある方はご自分でお試しください。

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▼こちらもご覧下さい

「黄変したネガフィルムスキャン画像をPhotoshopを使って修正する」
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/01fd817e2d0eeaca52a2fdf6e7ac43c6
(2)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/5c335015f3aaa1dba0b11b68e23bc37c
(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7eb3ade773bf9fa853aae3cabe78ed89
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/595b996085188af62b61d36f32ffbf7f
(5)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/9455b06232b4345c5ae241b93da61946
(6)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7a78b75bd7c6573696beafe9a1a5e4fa
(7)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/484e49d09744a96456e94bdeae470845
(8)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/abef48879db7dce35dfd7dbf272456e7

Photoshopを使った黄変・退色写真補正テクニック - 追加
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/ef04ce814b541a51232f1eac14e8999d