高尾山麓日誌

東京、高尾山麓付近に暮らす日常から、高尾山の状況や、高尾山・八王子周辺地域で気付いたこと、周辺鉄道情報などを掲載

黄変したネガフィルムスキャン画像を Photoshop CS4を使って修正する (8 - まとめ)

2017-09-27 23:10:52 | カメラ
[お知らせ]
現在は以下のサイトで、新しい補正法を公開しておりますので、そちらの利用をお勧めします。
https://yasuo-ssi.hatenablog.com/entry/2021/04/26/000000
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 では、ここで Photoshop を使った黄変画像の補正方法をフローチャートにまとめてみましょう。
まず、全体のフローチャートです。



で、上の赤い部分ですが、四つのピクセルレイヤーマスク作成方法別にさらに詳しく書いたフローチャートがこちら。


 上の点線で囲まれた「選択範囲反転」とか「マスク反転」という部分は反転する必要がある場合のみ反転する、という意味です。

 これ以外に、通常の範囲選択 (四角形、楕円、多角形、自動、クイック etc.) からもレイヤーマスクを作れますが、これらはいずれも範囲選択をしたら、レイヤーグループを新規に作成し、それにレイヤーマスク追加ですぐレイヤーマスクが追加されます。この場合、指定した範囲内で補正が有効となり、範囲外が補正がマスクされますので、それを反転させたい場合は、メニューの「選択範囲」→「選択範囲の反転」を指定してから、レイヤーマスクを追加します。

 なお、一旦作成したピクセルレイヤーマスクを背景画像を見ながら再編集したい場合は、

1) レイヤーパネル上で、編集したいレイヤーマスクを含むレイヤーグループを選択
2) レイヤーパネル上で、チャンネルタブをクリック
3) RGB全チャンネルに加えて、グループのレイヤーマスクを可視化すると、背景画像の上にマスクが赤い半透明で表示され、ペイントツール等を使った再編集が可能化

という手順になります。




 なお、最終結果が微妙に気に入らないという場合は、RawTherapee というフリーのRAW現像ソフトがあるのですが、そのフィルムシュミレーション機能を使うと結構いい感じに仕上がります。おそらくICCカラープロファイルをいじって彩度等をコントロールしているのだと思いますが、その Classic Chrome を適用すると、適宜色の暴れを押さえて落ち着いた感じに仕上げてくれます。この件については別記事で論じたいと思います。

 前にサンプルにあげた手続き以外にRawTherapeeを含めいろいろ調整した例を、補正前、補正後でご覧に入れます。




 で、結局、黄変フィルムの補正のために必要な、ソフトウェアの最低限必要な機能は何かというと、たぶん補正効果機能それ自体は、極端な話 RGBチャンネル別にトーンカーブがいじれさえすれば、それで良いのだと思います。それよりも重要なのはどこに補正効果を適用し、どこに適用させないかをコントロールする補正マスク (レイヤーマスク) をきちんと作れるか、ということだと思います。そのために最低限必要なのは、もちろんペイントツールを使った補正マスクが作れることと、もう一つ重要なのは色チャンネル情報 (もしくは色域指定) を使った補正マスクが作れること、この二点だと思います。
 以上最低限三点の機能を備えた画像編集ソフトであれば、別にPhotoshopでなくても黄変写真の効果的な補正ができるはずです。

 なお、RGB別にトーンカーブがいじれない場合は、レベル補正+カラーバランス機能が必要でしょう。

 また、レイヤーマスクの原型パターンを何種類か用意しておいて、補正ごとにレイヤーマスク編集画面で細かくそれを組み合わせ編集してきめの細かい補正を掛けるというのも有効かと思います。例えば、下のような...


 上の編集結果もいまひとつ空の黄色みが取れてはいませんが、もう少し細かい補正マスクパターンを、色域指定などを活用してやれば、最終的に何とかなるのではないかと思います。

[追記]
 で、もうちょっと修正を掛けてここまで黄ばみを取りました。部分的に色チャンネルマスクや、色域指定マスクを使った補正を細かく徐々に何重にも掛けてこんな感じです。


 また別のケースの補正前、補正後を示します。Photoshopで編集後最後にRawtherapeeを使って露光や色温度調整、フィルムシュミレーションを掛けています。


★Photoshop Elementsでも同じことができるのか?

 ちなみに Photoshop Elementsでは、レベル補正はありますが、カラーバランスは簡易機能しかないようです。また、ペイントツールを使った補正マスクは作れそうなのですが、色チャンネル情報を分解することができなさそうです。ただ、こちらに擬似的に色チャンネル情報を分解する方法を書かれた方がいるので、これを使えば、色チャンネル情報を使ったマスクが作れるかも...

「Elemantsでチャンネル操作」
http://blog.zige.jp/john/kiji/76798.html
 この方の場合、例えばブルーチャンネルの画像を作るには、オリジナルからレベル補正を使って、レッドチャンネルとグリーンチャンネルの情報を消去するという形で作成しています。
 で、その後色チャンネル分布情報でマスクを作るにはこれで作成したブルーチャンネル画像をグレースケールに変換し、適宜明るさ、コントラストを調整した後、レイヤーマスク編集画面に貼り付けるという手順でいけそうです。

 あとはカラーバランスが簡易版しかないので、色相あたりをいじるか、簡易版のカラーバランス (要はホワイトバランスの設定) で何とか頑張るか、というあたりかと思います。



 もう一つ探していたら、ちょっと古い2012年の情報ですが、Photoshop elementsでトーンカーブがいじれるプラグインを紹介しているサイトを見つけました。

「Photoshop Elemantsのおすすめプラグイン」
http://photolifewsd10.blog.shinobi.jp/pc%E3%83%BB%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%A8%E3%82%A2/photoshop%20elemants%E3%81%AE%E3%81%8A%E3%81%99%E3%81%99%E3%82%81%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%82%A4%E3%83%B3

なお、本家のサイトがない、という話もありましたがこちらに移転していました。最終更新日は昨年になっています。
Smart Curve V. 2.2
http://members.chello.at/easyfilter/curves.html

こんな情報もあります。

「【エレメンツ】NikのVIVEZA 2はディテール強調とトーンカーブとカラーバランスのプラグイン【ユーザー向け】」
http://blog.livedoor.jp/fore_fore/archives/8602326.html

無料化したNikのVIVEZA 2だと Elementsにない機能を追加できるというお話です。

これなら、Elementsでも、かなり補正ができそうですね... と思いきやでもプラグインにレイヤーマスクを適用できるのか?そこが問題です。

 と思っていたら、試しに Photoshop 上で Nik CollectionフィルタをPhotoshop上で適用してみたら、どうも補正レイヤーになってくれるようです。従って少なくともNik Collectionのフィルターならこれにレイヤーマスクを追加することは可能です。Photoshop Elementsでも同様かどうかは分かりませんが、仮にそうだとすればレイヤーマスクが適用できることになります。上のまとめは先にレイヤーマスクを使ったグループを作ってからそこに補正レイヤーをつるす形でまとめましたが、先に補正レイヤーを作ってから、そこにレイヤーマスクを付け加える形で解決しそうです。そうなるとあとは Photoshop に Elements が劣る点は16bit画像が扱えない点だけになりそうです。

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▼目次
「黄変したネガフィルムスキャン画像をPhotoshopを使って修正する」
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/01fd817e2d0eeaca52a2fdf6e7ac43c6
(2)
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(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/7eb3ade773bf9fa853aae3cabe78ed89
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/595b996085188af62b61d36f32ffbf7f
(5)
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(6)
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(7)
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(8)
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Photoshopを使った黄変・退色写真補正テクニック - 追加
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/ef04ce814b541a51232f1eac14e8999d

黄変・褪色フィルム補正の実例
(1)
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(2)
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(3)
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(4)
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黄変したネガフィルムスキャン画像を Photoshop CS4を使って修正する (7)

2017-09-26 00:05:42 | カメラ
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現在は以下のサイトで、新しい補正法を公開しておりますので、そちらの利用をお勧めします。
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 こちら前回最後にサンプルとして出したレイヤーマスクです。


 さて、前回最後にサンプルとして出したレイヤーマスクに、トーンカーブ補正を使って、思いっきりイェロードットに対するブルー攻撃を仕掛けました。その結果がこれです。

 今までの補正よりだいぶましになっています。

 この画像を統合して、ブルーチャンネルのカラードット分布を見てみましょう。


 編集前のブルーチャンネルの分布は以下の通りでした。


 イェロードットのピークがだいぶ下がってブルードットが増えています。画像自体はちょっと青っぽくはありますが、アンバランスは下がって、だいぶナチュラルなカーブに近づいてきました。

 ここで、自動トーン補正と自動カラー補正を掛けます。すると以下のようになりました。


 ちなみに補正前はこちらです。


 かなりナチュラルに近づきました。周辺部がやや色が薄くなっているのは気になりますが、これは周辺部分を透過させたレイヤーマスクをもう一つ作成し補正を掛ければ何とかなりそうです。とりあえず今回はここで一段落としましょう。ともあれ今まで画面全体に一律に補正を掛けていたのとはだいぶ違います。
 
 つまり、ある程度カラーチャンネルのドット分布の偏りの極端さが解消されると、後はある程度自動補正で何とか見られる程度になる、ということです。

 それと画像修正の極意は効果を制御するレイヤーマスク作りにあり、とも言えそうです。

 ちなみにさらに周辺部にも多少補正を掛けてみた例が下の画像です。周辺部のみに追加でカラーバランスで補正してみました。


 各チャンネルごとのヒストグラムはこんな感じです。ブルーチャンネルのヒストグラムの山の形が、まだまだとはいえ、前よりだいぶRGB統合チャンネルの山に近づいています。ブルーチャンネルでは特にイェロー側の飽和値が切り下げられ、しかも飽和したピクセルが大量に発生していて、階調がだいぶ減ってしまっていることが分かりますが、これだけカラーバランスが崩れていますのでやむを得ないところでしょう。


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▼目次
「黄変したネガフィルムスキャン画像をPhotoshopを使って修正する」
(1)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/01fd817e2d0eeaca52a2fdf6e7ac43c6
(2)
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(3)
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(4)
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(5)
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Photoshopを使った黄変・退色写真補正テクニック - 追加
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黄変・褪色フィルム補正の実例
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(3)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/08f729dff54952fa07cb2e7a34f87eb4
(4)
http://blog.goo.ne.jp/yasuo_ssi/e/f31fcb5a8cc8950854a7c8735ff2f727





黄変したネガフィルムスキャン画像を Photoshop CS4を使って修正する (6)

2017-09-24 07:11:22 | カメラ
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現在は以下のサイトで、新しい補正法を公開しておりますので、そちらの利用をお勧めします。
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 ですが、いくらこのように一所懸命補正しても、満足を得ることはできないと思います。そもそも場所によって変色のパターンが大きく異なっているのですから、同一のルールを全体に掛けても補正しきれないのです。部分的に補正を掛けるしかありません。そして部分によって補正のパターンを変えるしかありません。

 この部分によって補正を掛けるか掛けないかを決める枠をレイヤーマスクといいます。レイヤーマスクの概念はこの記事の1回目に記しておきましたが、それぞれの補正(調整)レイヤーにくっついて、補正範囲を制限します。



 しかしこれですと、一つの補正(調整)レイヤーに一つのマスクを作らなければなりません。ですが、複数の補正効果に同一のレイヤーマスクを掛けたい場合があります。その場合はレイヤーグループを作成し、一つのレイヤーマスクを複数の補正(調整)レイヤーに適用させることができます。



 もちろん、一つの補正レイヤーだけをつけても良いわけですが... というわけで、Photoshop色調補正ゼミナールの御園生氏のご推薦に従い、以下、レイヤーグループにレイヤーマスクと補正レイヤーをまとめるやり方で、補正レイヤーを適用させる考え方を説明していきます。また、以下の説明はなるべく編集の基本的な考え方、概念を説明するにとどめ、具体的な操作方法の説明は参考 URL を示しておきますので、そちらをご参照いただければと思います。

 で、まずレイヤーマスク (ピクセルレイヤーマスク) を作る方法ですが、とりあえず黄変補正に使えそうな主な方法は4つあります。

1. 色域指定

2. 色チャンネル分布
  (この用語は Photoshopの用語ではなく私の仮称です)

3. ペイントツール (ブラシ、鉛筆ツール、消しゴムツール等の色塗り/消しツールを仮にそう総称します)

4. パス (ペンツール)

 それらからいずれもピクセルレイヤーマスクを作成可能です。これ以外に、通常の範囲選択ツール (長方形、楕円、多角形、なげなわ、自動 etc.) からレイヤーマスクを作成することもできます。他の方が書かれた黄変補正の事例ではPhotoshop LE (2001年終売) 上で自動選択を使って補正している例がありました。Photoshop LE は Elementsの前身ですが、RGB別トーンカーブ調整が使えるなど Elementsより高機能な側面もありました。
 なお、Photoshop Elementsではどこまでレイヤーマスクが使えるか未確認です。

1. の色域指定は、特定の色のピクセルをすべて選択範囲として指定するというものです。もちろん選択範囲の反転も可能です。例えばフィルムの黄変などは、イェロー系のピクセルが異常繁殖しているわけですから、イェロー系の色のピクセルを指定し、すべて叩き潰す、というようなことも可能になります。

2. の色チャンネル分布は、特定の色チャンネルのドット分布をそのままレイヤーマスクに転換するというものです。イェローピクセルが異常繁殖した黄変フィルムの場合、ブルードット分布をそのままマスクにすればイェロードットのみに補正効果を適用することができます。また、各ドットのブルー成分の濃度も違いますので、ブルー成分が強いドットは効果がはっきりマスクされ効果は薄くなり、ブルー成分の少ないドットはより大きな効果を受けることになります。これもイェロードットを狙い撃ちにするには有効です。

 なお、この色チャンネル分布のマスクを使うのと似た補正効果に「特定色域の選択」があります。



 これでイエロー系を選択して、シアンを強めイェローを弱めれば、ブルーの色チャンネル分布をマスクに使ってイェローの効果を弱めるのと同様な効果が得られると思います (というか、その操作を簡易化したもの?)。


3. のペイントツールは、ペイントツールを使ってマスクしたい部分を塗りつぶします。ブラシツールを使えば境界線をぼかすことも可能です。

4. のパスは、フリーハンドの線も描けますが、主に直線、曲線を使った範囲指定を行う場合に使います。ただ、直線、曲線を使った範囲指定は、ペイントツールで、多角形選択ツールや楕円形選択ツールを使って範囲指定した上で、塗りつぶしツールを使っても、似たような範囲指定は可能です。

 そして、一旦レイヤーグループにレイヤーマスクを貼り付けますと、このグループに様々な機能の補正レイヤーを追加することで、同じレイヤーマスクに対し複数の補正効果を適用することができるのです。
 つまり

 1) マスクの範囲指定を行う
 2) レイヤーグループにレイヤーマスクを貼り付ける
 3) そのレイヤーグループに補正レイヤーをぶら下げる

 という操作手順方針で行きます。
 他の手順もありえますが、混乱を招くだけですので省きます。

 このいずれを使ってもレイヤーマスクは作成可能ですが、困ったことにそれぞれの方法によって操作方法がかなり異なり、操作方法に体系性がありません。たぶん、増築を重ねた旅館状態なのでそうなのでしょうが、このあたりが Photoshopの難しさなのだと思います。
 全部説明するのは煩雑ですし、良い解説サイトもありますので、以下具体的なレイヤーグループにレイヤーマスクを作成するやり方はそれぞれの解説サイトの URL を示しますのでそちらをご覧下さい。

1. 色域指定

御園生大地, 2013,「色域指定を使って選択範囲を作る」(Photoshop 色調補正ゼミナール)
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/color/8650.html
CS6/CC準拠だと思いますがCS4でも操作は特に変わりません。

2. 色チャンネル分布

御園生大地, 2013,「『画像マスク』を使って選択範囲を作る」(Photoshop 色調補正ゼミナール)
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/color/8754.html
御園生氏の言う画像マスクとは特定の色チャンネルの分布をマスクにする方法で、私の言う「色チャンネル分布」によるマスクの作成のことです。「画像マスク」という用語も御園生氏による仮称で、Photoshopの正式の機能名称ではありません。御園生氏の例ではレッドチャンネルの分布を使っていますが、黄変修正には主としてブルーチャンネルの分布をマスクとして使うことになります。

3. ペイントツール

 ペイントツールを使ったレイヤーマスクの作成は、Photoshopの「クイックマスク」という名の機能を使います。しかしその名のためか、簡易的なマスクツールと思われているようですが、決して簡易的なマスク作成方法ではありません (簡易的な補正にも使えますが)し、むしろマスク製作の主力になる方法といってよいと思います。そこで、ちょっと細かく解説します。

1) まずメニューの「選択範囲」から「クイックマスクモードで編集」をクリックしチェックを入れます。なお、下の画面の左端にあるツールボックスの一番下端の「クイックマスクモードで編集」アイコンをクリックしても同じです。


2) 各種ペイントツールを使ってマスク範囲 (またはマスク適用外範囲) に色を塗ります。塗った範囲が半透明の赤で表示されます。


3) 範囲指定が終わったら、再び「選択範囲」から「クイックマスクモードで編集」をクリックしチェックを外します。


4) 塗った範囲が点滅します。もし指定範囲を反転させる(塗った部分をマスク適用外にする)場合は、ここで「選択範囲」→「選択範囲の反転」をクリックします。


5) 右のレイヤーパネルの一番下(右下)、「新規グループ作成」アイコンをクリックします。


6) 新規グループができたら、やはり一番下(右下)の「レイヤーマスクの追加」アイコンをクリックします。


7) するとレイヤーマスクができ、マスクのサムネールが表示されます。


8) マスクを確認する場合はマスクのサムネールの上で altキーを押しながら左ボタンをクリックすると白黒画像で表示されます(レイヤーパネルのチャンネルタブを開き、マスクレイヤーだけ可視化しても同じです)。この画面で編集も可能です。


9) 背景画像と併せて表示したい場合は、レイヤーパネルのチャンネルタブをクリックし、マスクの左をクリックし、目のアイコンの表示マークを出すと、背景画像の上に半透明の赤でマスクが表示されます。この画面でもマスクの編集が可能です。


 一旦できたレイヤーマスクに補正効果をぶら下げるのは、1.や2.と同じですので、あとはそれらの解説を参照して下さい。
 なお、ペイントツールで一部を塗りつぶすときにぼかしを入れたツールを使えば、効果-無効果の境界線をぼかして連続的に効果を適用させることができます。下がその例です。


参考
御園生大地, 2013,「選択範囲をもっと気楽に!「クイックマスク」「クイック選択ツール」「焦点領域」」(Photoshop 色調補正ゼミナール)
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/color/8793.html

4. パス

御園生大地, 2013,「どこでも囲える最強兵器、パスを使って選択範囲を作る」(Photoshop 色調補正ゼミナール)
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/color/8669.html
http://shuffle.genkosha.com/software/photoshop_navi/color/8696.html


 なお、一旦ピクセルレイヤーマスクを作成すると、上の、3.の9)にあるような方法で、ピクセルレイヤーマスクを編集できますので、例えば、色域指定や色チャンネル分布を使って作成したマスクを一部だけに適用したいという場合、それで作ったマスクに、ペイントツールでマスクを塗り重ねて一部だけ適用するようなマスクを作るといったことが可能です。

 下は、空を含む遠景のみにブルーの色チャンネル分布マスクを通して補正効果を適用し、近景は補正効果を一切適用させないため、近景はすべてペイントツールを使って塗りつぶした、レイヤーマスク作成事例です。



 このような表示に持って行くには、レイヤーパネルでマスクが貼り付けられているレイヤーグループを選択し、チャンネルタブでRGB全チャンネル+マスクを選択すると(上の画像の右側のレイヤーパネルを参照)マスクが半透明の赤で表示され、ペイントツールによる編集も可能になります。

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▼目次
「黄変したネガフィルムスキャン画像をPhotoshopを使って修正する」
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黄変・褪色フィルム補正の実例
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黄変したネガフィルムスキャン画像を Photoshop CS4を使って修正する (5)

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 今回は、ます「特定色域の選択」を使って画像の修正を試みてみましょう。これは、背景画像を選択したときに表示される補正ツールの選択画面で以下のアイコンをクリックします。


 すると「特定色域の選択 X」(Xは数字) と題されたレイヤーが作成され、次のようなパネルが右側に現れます。これは、レッド系、イエロー系、グリーン系、シアン系、ブルー系、マゼンタ系、白色系、中間色 (グレー) 系、ブラック系の9つのカラーの色調を変えることができます。したパネルは、黄変で問題になるイエロー系のカラーを選択したところです。

 黄変が問題なのですから、イエロー系カラーを黄色みを除去しようと補色であるシアンの量を増やし、イエローの量を減らしてみるということになると思います。これで全体的な黄色みが消えると万々歳なのですが...


イエロー系において、かなり極端にシアンを+100近く、イエローを-100でやってみましたが残念ながらオリジナルと大差ないようです。やはり黄変がかなり極端なようです。ただ、黄変がここまで極端でない場合はこれでかなり十分な効果が出る場合もあります。

 変色の程度がさほどひどくない場合は効果は十分見られますが、このような程度が極端な場合はあまり効果が見られないようです。


 次に、「カラーバランス」を見てみましょう。これは、背景画像を選択したときに表示される補正ツールの選択画面で以下のアイコンをクリックします。


 すると補色同士、シアン-レッド、マゼンタ-グリーン、イエロー-ブルーの3つのスライダーが出てきました。これを適宜動かしてみます。

 意外に、シアン-レッドのスライダーで、ややシアンよりに動かすと、緑色がきれいになります。それにイエロー-ブルーのスライダーを若干ブルーよりに動かしてみました。空の黄変はやや薄くなった程度ですが、草木の緑はちょっといい感じになっています。

 ただ、これでもブルーチャンネルのヒストグラムをRGB統合のヒストグラムと比べてみますと、ブルーチャンネルの不均衡が解消されているわけではありません。


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