民事裁判の記録(国賠)・自衛隊車とバイクの交通事故の民事裁判

1・訟務検事の証拠資料のねつ造など不法な弁論。
2・玖珠署の違法な交通犯罪の捜査,虚偽の実況見分調書の作成

31:控訴理由 第6点

2007-01-05 10:42:20 | 第3訴訟 第2審 被告国(訟務検事)
第6点 玖珠警察署の実況見分調書
   原判決の,第3争点に対する判断,2争点(1),(1)玖珠警察署の実況見分調
  書について(判決書19頁)の下記の部分の不服。「前記1(2)で認定したとお
                 27/70頁
  り,本件事故に対する玖珠警察署員による実況見分は,本件事故当日に行われ
  たこと,別件訴訟の裁判所に提出された本件実況見分調書は,作成日付こそ本
  件事故から約2年後ではあるが,内容としては,本件事故当日に実施された実
  況見分に基づく調書であることが明らかである。そして,警察が本件事故直後
  に,本件実況見分調書とは別個の新たな実況見分調書を作成したと認めるに足
  りる証拠もない。よって,浅香らが,警察が本件事故直後に作成した実況見分
  調書を提出しなかった違法をいう控訴人の主張は採用できない。また,本件事
  故現場の見取図が,別件訴訟で浅香らが陳述した平成13年11月5日付け準
  備書面に添付されていることも同準備書面(甲21)から認めることができる
  から,浅香らが別件訴訟で同見取図を提出しなかった違法をいう控訴人の主張
  も,採用できない。」
 1 間ノ瀬巡査部長は,平成11年10月29日に玖珠警察署において控訴人に
  対し,「一応見分時間は11時50分になっていますね。11時50分から開
  始と駐在所の方が書いていますね。
」と述べている(甲5の5頁)。
   事故当日の玖珠警察署の実況見分は,駐在所の方,すなわち,早水巡査長が
  見分を行なって,調書を書いたのである。早水巡査長は司法巡査である。
 2 間ノ瀬巡査部長は,「(この、なんと読む、小野寺さん?)はい、小野寺さ
  ん。(この人からは事情を聞かれた?)え、見分と調書は取りました。ただ、
  争うということであれば、小野寺さんにはもう一度来ていただいて、基本で捜
  査します。通常は、えーあの、こういう場合は、切符で処理するんですよ、だ
  から簡単な書類で処理している、・・方法であれば、争う,・・・現場での写
  真も撮っていますので、早急に写真を、多分あの中のどれかに入っているんで、
  まだフィルムは現像していないので、それも含めてうちの方は処分するよ
  う・・・。(甲5の9頁)」とも述べている。
 3 別件行政訴訟の,相手方の準備書面(1)(甲86の18頁),控訴人の玖珠警
  察署への来署(イ)に「そこで,間ノ瀬巡査部長は,控訴人に対して平成11
                 28/70頁
  年10月8日に作成した交通切符様式の実況見分調書等に基づいて本件交通事
  故の発生状況を説明
するとともにその発生原因は,控訴人が中央線を越えたこ
  とによって発生したと認められると説明した。すると控訴人は驚いた様子で,
  「相手の車がセンターラインを越えて来たと聞いていたので,今の説明には納
  得がいかない。」と,自身が本件交通事故の被害者である旨を申立てた。」と
  の記載がある。
 4 上記のとおり,玖珠警察署は,「平成11年10月8日に作成した交通切符
  様式の実況見分調書」を作成,所持していたことを認めていた(甲86)。
  「警察が本件事故直後に,本件実況見分調書とは別個の新たな実況見分調書を
  作成したと認めるに足りる証拠
」となる。
 5 玖珠警察署は長者原駐在所の早水巡査長に対し,事故現場に急行して事実調
  査と現場保存を行うよう指示し,同巡査長は午前11時50分ころ現場に到着
  した。別件行政訴訟で相手方は,早水巡査長は「事実調査と現場保存」を行っ
  たのであって,実況見分は行っていないと主張したが詭弁である。
   有斐閣法律用語辞典は,「実況見分」を,「捜査過程において,犯罪の現場
  その他の場所,人の身体あるいは物について,その状況を確認することを実況
  見分
といい,その結果を録取した捜査上の文書を実況見分調書という。実況見
  分は検証と類似するが任意処分にとどまる点で異なる。」と説明する。犯罪捜
  査規範第84条は,「警察官は,現場臨検を必要とする犯罪の発生を知ったと
  きは,捜査専従員たると否とを問わず,すみやかにその現場に臨み,必要な捜
  査を行わねばならない。」と規定し,同第104条は「現場等について事実発
  見のために必要があるときは,実況見分を行わなければならない。実況見分は
  関係者の立会いを得て行い,その結果を実況見分調書に正確に記載しておかな
  ければならない。」と規定している。
   事故当日,早水巡査長が,事故現場,自衛隊車及び控訴人車について事実発
  見のため,小野寺その他の関係者の立会いを得て実況見分を行ったことは証拠
                 29/70頁
  上明らかである。
 6 小野寺は,「① 平成11年10月7日,本件事故発生の約40分後小国警察
  署員が事故現場に到着し,少し遅れて早水巡査長が到着した(甲25)。②救
  急車は現場に5分くらいいた(甲22の20頁)。③救急車が去った後で玖珠
  警察署員2名が到着し現場検証を始めたので立会った(甲25)。④玖珠警察
  署署員が現場に到着したのは午後0時30分である。⑤玖珠警察署員は普通の
  パトカーできた。⑥現場検証の時間は約40分であった(甲22の20頁)。
  ⑦自衛隊車は検証が終わるまで別府よりの道路上に置き,誘導員をつけて片側
  通行を行った(甲22の26頁)」と証言・陳述している。
 7 救急車が事故現場に到着したのは午前11時33分で(甲85)で去ったの
  は5分後の11時38分ころである。小国署員が現場に到着したのは事故発生
  の約40分後の午前11時35分ころである。小野寺は,証人尋問で「救急車
  が去った後,玖珠警察署員2名が到着したと言いましたけど,救急車が去って
  から何分ぐらいでしたか,相当待ちましたか。」との問いに,「12時半です。
  (甲22の20頁)」と答えている。通常人は「何分ぐらいでしたか,相当待
  ちましたか。」と尋ねられたら,「いや,30分くらいです」とか「そうです
  ね,1時間くらいは待ちました」と答える。小野寺の答えはあやしい。
   玖珠警察署員が12時半到着なら,小野寺の陳述書の記載は,「救急車が去
  った後,1時間ほどしてから,玖珠警察署員2名が到着し,現場検証を始めた
  ので立会しました」となろう。救急車が去った後で到着し現場検証を始めたの
  は小国警察署員2名であることは明らかである。
 8 小野寺は,玖珠警察署員は普通のパトカーできたと証言している(甲22の
  20頁)。別件行政訴訟で相手方は,堀部警部補らは「玖珠61」という交通
  事故処理車で現場に向かった,と陳述している(甲86の12頁)。
   小野寺は,自衛隊車は検証が終わるまで別府よりの道路上に置き,誘導員を
  つけて片側通行を行ったと証言している(甲22の26頁)。別件行政訴訟で
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  相手方は,堀部警部補らは,事故当日午後0時25分ころが現場に到着したが,
  自衛隊車は既に道路外に移動されていた,と陳述している(甲86の12頁)。
   これら双方の主張の食い違いからも,本件事故に対する堀部警部補らによる
  実況見分が,本件事故当日に行われたとすることに,合理的疑いがある。
 9 刑事訴訟法第246条は「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法
  律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を
  検察官に送致しなければならない。但し,検察官が指定した事件については,
  この限りではない。」と規定する。同条は全件送致主義について規定したもの
  で,捜査の結果犯罪の嫌疑が消滅した場合であっても事件を送致しなければな
  らない。
 10 平成13年11月16日,本件事故について,控訴人を法70条,119条
  1項9号違反の違反者とする玖珠警察署長の大分県警察本部長に対する行政処
  分報告書(甲第87号証)が同県警に受理されたことになっている。同報告書
  の欄外には「処分対象外」のゴム印が押され,①相被疑者番号・氏名,②報告
  番号・報告年月日,③処理経過,④ 受付印の受付番号の欄は空白であり犯罪
  事実の欄に,「もって他人に危害を及ぼうような安全な速度と方法で運転した
  ものである。」との記載の下線の部分を,「およぼす」に手書きで訂正してい
  るが訂正印はない。⑥大分県情報公開条例に基づく控訴人からの請求に対して
  平成16年5月29付けで公開されたときは,同報告書の欄外の「処分対象
  外」のゴム印押捺部分を含め,ほとんど全部のらんが黒く塗られていた(甲第
  88号証)。大分県警は上記黒く塗られた部分をなぜ隠蔽したのか。
 11 玖珠警察署が,関係書類を日田区検察庁に送致したのは,平成13年11月
  20日である(甲第89号証)。
 12 控訴人が別件訴訟を提起したのは平成13年7月23日である。提起を受け
  て平成13年9月18日自衛隊による事故再現見分が行なわれた。別件訴訟の
  裁判所に提出された本件実況見分調書は,作成日付こそ本件事故から約2年後
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  の平成13年9月27日であるが,玖珠警察署長の大分県警察本部長に対する
  行政処分報告書が同県警に受理されたのは,平成13年11月16日である
  (甲87)。玖珠警察署は平成11年10月7日の本件事故後のほぼ2年間,
  本件事故についての行政処分を行わなかった。
 13 大分合同新聞(夕刊)2003年(平成15)年2月22日に「玖珠署が摘
  発した10人の交通違反事件10件を検察庁に送致しておらず,いずれも時効
  になっていたことが22日までに分かった。県警監察課によると,摘発したの
  は1999年3月から11月までで,飲酒運転や無免許運転,速度違反など,
  同署交通課の巡査長が反則切符を署内に置いたまま,送致するのを忘れていた。
  別の交通違反事件の捜査をする過程で,処理していないことが分かった。同署
  は昨年12月,時効となった事件の書類を日田区検に送った。10人は手続が
  スムーズ済む行政処分に関し,免許停止などの処分を受けたが,裁判所への呼び
  出しなどが必要な刑事処分は時効を迎えたため,罰金は科せられなかった。監
  察課は「巡査長が故意に処理をしなかったのではなく,忘れていた事案であり,
  刑事上の責任はないが,巡査長,上司らは適正に処分した」と説明した。」と
  の報道がある(甲第90号証)。1999年(平成11年)3月から同年11
  月まで玖珠警察署の処理した交通違反事件10件が放置されたのである。
 14 犯罪捜査規範(222条)は,「交通法令違反事件については、犯罪事件受
  理簿(62条)及び犯罪事件処理簿(201条)に代えて、長官が定める様式
  の交通法令違反事件簿を作成し、これにより第19条(捜査指揮)第一項及び
  第193条(送致及び送付の指揮)に規定する指揮の責任及び事件の送致又は
  送付その他の経過を明らかにしておかなければならない。」と規定する。同事
  件簿の保存期間は3年であるから,大分県警察本部長が,玖珠警察署の本件行
  政処分報告書を受付けた平成13年11月16日には存在している。
   上記3のとおり,間ノ瀬巡査部長は,平成11年10月8日に作成した交通
  切符様式の実況見分調書所持していたのであるから,本件は間ノ瀬巡査部長
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  手持ち事件である。「巡査長が送致するのを忘れていた」で済む事案ではない。
 15 なお,小野寺および片岡に陳述書の日付は平成13年10月12日で,国の
  準備書面(1)は平成13年11月5日に陳述された。小野寺の証人尋問は平成1
  4年3月25日に行われた(甲25,26,22)。
   別件訴訟の提起を知った時点から,玖珠警察署の調書は平成13年11月1
  6日,小野寺および片岡の陳述書は平成13年10月12日,小野寺の証言内
  容は平成14年3月25日,国の準備書面は平成13年11月5日の,各日付
  の直前まで,各当事者の支配下にあり,内容は自由に作成変更されえた。
 16 本件は人身事故で,切符での処理も微罪処分もできない。事件を送致するに
  は,司法警察員の捜査が必要と考え,司法巡査である早水巡査長の捜査,実況
  見分及び実況見分調書を隠滅し,間ノ瀬巡査部長を見分官としての,(形ばか
  りの)実況見分を行なったのである。
 17 なお,原判決は,本件事故現場の見取図について,「浅香らが別件訴訟で同
  見取図を提出しなかった違法をいう控訴人の主張も,採用できない。」という
  が,控訴人は,「浅香らが別件訴訟で同見取図を,証拠として提出しなかった
  点について,浅香らの,数々の信義誠実の原則(民訴訟2条)違反の一つとし
  ていうのである。(控訴理由第2点 浅香らが提出した証拠)
 18 原判決は,本件事故に対する玖珠警察署員による実況見分が,本件事故当日
  に行われたことを認めながら,同見分の結果を録取した実況見分調書は作成さ
  れていないと判示する。著しく不合理な事実認定である。
 19 ちなみに,玖珠警察署の実況見分調書(甲42)は,控訴人を被疑者とした
  道路交通法違反事件についての調書である。上記第3項のとおり,控訴人は間
  ノ瀬巡査部長に診断書を提出し,自身が本件交通事故の被害者である旨を申立
  てたのであるから,同巡査部長は被害届けを受理し,犯罪事件受理簿に登録し
  なければならない。当然に小野寺を被疑者とする業務上過失傷害事件について
  の捜査が行われ,その結果を録取した実況見分調書が存在しなければならない。
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