民事裁判の記録(国賠)・自衛隊車とバイクの交通事故の民事裁判

1・訟務検事の証拠資料のねつ造など不法な弁論。
2・玖珠署の違法な交通犯罪の捜査,虚偽の実況見分調書の作成

29:第7回口頭弁論調書

2006-12-10 05:37:16 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
                    裁判長認印 ○
        第 7 回 口 頭 弁 論 調 書(判決言渡)
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事 件 の 表 示| 平成17年(ワ)第3710号
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期    日   | 平成18年11月10日 午後1時15分
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場所及び公開の有無| 横浜地方裁判所第9民事部 法廷で公開
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裁判長裁判官 | 土 屋 文 昭
    裁 判 官| 一 木 文 智
    裁 判 官| 吉 岡 あゆみ
裁判所書記官 | 大 園 守 雄
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出頭した当事者等 |原 告      出羽 やるか
         |被告代理人  久保寺   勝
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指 定 期 日 |
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弁 論 の 要 領 等
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裁判長
   判決原本に基づいて判決言渡し
                   裁判所書記官 大 園 守 雄 印
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28:判決 p1~p13

2006-11-11 21:00:42 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
平成18年11月10日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成17年(ワ)第3710号 国家賠償請求事件 (平成17年(モ)第2411号 文書
提出命令申立事件,同18年(モ)第386号 文書提出命令申立事件)
口頭弁論終結日 平成18年9月1日

             判           決

   横浜市00区000丁目00番00号
       原           告      出 羽  やるか
   東京都千代田区霞が関1丁目1番1号
       被           告      国
       同 代表者 法 務 大 臣   長 勢  甚 遠
       同 指 定 代 理 人      宮 崎  雅 子
       同                  熊 谷  勇 人
       同                  大 石  勝 幸
       同                  久保寺    勝
       同                  大 當  光 憲
       同                  小 田 昇

             主           文
     1 原告の請求を棄却する。
     2 訴訟費用は原告の負担とする。
             事 実 及 び 理 由
第1 請求
  被告は,原告に対し,3000万円及びこれに対する平成17年11月9日か
 ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
                  1
 本件は,自衛隊車両との接触事故により受傷したとして,国に対し損害賠償請
求訴訟を提起し敗訴した原告が,同訴訟で国の指定代理人らが,証拠資料を隠ぺ
い破棄し提出せず,証拠資料のねつ道・改ざんを行い,あるいは不法に作成され
た証拠を弁論に使用した違法があると主張して,国に対し,国家賠償法1条に基
づき,上記訴訟に敗訴したことによる損害と慰謝料の合計3000万円及びこれ
に対する不法行為後である平成17年11月9日から支払済みまで民法所定の年
5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。
1 争いのない事実等
 (1) 平成11年10月7日午前10時55分ころ,大分県玖珠郡九重町大字湯
  坪県道別府一の宮線水分起点34.9km先付近路上(以下「本件道路」とい
  う。)で,原告が運転する原告所有の普通自動二輪車(以下「原告車」とい
  う。)と,自衛隊員小野寺秀和(以下「小野寺」という。)が運転する国(陸
  上自衛隊)所有の大型貨物自動車(以下「本件大型トラック」という。)に
  牽引された野外炊事1号(以下「本件炊事車」という。)とが衝突ないし接
  触する交通事故(以下「本件事故」という。)が発生した。
 (2)原告は,平成11年10月29日,大分県玖珠警察署に,熊本赤十字病院
  の医師礒貝正久作成の,同年10月14日付け診断書(約3か月の加療を要
  する見込みとの内容である。)を提出した。
 (3))原告は,平成13年7月23日,横浜地方裁判所に対し,本件大型トラッ
  クの運行供用者である国を被告として損害賠償請求訴訟(同庁平成13年(ワ)
  第2714号。以下,特に断らないかぎり,この第一審訴訟を「別件訴訟」
  という。)を提起した。
   国は,別件訴訟で被告国のために裁判上の行為を行う職員として,下記の
  者(以下「浅香ら」という。)を指定した。
   ア 東京法務局訟務部
     部付浅香幹子,上席訟務官加藤正一,法務事務官八木下孝義
                 2
   イ 横浜地方法務局訟務部門
     上席訟務官池上照代,訟務官渡部美和子,法務事務官宇山聡
   ウ 陸上自衛隊西部方面総監部法務課
     法務課長1等陸佐山本幸一,法務班長2等陸佐高橋宗義,法務幹部3
    等陸佐森川和成,賠償専門官防衛庁事務官京極一司
   エ 陸上自衛隊第8師団司令部法務官室
     法務官3等陸佐講初靖,法務幹部2等陸尉福山登之
   オ 陸上幕僚監部監理部法務課
     民事訴訟専門官防衛庁事務官北畠彰
 (4) 浅香らは,別件訴訟で,事故現場見取図,事故現場写真,小野寺の陳述書,
  本件大型トラックの助手であった2等陸曹片岡高房(以下「片岡」という。)
  の陳述書及び事故状況再現写真を,証拠として提出した。
 (5) 別件訴訟の裁判所は,平成14年8月30日,原告の請求を棄却する判決
  をした。これに対し,原告は控訴を提起したが,東京高等裁判所は,平成1
  5年2月4日,控訴を棄却する判決をした。
   その後,原告は,最高裁判所に上告するとともに,上告受理の申立てをし
  た。東京高等裁判所は,平成15年4月11目,上告受理申立てを却下する
  決定をした。これに対し,原告は許可抗告の申立てをしたが,同裁判所は,
  平成15年5月6日,不許可の決定をした。原告は,この決定に対し,特別
  抗告の申立てをした。最高裁判所は,平成15年9月12日,上記上告を棄
  却する決定及び上記特別抗告を棄却する決定をした。
2 争点及び当事者の主張
 (1) 争点(1)(別件訴訟で浅香らが証拠資料を隠ぺい・破棄したか。)
  (原告の主張)
   国は,正義を実現し国民を庇護すべき立場にあるから,民事訴訟における
  国の代理人は,通常の当事者とは異なり,事件の解明に役立つ資料は進んで
                 3
  全部提出し,真実の発見に協力すべきである。それにもかかわらず,浅香ら
  は,別件訴訟において,次のとおり証拠資料を隠ぺい又は破棄し,裁判所に
  提出しなかった。
  ア 実況見分調書について
    原告は,別件訴訟で,平成13年9月3日,大分地方検察庁日田支部の
   所持する本件事故の実況見分調書(以下「本件実況見分調書」という。)
   の送付嘱託を申し立てた。ところが,これに応じて提出された実況見分調
   書は,平成13年9月27日作成のものであった。
    そこで,原告は,同年11月5日,大分県玖珠警察署の所持する,本件
   事故直後に作成された実況見分調書等の文書送付嘱託を申し立て,後に採
   用された。これに対し,玖珠警察は「平成13年11月20日に日田区検
   察庁に関係書類とともに送致している。」と回答した。
    このように,浅香らは,別件訴訟で,本件事故直後に司法警察職員が作
   成した実況見分調書・現場見取図等を書証として提出しなかった。
  イ 車両使用請求書・車両運行指令書について
    原告は,別件訴訟において,平成14年4月24日,第42普通科連隊
   が所持する,自衛隊車の平成11年10月7日から同年10月15日を含
   む期間が記載されている車両使用請求書・車両運行指令書の送付嘱託を申
   し立てた。しかし,別件訴訟の裁判所は,採否の決定を行わず,同書面は
   提出されなかった。国には,原告の証拠資料への接近を妨害した違法があ
   る。
  ウ 当事者照会について
    原告は,平成14年5月27日,別件訴訟で当事者照会を行った。照会
   事項は,①別件訴訟の証人小野寺の速記録中で言及された「近松3佐」の
   氏名,階級,職種,職務,所属部隊,特別司法警察職員か否か,及び本件
   事故当日の動静,②事故現場写真に写されている人物の特定,③事故状況
                4
   再現写真に写されている人物らの氏名,階級及び所属,④本件実況見分調
   書に写されている人物の氏名,階級及び所属,であった。
    上記照会に対し,国は,回答書を提出したが,上記照会事項と原告の主
   張の関係が不明確であり,「主張又は立証を準備するために必要な事項」
   に該当するものではないとして,全ての照会事項に回答しなかった。その
   ため,原告は,本件事故の調査ができず,証人とすべき人証の特定ができ
   ないので証拠申出ができなかった。
  エ 運行記録計について
   本件大型トラックには,運行記録計を備えなければならないことになっ
  ていた。また,大型トラックが人身事故を起こした場合,司法警察職員が,
  まず運行記録計の記録紙の任意提出を求め領置し,所有権を任意に放棄さ
  せ,実況見分調書に証拠として添付するのが捜査の基本である。
   しかし,本件事故の場合,別件訴訟で提出された本件実況見分調書等に
  は運行記録計の記録紙が添付されておらず,これらの資料は適法に作成さ
  れているとはいえない。
 (被告の主張)
  別件訴訟で浅香らが証拠資料を隠ぺい・破棄したなどとする原告の主張
 は,根拠のない推測に基づくものであり,失当である。
 ア 実況見分調書について
   別件訴訟で,原告が,大分地方検察庁日田支部及び玖珠警察署に対する
  文書送付嘱託の申立てをし,これが採用されたこと及びこれらに対する回
  答が原告主張のとおりであったことは認める。
   浅香らが,捜査報告書・事故調査報告・実況見分調書等を証拠として提
  出していないことは認める。本件事故現場の見取図は,別件訴訟で陳述し
  た準備書面に添付している。
 イ 車両使用請求書・車両運行指令書について
                5
   原告の主張する文書送付嘱託の申立てがされたこと,車両使用請求書・
  車両運行指令書が提出されなかったことは認めるが,これが国の原告に対
  する証拠資料への接近妨害であるとの点は争う。
 ウ 当事者照会について
   別件訴訟で,原告主張のとおりの当事者照会があったこと,及びそれに
  対して国が出した回答書の内容については認める。その余は否認ないし争
  う。
 エ 運行記録計について
   否認ないし争う。
(2)争点(2)(浅香らが,自衛隊の実況見分調書等を隠ぺいしたか。)
 (原告の主張)
 ア 自衛隊における事故発生時の報告,調査については,「(事故発生の通知
  を受けた場合,駐屯他業務隊の長等は,)陸上自衛隊に賠償責任がないも
  のと思料される事故であっても現実に損害が発生し,かつ,将来賠償請求
  の可能性のある事故,又は政治的,社会的に重大な影響を及ぼすと認めら
  れる事故についての報告漏れのないよう特に留意するものとする。」との
  規定が,陸上自衛隊損害賠償実施規則にある。なお,同規則に基づき,業
  務隊長の作成する書類は,①発生報告書(法定第1号),別添事故現場見
  取図,②賠償実施結果報告書(法定第2号)添付書類認定書(別添,証拠
  目録)及び和解契約書等である。
   別添の証拠には,実況見分調書,事故状況等写真,供述言,申立書,運
  転免許証,自動車車検証,根拠命令等,車両運行指令書及び損害賠償に開
  する書類などがある。
 イ 原告は,別件訴訟で,平成13年9月3日付けで,陸上自衛隊北熊本業
  務隊が作成する本件事故に関する上記文書の提出命令と送付嘱託を申し立
  てた。しかし,別件訴訟の裁判所は採否を決定せず,上記文書は提出され
                6
  なかった。
   本件事故は,方面総監が賠償実施権者となる重傷事故による損害が実際
  に発生した事故に当たる。よって,本件事故に関して,「発生報告書」及
  び「実況見分調書」が作成されていないとは考えられない。
   したがって,警務隊が作成した,本件事故当日の見分結果に基づく実況
  見分調書は存在する。
 ウ 本件事故現場に事故10分後の午前11時5分ころから同50分ころま
  でに現場に到着した早水巡査長が,小国署員からの捜査の引継ぎを終える
  時間までの間は,複数の警務隊員が現場にいて,事故現場保存,捜査・実
  況見分,現場写真撮影等を行ったことが明らかである。また,その内容も,
  原告車の転倒位置に印をつけるなど,基本に従い行われたものである。し
  たがって,警務隊の行った実況見分の結果を録取すれば,正確な実況見分
  調書が完成するはずである。
 エ 本件事故当日に行われた見分の結果,本件事故は自衛隊の全面的な過失
  によることが明らかになったため,自衛隊はあえて平成13年9月18日
  に事故再現見分を行い,事故状況を作り直したのである。なお,同再現見
  分の様子を写した写真には警察官が写っており,玖珠警察署が同再現に関
  与していることは明らかである。
 (被告の主張)
  警務隊が本件捜査資料を破棄又は隠ぺいしている疑いがあるなどとする原
 告の主張は失当である。
 ア 「自衛隊と警察との犯罪捜査に関する協定」及び「自衛隊と警察との犯
  罪捜査に関する協定の運用に関する了解事項」によれば,道路交通法に定
  める車両の交通に関する犯罪について,人の死傷又は物の損壊を件うもの
  にあっては,自衛隊の隊員が犯したものであり,被害者が自衛隊の隊員で
  ある場合又は被害物件が自衛隊の所有,若しくは使用する物件である場合
                7
  においては,警務官が分担し,その他の場合においては,すべて警察官が
  分担することと規定している。
 イ 本件事故は,事故発生直後に行われた玖珠警察署による実況見分により,
  原告のセンターラインオーバーが原因であるとして,小野寺には過失がな
  く,国に責任がないと判断されたため,上記各書類を作成しない運用がさ
  れたものである。
 ウ 仮に本件事故が小野寺による犯罪行為に該当するとしても,被害者は原
  告であり,自衛隊員ではないから,本件事故の捜査担当は警察官であって,
  警務隊により本件事故に関する捜査資料が作成されるものではない。
   したがって,北熊本の警務隊が本件捜査資料を破棄又は隠ぺいしている
  疑いがあるなどとする原告の主張は失当である。
(3) 争点(3)(本件事故当日の現場写真がねつ造・改ざんされたものか。)
 (原告の主張)
  浅香らが,別件訴訟で事故現場写真として提出した写真(警察官撮影のも
 のとして甲32,自衛隊撮影のものとして甲67。 以下,これらの証拠番号
 及び写真の番号で原告の主張を特定する。)には,以下のとおり,ねつ造・
 改ざんされた部分がある。
 ア 事故当時の道路状況(熊本方面から別府方面。甲32⑥及び甲67①)
 (ア)甲67①の左に,警官と自衛官の一団が写っており,その後方にKP
   34.9の警戒標識が写っている。しかし,この警戒標識は,事故当時
   存在しなかった。また,同写真の右側には,適当な草地があるのに,そ
   こではなく,ヘアピンカーブの頂点という危険な場所に,一団がたむろ
   しており,不自然である。
 (イ)甲32⑥及び甲67①の右側に,KP34.9の里程標が写っている。
   しかし,この里程標は事故当時存在しなかった。
 (ウ)甲67①には,黄色の荷物を積まれた原告車と,原告の靴が写ってい
                 8
   るが,この時点では原告車に荷物は積まれていなかった。
 (エ)同写真右側の草地の上に,約6名の自衛官が写っているが,彼らがこ
    こにたむろしている理由がない。
 (オ)同写真左上の草木の部分が真っ黒に加工・隠ぺいされている。
 イ 事故当時の道路状況(別府方面から熊本方面。甲67②)
 (ア)長者原駐在所の小型警ら車が,進行方向とは逆方向の自衛隊車進行車
   線のカーブの頂点付近の路側に停車している。なぜ,Uターンしてきた
   ヘアピンカーブの頂点付近に,路側帯を塞いで,進行方向と逆方向に違
   法駐車しているのか。
 (イ)写真上に写っている小型パトカー,自衛官と警察官,小型トラック及
   び草地付近の視線誘導灯などの写り具合が,擁壁上の警戒標識の色合い
   を含めた背景と調和せず,不自然である。
 (ウ)小型警ら車の前で,自衛官が警察官に何か手渡している。この2人は
   何をしているのか。浅香らがこの写真で何を証明しようとしているのか
   理解できない。
 (エ)小型トラックの画像は,トラック下方の草地の影まで直線で切り抜い
   て挿入したものである。また,小型トラック付近の視線誘導灯の配置が
   実際と異なる。余分な誘導灯が挿入されている。
 (オ)写真左上が真っ黒である。背景の草木の状態を隠ぺいするため黒く塗
   りつぶしたものである。
 (カ)左側の車線中央に,カーブに沿って,原告車の走行位置を示すように,
   9個の白色ひし形のマークが写っている。 しかし,本件実況見分調書添
   付の写真(甲32⑩)及び本件事故の約3週間後に原告が撮影した事故
   現場写真(甲66①)には,開マークが6個しか写っていない。同マー
   クを事故当日に設置することはできないので,事故当日には同マークは
   存在していなかったといえる。甲67②の写真は,事故当日に撮影され
                 9
   たものではない。
 ウ 本件大型トラック,本件炊事車の衝突痕(甲67⑤⑥⑩⑩⑨)
    本件炊事車のタイヤホイール及びホイールナットには傷がついていな
   い。一方,原告車前輪右ホークには傷がある。本件炊事車のタイヤには傷
   がある旨の印がつけられているが,タイヤでは原告車に傷はつかない。
   したがって,甲67⑩に写っている本件炊事車は事故当日に撮影された
   ものではない。また,甲67の写真中,本件トラックが写っている写真は,
   事故当日に撮影されていない。
 エ  原告車の急ブレーキによるタイヤ痕(甲67⑦)
    写真は,測定基準が写されていないので位置が特定できず,道路面だけ
   しか写されていないので,撮影の時期も特定できない。警察や自衛隊が主
   張する,真新しく残っていたという40センチメートルの急ブレーキによ
   るタイヤ痕が写っていない。
 オ  原告車転倒位置(甲67⑧)
 (ア) 写真右上の草地にKP34.9の里程標が写っている。しかし,この
    里程標は事故当日には存在しなかった。
 (イ) 草地に,黄色の荷物を積んだ原告車と,その後方に原告の靴が写って
    いる。しかし,この時点では原告車に荷物は積まれていない。また,靴
    を置くとすれば原告車のすぐ近くに置くのが通常である。
 (ウ)草地に,約7人の自衛官がたむろしている。そのうち,後ろ手を組ん
    でいる自衛官の左側の迷彩服の自衛官の背中から足の部分が直線的に切
    り取られている。この自衛官の画像は挿入されたものである。
 カ 原告車,同破損状況(甲67③④⑨⑩)
    甲67③④では,原告車が正面と真後ろから撮影されている。 しかし,
   通常であれば,原告車を草地の中央に置き,前後左右から撮影するはずで
   ある。また,甲67③と④では,原告車の置かれている位置が同じである
                 10
   かも疑わしい。
 キ まとめ
 (ア)別件訴訟で浅香らが提出した実況見分調書添付の写真の一部(甲32
   ⑪)は,浅香らによってねつ道・改ざんされたか,あるいは,ねつ造・
   改ざんされたものであると知りながら,別件訴訟で浅香らが,証拠とし
   て提出したものである。
    自衛隊が玖珠警察が実施した実況見分に関与していることは,実況見
   分調書に添付された甲32⑪に,同署員間ノ瀬巡査部長と同行している
   2名の自衛官が写されていることからも明らかである。
    浅香らは,本件事故当時には,事故現場にKP34.9の里程標が存
   在しないことを知っていた。
 (イ)別件訴訟で浅香らが提出した自衛隊撮影の事故現場写真(甲67)の
   内訳は,道路状況に関するものが①②⑧,原告車に関するものが③④⑨
   ⑩⑨,自衛隊車に関するものが⑤⑥⑩⑩⑨,路面に関するものが⑦で,
   合計14枚である。
 (ウ)通常の場合,道路状況写真を撮影するときは,なるべく人物や車が写
   らないようにするものである。しかし,浅香らの提出した事故現場写真
   のうち3枚(甲67①②⑧)に,自衛官・警察官が写っている。このう
   ち,自衛官は撮影時には存在しない。写真の自衛官の画像は,挿入され
   たものである。また,これらの写真の撮影時には,KP34.9の里程
   標と,警戒標識は存在しなかった。
 (被告の主張)
  すべて否認ないし争う。
 ア 浅香らがねつ造・改ざんしたと原告が主張する写真のうち,甲32(警
  察官により撮影された現場写真)は,いずれも本件実況見分調書示付の写
  真であり,別件訴訟の平成13年9月3目付け文書送付嘱託により送付さ
                 11
  れたものである。同調書を所持しているのは,大分地方検察庁日田支部で
  あることから,浅香らはその作成に関与できる立場にない。
 イ 甲67(自衛隊により撮影された現場写真)を,浅香らがねつ造・改ざ
  んしたという事実もない。特に,原告は,上記現場写真が本件事故当日に
  撮影されたものでないという根拠として,原告車線上のひし型マークが甲
  32⑩には6個しか写っていないが,甲67②には9個写っていると主張
  する。しかし,上記ひし型マークは,路上にペイントされていた減速マー
  クが経年により摩耗したものであり,自衛隊又は警察が,書いたり消した
  りすることができるものではない。また,上記2写真は,別の場所から別
  の角度で撮影されたものにすぎず,両者に写っている道路の範囲が異なる
  ため,それに伴い,写っているマークの数が異なるのも当然である。
(4) 争点(4)(損害)
 (原告の主張)
  原告は,上記(1)ないし(3)の違法行為により,別件訴訟に敗訴し,後
 記アないしキの損害の補償が受けられなかった。さらに,後記クのとり,
 精神的苦痛を受けた。・・・以下一部省略・・・
 ア 治療費関係費
 イ 休業損害
                   12
 ウ 後遺障害による逸失利益
 エ 慰謝料
 オ 文書料
 カ 警察への出頭旅費
 キ 物損等
 ク 浅香らの不法行為に基づく慰謝料        
                  13
   (被告)
    本件事故によって原告に生じた損害額は不知であるが,当該損害が浅香ら
   の行為によって発生したという主張であれば,否認ないし争う。

28:判決 p13~25

2006-11-11 01:07:30 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
第3 争点に対する判断
 1 前記争いのない事実等に証拠(甲5,17,22,25ないし27,29,
  30,32,60ないし62,67)及び弁論の全趣旨を総合すると,本件事
  故及びその後の捜査,訴訟の経緯について,以下の事実が認められる。
  (1) 本件事故発生の状況
   ア 本件道路は,山間部を南北に走る曲がりくねった県道で,事故発生現場
    付近は,原告車の進行方向から見ると,湯布院町方面から小国町方面に向
    け,勾配が約100分の5の下り坂で,半径約25メートルの左カーブ(い
    わゆる「ヘアピンカーブ」)になっている。道路の東側は,比較的背の高
    い雑草の生えた草地を隔てて杉林になっており,西側は土手及び擁壁にな
    っている。カーブが急であることと,原告車の進行方向左側道路外に背の
    高い雑草が存在することが原因で,いずれの進行方向からも,相互の見通
    しはあまり良くない。
     道路はアスファルト舗装されて平たんであり,歩車道の区別はなく,中
                  14
    央に黄色ペイントの実線で中央線が引かれている。同道路の幅員は上下線
    併せて約9.1メートルで,両側に白色ペイントで外側線が引かれている。
    外側線の内側の幅員は,原告車の進行車線が約3.9メートル,反対車線
    である自衛隊車の進行車線が約3.7メートルであった。本件事故当時,
    路面は乾燥しており,凹凸や障害物もなかった。
     本件道路は,大分県公安委員会によって,最高速度40キロメートル毎
    時(常時),追い越しのための右側部分けみ出し通行禁止(常時)の指定
    がそれぞれされていた。
   イ 原告車は普通自動二輪車であり,車長2.1メートル,車幅0.7メー
    トル,車高0.95メートルである。
     本件事故当時,原告車のハンドル,ブレーキの機能に異常はなかった。
     本件事故による原告車の損傷状況は,ハンドル右先端破損,右レバー先
    端擦過,右前ウィンカー破損,ステップ右側後方の凹損,マフラー擦過,
    右前輪ホーク擦過及び同部分への黒色付着,前照灯枠破損等であり,小破
    であった。
   ウ 本件大型トラックは大型貨物自動車であり,車長7.23メートル,車
    幅2.485メートル,車高3.080メートルであった。本件炊事車は,
    フルトレーラであり,車長4.195メートル,車幅2.090メートル,
    車高1.840メートルであった。
     本件事故当時,本件大型トラックのハンドル,ブレーキの機能に異常は
    なかった。
     本件事故によって本件大型トラックに損傷は生じなかった。本件炊事車
    には,右側タイヤ枠擦過,右側タイヤ擦過の損傷が生じたが,その程度は
    軽微であった。
   エ 本件道路面には,中央線から自衛隊車進行車縁側に約40センチメート
    ル入ったところに原告車のタイヤ痕1条が印象され,更にそれに連なるよ
                  15
    うに,中央線から原告車進行車線上に入ったところに原告車の転倒によっ
    て生じた擦過痕2条がそれぞれ印象されていた。
   オ 小野寺は,時速約40キロメートルの速度で本件道路の自衛隊車進行車
    線を南から北へ進行して,本件事故現場手前の右カーブに入ったところ,
    約30メートル前方の,カーブの内側道路外の雑草越しに,原告車が原告
    車進行車線を進行してくるのを認めたが,特に危険を感じなかったので,
    そのまま進行した。ところが,原告車と本件大型トラックが15,6メー
    トルにまで接近したところで,原告車がコントロールを失って左右に大き
    く振れ,小野寺の視点からは,原告車が自衛隊車の方に突っ込んで来るよ
    うに見えた。小野寺はとっさにブレーキを踏もうとしたが,ブレーキを踏
    むより早く,原告車が本件大型トラックの運転席の横を通り過ぎて,本件
    炊事車に衝突ないし接触した。
  (2)本件事故の実況見分の状況及び同調書の作成の経緯
   ア 平成11年10月7日午後0時34分から午後1時20分までの開,玖
    珠警察署の間ノ瀬久太巡査部長を見分官とし,堀部金丸警部補及び早水満
    堯司法巡査を補助者(なお,見分官と補助者いずれも所属,階級は本件事
    故当時のものである。),小野寺を立会人とした本件事故の実況見分が行わ
    れた。原告は,本件事故直後に小国公立病院に搬送されていたため,実況
    見分が実施された際は事故現場にいなかった(そのため,同実況見分終了
    後に,小野寺が原告車に積まれていた原告の荷物を,同病院まで届けた。)。
   イ その後,後記(4)のとおり,原告が国に対して別件訴訟を提起したことか
    ら,堀部警部補は,平成13年9月27日付けで,上記実況見分に基づい
    た本件実況見分調書を作成した。なお,同調書には,実況見分の際に堀部
    警部補らが撮影した本件事故現場写真(以下「警察現場写真」という。)
    16枚が添付された。
  (3)自衛隊員による本件事故現場写真の撮影
               16
   ア 上記実況見分が実施された際,これに並行して,陸上自衛隊第8師団第
    42普通料連隊第4中隊陸曹長赤埴源蔵(所属,階級は本件事故当時のも
    のである。以下「赤埴」という。)が,本件事故現場の写真を撮影した。
   イ その後,後記(4)のとおり,原告が別件訴訟を提起したことから,浅香ら
    は上記事故現場写真14枚を平成13年10月11日作成の書証(標題は
   「事故現場写真」である。以下「自衛隊現場写真」という。)として,別
    件訴訟の裁判所に提出した。
  (4) 原告は,平成13年7月23日,横浜地方裁判所に対し,本件大型トラッ
    クの運行供用者である国を被告として,別件訴訟を提起した。
  (5) 自衛隊による本件事故再現の実施
   ア 自衛隊は,別件訴訟が提起されたことから,本件事故の状況等を調査・
    確認するために,平成13年9月18日に事故状況再現見分を行った。
   イ 上記再現見分の模様を撮影した写真8枚(以下「再現見分写真」という。)
    は,浅香らによって別件訴訟の裁判所に書証として提出された。
  (6) 別件訴訟における原告の証拠収集活動
   ア 原告は,別件訴訟で,裁判所に対し,以下のとおり,文書送付嘱託の申
    立て又は文書提出命令の申立てをした。
   (ア)平成13年9月3日付けの申立て
     ① 玖珠警察署が作成し,大分地方検察庁日田支部が所持している本件
      事故の実況見分調書の送付嘱託
       この申立ては採用され,同支部は平成14年2月15日,本件実況
      見分調書を別件訴訟の裁判所に送付した。
     ② 陸上自衛隊北熊本駐屯他業務隊の作成及び所持にかかる,本件事故
      に関する調査資料の提出命令(なお,文書の表示は「実況見分調書」
      「事故現場見取図」「事故現場及び損害状況写真」「供述書」「自動車
      検査証」である。)。
                  17
   (イ)同年11月5日付けの申立て
      大分県玖珠警察署の所持する,本件事故直後に作成された実況見分調
     書等の文書送付嘱託
   (ウ)平成14年4月24日付けの申立て
      陸上自衛隊第8師団第42普通科連隊が所持する,自衛隊車の平成1
     1年10月7日から同年10月15日を含む期間が記載されている車両
     使用請求書・車両運行指令書の送付嘱託
   イ 原告は,平成14年5月27日,被告に対し,以下の点について当事者
    照会を行った。
   (ア)別件訴訟で実施された小野寺の証人尋問で言及された「近松3佐」の,
     氏名及び階級,職種及び職務,所属部隊,特別司法警察職員か否か,本
     件事故当日の動静
   (イ)自衛隊現場写真に写っている自衛官及び警察官の氏名,職務及び所属
   (ウ)再現見分写真に写っている4名の警察官の氏名,階級及び所属
   (エ)警察現場写真に写っている自衛官2名及び警察官1名の氏名,階級及
     び所属
   (オ)前記ア(ウ)の申立てにかかる文書
     被告は,平成14年6月7日付けの回答書で,上記いずれの照会事項に
    対しても回答しない旨,原告に回答した。
  (7) 別件訴訟の判決と不服申立て
    別件訴訟の裁判所は,平成14年8月30日,原告の請求を棄却する判決
   をした。これに対し,原告は控訴を提起したが,東京高等裁判所は,平成1
   5年2月4日,控訴を棄却する判決をした。
    その後,原告は,最高裁判所に上告するとともに,上告受理の申立てをし
   た。東京高等裁判所は平成15年4月11日,上告受理申立てを却下する決
   定をした。これに対し,原告は許可抗告の申立てをしたが,同裁判所は平成
                 18
   15年5月6日,不許可の決定をした。原告は,この不許可の決定に対し,
   特別抗告の申立てをした。最高裁判所は,平成T15年9月12日,上記上告
   を棄却する決定及び上記特別抗告を棄却する決定をした。
  (8) 原告による行政訴訟の提起
    原告は,平成16年6月14日,横浜地方裁判所に対し,神奈川県公安委
   員会を被告として,同委員会が原告に対し同年4月20日付けでした運転免
   許更新処分のうち,原告を一般運転者として認定した部分の取消しを求め,
   行政処分取消請求訴訟(平成16年(行ウ)第37号)を提起した。同裁判所は,
   平成17年4月20日,原告の請求を棄却する判決をした。
 2 争点(1) 別件訴訟で浅香らが証拠資料を隠ぺい・破棄したか。)について
   原告は,別件訴訟で浅香らが,以下の(1)ない(4)の証拠資料について,これ
  を隠ぺい・破棄したと主張するので検討する。
  (1) 玖珠警察署の実況見分調書について
   前記1(2)で認定したとおり,本件事故に対する玖珠警察署員による実況見
   分は,本件事故当日に行われたこと,別件訴訟の裁判所に提出された本件実
   況見分調書は,作成日付こそ本件事故から約2年後ではあるが,内容として
   は,本件事故当日に実施された実況見分に基づく調書であることが明らかで
   ある。そして,警察が本件事故直後に,本件実況見分調書とは別個の新たな
   実況見分調書を作成したと認めるに足りる証拠もない。
    よって,浅香らが,警察が本件事故直後に作成した実況見分調書を提出し
   なかった違法をいう原告の主張は採用できない。また,本件事故現場の見取
   図が,別件訴訟で浅香らが陳述した平成13年11月5日付け準備書面に添
   付されていることも同準備書面(甲21)から認めることができるから,浅
   香らが別件訴訟で同見取図を提出しなかった違法をいう原告の主張も,採用
   できない。
  (2) 車両使用請求書・車両運行指令書について
                  19
    前記1(6)ア(ウ)の認定事実及び証拠(甲62)によれば,確かに別件訴訟の
   裁判所が,当該文書の送付嘱託の申立てについて,明示的には採否の決定を
   していないことがうかがえるところである。しかし,別件訴訟の判決文(甲
   8)等から推認できる訴訟経過に照らせば,別件訴訟の裁判所は,当該申立
   てに対しては黙示にこれを却下したものと認められるのであるから,採否の
   判断をしなかった点における国の違法をいう原告の主張は採用できない。
  (3) 当事者照会について
    別件訴訟の判決文(甲8)によれば,別件訴訟の争点は,本件事故の原因
   が原告及び小野寺のいずれの過失によるものであったかの点であると認めら
   れる。ところが,原告が当事者照会を求めた事項は,前記1(6)イのとおり,
   必ずしも上記争点と関連するとはいえない微細な点に及ぶものである。
    したがって,浅香らがこれらの照会に応じる必要がないと判断したことは,
   別件訴訟の争点との関係で格別不合理とはいえないから,当事者照会に浅香
   らが回答しない違法をいう原告の主張は採用できない。
  (4) 運行記録計について
    前記1(2)の事実に別件訴訟における小野寺証言(甲22)及び本件実況見
   分調書(甲42)を総合すれば,本件事故の実況見分が,小野寺立会の下で,
   現場の模様や,原告車と本件大型トラックの距離,位置関係を記録,計測し
   たものであり,それ自体適切に行われたものであることが認められ,上記実
   況見分の実施について違法性をうかがわせる資料は存在しない。
   そうすると,このような本件実況見分の結果をまとめた本件実況見分調書
   も,適法に作成されたものというべきである。確かに本件実況見分調書に運
   行記録計の記録紙が添付されていないことが認められる(甲42)が,上記
   の事実が直ちに同調書の作成の適法性を否定する根拠にはならないものであ
   る。
    したがって,本件実況見分調書に運行記録計の記録紙が添付されていない
                  20
   ことをもって同調書の適法性を否定する原告の主張は採用できない。
   以上(1)ないし(4)のとおり,別件訴訟で浅香らが証拠資料を隠ぺい・破棄した
  との原告の主張は理由がない。
 3 争点(2)(浅香らが,自衛隊の実況見分調書等を隠ぺいしたか。)について
   浅香らは,自衛隊が本件事故直後に作成した実況見分調書等を隠ぺいしたと
   主張するので検討する。
  (1) 前記1(1)の認定事実によれば,本件事故は原告の過失に基づく結果であり,
   小野寺には何ら過失のないことが認められる。
    ところで,「自衛隊と警察との犯罪捜査に関する協定」(乙1の1)を受け
   て作成された「自衛隊と警察との犯罪捜査に関する協定の運用に開する了解
   事項」(乙1の2)によれば,道路交通法に定める車両の交通に関する犯罪の
   捜査は,人の死傷又は物の損壊を伴うものにあっては,自衛隊の隊員が犯し
   たものであり,かつ,被害者が自衛隊の隊員である場合又は被害物件が自衛
   隊の所有し,若しくは使用する物件である場合においては,警務官が分担し,
   その外の場合においては,すべて警察官が分担することとされている。
    これに基づいて検討すると,本件事故は,非自衛隊員の原告のみが負傷者
   となっているから,上記了解事項に照らして,本件事故の捜査は警察官が行
   うものと認められ,その他一件記録を精査しても,本件事故直後に自衛隊が
   自ら実況見分を行ったことを示唆するに足りる証拠は,これを見いだすこと
   ができない。
    したがって,自衛隊自らが本件事故の実況見分を行った事実はなく,自衛
   隊作成の実況見分調書の存在を前提に浅香らの違法をいう原告の主張は採用
   することができない。
  (2) なお,原告は,「陸上自衛隊損害賠償実施規則」(甲28)中に,大要「自
   衛隊員が,職務執行中に他人に損害を与えた場合には,速やかに所属の部隊
   等の長に報告するものとすること,報告を受けた部隊等の長は,直ちに当該
                  21
   駐屯他業務隊等の長に賠償事故発生の概要及び処置した事項等について通知
   するものとすること,当該駐屯他業務隊等の長は,所要の発生報告書及び事
   故現場見取図を作成し,方面総監に報告する。この場合において,陸上自衛
   隊に賠償責任がないと思料される事故であっても現実に損害が発生し,かつ,
   将来賠償請求の可能性のある事故等について報告漏れのないよう特に留意す
   るものとする。」旨の規定があることを根拠に,自衛隊作成の本件事故の「発
   生報告書」「実況見分調書」が存在することを主張する。
    しかし,前記1(3)アの認定事実に照らせば,本件事故直後に現場写真を撮
   影した赤埴らは,本件事故現場の自衛隊車進行車線内に原告車のタイヤ痕が
   残っていたことを認識していたものと認められる。そうすると,本件事故に
   つき,小野寺には過失がなく,自衛隊が事故発生報告書等を作成するまでの
   必要がないとした陸上自衛隊北熊本駐屯他業務隊長の判断は,上記事故現場
   の状況に照らして不合理なものではないといえるから,原告の主張は採用で
   きない。
 4 争点(3)(本件事故当日の現場写真がねつ造・改ざんされたものか。)につい
  て
   原告は,本件事故当日の現場写真がねつ造・改ざんされたものであると主張
  するので検討する。
  (1) 原告は,種々の事情を挙げて,警察現場写真及び自衛隊現場写真が,本件
   事故当日に撮影されたものでなくねつ造・改ざんされたものであると主張
   し,それに沿う証拠を提出する。
    しかし,原告が挙げる種々の事情の大半は,写真画面上の単なるコントラ
   ストの問題や,自衛官の位置等について,原告個人の主観に基づいてこれを
   不自然であると論難しているにすぎないものであって,ねつ造・改ざんがあ
   ったことを疑わせるような客観的な根拠となるものではないと言わざるを得
   ない。なお,個別に検討を加えるべきものは,後記(2)のとおりである。
                22
    これに対し,前記1(2)(3)の認定事実によれば,本件実況見分が本件事故直
   後に行われたこと及び警察現場写真及び自衛隊現場写真が,同実況見分の際
   に撮影されたものであることが明らかである。さらに,別件訴訟における小
   野寺の証言(甲22)や,玖珠警察署署員と原告の会話内容(甲5)を子細
   に検討しても,本件実況見分が事故当日行われたことを疑わせる点はないし,
   本件炊事車の擦過痕や本件事故現場道路の擦過痕が後日ねつ造されたような
   事情をうかがうこともできない。
 (2)  原告の主張のうち,以下のアないしエについて個別に検討を加える。
  ア KP34.9の警戒標識(甲67①)
    原告は,上記警戒標識が本件事故当日に事故現場には存在しなかったと
   主張するが,原告が平成11年10月29日(本件事故の約3週間後)に
   撮影した現場写真(甲66,以下「原告現場写真」という。)には,上記
   警戒標識が写っていることが認められる。このことからすれば,当該警戒
   標識は本件事故当日から既に存在していたものというべきである。
  イ 原告車に積まれた原告の荷物(甲67①⑧)
    原告は,本件事故当時,原告車に荷物は積まれていなかったと主張する
   が,前記1(2)アの認定事実に反するもので採用できない。
  ウ 原告車車線上のひし形マーク(甲67②)
    原告は,自衛隊現場写真に写っている9個のひし形マークのうち,3個
   は本件事故当日に存在していなかった旨主張するが,当該写真と,原告現
   場写真(甲66①ないし③)とを比較検討すると,本件事故当日,事故現
   場に9個のひし形マークが存在していたものと認められる。
  エ KP34.9の里程標(甲32⑨,67①⑧)
    当該里程標については,原告が平成11年10月29日に本件事故現場
   を撮影した写真(甲66)には,これが写っていないことが認められる。
   しかし,右事実から直ちに同日以前の,本件事故当日に同里程標が存在し
                23
   なかったとまではいうことができない。また,警察現場写真及び自衛隊現
   場写真を全体として検討しても,同里程標の部分が後に挿入された画像で
   あると認められるような特別な事情は,これを認めることができない。
 (3) したがって,警察現場写真及び自衛隊現場写真のいずれについても,ねつ
   造・改ざんがあったとは認められないから,この点をもって浅香らの違法を
   いう原告の主張は理由がない。
 5 以上のとおりであるから,別件訴訟における浅香らの違法行為をいう原告の
  主張はいずれも理由がなく,原告の請求は,その余の点について判断するまで
  もなく,理由がない。
 6 原告の文書提出命令の申立てについて
   原告は,①陸上自衛隊第8師団司令部付隊及び陸上自衛隊西部方面総監部を
  相手方として,i本件事故の発生報告書及び事故現場見取図,ii実況見分調書,
  事故現場及び損害状況写真,iv小野寺と助手の片岡高房の供述書,車両運
  行指令書について文書提出命令の申立て(平成17年(モ)第2411号)及び②
  国を相手方として,i自衛隊現場写真の原本及びネガフィルムのべた焼き,ii
  本件再現見分写真の原本及びネガフィルムのべた焼きについて文書提出命令の
  申立て(平成18年(モ)第386号)を,それぞれしている。
   しかし,いずれの申立てについても,申立てにかかる文書の存在を認めるに
  足りない。よって,原告の上記文書提出命令の各申立ては,いずれも理由がな
  いものとしてこれを却下する。
 7 以上のとおり,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟
  費用の負担につき民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。
     横浜地方裁判所第9民事部
         裁判長裁判官  土屋 文昭
                24
         裁判官     一木 文智
         裁判官     吉岡 あゆみ
              25
------------------------------------------------------------------------
これは正本である。
   平成18年11月10日
   横浜地方裁判所第9民事部
      裁判所書記官     大園 守雄
--------------------------------------------------------------------------

索 引

2006-10-07 10:55:00 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
民事裁判・・国賠訴訟・・訴訟第5
国家賠償請求事件・訟務検事を訴える!

1:原告・文書提出命令の申立書 平成17年10月18日

2:原告・上申書 平成17年10月18日

3:原告・訴状 平成17年10月18日

4:被告・答弁書 平成17年12月9日

5:調書・第1回口頭弁論調書 平成17年12月9日

6:被告・文書提出命令の申立に対する意見書 平成18年2月3日

7:被告・準備書面(1)平成18年2月10日

8:原告・文書提出命令の申立に対する意見書 平成18年2月9日
 
9:原告・準備書面(1)平成18年2月10日

10:調書・第2回口頭弁論調書 平成18年2月10日

11:原告・準備書面(2) 平成18年2月17日

12:原告・文書提出命令の申立書(2) 平成18年2月17日

13:被告・準備書面(2) 平成18年3月24日

14:被告・文書提出命令の申立てに対する意見書(2)  平成18年3月20日

15:原告・準備書面(3) 平成18年3月24日

16:被告・準備書面(3)平成18年3月24日

17:第3回口頭弁論調書平成18年3月24日

18:原告・準備書面(4)p1-9平成18年4月10日 

18:原告・準備書面(4)p10-16平成18年4月10日

19:被告・準備書面(4)平成18年5月19日

20:原告・準備書面(5)平成18年5月19日

21:第4回口頭弁論調書 平成18年5月19日

22:原告・準備書面(6)・p1-p6 平成18年5月31日

22:原告・準備書面(6)・p7-p11 平成18年5月31日

23:第5回口頭弁論調書平成18年6月30日

24:原告・請求の趣旨の変更申立書 平成18年7月10日

25:被告・準備書面(5) 平成18年9月1日(平成18年8月2日FAX受信)

26:原告・準備書面(7) 平成18年8月9日

27:第6回口頭弁論調書平成18年9月1日



27:第6回口頭弁論調書

2006-09-12 05:00:38 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
                            裁判長認印 ○
        第 6 回 口 頭 弁 論 調 書 
-------------------------------------------------------------------------
事 件 の 表 示|   平成17年(ワ)第3710号
-------------------------------------------------------------------------
期    日 |   平成18年9月1日 午後1時15分
-------------------------------------------------------------------------
場所及び公開の有無|   横浜地方裁判所第9民事部 法廷で公開
-------------------------------------------------------------------------
裁判長裁判官  |   土  屋  文  昭
裁   判   官  |   一 木 文 智
裁   判   官  |   吉  岡  あゆみ
裁判所書記官  |   大 園 守 雄
-------------------------------------------------------------------------
出頭した当事者等  |   原      告   出 羽 やるか
              |   被告代理人  宮 崎 雅 子
              |   被告代理人  熊 谷 勇 人
              |   被告代理人  久保寺   勝
              |   被告代理人  小 田   昇
--------------------------------------------------------------------------
指 定 期 日   |   平成18年11月10日 午後1時15分(判決言渡)
--------------------------------------------------------------------------
                      弁  論  の  要  領   等
--------------------------------------------------------------------------
原 告
   請求の趣旨の変更申立書陳述
被 告
   平成18年9月1日付け準備書面(5)陳述
原 告
   平成18年8月9日付け準備書面(7)陳述
裁判長
   弁論終結
                   裁判所書記官 大 園 守 雄 印
--------------------------------------------------------------------------





26:原告・準備書面(7)

2006-08-09 13:08:20 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
平成17年(ワ)第3710号 国家賠償請求事件
原告 出羽やるか
被告 国
             準 備 書 面 (7)
                         平成18年8月9日
横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中
                         原告 出羽やるか

 原告は,平成18年9月1日付け被告の準備書面(5)に対し,次のとおり弁
論を準備する。
 略称等は,本準備書面で新たに用いるもののほかは,従前の例による。
            
第1 被告の準備書面(5)での主張
   原告に生じた損害については,答弁書第2の4(3ページ)で「訴状第4原
  告の損害」については否認ないし争う,準備書面(1)第2の2(6ページ)で「訴
  状第4原告の損害総合計3000万円」については不知,準備書面(2)第1(2
  ページ)で「原告の準備書面(1)」については原告に生じた損害については既に
  答弁書第2の4で述べたとおりであり,本件事故によって原告に生じた損害額
  は不知であるが,浅香らの行為により同損害額が生じたという主張であれば,
  否認ないし争う,と述べたとおりである。
   そもそも,被告が,証拠資料を隠蔽提出しなかった,自衛隊の行なった本件
  事故の実況見分を隠蔽した,証拠資料をねつ造,改ざんしたという原告の主張
  は,これまで,被告において繰り返し主張してきたとおり,原告の根拠のない
  推測に基づくものであり,失当である。
   したがって,原告の主張する被告の行為は存在しないから,これにより原告
  に損害が生じることもない。
                1/4
第2 浅香らの違法行為
 1 原告が主張する請求原因事実は下記の通りである。
  第1点 証拠資料を隠蔽破棄し,提出しない違法(訴状6頁)
  1 警務隊の調査資料について
  2 玖珠警察署の実況見分調書について
  3 車両使用請求書・車両運行指令書について
  4 当事者照会について
    5 運行記録計について
  第2点 自衛隊の行なった実況見分の隠蔽(訴状14頁)
  第3点 証拠資料のねつ造・改ざん(KP34.9の里程標)(訴状18頁)
     準備書面(6)1頁第2,KP34.9の里程標のとおり具体的に主張する。
  第4点 証拠資料のねつ造・改ざん(KP34.9付近の警戒標識)(訴状19頁)
  第5点 その他(訴状21頁)下記のとおり具体的に主張する。
   1 準備書面(6)4頁第3,本件事故の態様(初認位置)
   2 準備書面(6)6頁第4,本件事故による道路の痕跡(タイヤ痕と擦過痕)
   3 準備書面(6)10頁第5,本件事故による自衛隊車の制動痕
 2 刑罰法規は処罰の対象となる行為を法定したものであるから,それに反する
    行為は不法行為上も強い違法性を帯び,刑罰法規違反により他人に損害を与え
  れば,侵害された被害の種類や程度を問わず違法となる。浅香らには,虚偽公
  文書作成罪(刑法156条)に触れる行為がある。
 3 浅香らは,別件訴訟において,原告の権利を害する意図のもとに,虚偽の文
  書・図画を作り,虚偽の事実を主張して裁判所を欺罔する等の不正な行為を行
  い,その結果,本来ありうべからざる内容の判決が確定し原告に損害を与えた
  のである。
第3 本件口頭弁論の経過
  第1回 口頭弁論期日 平成17年12月9日
                 2/4
 
      原告・訴状(平成17年10月18日付け)陳述
      被告・答弁書(平成17年12月9日付け)陳述
  第2回 口頭弁論期日 平成18年2月10日 
      原告・準備書面(1)(平成18年2月10日付け)陳述
      被告・準備書面(1)(平成18年2月10日付け)陳述
  第3回 口頭弁論期日 平成18年3月24日
      原告・1 準備書面(2)(平成18年2月17日付け)陳述
         2 準備書面(3)(平成18年3月24日付け)陳述
      被告・1 準備書面(2)(平成18年3月24日付け)陳述
         2 準備書面(3)(平成18年3月24日付け)陳述
  第4回 口頭弁論期日 平成18年5月19日
      原告・1 準備書面(4)(平成18年4月10日付け)陳述
         2 準備書面(5)(平成18年5月19日付け)陳述
         3 訴状18ページ第3点1及び21ページ第5点での引用を
          改め,具体的に準備書面をもって主張する。
         4 訴状21ページ第4の2の「慰謝料等」の「等」の内容を
          具体的に主張する。
      被告・準備書面(4)(平成18年5月19日付け)陳述
  第5回 口頭弁論期日 平成18年6月30日
      原告・準備書面(6)(平成18年5月31日付け)陳述
      被告・上記準備書面に対する反論は予定していない。
         早期終結を希望する。
第4 原告の主張に対する被告の態度
 1 原告は上記のとおり,請求原因事実を具体的に陳述したが,被告は単純否認
  を繰り返すのみである。原告が請求原因事実を具体的に陳述した場合は,被告
  の陳述も反対事実の陳述によって具体的になされるべきである。これを怠ると
                  3/4

  きは,原告の事実主張を自白したものと見なされるべきである。
 2 原告は,平成18年5月19日第4回口頭弁論期日に,準備書面(5)を陳述し
  たが,原告の主張事実に対して,被告はなんら陳述(反論)しない。
   口頭弁論で相手方の主張する事実を明らかに争わないときは,これを争う意
  思のないものとみてよいから,法は自白したものとみなし,その事実の証明を
  不要とする。(擬制自白)
 3 原告は,平成18年6月30日第5回口頭弁論期日に,準備書面(6)を陳述し
  た。被告は,「上記準備書面に対する反論は予定していない。早期終結を希望す
  る。」と陳述した。
   この被告の陳述は,原告の主張する被告に不利益な事実を争わない旨の意思
  を表明する,弁論としての陳述であるから,裁判上の自白が成立する。
 4 浅香らが別件訴訟で乙第1号証として提出した事故現場写真(甲24・67)
  の事故当時の道路状況(熊本方面から別府方面)の写真及び原告自動二輪車転
  倒位置(白い部分)の写真には,事故現場見取図(甲23)のKP34.9の
  位置にKP34.9の里程標が写っている。
 5 原告は,準備書面(6)1頁第2「KP34.9の里程標」1原告の主張(1)で,
  「事故当日,事故現場見取図(甲23)のKP34.9の位置に里程標は存在
  しない。」と証拠を示し具体的に主張した。
   この事実は,被告の違法(虚偽公文書作成)を基礎づける具体的な事実で,
  本件裁判上重要な事実である。自白が成立すれば証明する必要もなくなり,浅
  香らの違法が認定される。
第5 終わりに
   被告が別件訴訟の判決の基礎資料を不当作出したことは極めて明白であり,
  原告の請求は理由がある。本件事故は平成11年10月7日に発生した。事故
  の真実発見のため提起した訴訟の負担は原告には重い。正義の実現のためにも,
  速やかに,本請求は認容されるべきである。           以上。
                  4/4


25:被告・準備書面(5)

2006-08-03 06:35:13 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
平成17年(ワ)第3710号 国家賠償請求事件
原 告  出 羽 やるか
被 告  国

            準 備 書 面(5)
                         平成18年9月1日
横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中

              被告指定代理人

                   宮 崎  雅 子  代印
                   熊 谷  勇 人  代印
                   大 石  勝 幸  印
                   久保寺    勝  印
                   大 當  光 憲  代印
                   小 田    昇  代印
                
                 ‐1‐

 被告は,本準備書面において,原告の平成18年7月10日付け請求の趣旨の変
更申立書(以下「本件申立書」という。)により変更された請求の趣旨について,
以下のとおり答弁する。                 
 なお,略称等は,本書面において新たに用いるもののほかは,従前の例による。

第1 原告の平成18年7月10日付け申立書により変更された,請求の趣旨に対
  する答弁                   
 1 原告の請求を棄却する。
 2 訴訟費用は原告の負担とする。
 3 仮執行の宣言は相当ではないが,仮に仮執行宣言を付する場合は,
  (1) 担保を条件とする仮執行免脱宣言
  (2)その執行開始時期を判決が被告に送達された後14日磋過した時とするこ
   と
  を求める。

第2 被告の主張
   原告は,本件申立書により,被告に対する請求金額を従前の「金3000万
  円の一部として30万円及びこれに対する訴状送達の翌日から支払済みまで年
  5分の割合による金員」から「金3000万円及びこれに対する訴状送達の日
  の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員」に拡張する請求の趣旨の変
  更を行うが,原告に生じた損害については,答弁書第2の4(3ページ),準
  備書面(1)第2の2(6ページ)及び準備書面(2)第1(2ページ)で述べたとお
   りである。
   そもそも,被告が,証拠資料を隠蔽破棄し提出しなかった,自衛隊の行った
  本件事故の実況見分を隠蔽した,証拠資料をねつ造よ改ざんしたという原告の
  主張は,これまで,被告において繰り返し主張してきたとおり,原告の根拠の

                -2-

  ない推測に基づくものであり,失当である。
   したがって,原告の主張する被告の行為は存在しないから,これにより原告
  に損害が生じることもない。

第3 結語
   以上のとおり,これまでの原告の主張は.,いずれも失当であり理由がないこ
  とは明らかであるから,本請求は速やかに棄却されるべきである。

                 -3-




24:原告・請求の趣旨の変更申立書

2006-08-03 05:53:07 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
平成17年(ワ)第3710号 国家賠償請求事件
原 告 出羽やるか
被 告 国
        請求の趣旨の変更申立書
                          平成18年7月10日
横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中
                        原告 出羽やるか 印
 
 原告は,頭書事件について,請求の趣旨を次のとおり変更する。

 請求の趣旨の変更

 [変更前の請求の趣旨]
 1 被告は,原告に対し金3000万円の一部として30万円及びこれに対する
    訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  2 訴訟費用は被告の負担とする。
   との判決を求める。

 [変更後の請求の趣旨]
 1 被告は,原告に対し金3000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日か
    ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
  2 訴訟費用は被告の負担とする。
   との判決を求める。
                                 以上


23:第5回口頭弁論調書                         

2006-07-11 04:36:33 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
                             裁判長認印 ○
        第 5 回 口 頭 弁 論 調 書 
-------------------------------------------------------------------------
事 件 の 表 示|   平成17年(ワ)第3710号
-------------------------------------------------------------------------
期    日 |   平成18年6月30日 午前10時00分
-------------------------------------------------------------------------
場所及び公開の有無|   横浜地方裁判所第9民事部 法廷で公開
-------------------------------------------------------------------------
裁判長裁判官  |   土  屋  文  昭
裁   判   官  |   一 木 文 智
裁   判   官  |   吉  岡  あゆみ
裁判所書記官  |   大 園 守 雄
-------------------------------------------------------------------------
出頭した当事者等  |   原      告   出 羽 やるか
              |   被告代理人  宮 崎 雅 子
              |   被告代理人  熊 谷 勇 人
              |   被告代理人  久保寺   勝
              |   被告代理人  小 田   昇
--------------------------------------------------------------------------
指 定 期 日   |   平成18年9月1日 午後1時15分
--------------------------------------------------------------------------
                      弁  論  の  要  領   等
--------------------------------------------------------------------------
原 告
   準備書面(6) (平成18年5月31日付け)陳述
被 告
   上記準備書面に対する反論は予定していない。早期終結を希望する。
証拠関係別紙のとおり
                                 裁判所書記官 大 園 守 雄 印
--------------------------------------------------------------------------



22:原告・準備書面(6)・p1-p6

2006-06-01 04:36:58 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
平成17年(ワ)第3710号 国家賠償請求事件
原告 出羽やるか
被告 国
             準 備 書 面 (6)
                          平成18年5月31日
横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中
                           原告 出羽やるか
  原告は,次のとおり弁論を準備し,原告の主張の趣旨を明らかにする。
  略称等は,本準備書面で新たに用いるもののほかは,従前の例による。
           目    次
 第1 訴状及び準備書面の変更・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
 第2 KP34.9の里程標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
 第3 本件事故の態様(初認位置)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
 第4 本件事故による道路の痕跡(タイヤ痕と擦過痕)・・・・・・・・・・6
 第5 本件事故による自衛隊車の制動痕・・・・・・・・・・・・・・・・・10
 第6 おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
第1 訴状及び準備書面の変更
 1 訴状21頁第4の2の「慰謝料等」の「等」の文字を削除する。
 2 準備書面(1)5頁第1の2の「慰謝料等」の「等」の文字を削除し,「別件行
  政訴訟遂行などにより生じた財産的損害を加えれば」を,「別件行政訴訟遂行な
  どにより原告が蒙った精神的苦痛を加えれば」に改める。
 3 訴状18頁第3点1及び21頁第5点での引用を改め,本準備書面もって,
  以下の通り具体的に主張する。
第2 KP34.9の里程標
 1 原告の主張(1) ・事故当日,事故現場見取図(甲23)のKP34.9の位
  置に里程標は存在しない。
                  1/11

   原告が平成11年10月29日に撮影した写真(甲66)には,里程標は写
  っていない。写真(甲66)は原告が玖珠警察署からの帰途,道路の南側の草
  地の東端に駐車し,その位置から西へ歩き,カーブの頂点付近で引き返し,本
  件事故現場を撮影した,同一の機会に撮影した一連の写真である。写真は普通
  の写真店でネガフィルムからプリントしてあるから「加工」はされてない。里
  程標は自分では動かない。里程標が写ってない理由は写真にはないものは写ら
  ないからである。被告は写真(甲66)の成立を争っていない。
 2 原告の主張(2) ・警察及び自衛隊が撮影したKP34.9の里程標の写真と
  原告が平成13年10月30日に撮影した写真に写っている同里程標とは,地
  上高及び設置されている位置が異なる。(甲34)
   別件行政訴訟で,担当裁判官の適切な釈明により,神奈川県公安委員会は,
  平成17年1月18日付けで,乙4号証として実況見分調書に添付された写真
  ⑪の拡大写真(甲33)を提出した。
    甲34①は,甲33の拡大写真である。(甲34②は,原告が平成13年10
  月30日に撮影した写真を拡大し,甲34①の画面と同じになるようトリミン
  グした写真である。基点となるものとして,(1)ガードレール上の2個の視線誘
  導標,(2)その延長上にある擁壁上の(警ら車の後窓を通して見える)警戒標識,
  (3)間ノ瀬巡査部長の後ろにある警戒標識がある。
   ガードレールの袖の視線誘導標を基点として甲34①と②を重ね合わせ(透
  かして)見ると,(2)の警戒標識の高さは一致するが,甲34②の里程標の標示
  板は自衛官の肩付近の高さに位置する(甲第80号証)。甲34①の標示板は自
  衛官の臀部に写っている(甲35①・②)から,甲34①の標示板の地上高は
  明らかに甲34②の標示板より低い。
   本件道路は,日本道路公団の「別府阿蘇道路」として,昭和39年10月,
  水分峠~一の宮間の有料道路として完成した。平成6年6月に大分・熊本県道
  別府一の宮線となり無料化された。その名残として里程標が設置されている。
                  2/11

  大分県「道の相談室」によると,里程標の立替えが平成12年6月頃から平成
  13年度に行なわれた(甲第81号証)。立替えられた後の里程標の形状・寸法
  は甲81に記載の図面及び写真のとおりである。地上高は1500mm程度で,
  標示板の寸法は,縦140mm,横350mmである。
   路側用ガードレールの高さは800mm前後であるから,ガードレールと比
  較しても,実況見分調書に添付された写真⑪(甲32⑪・33・35①・35
  ②)の里程標の地上高は,1500mmより明らかに低い。
 3 原告の主張(3) ・事故当時,本件道路の里程標は,キロメートル標(ポスト)
  と100メートル標では形状寸法が異なっていた。KP34.9の里程標は1
  00メートル標で,事故現場見取図(甲23)のKP34.9の位置の地点よ
  り45メートル前後別府よりにあった。警察,自衛隊の写真には,キロメート
  ル標と同じ形状寸法の100メートル標が写っている。
   間ノ瀬巡査部長は,「現場を見てください,さっき紙をあげたでしょう,形で
  いったらですね,この紙よりも若干小さいぐらいの標板が道路の左側について
  いるのです,水分峠から,キロメートルの地点ですよと書いてある標板なんで
  すよ,それのヘヤピンカーブの丁度その衝突地点のすぐそば,倒れられたすぐ
  傍に34.9と書かれたあれがある」と述べている(甲5の15頁)。「さっき
  あげた紙」は,交通事故担当者告知表(手書き書き込み部分 作成者 原告)
  である(甲第82号証)。同告知表の寸法は,縦64mm,横89mmである。
  「34.9とかかれた標板の大きさ」は「縦64mm,横89mmより少し小
  さめである」との間ノ瀬巡査部長の認識,説明を疑うべき事情は存在しない。
  立替えられた里程標の標示板の寸法は,縦140mm,横350mmである
  から,本件事故当時存在した100メートル標の寸法と明らかに異なる。
 4 自衛隊が玖珠警察署の実況見分に関与していることは,実況見分調書に添付
  された写真⑪に間ノ瀬巡査部長と同行している2名の自衛官が写されているこ
  とからも明らかである。
                  3/11

 5 浅香らは,本件事故当時には事故現場見取図(甲23)のKP34.9の位
  置に里程標が存在しないことを知っていた(知りうる立場にあった)。
第3 本件事故の態様(初認位置)
 1 小野寺は,実況見分調書(甲42の19頁)では,「小野寺が最初に原告車を
  認めた地点は㋐,その時原告車は①,危険を感じ・ブレーキをかけた地点は㋑,
  その時の原告車は②,衝突した地点はⓍ,その時小野寺は㋒,原告車はⓍが右
  前部,小野寺が停止した地点は㋓,原告が転倒した地点は③,原告のバイクが
  転倒した地点は④」と各地点を指示説明した。各地点関係位置は交通事故現場
  見取図第3図(甲42の23頁・甲38)記載のとおりである。
 2 小野寺は,別件訴訟の証言調書速記録(甲22)では,「カーブに入る手前は,
  右側が杉林になって見通しは悪いが,①の地点で見通しがよくなる(甲22の
  6頁)。小野寺が①の地点で,イ地点の原告車(バイク)を発見した。①の時点
  では異常は認められなかったので,バイクに注意しながら進行した。小野寺が
  ②の地点,バイクがロの地点で危険を感じた。②の時点でバイクとの距離は1
  0から15m以内であった。危険を感じてから一瞬のことで,ブレーキをかけ
  る間もなく,ハンドルを切る時間もなく,バイクは横を通り過ぎ,小野寺が④
  の地点で,トレーラがⓍの地点で衝突した。(甲22の7,8頁)」と証言した。
  各地点は事故現場見取図(甲23)記載のとおりである。
 3 実況見分調書添付の交通事故現場見取図(甲38)と自衛隊の事故現場見取
  図(甲23)を,自衛隊車の最終停止位置(甲38の㋓と甲23の⑤)を重ね,
  擁壁になっている西側の道路の外側線を重ね合わせると,衝突位置付近の道路
  及び原告車の転倒位置は大体一致する(甲40・本図では,甲6を甲23,甲
  7を甲38と読み替える。)
   この原告作成の事故現場見取図(甲40)で検証(事実を確認・証明する)
  すると,小野寺が原告車を初認した位置方向距離などについての,警察官への
  指示説明(甲42,甲38)の場合はバイクを「右方向の視界を遮る草木の左
                   4/11

  側に」に初認しているが,別件訴訟の小野寺の証言(甲22,甲23)の場合
  はバイクを「草地越しに」に初認していていることになり,全く異なる。
 4  事故現場見取図(甲23)で,小野寺が,①地点で草地越しに(イ)地点の
  原告車を認めてから衝突するまで,自衛隊車は23.3メートル走行している。
  自衛隊車が毎時40キロメートの速度で走行していたと仮定すると,初認後2.
  097秒で衝突が発生している,原告車が小野寺に初認された地点(イ)から,
  衝突地点Ⓧ)までの走行距離は45メートルである。原告車が毎時40キロメ
  ートルの速度で走行していたと仮定すると,2.097秒で23.3メートル
  走行する。自衛隊・警察の主張する衝突時刻には原告車は衝突地点から21.
  5メートルの地点にいる (45-23.3=21.5)。浅香らが主張する事
  故の態様では本件事故は発生しない。
 5 自衛隊車の助手席に乗っていた片岡は,別件訴訟における陳述書(甲26)
  で,「右前方約30~40mぐらいの位置に同カーブに近づいてくるバイクを
  確認しました。対向車線は,道路に端に沿って約1mぐらい草刈りしてあった
  ので見通しは良好でした。」と陳述している。片岡は「カーブの内側にある草地
  越しに」ではなく「右方向の視界を遮る草木の左側に」原告車を認めたのであ
  る。小野寺も警察官への指示説明(甲42,甲38)では,小野寺が㋐の位置
  で①の位置に原告車を認めている。すなわち,右方向の視界を遮る草木の左側
  に原告車を初認したと供述している。
 6 原告の主張する本件事故の態様を,原告作成の事故現場見取図(甲第39号
  証1/2)及び同付属書類(甲第39号証2/2)に記載した。
  小野寺は,同現場見取図((甲39)の◎の地点で,(ロ)の地点を走行してく
  る原告車を「右方向の視界を遮る草木の左側に」に約31mの距離で初認した。
  本件事故現場付近の◎の地点で右カーブに高速で進入する大型トラックの運転
  手は全神経を進路方向に集中している。◎若しくは,①の地点で(イ)の方向
  を見る余裕もなく,もし見たとしたらわき見運転である。もともと(イ)方向
                  5/11

  は草木に遮られ見通せない。
 7 事故現場見取図の「カーブの内側にある,道路外の草地」には,道路脇に沿
  って,1乃至2メートルに破線が描かれている。甲38では草地が道路側から
  「草地」と「草」とに区別されている。小野寺が最初に原告車を認めた地点㋐
  とその時原告車は①の地点を結ぶ線は甲38の「草地」の上を通る。
 8 事故当時の現場付近の草地の状況は,原告が平成11年10月29日に撮影
  した本件事故現場道路写真(甲66)のとおりである。
 9  自衛隊撮影の事故現場写真(甲67)の写真甲67①は当時の草地の茅(か
  や)の状況がわかる。自衛隊車が写っている写真(甲67⑤⑥)では茅の生育
  状態が他の写真と異なる。実況見分調書添付の写真(甲32)も自衛隊車が写
  っている写真では茅の生育状態が他の写真と異なる(甲32⑤⑦)。甲37②も
  茅の生育状態が他の写真と異なる。
 10 本件のように,相互の見通しの良くない場所での現場写真には,相手を初認
  した位置からの見通しの状況を示す写真が存在しなければならない。現に事故
  再現写真(甲27)の第1番目に「バイクを確認した位置」のような草地の状
  況を明らかにする写真が示されている。(事故再現見分時には現場の状況が変更
  されていることは,訴状(18頁)第3,第2点12(5)で主張した。)
   本件事故直後,現場には交通事故処理のプロである保安警務隊がいて,撮影
  を担当する隊員が現場写真を撮影したことは証拠から明らかである。信用する
  に足る写真で,草木の状態がわかるのは,自衛隊写真(甲67①・⑧)及び実
  況見分調書添付の写真(甲32③)の3枚だけで草地の上の相互の見通しの状
  況がわかる写真は一枚も提出されていない。
第4 本件事故による道路の痕跡(タイヤ痕と擦過痕)
 1 小野寺は,別件訴訟の証言調書速記録(甲22の9~10頁)で,「現場検証
  した警察官は本件事故の状況について,バイクのタイヤ痕が中央線より約60
  センチ自衛隊車の車線上にはっきり残っていたので,バイクが中央線をオーバ
                  6/11


22:原告・準備書面(6)・p7-p11

2006-06-01 04:32:23 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
  ーしたのだなといった。急ブレーキによるタイヤ痕の写真(甲67⑦)でいう
  と,白い線で囲まれた部分で60センチオーバーしているというふうに言って
  いた。」と証言している。
 2 浅香らは,別件訴訟準備書面(1)(甲21の5~6頁)で,「自衛隊車と原告
  車の衝突場所は,自衛隊車の走行車線において,センターラインから約40セ
  ンチメートルの位置に約40センチメートルの急ブレーキによるタイヤ痕が認
  められたことから,自衛隊車走行車線内であると認められる。急ブレーキによ
  るタイヤ痕の写真(甲67⑦)は本件事故発生直後に撮影された。原告車の右
  前ブレーキが本件トレーラ(炊事車)の右タイヤフェンダーに接触したため,
  原告車の前輪に急ブレーキがかかり,スリップし,タイヤ痕が残ったものと考
  えられる。」と主張した。
 3 堀部警部補は,実況見分調書(甲42の19頁)6事故の模様(1)現場の痕跡
  等に,「自衛隊車の進路上中央線付近に,新しいタイヤ痕1条,a,同タイヤ痕
  の反対側車線上つまり原告車の進路上,新しい擦過痕2条,c・d,が印象さ
  れていた。別添交通事故見取図第3図(甲42の23頁・甲38)写真⑫~⑯
  (甲32⑫~⑯)」と記載している。
   堀部警部補は,「原告車の右前ブレーキレバーが曲がり,炊事車の右タイヤ
  フェンダーには,ブレーキレバーと同じくらいの高さの部分に接触痕が認められ
  たこと,自衛隊車の進路上中央線から約43センチメートル入った所に約35
  センチメートルの真新しいタイヤ痕が印象されていたこと,同地点から原告車
  の進路上に向けて擦過痕が印象されていたこと,自衛隊車の進路上には,上記
  のタイヤ痕以外には痕跡がなかったこと」が判明したという。
 4 原告作成の事故現場見取図(甲40・本図では,甲6を甲23,甲7を甲3
  8と読み替える。)で検証すると,甲23及び甲38の衝突位置Ⓧは中央線に平
  行に約4.6m前後に位置する。
 5 甲23及び甲38の衝突位置は共にタイヤ痕の位置を基準に決定されている
                   7/11

  から,甲38のタイヤ痕の南方約4.6mに甲23のタイヤ痕が存在すること
  になる。
 6 別件訴訟で国(自衛隊)は,本件事故発生直後に撮影されたとして,40cm
  の長さの「急ブレーキによるタイヤ痕」の写真(甲67⑦)を提出した。自衛
  隊犯罪捜査服務規則第118条は,「警務官等は,現場において撮影をするとき
  は,物の長短,大小などを明らかにするため,巻尺,方眼紙などを添え,でき
  る限り紙片に年月日,場所を記載し,これに立会人又は第三者の署名を求め,
  これとともに撮影するようにしなければならない。」と定められているが全く守
  られてない。同写真(甲67⑦)は,測定基準が写されていないので位置が特
  定できず,道路面だけでしか写されていないので付近の草木の状況もわからず
  撮影の時期も推定できない。そもそも,真新しく残っていたと国が主張してい
  る,40cmの急ブレーキによるタイヤ痕も写っていないのである。
 7 堀部警部補は,自衛隊車の進路上中央線から約43センチメートル入った所
  に約35センチメートルの真新しいタイヤ痕が印象されていたとして実況見分
  時撮影した写真(甲32⑬)を実況見分調書に添付した。この写真も上記自
  衛隊写真(甲67⑦)と同様の代物でタイヤ痕も写っていない。交通事故処理
  車で出動した交通課係長の警部補が撮影した写真とは到底思えない。テレビド
  ラマに出てくる新人の警察官でも,現場写真を撮影する時には,巻尺,方眼紙
  等がなくても,紙幣の一枚,タバコの一箱など添えて撮影する。
 8 擦過痕については,別件訴訟で国はその存在を主張していない。堀部警部補
  は実況見分調書添付の写真(甲32)で,写真⑫⑮⑯は擦過痕を撮影したもの
  と説明しているが,擦過痕は写っておらず,写っていたとしてもその位置は特
  定できない。
 9 タイヤ痕(スリップ痕,制動痕,タイヤマーク)は,さまざまなタイヤのす
  べり現象によって生じ,印象するスリップ痕の模様もそれぞれ異なる。「新しい
  タイヤ痕」の写真には,タイヤ痕の,模様,長さ,方向,幅,濃淡などが写さ
  れていなければならない。
                  8/11

 10 タイヤ痕が印象された原因について,(1) 前輪の制動痕説,(2) 衝突時の
  衝撃による前輪の押し戻し痕説,(3) 後輪の制動痕説が主張された。小野寺及
  び堀部警部補は(1)説である。
  (1) 前輪の制動痕説
    小野寺は,別件訴訟で,写真(甲67⑦)に写されているタイヤ痕につい
   て,バイクの前輪ブレーキレバーとトレーラの右側タイヤ枠が衝突したため,
   急ブレーキがかかり印されたと現場検証した警察官は考えたのだと思うと供
   述している。証言調書速記録(甲22の10頁)。(擦過痕についてのその存
   在の言及すら無い。)
    片岡の別件訴訟での陳述書(甲25)に,「(本件事故後)バイクを移動し
   ようとしましたが,ブレーキが壊れていてブレーキがかかったままの状態で,
   前に進ませることができませんでした。」との記載がある。原告車の前輪ブレ
   ーキは油圧式のディスクブレーキで右のレバーで操作するが,レバーが壊れ
   ても,構造的にブレーキがかかったままの状態にはならない。(甲69)
  (2) 衝突時の衝撃による前輪の押し戻し痕説
   間ノ瀬巡査部長は,「対向車と衝突した時,衝突した衝撃で,押し戻されタイ
   ヤが道路に印をつける。急ブレーキもかけていないのにタイヤ痕があるのは
   衝突の衝撃で押し戻されて印されたからである。だから私はタイヤ痕という,
   ブレーキ痕とはいわない。」と述べた。(甲5の24頁)
  (3) 後輪の制動痕説
    原告は,上記(1),(2)では長さ40センチメートルの制動痕は印象されない
   と主張する。衝突時,原告の右足(傷の部分)がバイクのギヤケース(クラ
   ンクケース)に激しく衝突し,写真に写されているケース表面の擦過痕を残
   した(甲69⑬⑭)。このとき原告の右足には足の傷の部分を支点にする力が
   生じ,ステップバーを押し曲げ,後輪ブレーキが破損するまで強くかかった
                  9/11

   と推断される(甲69⑤⑥)。ステップバー及び後輪ブレーキペタルに道路面
   と接触した傷はない。接触したとされる右レバー先の損傷も擦過程度で(甲
   69③),右手指の負傷が軽微であることなどから,前輪ブレーキはかかって
   おらず,ブレーキ痕が存在したら後輪ブレーキによるものであると主張する。
第5 本件事故による自衛隊車の制動痕
 1 小野寺は,実況見分調書によると,自衛隊車(炊事車を牽引している大型ト
  ラック)を運転し,時速40キロメートルで,本件道路のヘヤピンカーブに進
  入し,対向車線に原告車を30.1mの位置(㋐~①)で初認した直後,19.
  3mに接近したところ(㋑~②)で相手がセンターラインを割るかもしれない
  として,瞬間的に急ブレーキをかけ,20.2mの距離(㋑~㋓)で停止した
  のである。小野寺が危険を感じ・ブレーキをかけた地点は㋑,衝突した時の自
  衛隊車は㋒,自衛隊車が停止した地点は㋓である。㋑~㋒の距離は10.9メ
  ートル,㋒~㋓の距離は9.3メートルである(甲42の23頁・甲38)。
 2 小野寺は,別件訴訟で,「危険を感じるまでアクセルを踏んでいたことになり
  ますね。(はい。)危険を感じた後,ブレーキペダルに足を乗せただけでブレー
  キは踏まなかった,さっきの話でね。(はい。)危険を感じてから実際にブレー
  キを踏んでブレーキが効き始めるまで何秒ぐらいかかりましたか。(先ほど言
  いましたように,アクセルから足を離しブレーキペダルに足を乗せた瞬間には
  横を通り過ぎておりましたので,ブレーキを踏む時間はありません。衝突音が
  してからブレーキを踏みましたので。)」と証言している。(甲22の21頁)
 3 小野寺は,衝突音がしてから(衝突してから),ブレーキを踏み込み,㋒~㋓
  の距離9.3メートルで停止した。制動距離は9.3メートルである。
 4 アスファルト道路における制動距離と制動時間は,交通事故損害賠償必携(新
  日本法規)の資料5-40(甲第83号証)に記載されている。時速40キロ
  メートルの場合,実制動距離は8.82メートルで,ブレーキを踏み込んでブ
  レーキが効き始めるまでの時間を0.1秒とすると空走距離は1.11メート
                  10/11

  ルであるから,制動距離は9.93メートルである。
 5 一般に,時速40キロで急ブレーキをかけた時の停止距離は22メートルに
  なるといわれている(甲第84号証)。小野寺が,㋑の地点で危険を感じて急ブ
  レーキが必要と判断した時点から自衛隊車が停止した地点を㋓までの距離は,
  20.2mである。(甲42の23頁)。
 6 以上から,小野寺が急ブレーキをかけたことは疑いがない。急ブレーキをか
  けると制動痕が印象される。浅香らは写真に写ってもいない原告車のタイヤ痕
  の存在を主張しながら,自衛隊車の制動痕の存在を一切認めない。自衛隊車の
  印象した制動痕が存在しなかったという浅香らの主張は事実及び経験則に反し
  信用できない。
 7 スリップ痕(制動痕)は衝突前,衝突後の自動車の運動を示す記録であるか
  ら,事故再現にとって数少ない物的証拠のひとつである。とくに衝突における
  最初の接触点を見出す場合には,スリップ痕が唯一の決め手となることが多い。
 8 浅香らは,重要な証拠を隠滅している。
第6 終わりに
 1 被告が本件の事実関係を明らかにし,原告の主張に対して認否・具体的な反
  論を行ない,必要な書証の写しを添付し,甲24号証で提出されている事故現
  場写真及び甲27号証で提出されている事故状況再現写真については新たに現
  像して書証として提出することを求める。
 2 被告が準備書面を,原告が応答するための準備をなすに必要な期間を置いて,
  原告に直送することを求める。
 3 被告が否認した事実については,被告の具体的主張・証拠の提出を待って反
  論・主張をおこなう。
          附 属 書 類
 証拠説明書(7)平成18年5月31日 (甲第80~84号証) 各1通
                                  以上 


21:第4回口頭弁論調書

2006-05-30 04:32:58 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
                             裁判長認印 ○
        第 4 回 口 頭 弁 論 調 書 
-------------------------------------------------------------------------
事 件 の 表 示|   平成17年(ワ)第3710号
-------------------------------------------------------------------------
期    日 |   平成18年5月19日 午前10時00分
-------------------------------------------------------------------------
場所及び公開の有無 |   横浜地方裁判所第9民事部 法廷で公開
-------------------------------------------------------------------------
裁判長裁判官  |   土  屋  文  昭
裁   判   官  |   一 木 文 智
裁   判   官  |   吉  岡  あゆみ
裁判所書記官  |   大 園 守 雄
-------------------------------------------------------------------------
出頭した当事者等  |   原      告   出 羽 やるか
              |   被告代理人  宮 崎 雅 子
              |   被告代理人  熊 谷 勇 人
              |   被告代理人  久保寺   勝
              |   被告代理人  小 田   昇
--------------------------------------------------------------------------
指 定 期 日   |   平成18年6月30日 午前10時00分
--------------------------------------------------------------------------
                      弁  論  の  要  領   等
--------------------------------------------------------------------------
原 告
   1 準備書面(4)(平成18年4月10日付け)陳述
  2 準備書面(5)(平成18年5月19日付け)陳述
  3 訴状18ページ第3点1及び21ページ第5点での引用を改め,具体
   的に準備書面をもって主張する。
  4 訴状21ページ第4の2の「慰謝料等」の「等」の内容を具体的に主
   張する。
被 告
  1 準備書面(4)(平成18年5月19日付け)陳述
証拠関係別紙のとおり
                                 裁判所書記官 大 園 守 雄 印
--------------------------------------------------------------------------



20:原告・準備書面(5)

2006-05-24 02:29:50 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
平成17年(ワ)第3710号 国家賠償請求事件
原告 出羽やるか
被告 国
            準 備 書 面 (5)
                          平成18年5月19日
横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中
                            原告 出羽やるか

 原告は,平成18年5月19日付け被告の準備書面(4)に対し,次のとおり
弁論を準備する。
 略称等は,本準備書面で新たに用いるもののほかは,従前の例による。
  なお,平成18年4月10日付け原告の準備書面(4)第3の1,(3頁)「平
成13年9月27日付け玖珠警察署作成の実況見分調書(甲42)添付の写真⑩
(甲32⑪)の拡大写真(甲33)・・」は,「平成13年9月27日付け玖珠警
察署作成の実況見分調書(甲42)添付の写真⑪(甲32⑪)の拡大写真(甲3
3)・・」が正しい。

         目   次
 第1 事故再現見分に対する玖珠警察署の関与・・・・・・・・・・・・・・2
 第2 既判力の客観的範囲・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
 第3 原告車線のひし形マーク・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
 第4 KP34.9の警戒標識(線形誘導標)・・・・・・・・・・・・・・7
 第5 浅香らの本件事故の証拠資料のねつ造・改ざんの一例・・・・・・・・8
 第6 終わりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
                  1/9
 
第1 事故再現見分に対する玖珠警察署の関与
 1 原告は,平成18年3月24日付け原告準備書面(3)で,第1の1「事故発生
  の状況4ブレーキを踏んだ地点の写真(甲64)に写っているバイクの後ろを
  支えている,白色の半そでシャツと藍色の野球帽及びズボンを着用した人物(以
  下「野球帽の人物」という)は,着用している帽子が警察活動帽(甲72)で,
  金線顎紐付であることなどから,幹部級の警察官である」,第1の3「陸上自衛
  官が使用する野球帽は,部隊識別帽と呼ばれ,第8師団の識別帽の色は基本的
  に濃緑色である(甲58)」と主張した。
 2 被告は,平成18年3月24日付け被告準備書面(3)で,「陸上自衛隊第8師
  団の司令部付隊の帽子は,濃緑色であるが,帽子は部隊識別帽であり,同じ第
  8師団でも,第8師団特科連隊の帽子は青色である。甲第64号証に写ってい
  る青色の帽子を着用している人物は,この第8師団特科連隊に所属する隊員で
  あり,原告の主張には誤解がある」と主張した。
 3 原告は,平成18年4月10日付け原告準備書面(4)で,「自衛官服装規則第
  4条は,部隊等の長は,自衛官の服装のせい一を図ることに努めなければなら
  ないとし,陸上自衛官服装細則は,同別表第3で,部隊識別帽は,「自衛隊の施
  設内において,勤務に従事しない場合,又は勤務に従事する場合において部隊
  等の長が,略帽,作業帽及び運動帽に代えて着用することを認めた場合」に着
  用するとする。」,「(1)・事故再現写真(甲63,甲64)に写っている自衛官
  は制帽に夏制服,作業帽又はヘルメットに作業服を着用し,防衛庁事務官はワ
  イシャツにネクタイを着用している。野球帽の人物は服装の斉一(統一)を乱
  している。(2)・制帽に代えて識別帽を着用することは認められていない。(3)・
  警察の,特に警ら車に乗車する警官の,活動帽にはあごひもがついているが,
  自衛隊の識別帽にはあごひもはついていない。(4)・第8特科連隊が本件事故再
  現見分に参加する理由がない。(5)・撮影現場は自衛隊の施設外である。」と主
  張した。
                 2/9

 4 被告は,平成18年5月19日付け被告準備書面(4)第1で,甲第64号証の
  写真の左端の人物(野球帽の人物)の帽子については,帽子のつば部分に確認
  されるものはあごひもではなく,飾りのモールである(乙第2号証)。なお,同
  人について被告準備書面(3)2に第8特科連隊所属の隊員としたが,より正確に
  は,現在は第8特科連隊の所属であるが,写真の撮影当時は第8師団司令部法
  務官所属の隊員である。甲第64号証の写真で同人の帽子が青色に見えるのは,
  カラーコピーの具合により変色して見えるものと思われ,本来,同人の帽子の
  色は乙第2号証のとおり濃緑色であると主張する。
 5 原告の主張(1)・第8師団司令部法務官所属の隊員は,作業帽又はヘルメット
  に作業服を着用することになる。制帽に代えて識別帽を着用することは認めら
  れていない。撮影現場は自衛隊の施設外である。被告の主張は一貫性がなく原
  告の主張に対する反論となっていない。
 6 原告の主張(2)・甲第64号証の写真で同人の帽子が青色に見えるのは,カラ
  ーコピーの具合により変色して見えるものと思われるのなら,変色していない
  甲64の写真を提出すればよい。野球帽子のつば部分に確認されるものはあご
  ひもか,飾りのモールであるかも判明する。
 7 原告の主張(3)・原告は,平成18年3月24日付け原告準備書面(3)第1の
  5で,玖珠町には第8師団の玖珠駐屯地があり玖珠警察署との関係は深い,自
  衛隊から1等陸佐を含む上級幹部が参加しているから,儀礼的にも,玖珠警察
  署からも上級幹部が参加しているはずである,甲63のKP34.9の里程標
  のすぐ近くに写っている所属不明の人物は玖珠警察署の交通課長以上の上級幹
  部であろうと主張し,甲63の写真の原本の提出を申立てた。
 8 原告の主張(4)・平成18年3月24日第3回口頭弁論期日に,裁判所も被
  告に対し,別件訴訟乙1及び乙4の写真を提出するよう努めるよう釈明した。
  被告は,原告が提出を申立てている文書及び写真を進んで全部提出し,真実の
  発見に協力すべきである。
                   3/9

第2 既判力の客観的範囲
 1 被告の主張・ 原告は,警戒標識,タイヤ痕と擦過痕及び本件交通事故の態様
  等に関し,推論を重ねて主張する。また,別件訴訟,同控訴審及び別件行政訴
  訟(以下「別件訴訟等」という。)においても,原告は,本件訴訟で証拠とし
  て提出しているのと同一の書証を提出して同様の主張を繰り返してきた。
   原告のこれら主張については,別件訴訟等においても,各判決で証拠写真が
  ねつ造・改ざんされていない旨判示されており,別件控訴審判決書(甲第9号
  証7ページ14行目)において「甲第23号証(実況見分調書)は,事故当日
  に警察官により実施された実況見分の内容を記載したものと認めることができ
  る。」と判示されている。したがって,原告の推論はいずれも失当である。
 2 原告の主張・確定判決は主文に包含するものに限り,既判力を有するのであ
  り,判決理由中の判断には既判力は生じないから,被告の主張が失当であるこ
  とは明らかである。
 3 被告は,原告の,警戒標識,タイヤ痕と擦過痕及び本件交通事故の態様等に
  関しての主張に対する認否,反論をしない。平成18年4月10日付け原告の
  準備書面(4)での原告の主張(1) 第4警察写真⑯・タイヤ痕と擦過痕 (2) 第
  5原告撮影の本件事故現場道路写真(原告写真甲66)(3) 第6本件事故処理
  の事実経過(4) 第7 自衛隊写真②・原告車線のひし形マーク(本件交通事故
  の態様)浅香らは,平成13年11月5日付け準備書面(甲21・5頁)で,
  「小野寺は,②地点において,原告車がロ地点でハンドルが左右にぶれだし,
  カーブが曲がりきれない様子で,③地点において,衝突の危険を感じ,ブレー
  キを踏もうとした瞬間,原告車は,ハ地点から自衛隊車運転席の横を通過する
  とほぼ同時に炊事車の右車輪付近に衝突した。」と主張している。現場見取図
  (甲77)で,ロ-ハ-ニ-Xと走行したバイクがX点で対向車に接触した場合,
  図示の転倒地点ホに至ることは慣性の法則からあり得ない。
 4 原告は平成18年3月24日付け原告準備書面(3)を陳述し,第1・事故再
                  4/9

  現見分に対する玖珠警察署の関与,第2・証拠資料(事故現場写真)のねつ造・
  改ざんについて,第3・原告車線のひし形マーク,第4・被告準備書面(2)につ
  いて,など,8頁にわたり,具体的主張を行なった。
 5 被告は平成18年3月24日付け被告準備書面(3)を陳述し,「原告が主張
  する,事故再現見分時における玖珠警察署の関与及び被告の証拠写真のねつ
  造・改ざんについては,被告準備書面(1)及び(2)により,被告が繰り返し主張
  しているとおりである。」との三行半の答弁を行なったのみである。被告が繰り
  返し主張しているのは,別件訴訟で,ねつ造,改ざんしたということはできな
  い旨既に判示されており確定している。別件行政訴訟でも採用されていないと
  いうことである。被告は平成18年5月19日付け被告準備書面(4)でも,こ
  の主張を繰り返し,原告の主張に対する認否,反論,主張は必要ないとして,
  弁論を行なわない。
 6 一方,原告が申立てた文書及び写真は提出しない。
 7 被告の対応は,できるだけ釈明をしないという態度で一貫している。まとも
  に釈明することでことさら国側に不利な事実を表面化させるからである。
第3 原告車線のひし形マーク(自衛隊写真②・警察写真⑩・原告写真甲66)
 1 被告の主張(1) 本件事故現場付近の路面上にペイントされているマークは,
  前方にカーブがあることを示す警戒表示である減速マークが経年によってタイ
  ヤの通過箇所が摩滅したものと思われ,原告が主張するように被告が書いたり
  消したりしたものではない。
 2 被告の主張(2) 原告は,実況見分調書添付の写真に写ったマークは,警察署
  等の許可を得ずに設置するのは取締法違反であるから,実況見分調書に記載さ
  れるべきであるのにされていないことを主張しているが、原告の主張する「取
  締法規違反」などない。
 3 被告の主張(3) 当該現場には「自衛隊写真②」のとおり9個のマークが
  存在している。「警察写真⑩」にはそのうちの6個のマークが写っているのであ
                   5/9

  り,甲第66号証①②⑨の各写真も同様に6個のマークが写っているのである。
 4 原告の主張(1)・取締法規・道路交通法第76条1項 何人も、信号機若しく
  は道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置しては
  ならない。(罰則 第118条),及び道路法第43条 何人も,道路に関し、
  左に掲げる行為をしてはならない。1みだりに道路を損傷し、又は汚損するこ
  と。(罰則第100条)。(何人もとあるからたとえ警察官,道路管理者でもみだ
  りに設置してはならないのである。)(2)・ 原告車線のひし形マークの存在は
  原告車の運転に影響を及ぼすから,堀部警部補が実況見分時このマークの存在
  を認めたら,実況見分調書に記載すべきところ,このマークについての記載は
  ない。(3)・ 警察写真⑥及び⑦の原告車線に「徐行」の道路標示がある。堀部
  警部補が実況見分時この徐行の道路標示の存在を認めたら,実況見分調書に記
  載すべきところ,この標示についての記載はない。原告車線のひし形マークが
  減速マークであるとすると,道路標示は「この先カーブ」または「速度落とせ」
  となる。本件事故後,警察,自衛隊が原告車車線に,違法に(みだりに),規制
  標識・警戒標識を設置した。減速マーク(甲第78号証)は法定外表示である
  が,「徐行」の道路標示は法定標示である。(4)・ 実況見分調書(甲42)の2
  2頁「交通事故現場見取図第2図」によれば,湯布院方面から本件事故現場に
  至る直前にヘヤピンカーブが連続して存在するが,これらのカーブには「減速
  マーク」が設置された形跡はない。本件事故現場のカーブだけ存在しているこ
  とから意図的に設置されている。(5)・ 原告車線の「徐行」の道路標示及び原
  告車線のひし形マーク(減速マーク)は本件事故当時存在していないから,警
  察写真⑥⑦⑩等は事故当日撮影されていない。(6)・減速マークは正規の方法で
  設置されていないのでタイヤの通過箇所が簡単に摩滅した。故意に消されたと
  も思われる。(7)・減速マークが経年によってタイヤの通過箇所が摩滅したもの
  と思われるのであれば,本件事故によってその必要性が確認されたのであるか
  ら再塗装されるはずであるがその形跡はない。(8)・矢印型の減速マークのタイ
                   6/9

  ヤ通過箇所が摩滅した場合,残されたマークも矢印形(山形・シェブロン型)
  となるが,本件原告車線に残されたマークはひし形である(甲66②,甲32
  ⑩,甲67②)。「原告車線のひし形マーク」を設置し,その後このマークの存
  在を隠蔽する必要が生じた場合,消去するより,設置されたひし形マークを利
  用して矢印型の減速マークをペイントしてその一部に見せかけたほうが簡単で
  ある。甲66②でみると,最初設置されたひし形マークがくっきり残っている
  一方,後日書き加えた減速マークはほとんど消えている。タイヤが通過したた
  めでなく,減速マークの材料・工事の違いによる。
第4 KP34.9の警戒標識(アロータイプ・シェブロンマーカーの線形誘導標)
 1 被告の主張・原告は,警戒標識(視線誘導標)の存在についても論難する(準
  備書面(4)第2の6及び第3の3)ので、念のため述べると,一枚の板ででき
  ている同標識を正面の位置から撮影した写真(甲第35号証⑤,第66号証の
  ⑥⑦)と側方の位置から撮影した写真(甲第35考証④,第66号証の①,③)
  とを見比べれば,同標識が存在していたことは明らかである。
 2 原告の主張は,平成17年10月18日付け訴状・第3別件訴訟における,
  浅香ら国の指定代理人の違法行為・第4点証拠資料のねつ造・改ざん(KP3
  4.9の警戒標識)に記載したとおりである。論旨はこれら連続する3個の警
  戒標識は,南行きの車ために設置された線形誘導標であるが,警察写真⑩(甲
  35③④,甲66③④)では,KP34.9の警戒標識は南行きの車から視認
  できないのはおかしいというのである。自衛隊写真①(甲35⑦),警察写真⑪
  (甲33,甲34①・甲35①⑤)及び原告写真66⑥⑦)では,北行きの車
  から真正面に見える。北行きの車からは,甲35⑩⑪⑫⑬⑭のように視認され
  なければおかしい。自衛隊写真②(甲67②)に比べて,平成11年10月2
  9日撮影された原告写真66ではこれら線形誘導標の標示板の塗装は真新しい。
  KP34.9の警戒標識は本件事故当時擁壁上にあって草木に隠されていたか,
  若しくは,標識板を単一の柱に取り付け路端に設置されていたが標識板が脱落
                                      7/9

  していたので本件事故後再設置した。この時,表示板の設置角度を誤り南行き
  の車から見えない角度で設置したのである。自衛隊写真①に線形誘導標の標示
  板が写っているが,写真を加工して標示板を挿入した。
第5 浅香らの本件事故の証拠資料のねつ造・改ざんの一例
 1 原告は,平成18年3月24日付け準備書面(3)を陳述し,その第2証拠資料
  (事故現場写真)のねつ造・改ざん,1ないし7で,別件訴訟で浅香らが乙第
  1号証として提出した書証(甲67)の,自衛隊写真甲67①,②,⑤⑥⑫⑬
  ⑭,⑦,⑧,③④⑨⑩について検証した。
 2 被告は,平成18年3月24日付け準備書面(3)で,「原告が主張する,事故
  再現見分時における玖珠警察署の関与及び被告の証拠写真のねつ造・改ざんに
  ついては,被告準備書面(1)及び(2)により,被告が繰り返し主張しているとお
  りである。」と陳述した。原告の主張に対し認否,反論,主張は行なっていない。
 3 原告は,当書面で,甲67①についての原告の主張を下記に再掲する。
  便宜のため,甲67①と甲67①の右上の部分を拡大した写真を甲第79号証
  として提出する。
 4 事故当時の道路状況(熊本方面から別府方面)自衛隊写真①(甲35⑦,甲6
  7①,甲24,甲68)(1) 本件事故直後から,現場で捜査にあたっていた,保
  安警務隊及び熊本県警小国署員から,事故当日午前11時50分に現場に到着
  した早水巡査長が捜査の引継ぎを受けている場面である。引継ぎ時間を30分
  とすると,平成11年10月7日午後0時20分ころの写真である。(2) 画面
  左に,白シャツの制服を着た警官(早水巡査長),紺色のシャツに反射ベストを
  着用した2人の警官(小国警察署員),右腕に腕章をつけた作業服の自衛官(保
  安警務隊幹部)その他数名のヘルメットの自衛官が写っている。この一団の後
  方に警戒標識(KP34.9の警戒標識)が写っている。原告の主張①・この
  警戒標識は事故当日存在しない。原告の主張②・画面の右側には,適当な草地
  があるのに(甲第66号証),交通統制も行なわずに,ヘヤピンカーブの頂点の
                                     8/9

  危険な位置に,たむろしているのは危険でもあり不自然である。(3) 画面右に
  KP34.9の里程標が写っている。原告の主張③・この警戒標識は事故当日
  存在しない。(4) 画面右に黄色の荷物を積んだ原告車とその後方に原告の靴が
  写っている。原告の主張④・この時点では原告車に荷物は積まれていない。原
  告の荷物は,原告の身元確認のためなど内容を確認する必要があり,既に降ろ
  され,靴と共に原告の搬送先小国公立病院に運ばれるため車に積み込まれてい
  る。(5) 草地の上に約6名のヘルメット,作業服の自衛官の一団が写っている。
  原告の主張⑤・ここにたむろしている理由がない。(6) 画面左上の草木の部分
  が真っ黒に写っている。原告の主張⑥・写真の草木の部分が加工・隠蔽されて
  いる。
 5 上記(5) で,草地の上に約6名のヘルメット,作業服の自衛官の一団が写っ
  ている部分を拡大した写真が甲78の下部に添付されている写真である。原告
  の主張① ・左端の自衛官は他の自衛官に比べて,体格・鉄帽の大きさからみて
  明らかに小学生程度の大きさしかない。この左端の自衛官の画像は,他の自衛
  官が写っている写真とは別の写真から切り取られ貼り付けられている。又,ヘ
  ヤピンカーブの頂点の車道内に,車道に背を向けて立っているのも危険で不自
  然である。この写真のねつ造犯は,貼り付ける位置を誤ったのである。
   原告の主張② 擁壁上の2個の警戒標識と甲67の画面左の警官・自衛官の背
  後に写っているKP34.9の警戒標識の写り方が異なる。
第6 終わりに
   被告は,原告が提出を申立てている文書及び写真を進んで全部提出し,本件
  訴訟の充実及び真実の発見に協力してほしい。
   その他,被告が否認した事実については,被告の具体的主張・証拠の提出を
  待って反論・主張をおこなう。
附属書類
 証拠説明書(6)平成18年5月19日(甲第78~79号証) 各1通
                9/9

19:被告・準備書面(4)

2006-05-21 05:33:02 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
平成17年(ワ)第3710号 国家賠償請求事件
原 告  出 羽 やるか
被 告  国

      準 備 書 面(4)
                         平成18年5月19日
横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中

              被告指定代理人

                   宮 崎  雅 子  代印
                   熊 谷  勇 人  代印
                   大 石  勝 幸  印
                   久保寺    勝  印
                   大 當  光 憲  代印
                   小 田    昇  代印
                
                 ‐1‐

 被告は,本準備書面において,原告準備書面(4)に対し,必要と認める限度で反論
をする。
 なお,略称等は.本書面において新たに用いるもののほかは,従前の例による。

第1 「第1」について
   甲第64号証の写真の左端の人物の帽子については,帽子のつば部分に確認
  されるものはあごひもではなく,飾りのモールである(乙第2号証)。なお,
  同人について被告準備書面(3)2に第8特科連隊所属の隊員としたが,より正確
  には,現在は第8特科連隊の所属であるが,写真の撮影当時は第8師団司令部
  法務官所属の隊員である。甲第64号証の写真で同人の帽子が青色に見えるの
  は,カラーコピーの具合により変色して見えるものと思われ,本来,同人の帽
  子の色は乙第2号証のとおり濃緑色である。
第2 「第2」ないし「第7」について
 1 はじめに
   原告は,警戒標識,タイヤ痕と擦過痕及び本件交通事故の態様等に関し,推
  論を重ねて主張する。また,別件訴訟,同控訴審及び別件行政訴訟(以下「別
  件訴訟等」という。)においても,原告は,本件訴訟で証拠として提出してい
  るのと同一の書証を提出して同様の主張を繰り返してきた。
   原告のこれら主張については,別件訴訟等においても,各判決で証拠写真が
  ねつ造・改ざんされていない旨判示されており,別件控訴審判決書(甲第9号
  証7ページ14行目)において「甲第23号証(実況見分調書)は,事故当日
  に警察官により実施された実況見分の内容を記載したものと認めることができ
  る。」と判示されている。したがって,原告の推論はいずれも失当であり,こ
  のことは,これまで被告が繰り返し主張したとおりであり,改めて反論・主張
  の要は認められないが,念のため,新たな主張と思われる「原告車練のひし形
                 ‐2‐
  マーク」について被告の主張を述べる(以下2)。
   なお,原告準備書面(4)3ページの下から2行目の写真⑩は,写真⑪の誤りと
  思われる。
 2 「原告車線のひし形マーク」について
 (1)原告は,準備書面(3)の第3及び準備書面(4)の第2において,被告が別件訴
  訟において証拠として提出した写真について,事故当時撮影されていないも
  のを同日撮影されたと偽ったと主張し,その根拠として,原告車線上のひし
  形マーク(以下「マーク」という。)があたかも原告車の走行位置を示すよ
  うに写っており,このマークは事故当日に設置できないから,上記写真ぼに
  事故当日撮影されたものではない(原告準備書額(3)6ページ).警察の作成
  した実況見分調書の写真にはマ-クが6個しか写っていないがご自衛隊の撮
  影した写真にはマークが9個写っている(原告準備書面(4)3ページ)と主張
  する。
   原告の主張する上記写真が別件訴訟のどの写真なのかは判然としないが,
  自衛隊が平成11年10月7日に撮影した写真であると主張されている(原
  告準備書面(3)4ページ及び6ページ)ところからすると,被告が別件訴訟に
  おいて乙第1号証として提出した書証を指しているようである。
 (2)しかし,まず,本件事故現場付近の路面上にペイントされているマークは,
  前方にカーブがあることを示す警戒表示である減速マークが経年によってタ
  イヤの通過箇所が摩滅したものと思われ,原告が主張するように被告が書い
  たり消したりしたものではない。原告は,実況見分調書添付の写真に写った
  マークは,警察署等の許可を得ずに設置するのは取締法違反であるから,実
  況見分調書に記載されるべきであるのにされていないことを主張している
  が、原告の主張する「取締法規違反」などないのであるから,原告の主張は
  全く理由のないものである。
 (3)次に,原告のいう「警察写真⑩(甲第73号証)」と「自衛隊写真②(甲
                 -3 -

  第71号証2/2)」を比較すると,各写真左端に写っている自衛隊車両を
  基準に道路の路肩にある反射鏡ポール(以下「ポール」という。)の位置関
  係及び縁石の切れ目をみれば,両者が別の場所から別の角度Iで撮影されたも
  のであることが分かる。すなわち,自衛隊写真②の撮影位置は,警察写真⑩
  の撮影位置から,やや左寄りのはるか後方から撮影されていることが,以下
  のとおり明らかである。したがって,両者に写っている道路の範囲が異なり
  それに伴い写っているマークの数か異なるのも当然であり,この点からも原
  告の上記主張は理由がない。
  ア ポールには白色と銀色とがあり,「自衛隊写真②」の自衛隊車両の右後
   方に白色のポールが2本続いている(写真手前から3,4本目)が、「警
   察写真⑩」には自衛隊車両後方に白色のポールが1本のみ写っていること,
   警察写真⑩」には縁石の切れ目まで写っていないことからすると,「警
   察写真⑩」の左端の白色のポールは,「自衛隊写真②」の左から4本目の
   ポールに該当する。
  イ これを甲第66号証①の写真と比較すると,写真の手前(別府方面)か
   ら3本目が,「警察写真⑩」の左端及び「自衛隊写真②」の左から4番目
   のポールにそれぞれ該当する。
  ウ 以上のことから,警察写真⑩の左端にある熊本側から6番目のマークは,
   上記イのポールより手前(別府・湯布院町側)にあることになり,自衛隊
   写真②の別府側から4番目(熊本側から6番目)のマークがこれに当たる。
   そしてレ甲第66号証①の一番右端にあるマークは熊本側から6番目のマ
   ークということになる(位置的には。上記アでいう2本の白いポールの間
   である)。
    したがって,当該現場には,「自衛隊写真②」のとおり9個のマークが
   存在しているが,「警察写真⑩」にはそのうちの6個のマークが写ってい
   るのであり,甲第66号証①②⑨の各写真も同様に6個のマークが写って
               -4‐

   いるのである。
 (4)なお,通常,路面表示は道路管理者又は公安委員会が表示するものである
   (乙第3号証)。マークは,撮影時の写真から分かるその摩滅状態からも,
   写真撮影の直近にペイントしたものではないことは明らかである。
 3 原告は,警戒標識(視線誘導標)の存在についても論難する(準備書面(4)第
  2の6及び第3の3)ので、念のため述べると,一枚の板でできている同標識
  を正面の位置から撮影した写真(甲第35号証⑤,第66号証の⑥⑦)と側方
  の位置から撮影した写真(甲第35考証④,第66号証の①.③)とを見比べれ
  ば,同標識が存在していたことは明らかである。
第3 結語
   以上のとおり,原告の主張は,いずれも理由がないから,本請求は速やかに
  棄却されるべきである。
               -5-

18:原告・準備書面(4)p1-9

2006-04-09 01:12:18 |  第3訴訟 第1審 被告国(訟務検事)
平成17年(ワ)第3710号 国家賠償請求事件
原告 出羽やるか
被告 国
             準 備 書 面 (4)
                          平成18年4月10日
横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中
                            原告 出羽やるか
 原告は,次のとおり弁論を準備する。
 略称等は,本準備書面で新たに用いるもののほかは,従前の例による。
  なお,平成18年3月24日付け原告の準備書面(3)第3の7,(6~7頁)
「・・及び平成11年10月7日に原告が撮影され写真(甲66①②③⑧⑨)・・」
は,「・・平成11年10月29日に原告が撮影した写真(甲66①②③⑧⑨)・・」
が正しい。
          目    次
 第1 平成18年3月24日付け被告の準備書面(3)について・・・・・2
 第2 警察写真⑩・原告車線のひし形マーク・・・・・・・・・・・・・・2
 第3 警察写真⑪・KP34.9の警戒標識・・・・・・・・・・・・・・3
 第4 警察写真⑯・タイヤ痕と擦過痕・・・・・・・・・・・・・・・・・4
 第5 原告撮影の本件事故現場道路写真(原告写真甲66)・・・・・・・4
 第6 本件事故処理の事実経過・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
  1 玖珠警察署の主張(別件行政訴訟での玖珠警察署の主張)・・・・・5
  2 小野寺の証言及び陳述・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
  3 原告の主張するストーリー(原告車線のひし形マークの謎を解く。)8
   4 間ノ瀬巡査部長が語ったストーリー・・・・・・・・・・・・・・・9
 第7 自衛隊写真②・原告車線のひし形マーク・・・・・・・・・・・・15
 第8 おわりに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
                 1/16
第1 平成18年3月24日付け被告の準備書面(3)について
 1 被告は,甲64に写っている,バイクの後ろを支えている藍色の野球帽を着
  用している人物は,第8師団特科連隊に所属する青色の帽子を着用した隊員で
  あると主張する。
 2 自衛官服装規則第4条は,部隊等の長は,自衛官の服装のせい一を図ること
  に努めなければならないとし,陸上自衛官服装細則は,同別表第3で,部隊識
  別帽は,「自衛隊の施設内において,勤務に従事しない場合,又は勤務に従事す
  る場合において部隊等の長が,略帽,作業帽及び運動帽に代えて着用すること
  を認めた場合」に着用するとする。
 3 原告の主張・(1)・事故再現写真(甲63甲64)に写っている自衛官は制
  帽に夏制服,作業帽又はヘルメットに作業服を着用し,防衛庁事務官はワイシ
  ャツにネクタイを着用している。野球帽の人物は服装の斉一(統一)を乱して
  いる。(2)・制帽に代えて識別帽を着用することは認められていない。(3)・警
  察の,特に警ら車に乗車する警官の,活動帽にはあごひもがついているが,自
  衛隊の識別帽にはあごひもはついていない。(4)・第8特科連隊が本件事故再現
  見分に参加する理由がない。(5)・撮影現場は自衛隊の施設外である。
 4 被告の上記主張には誤解がある。
第2 警察写真⑩・原告車線のひし形マーク
 1 平成13年9月27日付け玖珠警察署作成の実況見分調書(甲42)添付の
  写真⑩(甲32⑩)の拡大写真(甲第73号証)を提出し検証する。(以下,甲
  32⑩及び甲73を,「警察写真⑩」という。)
 2 玖珠警察署によると,警察写真⑩は,平成11年10月7日に堀部警部補が
  撮影し,湯布院町方面(被疑車両の進路)から道路状況等を撮影したものであ
  ると説明されている。(ちなみに,警察のいう被疑車両とは原告車をさす。)
 3 写真の中央に写っている,道路中央線の近くを,ロードメジャーを転がしな
  がら歩いている警官は,実況見分中の間ノ瀬巡査部長であると説明されている。
                 2/16
 4 草地に駐車している小型トラックの前部の陰から,その前方の草地に止めて
  ある荷物を積んだ原告車の一部が覗いている。(甲35④)
 5 小型トラックには,8師-付と記され,近くに,作業服に保安腕章を着用し,
  鉄帽を着用した2人の自衛官と無帽の自衛官1人が写っている。(甲35④)
 6 間ノ瀬巡査部長と,近くで同部長を見ている腰に手をあてた自衛官の中間に,
  道路端の草むらに立っている一本の棒が写っている。これはKP34.9の警
  戒標識を取り付ける支柱であるが標識自体は写っていない。
 7 原告車の車線中央にカーブに沿って6個のひし形の白色のマークが,あたか
  も原告車の走行位置を示すように写っている。
 8 警察写真⑩(甲73)は,左側のカーブの形状及び右側の擁壁上の2個の警
  戒標識が写っていることから,自衛隊写真②(甲71)及び原告写真(甲66
  ①②③⑧⑨)と同じ場所が写されている。
 9 自衛隊写真②には,ひし形マークが9個写っているが,警察写真⑩及び原告
  写真甲66では6個しか写っていない。本件事故の衝突位置に近い方の3個が
  消えている。
 10 原告の主張
  (1) 原告準備書面(3) 第3原告車線のひし形マークで述べたとおり,原告車線
   のひし形マークは本件事故当日存在していないから,警察写真⑩は事故当日
   撮影されていない。
  (2) 荷物を積んだ原告車の画像が挿入され,写真がねつ造されている。
  (3) 消された3個のひし形マークは,6個のひし形マークが描くカーブに沿っ
   た曲線の延長上に存在していた。
第3 警察写真⑪・KP34.9の警戒標識
 1 平成13年9月27日付け玖珠警察署作成の実況見分調書(甲42)添付の
  写真⑩(甲32⑪)の拡大写真(甲33)をさらに拡大した写真(甲34①,
  甲35①)(以下,「警察写真⑪」という。)を検証する。
                                  3/16
 2 玖珠警察署によると,警察写真⑪は,平成11年10月7日に堀部警部補が
  撮影し,小国町方面(被害車両の進路)から道路状況等を撮影したものと説明
  されている。(ちなみに,警察のいう被害車両とは自衛隊車をさす。)
 3 原告の主張
   原告は,訴状(19頁)第3第4点で,KP34.9の警戒標識は草木に隠
  れていたので,背景を加工し,草木を消し,警戒標識を挿入したと主張した。
  挿入された警戒標識は,標識板を単一の柱に取り付け路端に設置されている。
  脱落していた標識板だけを新たに設置したとも考えられるが,いずれにせよ,
  標識板の塗装は真新しい。
第4 警察写真⑯・タイヤ痕と擦過痕
 1 堀部警部補は,警察写真⑯(甲32⑯)は小国町方面から本件事故現場路面
  に印象されていた擦過痕(被疑車両の進路上)を撮影したものと説明しタイヤ
  痕と擦過痕を示す矢印を記入しているが,タイヤ痕と擦過痕は写っていない。
 2 写真⑯の右下方の路面に,「バイク」の文字や,丸で囲まれた「ウ」「エ」
  の文字その他チョークで描かれている。場所的に原告車の最終転倒位置であり,
  事故直後保安警務隊がマークし,自衛隊が撮影した写真であると推断されるが,
  堀部警部補はこれらのマークについて言及していない。
 3 別件訴訟で,浅香らは,擦過痕の存在については主張していない。
 4 写真⑮⑯(甲32⑮⑯)の路面の外側は真っ黒に塗りつぶされ,背景の草木
  の状態などが隠蔽されている。
 5 原告の主張
  (1) 自衛隊が撮影した写真を,玖珠警察署は堀部警部補が撮影したとして,実
   況見分調書添付写真として使用している。
  (2) 写真がねつ造・改ざんされている。
第5 原告撮影の本件事故現場道路写真(原告写真甲66)
 1 原告は,平成11年10月29日,玖珠警察署から熊本市内の病院に帰る途
                                 4/16
  中,本件事故現場に立ち寄り,現場付近の道路状況を撮影した。(甲66)
 2 原告写真甲66⑥は,自衛隊車線側に写っている警戒標識,原告車線側のガ
  ードレールの形状,及びカーブの状況などから,自衛隊写真①(甲67①)及
  び警察写真⑪(甲32⑪)と同じ,KP34.9付近の道路状況を写している。
 3 原告写真甲66②は,自衛隊写真②(甲67②)及び警察写真⑩(甲32⑩)
   同じ場所の道路状況写真で,原告車線のひし形マークが6個写っている。
 4 原告の主張
  (1) 原告写真甲66⑤は事故現場見取図(甲23)に示されているKP34.
   9の地点付近を撮影した写真であるが,里程標は写っていない。したがって,
   自衛隊写真①及び警察写真⑪に写っているKP34.9の里程標は本件事
   故当時存在していない。
  (2) 原告写真甲66には,原告車線のひし形マークは6個しか写っていないか
   ら,自衛隊写真②で9個写っていたひし形マークが,警察写真⑩と同様に,
   3個消えている。
  (3) 原告写真甲66に写っている警戒標識は3個とも蛍光塗料塗立て状態で鮮
   やかに写っている。自衛隊写真②に写っている擁壁上の2個の警戒標識はく
   すんだ色合いである。自衛隊写真②が撮影されたあとで,上記2個の警戒標
   識の塗装が行なわれたことが明らかである。
第6 本件事故処理の事実経過
 1 玖珠警察署の主張(別件行政訴訟での玖珠警察署の主張)
  (1) 平成11年10月7日11時25分頃,事故発生の電話連絡を受けた堀部
   警部補は早水巡査長に出動を命じ,早水巡査長は同日午前11時50分頃,
   事故現場に到着した。
  (2) 同日午後0時25分頃,堀部警部補と間ノ瀬巡査部長が本件事故現場に到
   着し,同日午後0時34分から同日午後1時20分まで,小野寺立会いのも
   とに,実況見分を行なった。
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    原告の主張(1)・堀部警部補らは事故当日は実況見分を行なっていない。
  (3) 平成11年10月8日 ,間ノ瀬巡査部長は,交通切符様式の実況見分調書
   を作成し,小野寺に同月12日に任意出頭するようを求め,小野寺は同日に
   玖珠警察署に出頭し供述調書に署名押印した。
    原告の主張(2)・小野寺は人身事故の加害者である。切符処理は出来ない。
    原告の主張(3)・間ノ瀬巡査部長は事故当日は実況見分を行なっていない。
    原告の主張(4)・小野寺は,同月14日まで演習に参加していたという。
  (4) 平成11年10月29日,原告は玖珠警察署に間ノ瀬巡査部長を訪ね,原
   告が被害者である旨申立て,平成11年10月14日付け熊本赤十字病院医
   師礒貝正久作成の診断書を提出した。
  (5) 平成11年11月11日から数回,間ノ瀬巡査部長は供述調書作成のため
   原告に出頭を求めたが原告は出頭に応じなかった。
  (6) 平成12年2月10日,堀部警部補は玖珠警察署長まで報告の上,本件事
   故の処理を一時保留扱いとした。
 2 小野寺の証言及び陳述
   (平成14年3月25日付け別件訴訟での速記録(甲22)及び平成13年
  10月12日付け小野寺の陳述書(甲25))
  (1) 平成11年10月7日,本件事故発生の約40分後小国警察署員が事故現
   場に到着し,少し遅れて早水巡査長が到着した。
  (2) 救急車が去った後で玖珠警察署員2名が到着し現場検証を始めたので立会
   った。玖珠警察署署員が現場に到着したのは午後0時30分である。現場検
   証の時間は約40分であった。
    原告の主張(1)・玖珠警察署員2名は,堀部警部補及び間ノ瀬巡査部長をさ
   すが,両名は本件事故当日,事故現場に臨場せず現場検証は行なっていない。
  (3) 現場検証後吉田1尉に同行してもらい,小国公立病院に行った。病院でバ
   イクの運転者(原告)の兄に会い事故の状況及び現場検証の概要を説明した。
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   するとバイクの運転者の兄から「弟が悪かった」と頭を下げられ,握手を求
   められた。またこの時「国民健康保険で治療する」ともいわれた。(甲25)
    原告の主張(2)・小野寺は証人尋問時,現場検証後同行してもらった人物を
   吉田1尉から近松3佐に訂正した。吉田1尉は第8師団司令部付隊の管理小
   隊の班長で,事故当時本件自衛隊車を含む10両編成の指揮をしていた(甲
   22の13頁)。近松3佐は第8師団司令部付隊の隊長である(甲26)。小
   野寺が間違えるはずはない。法務官が近松3佐の名前を出すのを嫌ったのだ。
   原告の主張(3)・原告の兄は,原告の問合せに対し,「加害者が小野寺であ
   ることを知ったのは,事故後数日経過してから自宅に本人が電話してきたと
   きが初めてです。小野寺は自分に過失がないことをるる述べましたが,私は
   まだ警察の説明も受けておらず,現場も確認していない時点で弟の過失につ
   いて云々することはできないと云いました。事故の日に自衛隊から自宅に電
   話連絡を受け,小国公立病院に行きました。病院には数人の自衛官がいまし
   た。その中の一人が事故状況を説明しましたが,自衛隊側の一方的説明であ
   り,私が弟の非を認めるわけはなく,ましては頭を下げたり握手を求めたり
   したことはありません。「国民健康保険で治療する」とは云っていません。当
   時は緊急事態で病院の支払いを等について云々する状況下になく,病院も支
   払いについて言及はしておらず,私は弟が加入している保険の種類も知って
   いません。」と回答した。(甲第74号証)
    原告の主張(4)・「弟が悪かったと頭を下げて握手を求められた。国民健康
   保険治療するといわれた。」との陳述は虚偽の陳述であり,かつ原告の兄をも
   侮辱する内容である。この陳述の脚本を書いた浅香らの行為は到底許せない。
  (4) 同7日午後3時頃小国公立病院にから演習場に行った。(甲第75号証)
  (5) 演習場から熊本に帰ったのは1週間後くらいである。
    原告の主張(5)・直前に重傷の人身事故を起した兵を演習に参加させるか。
  (6) 演習場から帰るとき小野寺は車両を運転して事故現場を通った。

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    原告の主張(6)・人身事故を起したばかりの者に公道で車を運転させるか。
  (7) 平成11年10月11日か12日,供述調書作成のため玖珠警察署に出頭
   した。被疑者として調べられてはいない。
    原告の主張(7)・小野寺が演習場から熊本に帰ったのは事故から1週間後位
   だという。1週間後は平成11年10月14日である。
    原告の主張(8)・小野寺は業務上過失傷害事件の被疑者である。
  (8) 警務官は供述調書を取らなかった。
    原告の主張(9)・通常,業務隊の防衛事務官が供述調書を作成する。
  (9) 陳述書(甲25)は代理人(法務官)に供述した。
        原告の主張(10)・法務官は第8師団司令部法務官室法務課の法務官である。    
 3 原告の主張するストーリー(原告車線のひし形マークの謎を解く。)
  (1) 平成11年10月10日は祝日(体育の日)で,日曜日だったので,翌日
   の11日は振替休日であった。
  (2) 自衛隊は,小野寺及び関係者の事情聴取や事前の準備があり,本件道路は
   平日の交通量は少ないが連休中は観光客の車両の通行が多いことから,実況
   見分を連休明けに行なうことにした。
  (3) 自衛隊は,連休後の12,13,14日に事故調査・事情聴取・実況見分・
   事故処理対策会議等を行なった。
    (4) 平成11年10月12日,自衛隊は,事故直後の捜査で得た資料に基づき,
   「原告車線のひし形マーク」等を設置し,自衛隊写真②を撮影するなど,実
   況見分の下準備をした。
  (5) 平成11年10月12日, 熊本赤十字病院に入院中の原告を訪ねて,第8
   師団司令部付隊の斉藤1尉と称する者が来た。原告は,本件事故は自車線内
   の事故と原告の妻から聞いており,相手も同じ認識だと思っていたので,原
   告には事故当時の記憶がないことを話した。事故の態様や治療費の支払い等
   についての会話はなかった。(甲65)
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  (6) 平成11年10月15日, 熊本赤十字病院に入院中の原告を訪ねて,陸上
   自衛隊北熊本駐屯地業務隊・防衛庁事務官・奥田重盛という名刺を持った者
   が来た。奥田は昨日で自衛隊の調査が終わったと述べた。原告は原告車の処
   置について聞いたが,勝手にしたらいいと言う無愛想な態度で,会話は続か
   なかった。(甲65)
  (7) 同日,奥田重盛が去った直後熊本赤十字病院の大石信清事故処理室長が病
   室に来て,「大変なことになっているから,治療を健康保険に切り替えたほ
   うがいい」と原告に告げた。(甲65)
  (8) 「大変なことになっている」というのは,上記斉藤1尉の報告を受けて,
   自衛隊の事故対応の方針が変わり,衝突位置が原告車線上から自衛隊車線上
   に変更されたということである。
  (9) 自衛隊の衝突位置の変更に伴い,自衛隊写真②に写っていた9個の原告車
   線のひし形マークのうち6個を残して,原告車転倒位置に近いほうのひし形
   マークが消された。
  (10) 警察写真⑩が撮影されたのは,原告車線のひし形マークが6個になってか
   らである。 
  (11) 原告は,熊本赤十字病院から外出許可が出たので,平成11年10月26
   日朝,間ノ瀬巡査部長に電話し,玖珠警察署で話を聞きたい旨を伝えた。
  (12) 間ノ瀬巡査部長は,10月26,27,28日の3日間は所用があるとの
   ことで,10月29日午後1時に出頭することになった。
  (13) 平成11年10月29日,玖珠警察署で間ノ瀬巡査部長は,原告に対して
   平成11年10月8日に作成した交通切符様式の実況見分調書等に基づいて
   本件交通事故の発生状況を説明したという。間ノ瀬巡査部長は,現場写真は
   未だ現像していないといい,現場見取図を含め書面等は見せなかった。
 4 間ノ瀬巡査部長が語ったストーリー
   平成11年10月29日,玖珠警察署で間ノ瀬巡査部長は,原告に対し下記
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